創世日祭典・ストーリー・サブ玉京のお祭り
玉京のお祭り
2-1間違った遊び方の例
さんまの塩焼きとすき焼きは、げんなりとしていた。せっかくの祝典会場で、堕神が現れたからだ。
すき焼き「キリがないな……これで何体め?」
さんまの塩焼き「さぁ……数えるのも疲れたね。」
すき焼き「……それで、何か言うことは?」
さんまの塩焼き「――殺さないように。」
すき焼き「せっかくのお祭りだしね。わかってるよ。」
そのとき背後から、ドスンという鈍い音と共に唸り声が聞こえてきた。さんまの塩焼きとすき焼きは慌てて振り返る。
するとそこには、酒呑童子が手負いとなって倒れていた。
すき焼き「(なかなか鋭い一発を食らっているな……どっちにしろ、助かった)」
――離れた射的屋にて。
ふぐの白子「ふふっ、このゲーム、面白いわ。」
キャビア「白子、教えてくれ。今、君は何を撃った……?」
2-2名勝負
コーンブレッドは長い銃をかついで、祭典会場を練り歩いていた。そのとき、射的屋が目に入る。
コーンブレッド「『射的屋』だって! 面白そう〜!!」
コーンブレッドは早速店の主人から10発購入し、的に向かって弾を迷いなく撃ち込んだ。彼女の見事な腕前に、観衆が湧いて喝采が起こる。
そこに偶然キルシュトルテが通りかかった。少女の見事な腕前に、思わず感嘆の息を漏らした。
コーンブレッド「よーし! もう二十発、いっちゃうよ〜! 追加で弾頂戴っ!」
キルシュトルテ「お前、上手いじゃないか。なぁ、店主。私にも弾を二十発くれ。」
キルシュトルテはコーンブレッドに向かって、不敵な笑みを浮かべた。そして射的銃を構え、鋭い眼光で獲物を撃ち落としていく。
その様子に、コーンブレッドの目が輝いた。
コーンブレッド「Hey,ユー! ミーと勝負してよっ!」
キルシュトルテ「ほう? 威勢がいいな。いいだろう、遊んでやるよ。」
コーンブレッド「遠慮はいらない! 本気でかかぅてきなっ!!」
キルシュトルテ「ハッ! それはこっちの台詞だ、行くぞ!」
ふたりは同時に手を上げて、前方の標的を狙って、射的銃を構える。観客が息を呑んでその様子を見守る中、射的銃から勢いよく弾が放たれた。
それは一瞬の出来事だった。大量の景品が地面に落ちている。見事な腕前を披露したふたりに、観客は惜しみなく拍手を送った。
コーンブレッド「WoW! ユーは凄腕スナイパーだ! また戦ってほしいな! ミーはコーンブレッド。友達になってよ!」
コーンブレッド「Yah! 今この瞬間から、ミーとユーは友達だ! ユーはどこに住んでるの? 今度遊びに行くよ!」
キルシュトルテ「とても……小さな街だ。本当に来るのか?」
コーンブレッド「もちろん! ミーは有言実行だ!」
キルシュトルテ「ハハッ……そうか、楽しみにしている。待ってるからな、怯むなよ?」
2-3便利な遊び
紅茶「このお祭り、早く終わらないかしら……今すぐ帰って銃の訓練をしたいわ。」
ミルク「なぜこの祭りには、同じことを繰り返さないでもクリア出来るゲームがないのでしょう……。」
それぞれの思いを口にして、ふたりは溜息をつく。
そのときだ、射的屋の店主が声を掛けてくる。
店主「お嬢さんがた! 遊んでいかないか? まだ良い景品が残ってるよ!」
紅茶「あら……いいわね。今日の訓練の代わりになるし、景品も得られるなんて。」
ミルク「ふむ、銃で景品を撃てば手に入る……繰り返しがない、いいゲームですね。」
ふたりは顔を合わせて、同時に銃を取る。そして、無言で景品に向かって銃を撃ち放った。
店主「――一時間後。」
唖然とした顔で、呟いた射的屋の店主を他所に、ミルクは既に目的の本を手に入れて読んでいた。
紅茶「もうすこし……あと十個、景品が残っています。」
ミルク「そうですか。」
ミルク「店主さん、ここに出ている景品、全部取ってしまっても大丈夫ですか?」
店主「はは、は……そういうゲームですからね……どうぞ続けてください……。」
店主は、紅茶の足元に置かれた景品に、虚ろな表情を浮かべるしかできなかった。
2-4頼もしいイチゴ
二人の小さな影が懸命に射撃露店の前に押し寄せています。
ダブルアイス「イチゴ、見て! あの人形、ペアだよ! 欲しくない?!」
ダブルアイス「うん……。」
ダブルアイス「ペアだからひとり一個もらえるよ! ちょうどいいな!」
ダブルアイス「そうだね……じゃあ、兄さんが取って。」
ダブルアイス「玉は十発……! よーし、絶対取るぞぉ~!!」
――五分後。
ダブルアイス「イチゴ、大丈夫、だから……! 絶対、取る……から……!!」
ダブルアイス「……兄さん、頑張って。」
――十分後。
ダブルアイス「イチゴ、大丈夫、だから……! 絶対、取る……から……!!」
ダブルアイス「……兄さん、頑張って。」
――十五分後。
ダブルアイス「イチゴ、大丈夫、だから……! 絶対、取る……から……!!」
イチゴは無言で店主にお金を払い、銃と玉を受け取る。そして、無言で狙っていた人形を撃ち落とした。
ダブルアイス「すごいっ! 一発で当てるなんて! さすが自慢の弟だ!! 見てください、これ、弟が落としたんですよ……!」
ダブルアイス「……そんな知らない人にまで教えなくていいよ。兄さんって、ほんとバカ……。」
2-5よく当たるシューティング
カクテルB-52が射的屋を見かけ、店主に声をかける。その後ろには、ブラウニーの姿もあった。
B-52「店主さん、一階お願いします。」
店主「はいよ。兄さん、このゲームは難しいよ。さっき来た双子は十五分かかってやっと一個取れたくらいだ。」
ブラウニー「ふむ、彼には一発あれば十分ですよ。」
店主「だったらその腕前、見せてもらおうかな。玉を十個君の分はサービスだ。それで一発でも当たるといいがね。」
B-52「距離、3.75メートル。高さ、1.52メートル。目標方位確認――B-52、いきます。」
その声の後、『パンッ』という音と共に、勢いよく玉が発砲された。その玉は、真っ直ぐに、狙っていた景品の中心に当たった。
店主「ほう……すげぇな、兄ちゃん。だが、それは比較的取りやすい景品だ。他の景品はそうそう取れないだろうよ。やってみるといい。」
――一分後。
ブラウニー「景品で袋がいっぱいになりました。これくらいで十分でしょう。早く、みんなんところに戻りましょう。」
店主「……。」
2-6ボスの商売
佛跳牆は、忙しく働く麻婆豆腐の露店に通りかかって足を止める。
通りすがりの人「麻婆豆腐、お疲れ様! 麻婆まんを二個ちょうだい!」
麻婆豆腐「いらっしゃい! はい、どうぞ!」
佛跳墻は腕を組んで、麻婆豆腐の傍に近づいた。
佛跳牆「繁盛してるじゃないか。」
麻婆豆腐「佛跳墻じゃない。今年の花火大会ってアンタんとこが企画してたよね? こんなとこで油を売ってていい訳?」
佛跳牆「麻婆豆腐、お前に頼みがあってきた。花火大会が始まる前に、うちの者と協力して広場に不審者がいないか見てくれないか? お礼は、俺と一緒に見る特等席の花火だ。」
麻婆豆腐「ハァ? なんであたしがそんなこと――」
麻婆豆腐は、ジッと佛跳墻を睨みつける。だが、佛跳墻は泰然自若な態度で、足元にいる小葱を抱き上げた。
麻婆豆腐「まぁいいわ。また海神祭りのときみたいな騒ぎはごめんだしね。それよりアンタ、花火に興味あったんだ?」
すると、佛跳墻はフンと鼻で笑って、麻婆豆腐を見下ろした。
佛跳牆「打ち上げ花火自体がうちの商品だ。興味があって当然じゃないか?」
麻婆豆腐「……。(またお金がたんまり稼げるってことか……。ご立派なボスだよね、まったく!)」
2-7気安く試さないで!
トッポギはキムチの手を引っ張って、麻婆豆腐の露店へ走ってきた。
キムチ「気を付けて、転ばないようにね。」
トッポギ「大丈夫よ、心配性ね!」
トッポギは笑いながら振り返る。そのはずみで隣の柱にぶつかってしまった。
トッポギ「あぅっ!」
キムチ「だ、大丈夫? 痛くない?」
トッポギ「う、うん……大丈夫っ!」
トッポギは痛みで顔を歪めたが、興奮が冷めやらない。
トッポギ「店員さん、私、唐辛子まんの大食い選手権にに参戦するわ!」
トッポギは唐辛子まんで顔を真っ赤にしながら叫んだ。だが、その瞳には涙が浮かんでいる。
キムチ「無理しないで、辛いんでしょう?」
トッポギ「うん、う、うう……か、辛くない! わよっ!」
キムチはキムチをあたたかな眼差しで見つめながら、その背中を優しく撫でた。
キムチ「はいはい、そういうことにしておきましょうか。とりあえず、牛乳でも飲む?」
トッポギ「ううう……た、助かる……わっ!」
2-8麻雀のことは忘れて
串串香「火鍋は食べたらだめよ。お店のもの、全部食べちゃうつもり?」
火鍋は片手に麻婆まんじゅうを持ち、両頬はまんじゅうで膨らんでいた。
火鍋「もぐもぐ……食べたのは一箱だけだよ。問題ないよね? 麻婆豆腐?」
麻婆豆腐「大丈夫よ。好きなだけ食べて!」
麻婆豆腐「(麻雀をやらないなら、いくら食べてくれてもいいわ! 火鍋とだけは、麻雀をしたくない……!)」
火鍋「この光耀大陸では、麻婆豆腐が作ったご飯が一番おいしいよね。すっごく辛いし~!!」
火鍋「ここに来る前、おでん屋に寄ったんだけどね、すっごく味が薄くってさぁ。全然辛くなかったし!」
串串香「……おでんの出汁は、繊細な味なのよ。お店の人にも、そう言われたでしょ。」
火鍋「ん~! やっぱ辛いのが一番だよねぇ、あはは~!」
――その頃、おでんの屋台。
おでん「ハクション!」
麻婆豆腐「また、私の店に来てよ。辛くなかったら、お代はいらないよ!」
火鍋「じゃあ、麻婆豆腐の店で麻雀しよっか! ……ん? 今、三人しかいないじゃん! 誰かもう一人いないと……ああっ! なんでみんな逃げるの~!?」
2-9雄黄酒と麻婆まん
ロンフォンフイ「うむ、良い香りがする――雄黄酒、匂いの元を探すぞ!」
雄黄酒「刀に気を付けてください。他人を傷つけては大変ですよ。」
ロンフォンフイ「任せておけ!」
ロンフォンフイは目的の露店を探し当て、湯気の立つ蒸し器を覗き込む。そこには、麻婆まんが乗っていた。
麻婆豆腐「お兄さん! できたての麻婆まん、おひとついかが? 光耀大陸でここしか売ってない逸品よ!」
ロンフォンフイ「麻婆まん? いいじゃないか! もらうぞ!」
ロンフォンフイは蒸し器に手を伸ばし、麻婆まんを一口かじる。
ロンフォンフイ「これは……うまいぞ! もっとないのか!? ああ、まとめて袋いっぱいに詰めてくれ!!」
雄黄酒が再びロンフォンフイを見た時、彼は一袋のまんじゅうを抱えて、うまそうに食べている。
雄黄酒「おまんじゅう……ですか? んんっ!」
一口食べたその瞬間、口の中に辛さが広がる。そのあまりの辛さに、雄黄酒は眩暈を覚えた。
雄黄酒は、そのままロンフォンフイに向かって倒れこんでしまう。そんな雄黄酒を支えて、ロンフォンフイは目を見開いた。
ロンフォンフイ「おい――雄、雄黄酒??!! ……子推饅!! どこにいる!? 雄黄酒が倒れた!! 助けてくれぇ!!」
2-10王の必修科目
ローストターキーとエッグノッグは、唐辛子まんの大食い選手権の会場へと足を向ける。会場は喝采に包まれていた。
ローストターキー「唐辛子まんの大食い選手権?」
会場にいる人たちの反応を見て、エッグノッグがローストターキーに真剣な表情で目を向けた。
エッグノッグ「ローストターキーも参加してみたらいかがでしょう?」
ローストターキー「え? なんで余が……?」
エッグノッグ「辛さは痛みの一種でね。それに耐えられるのは、王として必須素質じゃないかと思いまして。」
そうエッグノッグが言った瞬間、観客が悲鳴をあげた。何事かと視線を向けると、今まさに戦っていたと思われる選手たちが会場から運び出されている。
ローストターキー「……。」
エッグノッグ「大丈夫です、信じていますよ、貴方なら勝てます!」
ローストターキー「……。」
ローストターキー「そ、そうだな……余なら、勝てる!!」
ローストターキーは息を呑んで、参加登録窓口へと向かおうとする。そんな彼の手を慌ててエッグノッグは掴んだ。
エッグノッグ「冗談ですよ、おバカさん。なんでも信じないでください。僕を罪悪感に濡れさせたくないのならね。」
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