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牛丼・エピソード

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牛丼のエピソード

牛丼はかつて桜の島で活躍した昔気質の武士である。

ある経験を境に、己の考えを見つめ直し、新しいものを受け入れることを学ぶ。

その後性格が明るくなり、外向的になった。

現在は、ずっと守り続けてきた信念や平和の形と外来の文化や思想を自分の心中で融け込ませようと努めている。

Ⅰ.救出

──キィンッ!


どこか懐かしく、けれど聞き慣れぬ金属音が絶え間なくと鳴り響く。


目の前で煙めく切っ先が、空間を網目のように高速で切り裂き迫ってくる。


この世の全てを見透かすような男の表情は真剣で、敵を凝視しているが、その目は狂気を孕んでいる。そして私は、誰よりもその目をよく知っていた。


(あれは悔しがりながらも、憎悪と快感を同時に得ている目だ)


──何に快感を覚えるのだろうか?


刃がまたも迫ってくる。私は一瞬の隙を逃さず、距離を詰めて電光石火のごとく彼の技を脇差で破った。


その男の首筋に刀を当てて軽く押すと、鋭い刀は男の肌を容易に切り裂き、赤い血を滲ませる。


動きが止まり、刀を握る手から力が抜け、その手から刀が落ちる。それでも、私を阻む彼の熱い眼差しに変わりはなかった。

そうして目と目が重なった瞬間、やっと私はその眼力の意味を理解した。

そうだ、彼は骨の髄まで染み込んだ己の誇りに──自分の魂である刀を一度足りとも捨てたことがないことに快感を覚えている。


(私とは、違う……)

その事実に私は思わず動きを止めた。


「とどめを刺さぬのか?」


さすがである。劣勢であっても相変わらずの落ち着きようである。


一人で大勢の敵に立ち向かった大昔……そのときと同じく彼は怯えるどころか慌てる素振りも見せない。


ワッフルはどこですか」


私は乱れた息と心をなんとか落ち着かせようと深呼吸をした。そして、意図的に低くゆっくりとそう訊ねた。


「俺が嘘をつかないことはお前も知っているであろう。そのようなことを彼らが俺に教えるわけがない」


男は刀を収める。その静穏な語調は、まるでさっきまでのやりとりが命を賭けたものではなく、日常の稽古のそれと変わらないと告げているかのようであった。


「あの子はどこにいるんですか?!」

焦りと苛立ちで、私は脇差を捨て、彼の襟を掴んで右膝で彼の膝を打った。


「グッ……!」

男は喰り声をあげてしゃがみ込み、空えずきをしたかと思うと、突然大笑いをする。

「はははははっ……! 」

「何がおかしいのです!」


私の声に眉を上げ、 フッと鼻を鳴らし、男は肩を疎めた。

そして笑うのを止め、ゆっくりと顔を上げた。瞳には先ほどよりも強い狂気が宿っているのがわかった。

そして彼は口端を歪めて、私の問いにキッパリと答えた。


「私は知らない。そう言った筈だが?」


その言葉に、私は彼の髪を掴んで、そのまま顔面を地に叩きつけた。

「あの子はどこだ!言え!!」

「……答えは変わらない。知らないものは、何度聞かれても答えられない」


私は怒りに任せて、男を何度も地面へと叩きつけた。


「隠しても無駄です!大人しく彼女の居場所を教えてください!」

彼は小さく嘆息し、何も答えなかった。


(彼は──嘘をつかない。そんなこと、 私が誰よりも知っている)


男の額から血が流れ落ちる。整っていた顔立ちは今では見る陰もなく、地獄から来た修羅のような形相になっていた。

その顔を見て、私はハッとして、 やっと冷静さを取り戻す。そして慌てて手を離した。男はそのまま地面に崩れ落ち、動かない。


私は自分の襟を緩め、大きく息を吸い、胸ポケットから小さな通信機を取り出した。数回ボタンをタッチすると、『ザザッ』と雑音が聞こえてくる。


「彼は何も知らないようだ」

私は低い声でその機械に向かって告げた。機械の向こうからは沈黙が伝わってくる。

少し経ったあと、機会の向こうからよく通る少女の声が聞こえてきた。


「では早くここに戻ってきて」

「……申し訳ない」


──ピッ!


私は相手からの返答を待たず、そのまま通信を切った。

Ⅱ.故郷

私は言葉なく、船首に座って潮の薫りに身を委ねていた。


(これで……良かったのだろうか)

答えが出ない。私は髪が海風になびいて乱されるのを押さえながらそっと目を閉じる。


牛丼、あなたのせいじゃない」

私の傍らに立つ少女が小さくそう告げる。

そして、落ち込む私にそっとビスケットを渡してきた。


「……ありがとう」

私は素直にそうお礼を告げ、ピスケットを口に放った。そして、よく噛まずにそれを呑み込む。乾いたビスケットの切れ端が喉に当たり、少し痛かったがそれを気にするゆとりは私にはなかった。


「……あのね牛丼?」

少女は不満げに私の肩を叩いた。

私は声を発する気になれず、 顔だけを少女に向ける。

「ずっとその調子だったら、目的地に着いても救援任務には参加させないからね?」

驚いて私は目を見開くも、結局口からは何の言葉も出てこなかった。

「ほら、シャキッっとして。死んだような顔をしないの」

彼女は苦笑して立ち上がり、私の肩を二回強く叩いた。

そしてスッと手を挙げて、目的地を指差した──地平線の先には、私の故郷である桜の島がある。


ワッフルが待っているわ。やるべきことをしましょう?」


その言葉に瞼を閉じる。すると、懐かしい景色が見えた気がした。あそこには様々な思い出があり、その頃のことが脳裏を過ぎる。


(もう、過去のことだ)


そう理解しつつも、少しだけ感傷に浸ってしまう。私は長い溜息と引き換えに、現実に戻ってきた。ゆっくりと立ち上がり、キュッと拳を握りしめる。


「 ……君の言う通りだ。やるべきことをやるために、行こう──桜の島へ」


***


「ここがあなたが昔住んでいた場所なの?」


少女と共に森の大樹の枝に腰を下ろして遠い建物を見つめていた。

すると彼女が不意にそんなことを聞いてきた。私は領いて低い声で答える。


「そうだ。私の記憶に間違いがなければ、そして彼らの防衛線の張り方が変わっていなければ、六つの巡回地域と三つの罠を潜り抜けなければ屋敷に近づくことができない」

「……大げさな守りだこと」


少女は常に持ち歩いてるビスケットを噛み砕き、お湯と共に喉に流し込むと手に残る屑を叩き落として軽く伸びをした。


「今は何時?」

「十時ちょうどね。十分後に行動開始よ。わかった?」


その言葉に私は返事をしなかった。黙って腕の機械を調整し続ける。その様子に、少女は私の顔を覗き込んで言った。


「役割、変えようか?」

その言葉に私はばちくりと瞬きをする。

ワッフルが閉じ込められてる地下牢をあなたが探して、私はこの屋敷の主をやっつけるの。それでもいいのよ?」

「圧縮ビスケット…… 」

彼女の優しさに心が温かくなったが、私は頭を横に振った。

「それには及ばない。私がやるよ」

「でも、あなたはもう侍じゃ……」

「昔のことだ!」

私は無意識に大声を出し、彼女の話を遮った。だが慌てて語調を弱めた。

「……もう、昔のことなんだ」


「いいわ。では作戦通りに」

私の決心を悟った少女はそれ以上何も言わず、口角を上げて笑顔を作った。

「一緒に頑張りましょう?全てが上手くいくように……ね?」

「はい、君の分の想いも預かっていきます」

「ありがと」


それから彼女はわざとらしく咳払いをして私を脱みつけた。


「私の名前は『プレスビスケット』よ。圧縮ビスケットなんて可愛げのない名前で呼ばないでちょうだい。何度も言わせないで」


Ⅲ. 変化

──ドカン!

木の屑が飛び散り、重い衝撃音が広いとは言えない部屋の中に響いた。


私は誰かに首の後ろを掴まれて、コントロールできないハンマーのように床板に叩き込まれた。


「おかえり、牛丼よ。」


厚みのある男の声が部屋の奥から襖を通して聞こえてくる。


二人の侍が私の両手を掴み、私の背中を踏みつけて動けないようにした。私はかろうじて顔を上げ、途切れ途切れに話した。

「私が来ることを知っていたのか?」

「知っていたのではない。予想しただけだ。」


襖が開けられ、中から華麗な服を着た男が出てきて、昔のように、笑って私の質問に答えた。

昔と違うのは、今の私が立っていないことだけ。


「キミは変わったと誰もがそう言うが、私は知っている。キミはなんにも変わってない。」

そう言いながら、男は私の前に来ると、しゃがみこんで細い指で私の顎を掴むと、話を続けた。

「言え、牛丼。キミは変わったのか?」

「殿……」

私は無意識に昔の呼び方をして、何かを言おうとしたが、彼の怒鳴り声に遮られた。

「殿と呼ぶな!」


「言え、昔の侍だった牛丼は何処に行った!」

「あの何より忠義を重んじた牛丼が、なぜ共に戦ってきた仲間を、師匠を蔑ろにし、監禁、拷問までした!?」


背中にいきなり強い力を感じた。私を抑えつけている二人が合図があったように足に力を入れ、もう一度私を床に叩きつけた。


牛丼、言え。」

「キミに刀と誇りを捨てさせたものはなんだ?」

「キミに、キミの武士道を諦めさせたものはなんなんだ?」


私は歯を食いしばりながら顔を上げ、昔長年仕えた男を見つめ、湧き上がる衝動をなんとか抑えて、話を逸らした。


ワッフルは、あなたに捕まったのか?」


「ああ──あの妖女か。」

男は鼻で笑って、答えた。

「そうだ、私が捕えたのだ。」


「奴らは全員、死に値する。」

「忘れたか、牛丼よ。あの時キミも居たはずだ。」

「あいつらはグルイラオから買った鉄砲で私の家をめちゃくちゃにした。」


「しかし奴らはもう死んだ。千山家の侍たちによって殺されたのだ。」

「今!あの悪魔の武器を作った張本人も捕まえた。」

「喜ばしいことだ。」


「喜ばしいことか?」

男は手を伸ばすと私の顔を思いっきり平手打ちした。

平手打ちは顔に当たったが、心が痛んだ。

「私は嬉しいのだ。」


「おい、あの女を連れてこい!」


Ⅳ.誇り

連れてこられたワッフルは疲れた顔をしていた。


プレスビスケットの姿も見えた。彼女は梁の上に隠れており、まだチャンスが見つからないと目で私に伝えてきた。


私がどうにか彼女にチャンスを作らねば。


牛丼?!」

ワッフルは私がいることに気づき、少し驚きを見せた後嬉しい表情になり、その後怒ったように振る舞った。

「なんで来たの?!ここは危ないよ!」

「ほお──危ない、ねえ。」

男は皮肉な笑いを浮かべながら、鼻を鳴らした。

「キミはこの女の為に武士道に背くことをした、というわけではあるまいな?」


「武士道に背いた?」

ワッフルが不思議そうな顔をした。


牛丼、なにかやらかしたの?」

ワッフルのぶっ飛んだ質問が部屋の空気を一瞬凍らせた。

口角を小刻みに震わせる男を横目に見て、私はワッフルにこう言った。

「私が刀を捨てて銃を選んだことです。」

「はあ?武士道に背いたっていうのはそれのこと?貴方の以前の主は反知性主義かなにかなの?」

そう言いながら、ワッフルは千山家の当主を振り向き、眉をひそめた。


「私を捕まえた理由は銃を作ったからなの?あのね、私は作っただけよ。あれを売った商人じゃないからね。」

「黙れ!」

ワッフルの話の途中で、男は激怒し怒鳴り声を上げた。


「お前がそれを作らなければ──」

「私じゃなくても誰かがやることでしょう?何を言ってるのよ?科学の進歩は私一人だけで動かせるわけがないでしょう?」


「お前は武士の誇りを踏みにじったのだ!」

「武士の誇り?それは個人の品格のことでしょう?私が作ったものと何の関係があるのよ?」

「刀は武士の命だ。お前のような異物が……」

「はぁ?刀も異物でしょう?異物の言葉の意味を知ってる?自分の体の一部分じゃないものを指してるのよ ……」

「……」


なぜか二人はロ喧嘩をしている。


彼の怒りが私には理解できた。生涯守ってきたものが誰かに砕かれるのは確かに堪え難いものだ。

しかし、ワッフルの言う通りだ。


物事は、変わってゆく。


頭に水滴が落ちてきた。上を向くと、プレスビスケットがそこで目配せをしている。その意味が私にはわかった。


両手に力を入れ、私を拘束している二人に気づかれない内に、彼らをぶっ飛ばした。

そして私は双銃を手にし、ようやく状況を理解し反撃しようとする二人の護衛を撃ち倒し、昔慕っていた男に迫って彼を人質にした。


ワッフルを放せ。そうすればこの男は殺さぬ!」

「貴様、よくも!」


すぐ近くの激怒した顔を見て、私はため息をつき、その顔に銃口を向けた。


「殿、時代は変わったのです。」

Ⅴ.牛丼

千山家は桜の島の名家であり、冷兵器の時代には千山家の武士を知らない者はいなかった。


しかしその高すぎる地位のせいで、当主がどんなに下の者をキツく束ねようと、最終的には人々の怒りを買ってしまっただろう。


とある天気の良い午後、暴徒達は風変わりな火器を持って、復讐と革新の名の下に千山家に攻め入った。

鼻をつく匂いの火薬と砕け散った石ころは武土たちの刀を次々と砕いた。


千山家の家臣の侍たちはほぼ全員殺され、一人の若い武士と、千山家に長年に渡って忠誠を誓った男性の食霊──牛丼の二人だけが最後まで生き残った。


この二人は刀によって武士の一族の最後の誇りを守りきった。しかし意外なことに、この事件が終結し、死力を尽くした者の功績が讃えられる時に、最大の立役者の一人である牛丼は千山家に辞表を出した。


彼はこの地から離れ、あのおかしなカラクリを作り出した場所に行ってみたかった。


この戦いは牛丼の、伝統を守る考え方を揺るがした。彼は自分が今まで守ってきたものに本当に意味があるのかを疑い始め、これからの道をどう歩んで行けば良いのか迷い始めた。


歓迎はしなかったが、千山家の当主は結局牛丼の意志を尊重し、彼を行かせた。元々御侍に東縛されておらず、今や仕えた家にも別れを告げた牛丼は、千山家から出る時に自分の体の一部のようだった武器──ー本の刀を感謝の意と決別の証として千山家に残し、脇差一本だけを持って旅に出た。


グルイラオに着いてすぐに牛丼はトラブルに巻き込まれた。彼は荒野の林にある堕神の住み家に誤って足を踏み入れ、武器がないため懸命に逃げる羽目になった。そしてその地で武器のテストをしていたワッフル白トリュフに助けられた。 ワッフルたちが行っている研究内容を知った牛丼は、ペリゴールに留まり銃器に関することを学び始めた。


しかし、千山家の襲撃事件は終わったわけではなかった。時間の経過と共に立ち直った千山家が襲撃の黒幕を探し始めたことを、牛丼は知る由もなかった。


千山家の者はグルイラオまで辿り着いたが、そこで手がかりが途絶えた。行き詰まった千山家はその時意外なことを掴んだ。暴徒たちの黒幕は見つけられなかったが、暴徒が使っていた武器の出処を知ったのだ──それはペリゴール研究所で研究に失敗した際の副産物が出回ったものであった。


そのことを知った千山家の当主は古い考え方の持ち主で、これらの武器は悪であり、存在してはならないと決めつけた。彼は自分の考え方に囚われ、武器を作った者を亡き者にすれば、再び武士の誇りを取り戻せると愚かな結論を導き出した。そこで彼はペリゴールにいる武器の研究に携わった者を誘拐しろと命を下したが、驚くことにその途中で牛丼と再会した。


牛丼の今の立場と行いは千山家から見れば裏切り以外の何物でもなかった。それは忠義という言葉への裏切りだけではなく『侍』への裏切りだと彼らは思った。


そして彼らは牛丼との昔の繋がりを通して情報を探り、グルイラオでグレーゾーンの仕事をする食霊の傭兵まで雇って、誘拐計画を成功させた。


牛丼はこの件の責任は自分にあると思い、プレスビスケットと二人で誘拐されたワッフルを救出するために動いた。


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ゲーム情報
タイトル FOOD FANTASY フードファンタジー
対応OS
    • iOS
    • リリース日:2018/10/11
    • Android
    • リリース日:2018/10/11
カテゴリ
ゲーム概要 美食擬人化RPG物語+経営シミュレーションゲーム

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