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桃源幻郷・ストーリー・序章~4

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最終更新者:ういっす

迷走

序章-僻村

真夏月十六日 朝

夏の空は晴れ渡っており、時より白い雲が過ぎる。鳥たちは木々の上で休んでいた。

しかし、墨閣の面々は違った。チキンスープの手紙を読み、全員が険しい表情を浮かべていた。

黙っている人たちを見て、窓辺に座っていた柿餅は率先して沈黙を破った。

柿餅:で、今回はまたどこなんだ?

董糖:「茗(みょう)」と呼ばる村よ。近頃、あそこで邪教が頻繁に活動しているという痕跡があるらしい。

蓮の実スープ:随分遠い場所ですね。信憑性はあるかどうか……

董糖:あのチキンスープの情報なら……今まで一度も間違ったことはないですし。

柿餅:じゃあ、俺が行く!

菊酒:私が行こう。

ほぼ同時に声がした。周りの者たちは柿餅菊酒に視線を向けた。

柿餅は素早く窓辺から飛び降り、余裕な表情を浮かべていた。

柿餅:安心しろ、俺一人で楽勝だ。

菊酒:あら?前回他人の家を破壊したのは誰かな?

柿餅:あん時、あんたも屋上の上まで上がっただろ?

菊酒:君一人で行くなら、その時は後始末なんて絶対嫌よ。

柿餅:あんたの手なんか借りないぜ、こっちには臘八麺もいるしな。なあ、臘八麺

臘八麺:私は……喧嘩は良くないですよ……一緒に行くのはどうでしょう?

柿餅:なんだと?

菊酒:……

董糖は争っている三人を見て、思わず笑ってしまった。

董糖臘八麺の提案は悪くない。一人より三人で行動した方が安心だし、お互いに補助も出来る。

柿餅董糖姉さんがそう言うなら、じゃあ今回は仕方なくあんたらの面倒を見てやるよ。

菊酒:誰かさんは自分の世話だけを見てればいいよ。

柿餅:……菊酒、お前!

蓮の実スープ:もし何か危険な状況に陥りましたら、こちらに信号を送るのを忘れないでください。

柿餅:おう、いつも通り機関鳥に信号を送るぜ!このボタンを押せばこの機関鳥が鳴るから。

柿餅は手に持っていたボタン状の小さな機械を掲げながら言った。


第一章-到着

真夏月十七日正午 茗村

地図に従い、三人は山に囲まれている場所にやって来た。遠く見渡すと、微かに畑や家屋などが見えた。

柿餅:ここか……入り口に守衛がいるみたいだな。

臘八麺:もしかすると彼らが……邪教の人達でしょうか?

柿餅:そうかもしれない、どうやって入ったら良い?

菊酒:不用意に近づくのはやめよう、慎重に行こう。

柿餅:俺に良い考えが!行くぜ!

臘八麺:兄弟子……!待ってください……

慌ただしく前に向かって走っていく柿餅を見て、二人もやむを得ず彼について行くしかなかった。

三人はすぐに村の入り口まで辿り着いた。二人の守衛は目の前に忽然と現れた見知らぬ三人を警戒しながら見ていた。

柿餅:おっす!……お兄さん方こんにちは、俺たちは道に迷ったみたいで、ここって……

黒い服を着た男:目の前の森を抜けて、東南の方に真っ直ぐ行け。

柿餅:……

柿餅の話はまだ終わってないが、無情にも守衛に遮られた。魂胆が見透かされたようで、彼は困り出した。

この時、もう一人の守衛も冷たい口調で話し始めた。

黒い服を着た男:どうして行かない?まだ他に用事があるのか?

黒い服を着た男:そうだ、お前らは何者だ?

突如声を荒げた守衛から敵意を感じた臘八麺は、次の展開の心配を始めた。菊酒は既に武力で強行突破する準備をしていたが、柿餅は急に機転が効いたような表情を浮かべた。

柿餅:ゴホゴホッ、お兄さん方落ち着いて!実は……さっき堕神に襲われて、逃げた時に怪我をしたんだ……

柿餅:ほら、こいつは俺たちを守るために、ひどい怪我を負ったんだ。早く休ませなければ!

柿餅は話しながら、傍の臘八麺を前に押し出した。

菊酒:……

臘八麺:???わ、私は……

黒い服を着た男:……怪我をしたように見えないが。

柿餅:アハハ……そ、そうだ!こいつは中治りしているだけだ!

柿餅は素早く臘八麺に目線を送り、力強く彼の背中を叩き、一枚の呪符を背中に貼った。

臘八麺から貰った「人の目をくらます呪符」が、まさかこんな時に役に立つとは思わなかった柿餅は、一つ盗み笑いをした。

柿餅の視線に気付くことは出来たが、無防備だった臘八麺は突如大きな力によって地面に叩きつけられてしまった。

呪符の力によって、臘八麺の背中には一本の長い傷、そして全員には大小様々な細かい傷が現れた。彼はすぐに柿餅の意図に気付き、苦しそうな表情を浮かべて怪我人のふりをした。

柿餅:……ぷっ!

菊酒:…………

守衛たちは、地面に倒れて目を閉じている臘八麺を見て、視線を交わし対処に困っている様子だった。

しばらくの沈黙のあと、一人の守衛は村に走って行った、そしてすぐに戻ってきた。二人は会話を交わした後、身体を逸らし通行を許可した。

拙い作戦が成功して、三人は喜んだ。柿餅菊酒は多くを考えず、素早く村の中に入ろうとした。

しかし、歩き始めてから突如何かを忘れていた事に気付く。

柿餅:弟弟子ーー!俺は絶対にお前を見捨てないーー!だからしっかりそろーー!

柿餅臘八麺の傍に駆け寄り、彼を抱えながら、感情を込めて声高らと叫んだ。

黒い服を着た男:……

黒い服を着た男:……

一人の守衛はついて行こうとしたが、もう一人が彼の手を引いて微妙な表情で首を横に振った。

前で歩く菊酒は自分の剣をしっかり握り締め、足を速めた。

この時、入り口の近くの木陰から、彼らを観察している視線があった。


第二章-変人

真夏月十七日正午 茗村

柿餅:おい臘八麺、起きろ。いつまで寝てるんだ、もう入れたぞ。

柿餅臘八麺の頭を叩き、彼は目を覚ました。自分が大きな木の下で寝ていた事に気付き、恥ずかしそうに立ち上がった。

三人が周りの様子を観察した所、どこも異常がなくただの普通の村のようだった。むしろ和やかな雰囲気が漂っていた。しかし、その平和そうな光景により菊酒は一層疑いを強めた。

その時、一つの影がゆっくりと近いた、純朴そうな中年男性だった。

???:あんたたちがさっき来た客だろう、怪我人がいるなら村で二、三日休んでいけ、今案内を……

菊酒:どちら様でしょう?なぜ怪我人がいると知っている?

龍:ハハハハ、自己紹介が遅れてすまん。俺は龍と言う、村長は俺の親父だ。さっき守衛から報告を聞いた、だから親父は俺にあんたたちを迎えに来させた。

龍:少し前になるけどこの村は堕神に滅茶苦茶にされたんだよ。まさかあの化け物供は人の姿にも化けられるとは思わなかった、だから警備を強化したんだ、すまんな。

この話を聞いて、三人はお互いに目配せをし、共通認識をもった。現状他に情報がないため、しばらくは目の前の人について行く事しか出来ないと。

龍は三人を連れて小道を抜けて、村の先に向かった。

龍:うちの村はなぁ、他はともかくお茶は最高だよ。特に「玉華」という種類のお茶は、ここの住民皆が育てている物だ。

三人は龍の話を聞きながら、周りを観察していた。

龍がまだ玉華の事を熱心に説明していた所、一つの人影が突如彼らの前に現れた。まるで今泥沼から出てきたように泥まみれで、精神状態も少し不安定でひたすら何かをつぶやいていた男の子だった。

???:玉華はまずい!ヒヒッ〜村のあちこちに人がいる、彼らは僕を見ている、彼らもあなたたちを見ている、ヒヒッー

龍:どけどけ!またお前か?

男の子の出現で四人の足は止まった。龍は不機嫌そうな顔を一瞬覗かせたが、また親切な顔で三人の方に向いた。

龍:こいつは洛だ、頭がおかしいやつだから気にしないでくれ。

言い終えて、龍は三人を連れて前に進んだ、洛という男の子はその場に立ち留まって笑いながら彼らを見ていた。

三人は状況がわからず、ただ黙って龍について行くしか出来なかった。

しばらくして、菊酒は足を止めて、道端の石を巻き上げて後方に飛ばした。近くの草むらから悲鳴が聞こえて来た。

洛:うっ……痛い……

先程の洛が腕を抑えて出てきた、腕には赤い痕が見える。

柿餅:俺たちを尾行してたのか?!

洛は何も答えず、またアホみたいに笑いながら、彼らに向かって歩いて来た。龍は怒って洛の行く手を阻むと、再び三人を連れて前に進んだ。

三人は龍について行き、一つの庭にやって来た。龍は熱心に温かな玉華茶を淹れて三人をもてなした。

緑色の若葉が透明の湯の中でゆっくりと広がり、甘い香りが空気に漂った。

龍:この玉華茶を飲んでみてくれ、一番新鮮な奴だ、ようこそ茗村へ!そのお兄さんの怪我は、後で村の医者を呼んであげるから心配しないでくれ。そうだ、まだ名前を聞いてなかったな

柿餅:あーその必要はない。こいつは回復力があるから、少し休ませてもらえるだけで十分だ。

柿餅:あー……俺は火晶(かしょう)、こいつは俺の弟弟子の臘八で、彼女は菊……

柿餅が話終わる前に、菊酒から鋭い視線が飛んできた。柿餅はビックリして、最後の字を飲み込んだ。

柿餅:アハハハ、最近堕神のような危険な妖魔や何やらが増えただろう。名前を知られるだけで呪いをかけられた事もあるって聞いて、だからこいつは他の人に自分の名前を教えたくないんだ……おいっーー俺の足を踏むな!

柿餅は文句を言おうとしたが、菊酒は何もなかったような顔でお茶を飲んでいた。臘八麺も湯飲みを持ってくすくす笑っていたから何も言えなくなった。龍は柿餅の様子を見て思わず笑い出した。

柿餅が鼻を鳴らして湯飲みを持って菊酒を睨もうとして一口飲んだ所、突然一つの小さな影が飛んで来て、汚い手で彼が持っていた湯飲みをひっくり返した。

突如乱入してきた人は洛だった。彼は踊りながら机に置いてあった湯飲みや急須を全部ひっくり返した。割れる音と共に、お茶は地面に広がった。

洛:ヒヒヒッー壊れた!茶が零れた!

龍:お前……!おいっ、誰かこいつを外に追い出せ!

龍は怒って叫んだしばらくして、木こりのような人たちが集まってまだ笑っている洛を急いで外に連れ出した。

和やかだった空気は、先程の騒ぎで気まずくなっていた。

柿餅:アハハ……大丈夫だ!子どもがやった事だし、片付け手伝うぜ!

龍:あぁ、すまん恥ずかしい限りだ、すぐ部屋に連れて行こう。


第三章-宴

平和の下に、何か隠されている。


真夏十七日夜 茗村

村の小さな広場で篝火が燃えていて、その光は夜色を照らした。

まさか村の人たちがここまで熱心だとは思わなかった三人は、少し申し訳なく思っていた。

村長:あぁ、村がこんなに賑やかなのは久しぶりじゃ。

上座に座っている老人は、自分の髭を撫でながら言った。

柿餅:村長さん、そうすると最近村に来た人はいないって事か?

村長:ああ、君たちは久しぶりの客人だ。

温かい光に照らされた村長の顔から、優しさが滲み出ていた。

しかし、柿餅たちにとってそれは怪しい点に過ぎなかった。今まで、邪教に関する話題は村人の口から一切出ていない。村自体も平和そうに見えた。チキンスープからの情報が正しいのなら、村長は何かを隠しているに違いない。

菊酒臘八麺もこの点に気気付いた。三人は目を合わせ、各自警戒していた。

龍:今夜の宴に集まってくれてありがとう!三人の客人を歓迎するため、遠慮せず楽しく過ごしてくれ!

周囲から歓声が沸き起こり、村人たちは龍に呼応し、盛り上がりは最高潮に達していた。

龍は杯を持って柿餅たちの方に向いた。三人も同時に杯を掲げた。乾杯する手前、あの洛という男の子がまた突然現れた。その手には泥団子をいくつも握っていた。

笑いながら三人の前にやってきて、三人の杯をじろじろと見ていた。突然!


ボンっ!ボンっ!ボンっ!


鈍い音と共に、泥団子は三人の前にある料理の中に投げ入れられた。その瞬間、お酒と食べ物は食べる事が出来ない姿に。

洛:贈り物!あなたたちへの贈り物!ヒヒッ!

突然の出来事で、周囲の人は思わず大声で叫び出した。当事者である洛は何もなかったかのように、むしろ誇らしそうにしていた。

これによって、賑やかだった雰囲気がぶち壊され、龍は顔色を変えた。「パンッ」と机を叩き、辺りがシーンとなった。

龍が手を振ると、数人が前に出て洛を連れて行った。その後、新しい料理を出すように命じた。

龍:すまんな、あいつはどんどん頭がおかしくなってる、ちゃんとしつけないといけない。

柿餅:いやいや、俺たちは大丈夫だ。ただ、彼は悪意がないように見えたが……

菊酒:あの、彼は……何故このような行動を?

龍:小さい時に頭をぶつけてから、ずっと狂っているそうだ。あいつは皆から嫌われていて、あいつに関わらないように好きにさせている。

重要な情報を得られず、菊酒は引き続き酒を飲んだ。


同時刻 一方

絡は黒い服を着た男達によって小さな小屋の前に連れられていった。彼は必死で抵抗したが、軽々と小屋の中に投げ入れられてしまった。

洛:うわっ、放せーー!


真夏十七日夜 客室

菊酒は嫌そうな顔で酔っ払って朦朧としている臘八麺柿餅を引き連れて客室の方に向かった。

柿餅:あぁーー化け物がーーまだ飲めるぜ、ヒクッーー!

臘八麺:兄弟子……うるさい……

柿餅:ヒクッーー臘八麺、お前もここにいるのか……?お前も化け物に掴まれたのかーー!うわっーーいってぇ!

菊酒柿餅を殴りたい衝動を抑えた代わりに、床にぶん投げた。

その後菊酒も自分の部屋に戻り、窓辺で今日の出来事を思い出していた。しかし徐々に瞼が重くなっていき、気付けば眠りについていた。


真夏十七日未明 庭

月は相変わらず空に掛かっていた、静寂が村全体を包んだ。

柿餅はまどろみながら身を起こし、あくびをした。喉がカラカラと乾いていた。しかしまだ眠りから覚めていないからか、まるで幽霊のように屋敷の中で水を求め彷徨い歩いていた。

気が付けば明かりが灯っている部屋の近くまで来ていた。中から微かに話し声が聞こえて来ていた。

???:あの酒、全部飲ませたか?

???:あぁ、明日の分も用意できてる。

話終えると、笑い声が響いた。まだ頭がはっきりとしていない柿餅は、その会話の意味を理解できず心に留める事はなかった。


真夏十八日朝 庭

翌日、三人は異なる言い訳を作って龍に挨拶した後、別々に行動して聖教の痕跡を探ろうとした。

庭から出ると、菊酒臘八麺は頭を抑えた、表情も少し変だった。

柿餅:どうしたんだ?表情がおかしいぜ、気分が悪いのか?

臘八麺:頭がくらくらします……昨日飲み過ぎたせいかと……

菊酒:私も、昨日君たちを運んだせいで疲れたのかもしれない。

柿餅:……俺はあんたに投げられたんだぞ!

龍:昨晩出した酒は、村人たちが造った物だ。度数が高いから、まだ酒が抜け切ってないのは当たり前だろう。

龍は彼らの後ろから出てきて、優しそうな笑顔で彼らに向かって説明した。そして彼らにお茶を差し出した。

龍:お茶を飲むと良い、少しは楽になるだろう。

三人は礼を言って湯飲みを受け取った。しかし、龍が笑んでいた事に気づく事はなかった。


第四章-異様

違和感が多い、真実はどこ?


真夏日十八日午後 茗村の隅

臘八麺は薬草を探しに行くと言って、一人で村で聖教の痕跡を探していた。しかし、すぐに道に迷ってしまい、気付けば彼は辺鄙な場所に辿り着いていた。近くのボロ小屋から声が途切れ途切れと聞こえてきていた。

???:誰かいるのか……助けて……誰か……

彼は戸惑いながらその小屋に近づき、扉の鍵を砕いた。乱雑な部屋の中、手足を縛られた洛が必死で叫んでいた。臘八麺が入ってきたのを見て、目を輝かした。

洛:お願い助けて!

臘八麺:洛くん?!

臘八麺が状況を飲み込む前に、小屋の外から足音と話し声が聴こえてきた。

洛:守衛の連中だ!早く逃げなきゃ!

洛は縄で縛られた両手を掲げた。臘八麺はすぐさま意図を汲み、縄を切った。臘八麺が動くより前に、洛は彼を連れて外に駆け出した。

後ろにいた守衛が何か叫んでも、洛は急ぐ足を止めなかった。まるで旋風のように小道を抜けていった。

しかし二人は知らない、遠くで大工のような二人と黒い服を着た男が落ち合っていた事を。

職人:おのれ、あの小僧足が速すぎるだろう!

黒い服を着た男:ちくしょう、どうしてあの二人は一緒に居るんだ?まさかあの白い服の奴も逃すとは。

川によって道が塞がれるまで、二人はずっと走っていた。息を荒くしながら、洛は周りを確認し、焦っている様子だった。

洛:はあ、水、村の水に、毒がある!あ、あの村の村長と、龍の話、信じないで!

臘八麺:えっ……?それはどういう……?

この時村人のような人たちが横を通ろうのなしていた。洛はすぐさましゃがんで川沿いの泥に身をひそめた。

臘八麺は頭を掻いて、意味も分からずその場で立ち尽くしていた。

一方で、村のあちこちを回りたいと言って出た菊酒はとある場所にやってきた。

空は晴れ渡っており、田んぼから人々の作業している声や子どものはしゃいでいる声が聴こえて来た。菊酒は何かを考えながら歩き、ゆったりと木々の合間を縫って行った。

夏真っ盛りだったからか、木々は高くそびえたっており、高い枝によって空は遮られていた。

黄色い服を身に纏った菊酒は木々の合間を歩いていたが、突然歩きの前で立ち止まった、まるで何かを考え込んでいるように。近くの草むらから感じていた視線も落ち着いたようだった。

林の中では葉っぱのサラサラとした音しか聴こえない。草むらに隠れていた人が目線を菊酒のいる木の方に向けた瞬間、そこに立っている筈の菊酒は忽然と姿を消していた。その人は驚いて、慌てて飛び出した。

再び静けさを取り戻した時、黄色い人影は木の上から素早く降りた。菊酒は服についた埃を払って、忽然と林から出てきた。前方に見える川沿いに、見覚えのある人影を見つけた。

菊酒臘八麺……?どうして二人が一緒にいるんだ?

同時にーー

一方の柿餅は、村人から他の情報を得ようとしていた。

彼は市場にやって来た。すぐさま菓子を売っている出店に目を奪われ、緑豆ケーキを食べながら、店主のおばあさんと話し始めた。

柿餅:おばあさん、ちょっと聴きたいんだけど……最近村に変な人は来てないか?

老人:変な人……おぉ、思い出したよ……村長は変な三人来ていると言っていたのお。黄色い服のと……赤い服のと……もう一人は……

柿餅:……ゴホゴホッ、おばあさん、その三人以外、他に変な人を見た事はないか?

老人:知らないのお……

柿餅:……まあいい、おばあさんありがとう!このケーキはうまいな、昔ながらの作り方で作ってるのか?

老人:昔からだよ……この菓子を作ってもう何十年になるのう……

柿餅:じゃあ昔の村は……今と何も変わっていないのか?

老人:昔からだよ……この菓子を作ってもう何十年になるのお……

柿餅:えっ?今それ聞いてないぜ?

柿餅は再び同じ質問を投げかけた、しかし同じ返事しかもらえなかった。

柿餅:(ひょっとして年を取っているから俺の話が聞こえないのか……他の人にも聞いてみよう。)

柿餅:おっす、そこの綺麗なお姉さん、最近村で変な人は見なかったか?

村人:変な人……村長が言っていた人達の事?黄色い服の女の子と……

柿餅:どうして同じ答えばっか返ってくるんだ……村長は村人全員に言ったのか?

村人:知らない、でも村長の話は全部正しい。

柿餅:全部正しい人なんていないだろう……

村人:どうして村長を信じないの?村長の言う事は全部正しい!全部正しい!

柿餅:はいはいはい、全部正しい……

近くにいた村人が突然声を張り上げたため、柿餅は急いでなだめようとした。村人たちの変な様子を見て、疑念が生じた。

疑念を調べるために、引き続き色んな人に話を聞いた。それぞれ答え方に違いはあれど、全員様子はなんだか変だった。

村人たちは自分の過去について、一言しか答えられない、しかもそれを復唱する事しかできない。しかし他の人に対し、村長以外は記憶にないけれど、旧知のように挨拶する事が出来る。

まるで……舞台に上がって、監督の言う通りの演技をしているようだった……

柿餅は考えながら歩いていると、人にぶつかってしまった。

柿餅:おっと!ごめん……大丈夫か!

柿餅:えっ?こんな暑い日にどうして真っ黒な服を着てるんだ?

柿餅:おいーーどうして逃げるんだ!怪我してないか?!

柿餅:……なんだあいつ、怪しすぎだろ。


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ゲーム情報
タイトル FOOD FANTASY フードファンタジー
対応OS
    • iOS
    • リリース日:2018/10/11
    • Android
    • リリース日:2018/10/11
カテゴリ
ゲーム概要 美食擬人化RPG物語+経営シミュレーションゲーム

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