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生姜牛乳プリン・エピソード

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生姜牛乳プリンのエピソード

乙女座の完璧主義者。職業は文化財の修復家、骨董を修復することが好き、最も得意なスキルは古い時計を修復すること。正確さを求める、修復の仕事をしている時は辛抱強く、一意専心になるため、真剣な表情になる。どんなに複雑な時計でも修復できる、むしろ難しいほど興奮する。数か月、数年掛けて研究することが多く、時計が完全復活まで諦めない。

古代の職人の技術の中には膨大な芸術智慧が潜んでいると思っているため、手作りの物を崇拝し、推奨している。


Ⅰ.召喚

三分で何が出来る?


完璧なメイクをするには足りない、複雑な書類は読み終わらない、腹の探り合いをしている商売相手と社交辞令を交わし終える程度。


短すぎる、ビジネスにおいて、三分では何も出来ないように思える。


だけど視点を変えてみると、また違った見方が出来るかもしれない。


道端にあるどのスイーツ屋さんに入っても、店主に生姜牛乳プリンを頼んだら、店主は片手で熱々の水牛乳を持って、もう片手で黄色い生姜汁を持ってあなたの元へやってくるでしょう。


牛乳が素早く生姜汁の中に注ぎ込まれ、それらがどう混ざったのかを確認する前に、器の蓋が閉じられる。


「三分待って!」

店主はこれだけ言い残してその場から立ち去る。


三分後蓋を開けて器の中を見てみると、生姜汁と水牛乳が混ざり合い、固まってプリン状になっている。スプーンをその上に乗せても、沈む事はない。


この時、あなたは時間によって作られたこの美味を頂く事が出来る。


こうしてみると、同じ長さの時間でも、違った利用の仕方をすれば、違った効果が得られる。


この時、あたしの御侍さまはメイクをしながら、手元にまだ読み終えていない書類を置き、街角のスイーツ店に座り、じーっと蓋が取れた器を見ながら、生姜牛乳プリンが完成する瞬間を待っていた。


彼女にとって、これは新鮮な体験だった。


三十数年来、彼女はこんな風に何もせず、ただ静かに素敵な物の誕生を待つだけの三分間を過ごした事はほとんどなかった。


彼女は仕事人間だった、一日四十八時間あれば良いのにといつも思っていた。今日珍しく立ち止まって三分間を過ごせたのは、彼女の向かいに座っていたあいつが監督してくれたおかげだ。


あたしは彼の事を知らない、あたしと同じ食霊である事しかわからない。彼が目を細めて御侍さまを見ている表情はまるで子供を見ているかのようだった。確かに御侍さまは彼の言う事をちゃんと聞いていた。


あいつは御侍さまに何もさせなかった、ただ心を空っぽにして三分待つように言った。


一分目、御侍さまはとても不安がって、いつものように書類を持ち上げて読み込もうとした。しかしその男はゆっくりと目を開いた、それを見た御侍さまは警告を受けたかのように、強制的に書類を下ろした。


二分目、御侍さまはいっその事手を下した、店の外に目を向け、行き来している人々を見ながら、眉間に皺を寄せて何かを観察しているようだった。


三分目、彼女の眉間の皺は徐々に広がり、彼女は一種の放心状態に陥ったように見えた。


三分経った。


「御侍さま、あなたの生姜牛乳プリン出来たよ」


あたしは傍から彼女に声を掛けて、彼女のために蓋を開けた。牛乳の濃い香りが広がる。


「見てご覧。のんびりした事で、収穫があったろう?」


男は頬杖をつきながら、生姜牛乳プリンを御侍さまの目の前に差し出した。


御侍さまはやっと意識が戻り、傍で目を細めてにっこりと笑う男を見てから、そして驚いた顔であたしの方を見た。やっと現れたあたしに気が付いたようだった。


「御侍さま、あたしは生姜牛乳プリン……あたしと一緒にこの瞬間に留まってみない?」


三分間で出来る事は本当にたくさんある。


完璧な生姜牛乳プリンを作ると同時に、もしかしたら……食霊を召喚する事が出来るかもしれない。

Ⅱ.忠告

あたしと一緒にこの瞬間に留まってみない?


これはあたしが考えた渾身の冗談だった。


効果があったかはわからないけれど、あたしが思いつく一番良い言葉だった。


――御侍さまに直接、あたしを見ながらずっと呆けている彼女に、少しアホっぽいですよとは言えなかったから。


御侍さまはあたしの言葉の意味を理解したように、ぼんやりするのをやめて、商売人の八面玲瓏な姿に戻った。


「ご指導ありがとうございます、わかりました」


彼女は男に向かって頷いて、迷わずあたしを連れてそのスイーツ店を離れた。


御侍さまは最後まであたしにその目を細めている男の正体を教えてくれなかった。彼女は、その男はあたしが気にしなくていい、知らなくていい奴だと言った。


彼女がそれを言っていた時、あたしと彼女は南離市という名の都市を離れ、二人だけの旅を始めた。


そうだ、あたしは御侍さまと遊びに出てきたんだ。


彼女は何年も何十年も頑張って働いてきたから、今が自分を労う時だと言った。


あたしたちは色んな所へ行った、たくさんの美しい景色を見た、ある日彼女が道端で昏倒するまで。


あたしはやっと知った、御侍さまは自分が重病を患っていた事を知っていた事を。彼女は自分にはもう時間がないと気付いて、時間と競争したいと思うようになったと。


昏倒して、病状をもう隠せなくなり、彼女は病床で真実を教えてくれた。


彼女のためにこれ以上出来る事はなかった。悪化していく彼女に向かって、南離に戻りたいかとだけ聞いた。

あたしは旅していく内になんとなく知った。人間は落ち葉が根元に帰るように、最期は故郷に戻りたいと思う者なんだと。


しかし御侍さまは頑なにこの提案を拒否した。


「南離市には……私の一生の心血を注いだものがある……私はもう……それらを見たくない……」


聞き間違えたのかと思った、或いは、あたしがまだ人間の言葉を理解しきれていないのかと。


心血注いだなら、どうしてもう見たくないの?


もっときちんと聞きたかったけれど、御侍さまはこれ以上言ってはくれなかった。


こうして最後の時間、彼女の意識がはっきりする時間は段々と少なくなり、眠っている時間の方がどんどん長くなっていった。


彼女が最後に目を覚ました時、あたしにこんな事を話してくれた。


「私は自分が時間を掌握したのかと思っていた。だけど命が終わる時、私は気付いた。時間が私を掌握していたんだと」

「こんなに必死で働いてきて、時間は違う妖怪に綺麗に飲み込まれていたのに、自覚がなかったなんて、笑える」

生姜牛乳プリン、時間を掌握する方法を探して……探し当てたら、もう邪魔されないようにして」


三分で何ができる?


人一人が一生の忠告を話すのに十分だ。


Ⅲ.獲物

どうすれば時間を掌握出来るの?


御侍さまが残した課題は難しかった。


あたしと御侍さまが過ごした一年を振り返ってみると、あたしは自分はきちんと時間を守っていると思っていたが、御侍さまは不満を持っていたようだった。


彼女は、あたしはまるでかつての彼女みたいに時間と行動に対して並外れた制御欲がある、と言っていた。


「しかし、時間は砂のようで、掴みたければ掴みたいほど流れて行ってしまう」


あたしには理解できなかった――彼女が三十数年掛けて理解した事を、生まれたばかりのあたしがわかる訳がなかった。


だけど、あたしは御侍さまがどうしてこの結論に至ったのかを知りたかった。


だから、あたしは大胆な事を決めた――南離市に戻る。


あたしは本当に知りたかったのだ。どうして御侍さまは帰りたくなかったのか、自分が心血注いだ地を離れたかったのか。


しかし思ってもいなかった事が起きた。南離市に戻ると、御侍さまの家には誰かが座っていた。


あの日スイーツ店にいた奴ではなかった、しかしこいつの体からは御侍さまと同じ雰囲気を感じた――商売人だ。


「こんにちは、貴方が南子(みなみこ)の食霊ですね?不才は明四喜(めいしき)です、南離印館から来ました。こちらは不才の名刺です」


「どうやって入ってきたの?」


あたしは彼の名刺を受け取らなかった、彼を警戒して見ていた。


明四喜は名刺を机の上に置いて、お茶を淹れ始めた。


「長旅から帰って来て、きっと疲れたでしょう。まずお茶を飲んで休んでください」

「……」

「どうしたんですか?貴方の御侍が南離市で何をしていたのか、何があったのかを調べに来たんじゃないんですか?」


警戒しているあたしを見て、明四喜は仕方なく口を開いて、傍の席を指さした。そこには見覚えのある分厚い書類が置いてあった。


――スイーツ店で見た物だ。あの目を細めていた男が御侍さまが読み進めるのを阻止していた。


「彼女はきっと貴方に南離印館の事を教えていないでしょう……物は全て持ってきました。知りたければどうぞ読んでください」


一体何が書かれているんだ?


確かにあたしの好奇心を刺激した。


あたしは彼の元まで歩き、書類を持ち上げた。開こうとした時、机に置いたお茶が見えた。


お茶は淹れたてで、茶葉が広がっていた。


あたしの心の中でガタッと音がした。


三分間で何が出来る?


――お茶を淹れて、獲物が来るのを待っている。


Ⅳ.決定

「つまり、あたしが新たな獲物なの?」


あたしはその書類を投げ捨て、冷たく明四喜に問い質した。


「南子(みなみこ)と貴方は不才と同じ南離族の者です。そう思ったりはしませんよ。彼女が亡くなった今、不才は貴方を連れて帰る義務があります。南離族は貴方の面倒を見る事が出来ます」


明四喜は誠実そうな表情を浮かべていた。もしこの資料を読まなければ、彼の言葉を信じていたかもしれない。


「不才の事を信じられないのですか?貴方を騙そうとしているのなら、どうしてその資料を貴方に見せたのでしょう?隠すか、新たな嘘を作る事も出来た、でしょう?」


そうだ……そこがわからない。


その資料は御侍さまの身の上についての調査報告書だった。


御侍さまが幼い頃にご両親が事故で亡くなり、彼女は南離市の孤児院に住んでいた。賢かったため、すぐに引き取られる事になった。


彼女を引き取ったのは南離市で重要な地位にいた家族――南離族だった。


一説によると、南離族は光耀大陸の朱雀神君の家族であるそう。彼らの一族は人数こそ少ないが、神秘的で強い力を持っていて、管理している南離印館は光耀大陸で最大の文化財機構であった。


今、南離市では、至る所に南離族の勢力が広がっている。


明四喜こそ南離印館の副館長であり、孤児院から御侍さまを引き取った張本人でもあった。


彼が御侍さまを育て、彼女に最高の教育を施し、自ら彼女に商売を教えた。


すぐに、天賦の才があった御侍さまは一人前になった。


彼女は人間として、南離市で事業を拡げ、多くの優秀な産業を発展させた。彼女の背後に南離印館がある事、彼女がしてきた事全ては南離印館のためである事を、誰も知らなかった。


御侍さまは明四喜の育ての恩を返すため、南離印館で十数年奮闘してきた。不調を感じて病院で検査した時、不治の病を患った事に気付く一年前までは。


その時彼女は決心した、命が終わる前に最後の願いを叶えようと――実の両親を探す事。


しかし、思いもしなかった事に、彼女が依頼した探偵社が持ってきた調査報告書には、彼女の両親は不審な火災で亡くなった事が書かれていた。そして、御侍さまは報告書に書いてあった様々な証拠を通して、その火災には南離族が関わっている事に気付いた。


――仇を父として数十年見て来た事に気付いたため、御侍さまは自分が心血注いで築き上げた全てがあるこの都市に戻りたくなかったのだ。


「信じるかどうかはともかく、貴方に言っておかなければなりません。南離族は初めから、南子に何をするよう強制した事は一度もありません。我々が彼女を引き取ったのは、確かに南離族には人材が必要だったからです。しかし、そのような卑劣な手段で彼女の両親を陥れる必要はありません」


「最期の時間を使って南離族を疑う事を選び、南離族と決別した事が不才は悲しいです」


「もし貴方が戻って来てくれるなら――」

「もしあたしを南離印館に行かせて、彼女みたいにあなたたちの商売の手伝いをさせようとしているなら、それは間違ってる。あたしはそういう事については何も分からないし、御侍さまは何も教えてくれなかった、時間の無駄だわ」


あたしは明四喜の言葉を遮った。


彼は少し固まって、悩む様子は見せずにただ微笑んだ。


「そんな事を考えた事はありませんよ。貴方の手を借りる程、南離族の商売は困ってはいません。とにかく――」


彼は名刺をあたしの方に向かって押してきた。


「南離印館は永遠に貴方の家です。南離族は永遠に貴方の家族です。これが住所です、南離市は一応旅行の名所なので、帰って来なくとも、見学だけでもすると良いでしょう。南子が幼い頃住んでいた場所を見てみるのも悪くないでしょう」


明四喜は出ていった。


あたしは机に置いた名刺を見て、少しだけボーっとしていた。


南離印館……


今回、三分だけで、決める事は出来るのだろうか?


Ⅴ.生姜牛乳プリン

正午、生姜牛乳プリンは観光客の列に交じって少しずつ前に進んでいた。


予想はしていたが、まさか南離印館を訪れる観光客がこんなにもいるとは彼女も思っていなかった。


その日明四喜が出ていったあと、彼女は調査報告書を何回も読み直した。


明四喜にどれだけ説得されても、彼女は最終的に御侍の判断を信じる事にした。


南離族の元に戻る事はありえない。しかし彼女はやはり御侍が生活していた場所を見てみたかった。


ここは南離印館と呼ばれているが、ここに収蔵されているのは金石や御璽(ぎょじ)だけではなかった。


実際には、様々な展示物を収蔵している博物院のような場所だった。


一説によると、ここはかつて朱雀神君の宮殿だったそう。そして南離族は先祖代々ここに住んでいる。最初は印館だけを民衆に開放していたが、徐々により多くの区域を解放し、今のような大規模な博物院となった。


ただこの印館は博物院の中で最も有名な場所であるため、訪れる観光客も最も多い。


生姜牛乳プリンは懐中時計を一目見て、また前方の列を見た。少し気持ちが焦っていた。


陽ざしが暑く、入ってからまたどのぐらい並ぶかわからない。


一番人気な印館の列に並ばなければ良かった。


彼女がイライラしている内に、突然耳元に金石の音が鳴り響いた。


生姜牛乳プリンは辺りを見回してみたが、周囲の観光客は騒がしいまま、誰もその音に気付いていなかった。


彼女はその音に惹かれて、列を離れてその音の鳴る方へと向かった。


知らず知らずの内に、辺鄙な角にまでたどり着いた時、音が止んだ。


生姜牛乳プリンが顔を上げると、看板には――「時計館」と書かれていた。


彼女は深く考えず、扉を開けて中に入った。


中に入ると、彼女に背を向け誰かが座って、俯いて綺麗な古い時計を弄っていた。彼女の物音を聞いて顔を上げる素振りはなかった。


「見学かな?一歩遅かったようだ。この古時計は気立てが悪いんだ。十数年に一回しか鳴らない。次鳴るのはいつになるのやら」


その人の声は聴き覚えがある様に感じたが、彼女はそれを気にするより先に、彼の言葉に惹かれた。


「……気立てが悪い?時計が?」

「そうだ。おかしいか?」

「おかしくないの?」

「当然、壊れているからな。ハハッ――」

「……」


生姜牛乳プリンは黙った。彼女は自分よりも寒い冗談を言う者を見つけてしまったようだったが、その話題には興味が湧いた。


「壊れているなら、どうして直さないの?」

「古時計の修繕には高い技術力がいる。普通の人間の職人は一生に一台の時計しか直せないかもしれない。一か所を直せたとしても、別の箇所がまた壊れるかもしれない。ベテランの職人がようやく熟練の技を身につけたとしても、完璧に修繕する前に亡くなるかもしれない……なので、これは時間と時間を奪い合う仕事だ、辛抱強くないと出来ない」


「時間と時間を奪い合う……」


生姜牛乳プリンの心が動いた、御侍さまから同じ話を聞いた事を思い出した。


「どうしたんだお嬢さん、興味があるようだな?食霊の弟子は大歓迎だ、住み込み食事付きで学費はタダ」

「……あなただったのか」

「こんにちは、私は京醤肉糸(じんじゃんろーす)、会うのは二度目になるね」

「……あなたも南離族の者だったのか」

「お嬢さんは賢いな、私こそが南離族の族長だ」


生姜牛乳プリンは警戒しながら相手を見ていた。


「族長?ならさっきの時計の音は……待って、あたしを呼び寄せたのは、あなたもあたしに南離族に入って欲しいって思ってるの?」


「いや、神秘的で意味のない虚名なんかより、私は貴方には普通の人になって欲しい」

「普通の人?」

「例えば民族の文化や芸術の伝承を担ってくれる、今最も欲しい人材……南離印館の館長とか」

「……どこが普通なの!?」


どうやら、生姜牛乳プリンとこの神秘的な博物館の縁は、続いていくようだ。


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ゲーム情報
タイトル FOOD FANTASY フードファンタジー
対応OS
    • iOS
    • リリース日:2018/10/11
    • Android
    • リリース日:2018/10/11
カテゴリ
ゲーム概要 美食擬人化RPG物語+経営シミュレーションゲーム

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