失われた雀羽・ストーリー・サブ・四亭廊
四亭廊
逃げ惑う
悪い反対勢力よりバカな反対勢力が怖い
秋山
地下宮殿
乱れた足取りに起こされた埃の中を、あわただしい黒衣達が息を切らして走っていた。誰かが誰かに足を踏まれたので、彼らは一人ずつ地面に落ちて、雪だるまを転がすように倒れた。
黒服のリーダー:誰が俺様の足を踏んだんだ!!逃げることすらできない!ここはどこだ?!
黒服の人:だ、旦那、ここは暗すぎて何も見えない。俺たちも分からない……
黒服のリーダー:見えないなら手で触れ!
黒服の人:はい……お前たち早く触りに行け!
リーダーの指示に従って、他の人達は暗い奥の地下宮殿を模索し始めた。
黒服の人:うわここは人がいる!
黒服のリーダー:あれは青銅の兵士だ!
黒服の人:道が多すぎる……旦那、え、選んでくれません?
重要な分かれ道に面して、リーダーは躊躇なく真ん中の道を選んだ。そして全員が選ばれた道に踏み込んだ。
長い、静かな小道の果ては広い部屋だった。トーテムが彫られた柱、整然とした彫像。地上の祭壇とほとんど変わらない。
黒服のリーダー:もう一つの祭壇???
黒服の人:旦那旦那、この彫像の目玉動いてますよ!!!
黒服のリーダー:馬鹿者!!!触るな!!!
黒服の人:あああ――!!かか体も動き始めた!!!
黒服の人:ほほ他の彫像も動いた!!
黒服のリーダー:早く逃げろ!!!
何かの仕掛けが触発されたようだ。石壁が振動し始め、大小の砕石がボロボロと割れ、地面が揺れて四方に広がった。
黒服達は先を争って外に逃げる。その時、どこからか獣の叫びが響いた。彼らはひとしきり鳥肌が立った。
対岸の火事
上位者の余裕
秋山
古い陵墓
微細に密集した光の点がまだ光耀大陸の地図に点滅している。明四喜は神力を集中して一つ一つの箇所をチェックしている。急に彼は気づいた、ある一箇所の光がとても明るく、周りの光の中に隠れていることを。
明四喜:ここは……
明四喜はもう少し見続けようとした時、画面は急に不安定になってきた。少し明滅すると消えてしまった。
次の一秒後、地面が震えてきた。砕石が上から落ちて地面に当たって、落石音が響いた。
明四喜:誰かが法陣の急所に何かをしたみたいですね……
大地は絶えず揺れ始めた。落石は怒号を上げた。高く舞い上がったほこりが道の中で舞う。しかしどんなに大きな石も明四喜に近づく事ができない。
彼は相変わらず穏やかな姿勢で、ゆっくりとこの崩れかかっている道から消えた。
戻った明四喜は袖を払う。遠くでジワジワと鳴る音が彼の注意を引いた。
黒服のリーダー:馬鹿者!なぜあの機関に触ったんだ!俺たちを生き埋めにするつもりか??!!死ね!!
黒服の人:すみません、本当にわざとじゃないから……
黒服のリーダー:死ねよ!
黒服の人:本当にすみません――!!!殴らないで!!
明四喜:なるほど、この者達のせいか。
黒い影が遠い所へ走って行く。周りの振動はまだ続いているが、明四喜は茶番劇を鑑賞するように、気持ち良く眉を上げて、彼らを見ている。
援軍
間に合った!
秋山
山道
辣子鶏たちは石道を歩いている。前方には寂しく荒れ果てた山荘がある。
マオシュエワン:……目的地はこんな幽霊屋敷みたいな場所か?城主様、間違いないのか???
辣子鶏:他の人はお前程頭を使わない奴ばかりじゃない。
冰粉:城主様、気を付けてください。あの建物は……確かに怪しいです。
マオシュエワン:ん?普通の山じゃない?
ごろごろ――――
がたがた――――
マオシュエワン:地面が動いた???!!!
モフモフ鳥:ううう……何事だ?五月蠅すぎる――俺様の眠りを邪魔するのは誰だ?!うう!堕神の匂い!臭すぎる!!
辣子鶏:……堕神の気配?
冰粉:…………やはり地府からの情報は間違いない。
マオシュエワン:じゃあ早く行こうぜ!
冰粉:ええ、他の人を巻き込まないようにしてください。
ドンドンドン――バン――!!!
マオシュエワン:この坂のせいで、命中率が低い!!
辣子鶏:クソマオ・シュエ・ワン、お前の雷火弾で山を爆発させるな!!!!!!!
埋葬
さよなら……
地下宮殿
祭壇
蟹醸橙:うっうっ鏡ちゃん本当に消えた……
広い祭壇に蟹醸橙の泣き声が響いている。他の人は全員沈黙に落ちた。彫花蜜煎も何も言えず、地面に残された瑠璃色の鏡の欠片を拾い集める。
彫花蜜煎:一緒に彼を……埋葬しよう……
鏡の欠片を握る彫花蜜煎の声はしわがれている。蟹醸橙は涙を拭いて鼻水を強く吸った。
蟹醸橙:うん……きれいな墓を作ろう……
細心の注意を払って鏡の欠片を集めた。そして綺麗な場所を墓に選んだ。隣の京醤肉糸は彼らを見ると、思わずため息をついた。
彫花蜜煎:ここにしよう……
蟹醸橙:うん……掘るのは僕に任せて。
蟹醸橙は足元の石で真面目に穴を掘り始めた。その時、一人の姿が静かに彼と一緒にしゃがみ、黙って穴を掘り始めた。
ヤンシェズ:こうすればすぐ終わる。
しばらくして、祭壇の隣に一つの小さな墓が完成した。京醤肉糸は一輪の白い花を墓の前に捧げると、蟹醸橙と彫花蜜煎の頭を撫でた。
京醤肉糸:鏡ちゃんもこんな悲しい顔の貴方達を見たくないだろう。
彫花蜜煎:うん……
蟹醸橙:わかってる……
渡りに船
逆手にとる
南離印館
書斎
松の実酒:本当に式典のことを明四喜に頼むのですか?もう神物を手に入れたのだから、そんなご自分に不利益なことをする必要はありません。
京醤肉糸:情報を受け取ったのだ、礼をするのは当然だ。
松の実酒:今回、彼一人の力で成功したことではないでしょうに。
松の実酒:あの男に任せたら、危険な事が生じるかもしれません。
京醤肉糸:彼が式典の開催を妨害するのではないかと心配しているだけだろう。
京醤肉糸:うん、でも確かに、彼ならきっと何かするだろう――
松の実酒:?!
京醤肉糸:しかし、こうしなければ、彼が欲しいものが何かを知ることはできない。
松の実酒:この式典に乗じて……彼の目的を探るという意味ですか?
京醤肉糸:言うは易く、行うは難し、だな。
松の実酒:彼の考えを探るのは確かに易しいことではありません……
京醤肉糸:しかし、彼は自分に自信の無いことはしないと私は信じている。
京醤肉糸:今回の式典は盛大故、外国からの来賓も来る。全て権力を彼に譲ったら――良い茶番が見れるかもしれない。
松の実酒:……待って下さい……
松の実酒:もしかして貴方は……式典の煩雑な事をしたくないから、この機会に乗じて逃げているだけでは?!
京醤肉糸:――今さら気づいたか~
松の実酒:…………
京醤肉糸:おやぁ、怒りは肝臓に良くないぞ。
修復
修復作業
地下宮殿
祭壇
京醤肉糸たちが去った後、辣子鶏はもう廃墟になった祭壇を見つめて、目を伏せた。
辣子鶏:誰だ?早く出てこい。
猫耳麺:じょ、城主様、私です。
冰粉:猫耳ちゃん、どうしてここに来たのですか?
辣子鶏:また高麗人参の指示だろう。アイツ他の人に指示を与えるばかりで何もしない。猫耳ちゃんよ、機関城に引っ越して来ないか?毎日飴をやるよ!
冰粉:城主様、飴を沢山食べたら体に悪いです、あまり食べないでください。
猫耳麺:人参様は私をこき使っていません。私は、私は自ら人参様のために言伝に参りました!
猫耳麺:あの……人参様も毎日たくさん飴を食べるのはダメだと言っていたことがあります。でもご好意ありがとうございます。
辣子鶏:ふん、年寄りじみた態度だ。まあいい、まずは仕事をしよう。
光は祭壇を囲み、複雑な図になった。しばらくして、大きな法陣の全貌は諸人の前に現れた。ただしその光はあまりにも暗く弱弱しく、図も一部欠いていた。
現場の全員は何も言わず、自分の力をこの不完全な法陣に注ぎ込む。
霊力を得たお陰で、法陣はますます満ち溢れてきた。そして光はさっきより明るくなり、図の欠けた部分も還元された。
絶えざる力は法陣に注ぎ込まれた。放たれた光は空を照らし出して虹が出た。ここで、全員はやっと手を降ろし、霊力を注ぎ込むのを止めた。
猫耳麺:ふぅ……皆さん、ありがとうございます!法陣の修復作業は成功しました。
辣子鶏:猫耳ちゃん、アイツにしばらく心配する必要はないと伝えておいてくれ。
猫耳麺:かしこまりました!
秘密
隠されていた情報は……
南離印館
蔵書閣
明四喜がゆったりと並んでいる巨大な本棚を歩き、遂には一列の書棚の前で止まった。本棚の上には「史書」という二文字が彫られていた。
彼は中の本を一冊一冊チェックする。そして最後に、視線はある箇所に止まった。
夕陽が降り注ぐに至って、ようやく重厚な書物を閉じた。がっかりして顔をしかめた。
明四喜:あの王朝に関する記録が……少なすぎる……
明四喜:ふふ、面白い……
明四喜:もし私の推測が間違っていなかったら……
明四喜:ふふ……
明四喜は本を元の場所に返した。そして急に何かを思い出した様子だった。
明四喜:忘れそうになりました。もう一人重要な客がいました。まだ正式に会っていませんでしたね。
明四喜:聖教……
明四喜は声をひそめて言った。眉を広げた顔は、まるで別人のようにすっきりしていた。
追及
霧が晴れるまで……
南離印館
内室
羊方蔵魚はなじみの部屋のドアを押し開けて、手をこすり合わせて、顔に光り輝く笑顔をほころばせている。
羊方蔵魚:明四喜様、今日わざわざ俺を呼んでくれたのは、きっと何かご用があるんでしょう?
明四喜:良い笑顔ですね、また良い商売ができたのですか?
羊方蔵魚:あら、この羊方蔵魚にとって明四喜様が最も良い商売相手……、ああいいえ、明四喜様の言いつけが最も重要なことです!
明四喜:少しばかり、とある組織のことを調査して欲しいのです、報酬はいつも通り。
羊方蔵魚:はい!任せて下さい、毎日何を食べているかまで調査してみせましょう!しかし一体どんな組織のことを知りたいのですか?
明四喜:聖教。
羊方蔵魚:その名前……どこかで聞いたことがある、数日時間を頂ければ必ず任務を遂行します!
羊方蔵魚:でも……その聖教は良い組織じゃないらしいです、明四喜様も気を付けてください。
明四喜:彼らは次のお客様だ。
羊方蔵魚:なるほど、明四喜様がそう言うなら何も問題ないっすね。
明四喜:そして、次これから商売をする時は、あの隠された時代のものに気を付けてください。
羊方蔵魚:……あの時代……どうして……あのことを知ってるんですか……そ……それはあまり良いことじゃないですよ!
羊方蔵魚:……まあ良いです、明四喜様がこの価格を出せる限り、……いいえ、明四喜様が必要なものがあるならば、俺は必ず完遂して見せますぜ~へへ~
慰労
主従間の付き合い方
南離印館
内室
紫の影はスッと屋上から飛び降りると中に入った。
明四喜:帰りましたか?ご苦労様でした、ゆっくり休みなさい。
ヤンシェズ:申し訳ございません……あの法陣について、価値ある情報が手に入りませんでした。
ヤンシェズ:ただ……変な黒い服の人たちがいました……
明四喜:それはもうわかっていました、別に貴方のせいじゃない、もう十分頑張ってくれましたよ。
明四喜は頭を下げるヤンシェズを見る。目つきは正確に何かを捉えていた。そして思わずため息を吐いてから、首を横に振る。
明四喜:ここで少し待ってなさい。
ヤンシェズ:はい。
ヤンシェズは明四喜の話を聞くと、小さく見上げた。相手の指示に疑問はあったが、依然として静かにその場で待っている。
明四喜は奥の屏風の後ろに行くと、また何本かの小さな薬瓶を持って後ろから出てきた。
明四喜:これを受け取りなさい、貴方の怪我に効く良い物ですから。
明四喜:何です?薬を塗って欲しいのですか?
明四喜:堕神と戦った時に、酷い怪我をしたでしょう。少し観察すればわかるものですよ。
ヤンシェズは前方からの視線に気づいた。彼は少し恥ずかしそうに自分の体を見ると、また唇をきつくしめた。次の一秒後、明四喜の笑い声が聞こえた。手のひらに冷たい器の感触がした。
明四喜:だからゆっくり休んで下さい。
ヤンシェズ:ゴホ……ありがとうございます……
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