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竹飯・エピソード

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竹飯のエピソード

独居青年。林の中で生活し、動物と共に過ごしている。狩りが好きで、野獣を飼いならしているが、屠殺することも得意である。性格は爽やかで、人に遭遇すると興奮する。独占欲が比較的強く、友人に自分より仲良しな人ができてしまうと嫉妬して癇癪を起してしまう。



Ⅰ 保護


キィィィ――


凄まじい叫び声がジャングルにこどました。


体にナタを刺された堕神は俺様の目の前で叫びながら消えていった。


ここはジャングルの境界地、俺様の警戒ラインでもある。なぜならここからほど近い場所に俺様の守る竹林があるから。


俺様がナタを拾い上げ、家に帰ろうとしてちょっとバランスを崩した時、チュウチュウという鳴き声が聞こえた。


「あれ?太郎と次郎か?」頭を下げると、やはり俺様の足元には仲良しのタケネズミ2匹がいた。


腰をかがめて2匹の頭をなでてやった。


「オメェたち何しに来たんだ?」


「チュチュチュ――」


2匹は急かすように低い声で鳴き、俺様だけが理解できるやり方で意思を伝えた。


ジャングルに来ちゃいけねえ輩がまたやってきたらしい。




「どっか行け!行かなきゃ、ぶっ殺すぞ!」


俺様は大きな岩の上に立ち、凶悪なそぶりでナタを振り回しながら目の前の人間に向かって大声で叫んだ。


「逃げろ!」


「くそっ、あいつ殺す気か?!」


「食霊は人間を襲わないんじゃなかったっけ?あれってウソなのかよ!」


やつらは叫びながら、あわてふためいて山を駆け下りていった。


口では殺すと叫び続けていたものの、俺様に本気で追いかけるつもりはなかった。


殺さなきゃならないのは堕神だけだ。あんなケチな密猟者は追っ払うだけで十分だ。


遠ざかっていくやつらを背中に見ながら、なぜか突然、あの女のことを思い出した。


あいつは特別な女だった。


思い出とともに頭の中に2つの顔が浮かび上がった。同じような顔だが表情は正反対だ。


それぞれが思慮深い言い方、そして怒りに満ちた言い方をする。今となっては俺様も理解できない言葉を吐くんだ。


「竹林は生きている。動物たちも生きている。それを感じなくちゃ。」


「お前たちは現れるべきではなかった。堕神と同じく死すべき存在なのよ」


うずき始めた頭を一振りし、俺様は岩から飛び降りて家に向かった。


厄介な問題を考えるのは俺様には向いていない。


難しいことを考えるより、殴り合いの方が簡単だ。



Ⅱ 救援



「チュチュチュ――」


太郎と次郎の騒々しい鳴き声が俺様を夢から叩き起こした。


「……うるせえなあ……何だよ一体」俺様は目をこすりながら、ぶつくさと不満をこぼした。


「チュチュチュ!!」


俺様の文句を聞いて2匹は声を落とすどころか、いっそう張り上げた。


「黒い霧だと?!」話を聞いた瞬間、俺様は覚醒し、ベッドから跳ね起きて服をつかみ、2匹とともに外へ飛び出した。


途中、複雑な感情に見舞われた。


心の中には緊張だけでなく、別の気持ちも混じっていた。




目的地に到着すると、俺様は足を止め、眉間にしわを寄せて眼の前の竹林を凝視した。


ここに来るまでに通った場所とは異なり、竹林には黒い霧が立ち込めていた。


青々としていた竹は灰色に変わり、しおれて今にも倒れそうで、見る者を不安にさせた。


「疫病か……」記憶に深く刻まれたその言葉が俺様の口から漏れた。


俺様は躊躇することなく灰色にすくんだ竹林の中へ飛び込んだ。


「ひでえことをするのは誰だ!出てこい!」


ナタを振り回して一帯の竹を切り倒し、周りを見回したが、しおれた竹林以外に何も異常は見当たらなかった。


続けて黒い霧に覆われた竹林を数ヶ所切り開いてみたが、やっぱり状況は同じだった。


黒い霧はさらに広がり続けていた。


これでは太刀打ちできない。今最も重要なのは黒い霧の蔓延を食い止めることだ。


そう思った瞬間、俺様は身を翻し、竹林の別の方向へ向かって駆け出した。


そこにこの問題を解決できるやつがいる。




徐々に竹がまばらになり、俺様はスピードを落とした。


最後の竹を通り過ぎると、眼の前に1棟の美しい家が現れた。


その高い場所には「竹煙質店」と記された一枚の扁額が掲げてあった。


酸梅湯!」


俺様は玄関のドアを力いっぱい叩き、そいつの名を大声で叫んだ。


「お静かに」


眼鏡をかけた白髪の青年が窓から顔を出した。

眉間にしわを寄せ、俺様に向かって「黙れ」というジェスチャーを見せている。


「すぐに参ります。そんなに大声を出す必要はありません」



Ⅲ 旧友

酸梅湯を引っ張って走りながら、俺様はやつに事情を説明してやった。


「この前と同じ?」酸梅湯は難しい顔をして眼鏡を少し押した。


「そうだ……」この問い返しを聞き、なぜか俺様の声は急に低くなった。「この前と同じ……」


ああ……この前と同じだ。


周りの景色が次第にぼやけ、俺様はいつのまにか記憶をたどっていた。





「おい!早く下りてこい、大丈夫だ!」山林の中で、俺様は顔を上げ、高くそびえる大木に向かってどなった。


大木のてっぺんには1人の人間がいる。


彼女は堕神に追いかけられて上ったのだ。


俺様はこれまでに、堕神を前にしてこんなに冷静で機敏に逃げる人間を見たことがなかった。


食霊本来の義務と、好奇心から、彼女を追いかける堕神を処理してやったのだ。


「あなた……食霊?」そいつは上から俺様を見てさんざん迷ったあげく、やっとこわごわ下りてきた。


「そうだ!俺様は竹飯、お前は?」俺様は興奮して彼女の手を握り、力を込めて上下に振った。


「……私は安南。」女は俺様の情熱にびっくりして、眉をしかめて後ずさった。「動植物学者なの。」


「それって、何?」


「……」




俺様と安南はすぐに親しくなった。彼女から、俺様はいろんなことを教わった。


たとえば安南のもう1つの肩書きである冒険家、あの言いにくい肩書きよりもこっちの方がいい。言いやすいし、かっこいい。


安南は自然に詳しく、動物を愛している。彼女は光耀大陸のすべてを歩き回り、動植物記を書こうとしている。


堕神に追いかけられることなんか、彼女にとっては珍しいことではないそうだ。


彼女のところにいると、これまで気にとめなかったものをたくさん見ることができた。


毎日触れて、すっかり慣れきった自然の中に、こんなにもたくさんの秘密があったのだ。




これ以外にも、安南は俺様に人間についてたくさんのことを話してくれた。


元々俺様は動物に比べると、人間についてよく知らない。唯一よく見かけるのは、大きなリュックを背負って手に武器をもったやつらで、俺様が注意していないときに山に入って獲物を捕まえたり、竹を切って盗んだりしている。


安南は、そういう人を密猟者、あるいは商人というのだと言った。


「密猟者って何だ?」安南についてジャングルを探索したとき、このことを聞いてみた。


「動物を捕まえて、売るのよ。」安南は俺様の目の前で軽々と大きな熊の首に上り、ナイフで肉に切りつけた。何回か呼吸してその動物は悲しい鳴き声を上げて倒れた。その後、彼女は淡々と俺様の質問にこう答えた。


俺様だって熊を抑えられるし、馴らすこともできるが、俺様が頼るのは食霊としての力だ。


安南は?彼女は人間にすぎない。


長く一緒にいると、彼女の言うことすべてにどんどん好奇心が沸いてきた。


「お前が今やってることと何が違うんだ?」

俺様は歩み寄って獣の解剖を手伝いながら、ぼんやりと聞いた。


なぜかわからないが、他の人間から受ける感覚と違い、安南の狩猟を否定できなかった。

それどころか、俺様がずっと大切にしてきた竹を彼女が切ろうとしても、ダメだとは思わなかった。


もしたくさん切るのでなければ。


「貪欲と知識欲、節度と無節制の違いね。」

安南はまったく手を止めず、顔を上げずに言った。


「……わかんねえ。」


「とにかく手伝って。」


「おお……」





安南と一緒にいるのは楽しかった。俺様には理解できない言葉をいつも言ってたけど。


俺様はこの楽しさがずっと続いていくものと思っていた。


Ⅳ 物語

竹林は俺様が、家と同じようにずっと大切にしてきた場所だ。


それを守るのは、俺様の本能だ。


俺様は竹林をのぞくやつらをやっつけてきた。ぶらぶらしている堕神とか、竹をほしがっている人間とか。


俺様に十分な実力がありさえすれば、竹林は安全だと思っていた。


しかし、俺様には解決できない問題が起こった。


竹林が汚染されたのだ。


それは奇妙な堕神で、そいつが放った黒い霧が竹林を枯れさせ、そいつを倒しても何の役にも立たなかった。


俺様は無意識に安南を思った。あんなに自然を知っている安南なら、何か方法を知っているに違いない。







「私にはどうしようもないわ。」安南はどこから持ってきたのかマスクをし、俺様と一緒に黒い霧の中に立つと、表情が暗くなった。


「どうしてできないんだ、お前、動植物学者だろう?」目の前の状況に刺激を受けて焦り、俺様の言葉には怒りがこもった。


「……普通の植物の病気なら、もちろん治せる。でもこれは私が今まで出逢ったのとまったく状況が違う。」安南はじっと俺様を見つめ、「私の知る限り、竹をこんなに早く枯れさせる病気はないわ。」


「じゃあどうしようもないのか?」両手の拳を握ったりゆるめたりしながら、俺様はいらいらと歩き回った。


「やってみてもいいけど、保証はできない。」安南はリュックを下ろし、研究の姿勢を取ると、声を押し殺した。


「……早くやってくれ。」




時間はどんどん流れたが、安南の研究には成果はなかった。


「できるのか、できないのか。」何度目の催促だったか、枯れる竹が増えるのを見て、俺様は感情を抑えられなくなっていた。


しかし意外にも、安南の反応は、俺様よりもはるかに激しかった。


「黙ってて!」安南は突然立ち上がり、突然驚くべき怒りを爆発させた。


「……」俺様は一瞬フリーズし、口を開けたまま言葉が出なかった。


「あなたたちの存在が、竹林をこんなにしていることがわからないの?」


「自然は調和して動いているのを知らないの、植物の病気は、たとえ発生しても自然のシステムが修復できるのよ?」


「私が竹を救おうとしていないとでも思ってるの?堕神の存在でこんなになったのに、1人の人間がどうやって解決できるの?」


「あなたに責任がないと思ってるの?あなたたち食霊と堕神に違いなどない、どちらも存在すべきじゃないこと、わからないの!?」


「……」


安南に叱責されてぼんやりした。俺様にはほとんど何を言っているかわからなかったが、堕神と違いがない、存在すべきでないという二言ははっきり聞き取れた。


よくわかった、そしてよく……わからなかった。


その瞬間、俺様は彼女との距離が遠くなったように感じた。


いや……実はずっと近づいてなどいなかったのだ。


空気が硬直していった。


これを最後に打ち破ったのは、声を聞いてかけつけた酸梅湯だった。


この竹林には俺様以外に、何人かの人が住んでいる――竹煙質店、彼らも竹林の異常に気づいた。


酸梅湯は事のいきさつを知り、思い切って安南に一緒に研究してほしいと頼んだ。安南はさきほどの不愉快さを捨てて、研究に没頭した。


彼女にとって、この竹林こそがもっと大切なものなのかもしれない。


酸梅湯が加わり、異なる身分の知識人2人が協力すると意外にも効果が上がった。一方が霊力からのサポートと知識を、一方が植物学の知識を提供し、問題はすぐに解決した。


酸梅湯はほっと息をつき、安南も笑顔を見せた。


俺様だけが、少しも楽しくなかった。





竹飯……竹飯!」


聞き慣れた声が俺様を回想から呼び起こした。酸梅湯が俺様の前に立ち、しょうがないという顔をしている。


「何をぼんやりしているのですか、問題は解決しました。普通の病気です、次はそんなに緊張しなくても大丈夫……」


「解決……した?」周りを見渡して、俺様はやっと、酸梅湯の処理のおかげで竹林が正常に戻ったことに気づいた。


「ええ解決しました、次は大騒ぎしないでくださいね……」酸梅湯の話は続いていたが、俺様はもう聞く気はなかった。


俺様は難しいことを考えるのが苦手だ。でもこの時突然、もう一度安南に会いたい、彼女のあの難しい話を聞きたいと思った。


Ⅴ 竹飯

光耀大陸は広大で、美しい景色が無数にある。


ある桃林の中に隠れた桃源郷、あるいは連なる山間の竹林。


「兄さん兄さん!」


竹林に澄んだ声が響き、竹の枝で休んでいた鳥を驚かした。


頭に布を巻き、口に焼餅をくわえた少年が竹林を走り回り、時々周りを見回して、何かを探しているようだ。


「いるよ!」それに応えたのは、野性味あふれる大声だった。


緑色の髪をした青年がなたを持ち、空から下りてきた。


「お前、来たのか。」地面に下りると、青年はなたをしまい、少年の肩を抱くと、大股に前へ歩いて行った。


「これは旦那の言いつけよりも多いんじゃないかな」少年は焼餅を飲み込み、もごもごと答えた。「用事を済ましてから来たんだ、兄さん責めないでくれよ。」


「悪かった、面倒かけるな、焼餅。」竹飯焼餅の肩をたたき、ちょっとすまなそうにした。「とにかく今日、西の方もお前にまかすよ。」


「あいよ!」焼餅は素直に答えた。「やっぱり前みたいに、木と動物の健康状態を見るのかい?」


「そうだ!ひととおり見て、何かあったら知らせてくれればいい。」竹飯はこう言いながら、手を放し、振り向いて東へ歩いて行った。


「よっしゃ、でも兄さん、ちょっと聞いてもいいかい。」焼餅竹飯に手を振りながら、最後に突然何かを思い出したように言った。

「兄さんは以前、竹林以外、何も気にしなかったんじゃなかったかい?」


竹飯がそれを聞くと身体がいきなり固まったが、すぐに元に戻った。「今の俺様は、前より強くなったからな!」


「おおぅ!さすがは兄さん。」焼餅は疑うことなく、さっさと離れていった。


焼餅が遠くへ行くと、竹飯は自分だけに聞こえる声で、つぶやいた。


「俺様はただ……俺たちは違うと言いたいんだ。」


「俺様は……自然を守る……」


「俺たちと堕神は……違う……」






向こうでは、光耀大陸の国境地帯の要衝である江沙にある、壊れかけた書院に1人の女と1人の老人が立っていた。


「お前は本当にわしらに加わりたいのか?」

老人は女を見つめ、かすれた声でゆっくりと尋ねた。


「うん。」迷いはなく、りりしい面差しには決意があふれていた。


「しかし聞くところによると、お前はある食霊との関係がいいとのことだが?」老人は突然顔を上げ、庭の隅にある竹林を見て、何かを考えているようだ。


「……」女はしばらく黙っていた。目には一瞬迷いがよぎったが、決然として、心にある何かの感情を振り払ったようだった。「あいつは私を助けたことがあるだけだ、私の食霊に対する感覚を妨げるものではない。」


「ふう……」老人は首を振り、その口調は感慨深げであり、また深い意味を持っているようだった。「後悔しなければよいが。」


「では来なさい、入ろう。」


「お前の理念に従って、やろうと思うことをやるがいい。」


「人間の世界には、堕神も食霊も必要ない。」


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