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焼餅・エピソード

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焼餅のエピソード

楽観的な少年。長年の都会暮らしの中で自分なりのルールを見いだし、商売上手で人と関わるのが好きである。食べるのも好きで、寝ているとき以外は常に食べ物を持っている。



Ⅰ 壊れちまった日常

「三号、一丁あがり!」

その大声は路地に響き渡った。

一人の中年男が手に持ってるフライ返しを振り回し、焼きたての焼餅を袋に包んで渡した。


客は焼餅を受け取ると慌ただしく屋台から離れた。後ろには、最後尾が見えないほどの行列ができている。


この忙しくスコップを振り回す中年男はこの屋台の親父であり、あっしの御侍でもある。


あっしらがやっている屋台はこの辺りでもっとも有名な朝飯スポットなんだぜ。


まあ、庶民の間だけだけどな。


それでも大したもんだろ。




御侍にはかわいらしい娘さんがいる、あだ名はヨウヨウ。

ヨウヨウちゃんからみりゃ、あっしは兄貴みたいなもんかな。


あっしら三人で穏やかに暮らしている。

平凡で、豊かではないが、満足している。

こんな生活が、いつまでも続くと思っていたのさ。


ところが……


「どなたがこの子の親ですか?」

医者が暗い表情でヨウヨウちゃんの手首を離す。

「私です、私がこの子の父親です」

御侍はちょっと慌てて、声を低くして慎重に口を開いた。

「瑶瑶は……大丈夫ですか?」

「状況はかなり厳しい……」

「……」


瑶瑶はかなりやばい病気に罹った。


医者からは、この病気を治すには莫大な金がかかるとも聞いた。


あっしらではとてもじゃないけど負担できない。


今でも覚えている。医者が『かもしれません』と言ってたときその目に宿っている同情が。


それもそうだ、ただの屋台の親父の娘が、医者ですら手古摺る病気に罹った。


『無理』じゃないわけがないだろう?


「大丈夫さ、御侍」

御侍が家で苦しそうに座ってるのを見て、あっしは蹲って、笑顔で落ち着かせようとした。

「あっしも手伝うぜ」



その夜、あっしはシャバに紛れ込んでる『友達兄弟』を訪ねて、町には他に凄腕の医者がないか探してくれと頼んだ。


治療の実績さえあれば、たとえ見るからして胡散臭い詐欺師でもかまわない。

あっしも、しらみ潰しにすべての病院の門を叩いてみるつもりだ。


こうして、居るかもわからん凄腕の医者探しが始まったんだ……




「金がないなら帰ってくれ。うちの薬は雨みたく、ただで空から降ってきたものじゃないんだ」

イラついた口調で言い放つと、ドアが閉ざされた。あっしは何も得られずに最後の病院から追い出された。


ふらついた足で立ち上がると、『友達兄弟』たちが結果を持ってやってきた。


持ってきた見積書を見ると、墨汁で書かれたあまりの数字に目が眩んでしまいそうだった。


「ありがとう」

見積書から目を上げて、友人たちに笑いかけた。

「今日はここまででいい、あとで飯おごるから」


離れていく友人たちを見送りながら、あっしは無意識に手に力を込めて見積書を握り締めた。


しばらくそのままぼうっと立って気持ちの整理がついたら、あっしは頭を上げて空を見て笑った。


「落ち着け、解決できないことはないさ、違うか?」


Ⅱ 解決の糸口

治療費が減らないなら、何とかして金を稼ぐしかない。


瑶瑶の手を握りながら軽くおでこを撫でる、この子はまだ目を覚ましていない。


あっしは御侍に笑いかける。


「御侍、あんたは屋台に専念してくれ、金のことはあっしが何とかするさ」


御侍は長く溜息をして、何も言わずに部屋に戻った。

その背中は寂しさを物語っていた。




そのとき、瑶瑶の体が突然ビクッとして、ぼんやりと何かを呟いた。


あっしは瑶瑶の小さな手を握って、ささやいた。

「大丈夫、全部兄貴に任せろな。必ず助けてやるからさ」


御侍に出かけるといって、あっしは真っ直ぐ斡旋所に向かった。


堕神退治の依頼を受けるつもりだ。


これはあっしが思いつく最速の稼ぎだった。


が、やはりこの世はそう甘くない。


あっしは堕神に追い回されただけだった。驚いたが、あとで考えてみると当たり前のことだ。


あっしは確かに食霊だが、本物の堕神と戦った経験は一度もない。


あっしは山と森の深くまで逃げ込んだ。


「は……は……チンピラの喧嘩とはわけが違うな、本物の堕神は」

デカイ木の下で、あっしは喘ぎながら自嘲した。


かなりの時間が経って、ようやく息が整った。


「さて、次はどうしたもんか」




「思いつく限りの方法は全部試したな……」


そうつぶやくと気持ちがしぼんじまいそうになって、あっしはなんとか気持ちを立て直した。


でも現実は飽きることなく耳元でささやく。


もう、終りさ。




「あは!」

「がうう―」

消沈しているあっしの耳に、二つの声が伝わってきた。

手に鉈を持っている緑色の髪をした男が、一匹の大きな狼に跨って空から降りてきた。

「え?」


どうやらあっしは他人の狩り場に飛び込んでしまったらしい。


男の狩りを見て、あっしは一つ真新しい考えを思いついた。

堕神が無理なら、獣を狩ればいいさ!

獣でもかなりの金になるはずだ。


「狩りなら俺様に任せろ!」

竹飯は胸板をパンと叩いて、自信満々にあっしに言い放つ。

「いっぱしの狩人にして見せるさ」


「でも今回限りだ。多く取らねぇ、頃合いを見て引き上げる、これは俺様の鉄則だ」


勉強のためにと思って、あっしは竹飯と話してみたが、まさかここまでうまくいくとは思っていなかった。


あっしの話を聞いて、竹飯は二つ返事で了承した。

変なルール押し付けてきたけど。

って言うのは失礼になるな。まあ、素直でいい奴だ。


思わず彼を「兄弟」たちと比べてみたが、他の奴らより竹筒飯はずっと純粋な奴だ。


この恩は忘れないぜ。


Ⅲ 絶望


堕神退治と同じ、狩りも初心者だけど、竹筒飯の手伝いもあって、狩りの過程はあっしを燃え上がらせた。


まだ希望はある。


狩りを学ぶのにかなりの時間がかかった。あっしが獲物が詰まってる台車を引いて町に戻ったとき、すでに一週間が過ぎた。


あっしはまず家に戻って御侍様に報告した。それから二人で狩りの戦利品の売り出しに着手し始めた。


御侍様の目に浮かぶ希望と活力に、あっしもうれしく感じた。


が、そのうれしさは長く続かなかった。


あっしらは運命の機嫌を損ねたかもしれない。


他の奴らには、嵐の後は必ず虹が出るが、あっしらの虹は出るつもりがないらしい。


「何でこの価格は?」

あっしは憤って拳を振りながら目の前の買い手を睨んだ。

「おちょくってんのか?」

買いに来る人は多いが、出された価格は全部かなり低い。


悪徳商人だと思ったが、町での評判が一番高い張爺さんが出す価格を見て、あっしはようやく異常に気付いた。


「いつもの一割もないじゃないか!」

「落ち着け、焼餅

張爺さんは溜息をし、惜しそうな目であっしを見て、

「おまえんちの事情は知ってる、瑶瑶の事で金が要るって事もな」


「でもこれはぼったくりなわけではない。一ヶ月前、南の町で獣の群れが湧き出て、毎年この時期になると値段が落ちるんだ。おまえは専業の狩人じゃないから知らないのだ……」

「……」


それから何を言われたか聞き入れてなかった。


複雑な情緒が湧き上がり、御侍様の止めも聞かず、あっしは山に戻った。


値段が落ちるのなら、その分多く狩ればいい。

内心でこの衝動に駆られてた。

再び竹筒飯に会うまで。


「兄貴……」

知り合って間もないが、その人となりで、あっしは帰る前彼と義兄弟になった。


衝動が収まり、心の中で蓄積してたストレスが突然爆発した。


「兄貴、あっしはどうすれば……」

「兄貴、あっしには絶望しかないのか……」


空き地に座って、竹筒飯はあっしの背中を叩いて慰める。

「落ち着け、一時の衝動に駆られるだけでは何にも解決にはなれない」

「うまく売れるかどうか以前に、十倍を狩るとか馬鹿げた事はこの俺様が許さん」

「が、別の方法なら一緒に考えてやる、だからまずは冷静になれ」


あっしは徐々に落ち着いてきた。


「別の方法なんて……あるのか?」

あっしは助けを求める目で竹筒飯を見た。

「兄貴、助けてくれ」

「ちょっと考えさせろ……」

竹筒飯は溜息をして、難しい顔色で何かを言おうとしたその時、一人の女の声に遮られた。


「竹筒飯、竹筒飯!遊びに来てやったぞ!何処だ!」


その声は幼くて澄んでいた。

すぐに一人のツインテールの少女が茂みから飛び出てきた。

彼女はこちらに駆け寄ったが、あっしを見るなり固まった。


「え?」

「……」

「……」


Ⅳ 質屋

(※一部誤字と思われる箇所を編集者の判断で変更して記載しています)


「うむ、そういう事か……ちょっと待って、今考える……」タンフールーはしばらく考えたら、何かを思い出したかのように突然、「竹飯はバカだな、焼餅に竹煙で仕事させればいいじゃない!」


「そうだ!」

竹飯ははっとした表情で、

「竹煙は大金持ちだ」

「竹煙?」

あっしはキョトンとした。


わけがわからないうちに、あっしは二人に引っ張られ、森深くに走っていった。


二人に連れられてかなり走ったらようやく止まった。目の前には大きく雅や庭があった。


上に古い扁額が掛かっている――竹煙質屋と。


「ここだよ」

タンフールーは息を整えながらうれしそうに言ってきた。

「ここで仕事ができれば、報酬はたんまりもらえるはずだよ」


「いや……」

あっしは扁額を凝視して、頭の中で一つ大胆な考えが徐々に関係していた。あっしは魔が差したようにつぶやいた。

「もっといい方法を思いついた」

「え?」


タンフールーは部屋の中から一人眼鏡をかけた書生風の青年――酸梅湯をあっしの前に引っ張り出した。


「君の事情は聞きました」

酸梅湯は眼鏡を押して、

「で、君はここで奉公したいという事でいいですね?」


「この二人の保障があれば、審査を受ける機会を与えてもいいです。でもその前に良く考えてください」

そう言って、青年は更に付け加えた。

「確かにここの報酬は高いです。けど報酬に見合う仕事を遂行するのも容易ではありません」

「いえ」

あっしの否定に、彼らは驚いた。

「あっしは自分を質に入れてお金をおろしたい」

その答えを聞いて、酸梅湯は一時ぽかんとしたが、すぐ気を取り直して眉を顰めて眼鏡を押した。


「いえ……そんな前例はありません。それに……」


彼の話が終わらないうちに、精巧なモノクルをかけて質素だけど高質な服を着た一人の見知らぬ男がいつの間にか現れて、酸梅湯の話を遮った。


「それに、そなたに、自分にそれほどの価値がある根拠は?」


決して厳しいわけではない態度に難しい威厳が滲み出てきた。


あっしには、彼の身分がすぐにわかった。

彼こそがこの質屋の主だろう。


深呼吸をしながら頭の中の考えを整理して、あっしは真剣に口を開いた。


「竹煙があっしを必要としているからです」

「あんたと酸梅湯さん、そしてタンフールーたちを見ればわかる。ここには雑用係がいないでしょう」

「例えいても、雑用係は何人いても多いことはないはずです」

「それに、あっしは対外的な交渉もできます」

「ずっと町中に紛れて暮らしてきたから、交渉にはそれなりに自信があります」

「違う相手に違う言葉を使う、今のようにね……」


一つずつ利点を挙げていって、末にあっしはその男を見やり、きっぱりと、


「最も大切なのは、あなたはあっしの忠誠が得られます。そして……」


「一人の小さな命が救えます」


男の平静な顔に笑みが浮かんだ。


「面白い……」

酸梅湯、部屋に案内してやりなさい」


再び御侍様のもとに戻ったとき、あっしの手には金が握られていた。


事情を知った御侍様は複雑そうに黙ってた。しばらくすると、ようやく口を開いた。


それは侘びか、それとも礼かはわからない。

あっしは彼の言葉を遮ったから。


ベッドで休んでいる瑶瑶を見て、あっしはつぶやいた。


「この子が無事ならば、それでいいじゃないか」


Ⅴ 焼餅

光耀大陸は土地が広大で資源も豊富、有名な山や川、美しい景観は数え切れずにある。


その中で、特殊な勢力が幾つも隠れ住んでいる。


山深くの竹林で。


北京ダック酸梅湯が林の間を歩きながら話をしている。


「最近質屋の状況は悪くありません。内部事務の方面には魚香肉糸さんがいるからさておき、外務の方面について、最近うちの商業配置はかなりうまくいっています、焼餅の加入は確かな功を奏しました」


酸梅湯は脳内で情報をまとめながら逐一北京ダックに報告を行っていく。


「新入りのあの小僧が?」

北京ダックは懐の雛アヒルを撫でながら聞いてきた。


「小僧?」

酸梅湯は一瞬ぽかんとしたが、すぐ気を取り直して、

「はい。我々は町中に蔓延る路地にはあまり詳しくないから、彼のような人物がいて確かにいろいろとやりやすくなりました」


「ふむ、つまり彼を迎え入れて正解ということかな?」

「あなたは……最初からそのつもりでは?」

「さあ」

「……」




もう片方、山の隣に位置する町で。


町中でいろんな噂が噂されている。

このような場所では常に真偽のわからない情報が蔓延っている。


中にはこういうものがあった。


それは別に国の大事なわけではないが、ただ平民の間だけは結構惜しまれていた。

街中でもっとも美味しい焼餅の屋台がもうやらないそうだ。


屋台の親父の娘が病で金がいると皆が知ってるから、この情報はかなり不可解なものだった。


彼らに同情の念を抱く人もいるだろうが、多くの人には、いつも朝食を食べにきてる屋台がなくなったことに対する不慣れしかなかった。


その後、町には再び屋台が立ち上がった、その屋台の看板には百年の芸とか何とか。


相変わらず焼餅を焼いてる、味も変わらない。


が、やってる人が変わったかどうかと聞かれると、皆二三句愚痴ると、もう考えないようにした。


生活には常に新しい話がやってくる。


その後、遠くの町に同じ屋台があって、そこに焼餅の姿が見えたとかいう噂が流れてきた。


「は、嘘っぱちだな」と通行人は笑い飛ばす。


「本当のことならいいことじゃないか、焼餅の奴らはいい奴らだからな」


本当かどうかなど、誰も気にしない。


人はただ思い出に耽りたいだけだから。


一人の中年と一人の少年が屋台で売り声をあげているという思い出に。


「よってらっしゃい見てらっしゃい!焼き立てホヤホヤの焼餅はここだよ!そこの旦那、おひとついかが?」


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ゲーム情報
タイトル FOOD FANTASY フードファンタジー
対応OS
    • iOS
    • リリース日:2018/10/11
    • Android
    • リリース日:2018/10/11
カテゴリ
ゲーム概要 美食擬人化RPG物語+経営シミュレーションゲーム

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