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野菜サラダ・エピソード

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野菜サラダのエピソード

萌えカワな少年。気が弱く、いつもすみっこに隠れている。人と話すのを怖がり、守られたいと思っている。暑いのが苦手で、暑い場所に行くと無気力になり、何もできなくなる。


Ⅰ 雪の日

僕は大きくならなくてもいい、勇敢にならなくてもいいと、御侍様はこう教えてくれた。

だから、僕はそこにずっといたかった。


僕と御侍様は雪原の辺境にある山の上に住んでいる。

雪は降らないが、雪原に近いから空気はいつでも涼しい。

僕は御侍様と小さな木造の山小屋に住んで、平和な毎日を送っている。


余りにも平和な生活だったためか、御侍様が亡くなっても、僕はすぐ気付かなかった。


もう彼の顔を二度と見られない。




僕は御侍様を小屋のそばに埋葬した。そこは彼が自ら作った農園だ。

そして、彼が最も好きなところだ。

僕もそこが大好きだ。


御侍様が言っていた細雪が降ってくるのを初めて見た。

山頂は白に染まり、元々人気がない山はより一層静かになった。


こんな安心感をくれる世界が、僕は大好きだ。

僕は木造小屋の隅の置かれている竹籠に座り込み、頭を膝の間に埋めた。


「ここ、あなたしかいないの?」

知らない声は僕を静かな世界から引き出した。


「えっと……はい…」

目の前の金髪で緑の服を着た少女は、雪を溶かす太陽のような笑顔をしている。

御侍様以外の人とおしゃべりするのは初めてだから、びっくりして僕の声も震えている。


「怖がらないで、私は偶然ここを通りかかっただけ。私はヨーグルト、あなたと同じ食霊です。」

「食霊?」

「そう、御侍様に召喚された食霊」

「あなたも…御侍様の食霊なの?」

「私の御侍様はあなたの御侍様とは別の人です。」

「じゃあ…あなたの御侍様は?」

「あなたの御侍様と同じところに行った。」

ヨーグルトは微笑みながら答えた。


「あなたも御侍様と一緒にいられなくなったの?」

「うん」

「え?僕が大きくなれないから、御侍様と一緒にいられなくなったんじゃないの?」

「食霊は大きくなれないのよ~」


あの時の彼女は笑っていたが、なぜか浮かない顔だ。


「雪が止んだね~」

「本当…だ…」

「私もそろそろ行かなくちゃ。そうだ、私と一緒に旅に行かない?」

「僕…僕はここを離れちゃダメ…」

僕はここを離れる勇気がない。なぜか未知の外の世界を恐れている。

そう言うと、僕はまた頭を下げて自分を抱きしめた。


「怖がらなくてもいい。私はただ、あなたがその気になればお世話ができると思ってるだけよ」

ヨーグルトはそう言いながら、御侍様のように僕の頭を撫でる。

その手は突然引いた。なぜか、温かい心が空っぽになったような気がした。

気が付いたら、僕はヨーグルトの袖を掴んでいた。


「あの…あの…僕の名前は野菜サラダ…あなたと…一緒に…いてもいい?」

うまく表現できない。ヨーグルトが僕の言いたいことを理解できる自信もない。


「うん、一緒に行こう!」

ヨーグルトは笑って頷いた。その笑顔には陽光と花の香りが混ざっている。


いつの間にか、雪の日は太陽の光にその跡を消されていた。


Ⅱ 一歩の距離

ある山林。

ここは僕とヨーグルトが雪原の辺境にある山から出た後ついたところだ。

あっという間に夜になったが、まだ休めそうな場所が見つかっていない。


ヨーグルトはどうして御侍様と生活していたところに留まらなかったの?」

「御侍様があちこち回る性格だから、私も自由な生活になったんだろうね~」

「そうか~」

「あ、でも、会いたい人が一人いる」


その時、ヨーグルトは珍しくさびしい顔を見せた。


「御侍様以外の人類なの?」

「うん、御侍様の最も大事な人よ」

「じゃ、今会いに行く?」

「うん、いつかきっと会いに行く。でも今は別にしたいことがある」

「したいことか…すごい!僕はそこまで考えたことがない」

「全然すごくないよ~私は運がいいね。あなたに出会えた」

……


ヨーグルトとおしゃべりとしながら歩いているうちに、もうすっかり深夜になった。


草むらから微かな音が聞こえてきた。

緊張する僕はヨーグルトに寄りかかった。


「大丈夫、山に住んでいる動物でしょう」

ヨーグルトは慰めるように僕の肩を撫でている。

「ちょっと早く歩こう。狼の群れに遭うと厄介だわ」


「狼の群れ?」

肩に置かれるヨーグルトの手がすこし震えている。

「あの赤い目をした真っ黒な生き物が狼なの?」


「しまった!見つかったみたい。」

僕はヨーグルトの独り言を聞いた。

「ここから離れないで。私は奴の注意を引きつけるから。」


僕はちっとも疑わずに木の後ろに隠れた。ヨーグルトは別の方向に走った。

ヨーグルトを呼び留めようとしたけど、なぜか声が出せなかった。


正体不明の黒いやつは炎のように一瞬に大きくなった。

光るほど赤い目と鋭い牙を見て、僕は恐怖のあまり固まってしまった。


「何?化け物?」

目の前の出来事にショックを受けた。

その時、僕はただ一つ分かったのは、これは決してこの世界に長く存在すべきものではないということ。


ヨーグルトは軽やかな動きで、この黒い化け物の斜め後ろに走った。

体が大きくなりすぎたためか、化け物の反応が鈍くなった。

その瞬間、ヨーグルトは化け物の死角についた。


ヨーグルトの周りに白い液体が出現し、ヨーグルトを囲みながら宙を浮いている。

ヨーグルトは力強く手を振ると、液体が化け物に飛んだ。


化け物の打たれた部分が酸に腐食されたように煙を放出し、化け物は怒鳴り声を上げ、凶暴に爪を振っていた。


激怒している化け物はヨーグルトに大打撃を与え、次の瞬間、ヨーグルトはものすごい勢いで木にぶつかった。

この時の僕は、隅に隠れることしかできなかった。


思えば、僕はずっとこうして生きてきた。


隅に隠れて発見されなければ、ずっと安全に生きていられる。

僕は大きく、そして勇敢にならなくてもいいと、御侍様は言ってた。僕はただ……

え?僕は何がしたいのだろう?


僕は何もできないのに……


ヨーグルトの周りに牛乳のような白いオーラが出現した。しかし、ヨーグルトはまだ攻撃される側だ。


段々傷だらけになるヨーグルトを見ると、これまで味わったことがない感情が心の底の恐怖に勝った。


ヨーグルトを覆う光のバリアが黒い化け物に破壊された時、ずっと縛られてきた両足が思わず動き出した……


「彼女を傷つけるな!」

僕は心の底から初めて叫んだ。


しかし、前に傾いた体は意思に反して倒れた。

僕の足は自分の籠にぶつかり、そのまま前に倒れる。




「ポン――――」

僕の世界は闇に陥った。


え?違う。こんなに大きな音、僕に出せるはずないだろう!?


Ⅲ 初見の言葉

(※誤字や文章がおかしい箇所を編集者の判断で変更して記載しています)


地面はかすかに震えている。

僕は体を支え、目を開けて何が起こったのかを確認しようとした。

しかし林の中は煙だらけで、周りの景色はまったく見えない。


朦朧な視界の中で、黒くて巨大な石があの黒い化け物にぶつかったらしい。しかし、どうやって探してもヨーグルトを見つけられなかった。


次の瞬間、体が軽くなり、まるで空中に浮いているかのようになった。

僕は無意識に自分の竹籠を取り戻そうとしたが、結局自分も籠も連れて行かれた。

一生懸命に僕を捕まえた手を叩くが、逃げられない。


「動くな、じゃないと捨てるぞ。」

ヨーグルトは!?」

「彼女もいる。」


低くて冷たい声だが、僕達を救ってくれたのは事実だ。


さっきの「戦場」から離れると、視界も徐々にはっきりとしてきた。

黒い衣装を身に纏った見知らぬ男が僕を脇に抱え、ヨーグルトを肩に担いでいる。


墨のような黒い髪は、夜の闇とまったく一緒だ。




しばらくすると、僕とヨーグルトはきれいな古風の庭に連れて行かれた。庭は部屋に囲まれている。


黒い衣装の男は僕達を庭の南側にある部屋の廊下に置いた。

「ここで少し待ってなさい…」


ヨーグルトは…彼女は…どうした?」

「彼女は大丈夫だ。」

「でも、あれだけの傷を負ったんだ…」

僕はヨーグルトのそばに駆け寄り、気絶している彼女の様子を確認した。


人類と違い、食霊は長い人生を持つが、死なない代わりに消滅してしまうのだ。

しかし、この他には食霊と人類は何ら変わりない。同じく感情があるし、痛いという感覚もある。


「君はさっき彼女を救ったんじゃないのか?」

男はそれを言い残して去った。


「え?ぼ…ぼく?」

さっきは転んだだけで、何もしなかったよ?

僕は呆然とヨーグルトを見つめ、何をしていいか分からなかった。

僕が傷を負ったとき御侍様がしてくれたように、僕は手をヨーグルトの手の上に置いた。


ヨーグルト…目が覚めた?」

僕に握られているヨーグルトの手は軽く動き、ヨーグルトは疲れた表情で目を開け、いつもの笑顔を見せてくれた。


「どこか痛い?」

僕は心配した。


「ないよ~私は大丈夫だよ。」

「ごめんなさい、僕…あの時は何もできなかった。」

僕は泣きながらヨーグルトに言った。


「私も堕神にやられると思ったけど、あの時、なぜかとても暖かい力に守られたの。」

ヨーグルトはそう言いながら、僕の手を強く握った。

「とても暖かいよ!野菜サラダのように暖かい。」


「食霊のくせに、自分の能力も知らないのか?」

黒い男がまた戻ってきた。彼の後ろに未知の白い物が浮いている。


「能力?……え……あ!」

その男の話について考えていたが、いきなり近づいてきた白い生物に驚いた。

「ご…ごめん。」


「飩魂、戻りなさい。」

黒い男が言った途端、白い飩魂はすぐ彼の隣に戻った。


「さっきは君がヨーグルトを守ったから、私はチャンスを掴んで堕神を殲滅することができた。」

黒い男は堂々と言った。

「だから、そんなに慌てなくてもいい。」


「でも、僕…何もできない…」

「あーあ――」


黒い男は僕を見つめて、ため息をついた。しばらく黙って、彼はまた言い始めた。

「自分の仲間を守れた。これで十分だろう?」


心が何かに打たれたような気がした。彼の言葉は僕の耳元で響き続けた。

しかし、黒い男はまじめな話をしているのに、あの漂っている飩魂はいつもタイミングを見計らって男の顔を遮る。


「いい加減にしろ。」

黒い男は怒りが滲み出た冷たい声を発した。


「ははは…冗談だよ。そんなに怒るな~亀苓膏~」

気だるげで笑い声が混ざっている声だ。しかし、その声の主は結局姿を現さなかった。


「ちぇ」

亀苓膏は軽く文句を言ったが、その後すぐヨーグルトを起こした。

「二人とも、ついてきなさい。まず休むんだ。」


「これ以上顔をしかめると、老けちゃうよ~」


Ⅳ 忘憂の地

「ようこそ忘憂舎へ~」


部屋に入ると、あの声もついてきた。

亀苓膏の周りでうろうろしている飩魂は突然消え、代わりに出現した人の姿は亀苓膏とは正反対の雰囲気だ。


細長い体に纏うゆったりした白い衣装はだぶだぶで、おしゃれな黒い流水柄は気怠い雰囲気を醸し出している。


「また二人を拾うとは思わなかったな~」

白い男は微笑んでいるが、その視線からは感情を読めない。彼はただ僕を見つめている。

「びっくりした?あの鈍感さんは無粋なやつだからな。」


「い…いいえ…僕達は…救われた…」

正直、びっくりしたけど。


「でもさ、君よりそっちのほうが重傷だな。」

僕に対する興味が無くなったのか、彼はまたヨーグルトの側に行った。

「おや?もうほとんど治ったのか。治療ができる食霊は便利だな。」


ワンタン、さっきのはずいぶん失礼な言葉だ。」

傍に立っている亀苓膏は冷たい口調で言った。


「君だってそう思うだろう?ここのみんなは誰もできないのに。もう少しここに留まるといい……いっそ小籠包たちのようにここに住んでみたら?」

どうやらこれは彼の本心のようだ。

「え?」

僕はまた驚いた。


「自己紹介を忘れたようだな。私はこの忘憂舎の主であるワンタンだ。こちらは私の可愛い飩魂で、この真っ黒な鈍感さんは亀苓膏だ」

ワンタンは悠々と木造寝椅子に横になり、手で体を支えながら、ゆったりとした声で言った。


「お役に立てるなら喜んで誘いをお受けします。だけど、もっとたくさんの人を助けるために旅に出たのだから、ずっとここに留まってはいけません。より多くの人により多くの健康な時間を与えたい。そうすれば、彼らはそれぞれ大事な人と一緒に居られる。」

意志の固いヨーグルトは笑いながらこう答えた。


「なるほど、それは残念だな。」

「あなたのような気ままなやつにはわからない話だろう。」

ワンタンの軽い口調を、亀苓膏はあまり気に入っていない様子だ。



「相変わらず説教が好きだな。」

ワンタンは笑顔で言い返した。

「それより、知りたいことがある。あなたのような自覚ゼロの食霊が、一体どうやってこの世界で生き残った?」

ワンタンの顔から笑みが消えた。

「ふふ~君がここにいると、君にとっても私たちにとっても都合がいい話だ。違うか?」


「ここに留まる?」

僕はそわそわして頭を下げた。

僕にはヨーグルトのような大きい志もなく、亀苓膏のような強さもない。

自分がしたいことさえも分からない。

外の世界は、未知で怖いことばかりだ。

そう思って、また彼らに「堕神」と呼ばれた化け物を思い出し、思わず震えた。


「見ればすぐ分かることだ。君はヨーグルトと違って、目標などはない。」


ワンタンの言葉は一瞬に私の心を凍らせた。


そうだよね、こんな僕が、なぜヨーグルトと一緒に長い旅をするんだろう?寂しい生活を恐れるなら、ここに留まればいいんだよね…


僕は視線を黙っているヨーグルトに向け、僕の視線に気づいた彼女は、ただいつもの笑顔を返してくれた。


「自分の仲間を守った。それで十分だろう?」

亀苓膏の言葉は突然耳のそばで響いた。


「僕…確かに弱い。何もできない。やりたいこともない。でも、こんな僕にも、ヨーグルトはいつも微笑んでくれる。だから…もし…僕…僕も仲間を守れるなら…やっぱりヨーグルトと一緒に旅をしたい。」


この瞬間、頭が空っぽになった気がした。

僕に出会えてよかったってヨーグルトが言ってくれた時、僕は本当に嬉しかった。

ヨーグルトの悲しむ顔を見たくない。寂しい気持ちになるし辛い、僕はとっくに分かっていた。


「それが君の本心だな。」

僕を励ますように、亀苓膏は僕の肩を叩いた。

「そう願っていれば、いつかきっと君が望む姿になれるよ」


「あ…ありがとう…」

緊張して僕は何を言っていいか分からず、ただ頭を下げて亀苓膏に一礼した。


「あ~あ~つまらない、ならあとは好きにしろ。」

ワンタンと飩魂はここを去った。


「彼は…まさか…怒った?」

「気にしなくていい。どうせ暇つぶしのために来たやつだ」

どうやら亀苓膏ワンタンだけに対して妙に感情的になるようだ。

「今日はもう遅い、ゆっくり休みなさい。」


「今日は本当にありがとう。」

僕の言葉が亀苓膏に伝わったかどうか分からないけれど、これが今の僕の気持ちを表すことができる唯一の方法だ。


夜は間もなく明ける。もう将来を恐れなくなった僕は、新たな始まりを期待するようになった。


Ⅴ 野菜サラダ

忘憂舎。

亀苓膏カニみそ小籠包を見たか?」

浅い色の髪の少年は慌てて野菜サラダの前を通り、そのまま亀苓膏の方へ走っていった。


「見てない。」

亀苓膏は頭を下げて庭の中のごみを掃除しながら、淡々と答えた。


「え~入れたばかりのお茶を飲んでもらおうと思ったのに~」

野菜サラダはただ彼が突然落ち込んだ様子を見ていた。


「お主は新人さんかの?」

野菜サラダの目の前に、可愛い顔が突然現れた。


「うん、僕は…野菜サラダです。」

「へへ~わしは小籠包!そうだ!わしが入れたお茶を味わってみないか?とってもおいしいぞ!」

そういいながら、小籠包はそのカップを野菜サラダに差し出した。


「え…」

小籠包の期待する顔を見て、野菜サラダは断れずにコップを受け取った。


「待て……!」

亀苓膏はすごい勢いで頭を上げた。


酸っぱくて苦い味が野菜サラダの口の中で広がる。こんなお茶を飲むのは初めてだ。


「どう?おいしい!?」

小籠包の明るい笑顔でもあの刺激的な味を消せない。


「うん、おいしい!」

「やった!やっとできた!」

小籠包は嬉しそうに去って行った。すべてを見た亀苓膏はため息ばかりついている。


「大丈夫か?」

「だ、大丈夫です。ちょっと味が濃いだけでおいしいです」

野菜サラダは枯れた声で答えた。


「無理をするな。」

亀苓膏は深呼吸をした。

「見た目は弱そうだが、性格は意外に頑丈かもな。」

「え?」

「緊張するな。褒め言葉だ。」

亀苓膏は微笑んだ。


「うん…うん…ありがとう…」

突然褒められたことは嬉しいが、まだ慣れていない。


「ガチャ――」

ピューンと響く音が聞こえた。コップが割れたかな。

小籠包!またホールのお茶に何かを入れたんだな!」


「まったく、どいつもこいつもうるさいやつだ。」

亀苓膏の微笑は憂鬱に取って代わった。彼はやれやれという表情でこめかみを軽く揉み、帚を庭の隅に置いてから事件現場の部屋へ行った。


「何かお手伝いができればいいな。」

あの去っていく黒い人影を見つめ、野菜サラダは独り言を言った。







深夜。

初春の風は涼しさを送ってくる。


野菜サラダは夜の闇に紛れて部屋から抜け出し、庭に行った。


「今度の桃花は咲くのがちょっと早いな~」

カニみそ小籠包が一人で庭中央にある桃の木に寄りかかっていた。

「お前も桃花を見に来たの?」


「え…ち…ちがう…」

そわそわする野菜サラダは手の中の竹籠を強く握って答えた。


「違うのか…」

カニみそ小籠包の口調はちっとも変っていない。

「じゃここから離れるつもり?」


「ち、ちがう。僕はただ助けてくれた亀苓膏とみんなのために何かをしたいだけ。」

野菜サラダの声は徐々に低くなっている。

ヨーグルトが、この山に特有の珍しい植物がたくさんあると言っていたから、収穫してみんなのために簡単な食べ物を作ろうと思っている。」


これは野菜サラダが長く考えて出した結論だ。

野菜と果物でうまくて健康的な組み合わせを作るのは彼の趣味でもあり、彼の御侍様から教わった唯一のことだ。


「そういう話だったら、ここに座って一緒に桃花を見ようぜ~ちょうど一緒にお酒を飲む相手が欲しかったところだ。」

「でも、僕はまだ……」

「朝の新鮮な食材の方がおいしいぞ~」

「そ…そう…でも僕はお酒が飲めない。」

話を信じた野菜サラダはおとなしくカニみそ小籠包の隣に座った。


「ほっとけないほどの単純さだな。亀苓膏もそんな気持ちだろう。」

隣でおどおどするウサギのように座っている野菜サラダを見つめ、カニみそ小籠包は笑顔でこう言った。


「え?僕が何かした?」

緊張する野菜サラダは聞いた。


「いやいや~このまま目指す目標に向かって頑張って進めばいい。」

カニみそ小籠包はそう答えた。


「うん。」


その後、二人は長く黙り込んだ。


野菜サラダカニみそ小籠包はただ月光を浴びる桃花を見上げていた。


「今夜の桃の花も綺麗だろう~」

「うん。」


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ゲーム情報
タイトル FOOD FANTASY フードファンタジー
対応OS
    • iOS
    • リリース日:2018/10/11
    • Android
    • リリース日:2018/10/11
カテゴリ
ゲーム概要 美食擬人化RPG物語+経営シミュレーションゲーム

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