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ティラミス・エピソード

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ティラミスのエピソード

柔らかく優しい表情をした少女。気遣い上手でいつも相手に合わせて行動する。周りの人がみんな幸せであることを願い、敵にまで優しくふるまってしまう。彼女と一緒にいると、身も心も癒やされる。



Ⅰ 仲間と一緒に行く

世界を巡る旅をしていた私は、ある町で一人の人類少女と出会った。彼女は満面のそばかすと素直な笑顔、それから長くて太い三つ編み二本を持っていた。


「あなたも旅をしているの?」

少女は明るい声で私に声をかけた。

「一緒に旅をしない?」


彼女は私が食霊であることに気付いていないようだった。人類との接触を増やし、この世界をもっと知りたいと考えていた私は、喜んでこの提案を受け入れた。


仲間が増え旅もより楽しいものになった。私は親しみを込め少女に「かりんとう」と言うニックネームをつけた。


かりんとうは、たくさんの場所に行ったことがあるようだった。そして次の目的地に到着するまでの間、彼女は私が聞いたことがない物語をたくさん話してくれた。


「以前ある国を旅していた時、シュッて音を聞いたの!私の目の前の家が燃え始めたの!」

「まぁ、中には人がいたの?」

「勿論いたよ。火事が起きたのは夜だったから、パンツ姿の男の人が叫びながら逃げ出してきたの」


「走りながら叫んでたわ、助けて、助けて、お尻に火が付いたって!可哀相な人。しばらくしないうちに、その男の人は唯一残っていた服も燃え尽きちゃったの。」

「ふふふ、私を笑わせようとして、そんな話を作ったんでしょう?」


Ⅱ 新たな目的地

かりんとうの物語は面白かったが、あまり信じてはいなかった。


よく考えてみると、辻褄の合わないところがたくさんあったから。でも暇つぶしの方法としては確かにいい方法だった。


きっとかりんとうは生まれつき物語を話すのが好きなんじゃないかな?私はそう思わずにはいられなかった。


世界を巡る旅は本当に楽しかった。故郷の知り合いが勧めてくれたルートに沿って進み、私はたくさんの面白いものと出会った。


「私が住んでいた町のほかにも、こんなにたくさん面白い場所があったなんて。」

「あなたの故郷の人が勧めたところ以外にも、私は面白いところをいろいろ知ってるよ。」

かりんとうは突然声を抑え、ミステリアスに言った。

「行きたい?」


「行きたい!」

私は躊躇せずに答えた。面白いかりんとうが勧める場所なんだもの、きっと魅力的なところでしょう?


Ⅲ 相手の真意

ことの展開は私の予想を超えていた。


元気で明るいかりんとうが、今は涙満面で私の前に跪き、神に懇願するように私に言った。

「お願いです、私たちを助けてください。」


「ごめんなさい、ずっと騙していました。私は旅人ではありません、私はどうにかここから逃げ出した者なのです」

「この国は日夜戦争ばかり、みんな、もう限界なんです」

「あなたが食霊であることは知っていました。でも、私には料理御侍のような能力はありません。だから、こうしてあなたを騙してここに連れて来るしかなかったんです」

「ごめんなさい、ごめんなさい。あなたを騙してしまって。でもどうか、私たちを、みんなをお助けください」


かりんとうは懺悔をするように、請願するように、私に何度も何度も懇願し続けた。


そんな言葉も私にははっきり聞こえていなかった。

しかし、彼女の背後に見えた光景は、これまでの私が見たことのない光景だった。


あぁ、あれは彼女の作り話じゃなかった、本当の話だったんだ。


家は本当に「シュッ」という音の後、燃え始めた。


しかし、誰も逃げ出して来ない……


私のこの時の気持ちを、どんな言葉で形容すべきかわからない……、ただ息苦しく、全身が窒息するような不快感が全身に広がっていた。


また「シュッ」という音が聞こえ、火炎が私のすぐ傍で爆発した。


Ⅳ 平和と戦争

「世界で一番高価なものはなんだ?」


御侍様は亡くなる前に、私にそう訊ねたことがある。


私は長く生活していた町を見渡した。難攻不落の城壁、堂々と威厳のある城、綺麗に整った街道、逸品揃いの商店、そして幸福で平和な住民。


「どれも高そうです。」


少しの手がかりも見つけられなかった私は、ここを離れ、答えを探す旅に出ることに決めた。町の優しい人がくれた旅行ルートに沿って、私はいろんな面白いところを巡り、たくさんの人々と出会った。


「この旅は本当に楽しい。」


のんびり旅を楽しんでいた私は、その後の私がこんな光景を目の当たりにすることなどまったく考えてもいなかった。





「た……たすけて。」


髪を振り乱したかりんとうは地面に這いつくばり、一本だけ残った手できつく私の服を掴み、裂けた口を機械的に動かし擦れた声を出した。


「大丈夫だよ、きっと助けてあげるから。」


私はすぐにしゃがんで、彼女のボロボロになった身体に手で触れた。霊力を呼び覚まし彼女の全身を覆う。


「よ……かった。」


塞がっていく傷口を見て、かりんとうは安らかな笑みを浮かべ、ゆっくりと瞳を閉じた。


「た……す、かった……」

「もう大丈夫だよ」


私は下を向き、落ちて来る髪でこの時の表情を隠そうとした。


「大丈夫、もう痛くないから。」


私は泣きたい気持ちを抑え、血の止まらない彼女をそっと慰めた。


かりんとうの身体の下の土がますます深紅に染まっていく。彼女は穏やかな顔をして、まるで眠っているかのようだ。きつく私を掴んでいた彼女の手から、力が抜けた。


それは一生忘れられない光景だ。


この国が私の「楽しい」世界旅行の終点となった。




それ以降、私は絶えず全力で霊力を使い、戦争に苦しめられた人々の傷を癒し続けている。しかし、今日の傷が治っても、明日無事でいられる保証はない。


身体の傷は治っても、彼らの心の傷はどうしたらいい?


かつての町で味わっていた幸福と平和を思い出すと、湧き上がる悲しみを抑えることはできない。


「世界で一番高価なものはなんだ?」


「それは平和」


Ⅴ ティラミス

王暦280年、ある年老いた料理御侍は、その死後、莫大な遺産をある食霊に与えた。


ティラミス

そして、彼は最後の遺言の中に、質問を一つ残した。


「世界で一番高価なものはなんだ?」


召喚されてから、ずっと贅沢な環境で生活して来たティラミスは、自分の御侍様がどうしてこんな質問をするか理解できなかった。

当時の彼女からすると、世界には高価なものはたくさんあり、その価値を測るのは、非常に難しいことだったのだ。


しかし、御侍様にはきっと目的があったのだろう。そう考えたティラミスは、裕福な町の住民のアドバイスを受け入れ、世界を巡る旅に出た。


優しく善良なティラミスは当然町の住民たちに愛されていた。だから住民が勧めたルートで経由する場所は、すべて「平和な地域」だった。


しかし、ある少女の出現がすべてを変えた。知らず知らずに天寿が尽きた料理御侍が望んだ通り、ティラミスは彼女の御侍様が、若いころに見た光景を見たのだ。


「戦争の残酷さ」


それこそがあの優しい料理御侍が、ずっと穏やかな生活を送っていたティラミスに教えたかった、なにより大事なことだったのだ。





ティラミスは答えを見つけた後も、旅を続けた。


しかしそのルートは「平和な地域」ではなく、いずれも戦争に苦しめられている場所だった。


その期間に、彼女は同じような理念を持つ男性料理御侍と知り合いになり、旅の途中もずっと手紙でやり取りを続けていた。


不幸なことに男性料理御侍は平和に反対する人の手により殺されることとなった。彼が残した最後の手紙から、ティラミスは彼の最後の願いを知った。


友人の願いを叶えるため、彼女は彼らの前にやって来た。


彼らとの出会いは、その後の歳月の中で、多くの食霊の運命を繋ぐきっかけとなった。


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ゲーム情報
タイトル FOOD FANTASY フードファンタジー
対応OS
    • iOS
    • リリース日:2018/10/11
    • Android
    • リリース日:2018/10/11
ゲーム概要 美食擬人化RPG物語+経営シミュレーションゲーム

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