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餃子・エピソード

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餃子のエピソード

とにかくおしゃべりが好きで、行くところすべてを賑やかにしてしまう。好奇心旺盛なため、ちょっとでも不思議に思えばどうして?と聞かずにはいられない。


Ⅰ 問答

「御侍様、どうして冬至には餃子を食べるの?」

オイラは光耀大陸の祝日大全書を抱えて、1ページ1ページ捲って読んでいる。


「先賢である張先生を紀念するためさ」

御侍様は手の動きを中断せず、すぐオイラの質問に答えた。


「張先生はどんな人なの?」

分かったようでわからないオイラは本を閉じて聞いた。


「大昔の光耀大陸の医者さ、噂によれば、彼は最初に君を創造した人だ」

そう言って御侍様はようやく頭を上げて何やら深く考えてるような表情でオイラに視線を向けた。でもその表情は数秒も持たずにすぐ釈然となった。


「たしか、第四列の本棚の第六層の左に…」

御侍様は指で部屋のある場所を指し、

「あそこには張先生に関連する記載がある」


「はい!」

祝日大全書を本棚に戻して、オイラは御侍様が指した方向に走っていった。


オイラが聞いて、彼が答える。このような問答を毎日繰り返している。


いつの間にか、これはオイラ達二人の日常となった。


オイラはいつも御侍様に、天文学から地理学まで、はたまたそれ以外にもさまざまな奇抜な質問を投げる。


たくさんの本を読んできた御侍様は、いつも簡単にオイラの質問に答えてくれる。


街で有名な書館の首席先生をしている御侍様の学識の広さは、多くの人々から称賛、感嘆されている。


多くの人々は、御侍様がこの世界のすべての疑問に答えられると思っている。


真面目で自信溢れる姿で、考える必要すらなくて全ての問題に答えられる。


でもオイラは知っている、実はそうじゃないことを。


Ⅱ 素直

「御侍様、ご飯だぞー」

鍋の蓋をめくって、中で沸騰しているお湯と餃子を見て、オイラはいつものように扉の外に向けて呼んだ。


今日は冬至だ。オイラはこの前の御侍様との話をずっと覚えている。だから今日はわざわざ餃子を用意した。


でもいつもの返答の声が返ってこなかった。


「また本に夢中になってたのか?」

オイラは手を拭いて周りを片付けてから、書斎に向かった。


廊下を渡ったばかりのところで、突然音楽が鳴り出した。


その音楽はとても孤独で冷たくて、まるで人の思考を果てしない荒地に誘っていくような悲愴感が漂っている。


オイラは止まってため息をつき、頭を上げて廊下の壁の写真を眺めた。


写真には、家族三人が親しく寄り添って幸せに笑っている姿が映っている。




1時間後、オイラは御侍様と向かい合って温め直した餃子を食べている。


御侍様の表情のない顔を見て、オイラは心配で我慢できず口を開いた。


「大丈夫なの?」

「……」

箸を握っている手を少し止めて、御侍様の唇はモゴモゴと動き、最後にため息をついた。

「ただ去年の冬至を思い出しただけだ」


オイラは彼の言ってることの意味を知っている。


それは御侍様の家族が集まった、最後の日だ。


昔のオイラなら、こういう場合はきっとふざけてこの雰囲気を打ち破っただろう。


でも今日はなぜか、オイラは話題を続けた。


「御侍様は……御侍様のした事が正しいと思う?」

「……」

箸を置いて、御侍様はしばらくオイラを見つめたあと、小声で言った。

「私は間違っていない……としか言えない」


「でもオイラは、御侍様が間違っていたと思う」


Ⅲ 選択

去年の春節。


その日は楽しくおめでたい一日のはずだった。


しかし、オイラと御侍様が滞在していた豊城に堕神が攻めてきた。


黒い炎が城の中を駆け巡っていた。


オイラと御侍様は城中を奔走し、被災者を助けていた。


オイラが堕神を止めて、御侍様が民衛司と共に人々を誘導していた。


その時、オイラ達はある知らせを受けた。


御侍様の妻と子供がいる隣町も堕神の襲撃を受けていた。


しかし料理人ギルドの異動が原因で、その町には料理御侍がいなかった。


「御侍様、どうする?」

オイラは麺棒を振り回して、襲ってきた堕神の触手を撃退しながら振り返らずに聞いた。


「行くの?」

「……」

しばらくの沈黙の後、御侍様は簡潔に答えた。

「残る」


オイラは振り返った。

見えたのは人混みを誘導しに行った御侍様の背中だけだった。


すべて終わり、オイラ達は隣町に駆けつけた。


そこには、火に燃やされていた廃墟と空中に漂う灰だけが残っていた。


「御侍様は…御侍様のした事が正しいと思うの?」

廃墟の中で何かを探している御侍様を見て、オイラはこぶしを握り締めた。

「……」


御侍様は何も話さなかった。

返ってきたのは、御侍様の沈黙している顔と寂しい目だけだった。


御侍様はオイラの質問にたくさん答えてくれた。


どんな質問であろうと、彼は素早く正しい答えを見つける。


まるでグルイラオから来たあの機械という名の新しい創造物みたい。


精密で間違いがない。


しかし今回だけは御侍様は間違ったと、オイラは思う。


Ⅳ 茫然

爆竹の音がオイラの思考を遮った。


親しみのある硝煙の匂いが鼻先をくすぐる。


街のかけ声が唐突に耳元に響いてきた。


赤い色が目に入って、オイラは気づいた。


春節が、もうすぐまたやってくる。




食材を抱えて雑貨屋の入口に立って、オイラは足を上げては下ろす。


お正月用品……やっぱり買わないでおこう。


新年だけど、家の情況はとても喜ばしいとは言えない。


ため息をついて、オイラは笑って店主に手を振って家に帰ることにした。


この春節は、簡単に済まそう。




曲がり角を曲がってすぐ、オイラは驚いて歩みを止めた。


多くの人が家の前に集まって、小さい声で何やら話し合っている。


その人だかりに、オイラは家を間違ったのではないかと疑った。


突然の驚喜の呼び声がオイラの気を取り直させた。


「あれは餃子ではないか?」

餃子が帰ってきた!」

「……」


人混みがオイラに集まってきた。彼らの情熱的な顔を見て、オイラは思わず後ずさってしまった。


「あなた達は……誰?」

「私は豊城の張おばさんだよ、覚えてないの?」

「俺は隣の林おじさんだよ」

「……」


彼らは口々にオイラに事の経緯を説明してくれた。


彼らは皆、豊城の生き残りだ。


ここに来たのは御侍様に感謝を伝えるためだという。




大人達の笑顔と、子供達がおどおどして渡してくれた贈り物を見て、オイラはしばらく呆然とした。



声を聞いた御侍様が出てきた。


すぐ人々に囲まれて、感謝と祝福を受けた。


彼の長い間見せなかった笑顔を、オイラは見えた。


にぎやかな人々と御侍様の笑顔を見て、オイラは分かった。あの行いが間違ってなかったという事を。


この世界では毎日たくさんの事が起こる。オイラが見ていたのは表面だけだ!


なぜか知らないが、酸っぱい感情がオイラの心から湧き上がってきた。


オイラは……もっと内面的な事を理解したい。


オイラは……小さな感謝を御侍様のような人たちに伝えて彼らの笑顔を咲かせたい。


そうすれば彼らも分かるだろう。この世界の多くの問題の答えが1つだけではないことを。


Ⅴ 餃子

長きに渡る人類と堕神との抗争の歴史の中で、一城一地の損得は大したことではない。


ましてや、渦中の人々の生死は、尚更言及する価値がない。


平民のために自分の命、家庭、あるいはほかの何かを犠牲にした料理御侍は数え切れない。


犠牲を隠した選択は、後から全ての料理御侍の心を打ちのめし続ける拷問となる。


その選択は本当に価値があるのか。本当に正しいのか。


それは永遠に解けない。比べようのない問題だ。


餃子は彼のそばで、犠牲から救いまで、不理解から釈然までの過程を経験した。


幼い外見の彼はある道理に気づいた。


すべての問題に唯一の解答があるわけではない。毎回の選択に価値があるかどうか、正しいかどうかで判断、評価できるわけではない。


餃子の御侍様が天寿を全うした後、彼は旅に出ると決めた。


彼はより多くの同じ苦しみをした人を見つけたい。彼らの経歴を知り、彼らが選んだ選択を知りたい。


彼らが自分を救えるような答えを見つけるように手伝いたい。





今日は、餃子がこの町に残る最後の春節だ。


「今日が終わったら、ここを離れるんだ」


餃子はお手製の福幣を配りながら、目的を持たずにブラブラしている。


旅に出るとは言うが、餃子に明白な目的があるわけではない。

長年ずっとこの小さな町で暮らし、出ていったことがないから。


その時、餃子は人混みで2つの姿を見た。


1人はあちこち副貼を配ってる女の子、もう1人は寸歩も離れず彼女を守っている青年。


「よそ者か?」

餃子は彼らのことを知らない。この町に外の人が来るのは久しぶりだから。


「彼らに外の世界の事を聞いてみよう」



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コメント (餃子・エピソード)
  • 総コメント数6
  • 最終投稿日時 2019/04/08 17:21
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ゲーム情報
タイトル FOOD FANTASY フードファンタジー
対応OS
    • iOS
    • リリース日:2018/10/11
    • Android
    • リリース日:2018/10/11
カテゴリ
ゲーム概要 美食擬人化RPG物語+経営シミュレーションゲーム

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