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トッポギ・エピソード

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トッポギのエピソード

キムチの妹、歌が達者な旅芸人。厳しい物言いをするが、優しい心を持っている。

感受性が豊かなため、涙もろい。キムチに「泣き虫」とからかわれている。

他のだれかの歌声でキムチに舞ってほしくないので、日々歌の練習に励んでいる。

歌が上手な食霊を無意識にライバル視してしまう。

Ⅰ 進んで、歌って

太鼓の音に合わせて、彼女が長い袖を振り回して踊り始めた。


その美しい姿、誰もが惚れるだろう。


まるで体で詩を書くような優雅な動きに、陶酔しない人はいない。


やはり姉様の登場、何度見ても飽きないわね。

と思いながら、私もリズムに合わせて歌い始めた。


「昔の物語は悲しいか?」

「なら思う存分踊ろう。」

「思い出を思い出して泣いてるか?」

「なら思う存分歌おう。」

「悲しみや切なさをここで終えよう」

「……」


青い空の下に、私と姉様が、自由に思うことを演じている。


一曲が終わって、私は姉様に寄り添い、少し休んだ。

「姉様、次はどこ行くの?」

足を振りながら聞いた。

「……南にしよう。」


姉様が指で太鼓の鼓面を叩き続けて、しばらく後に答えを出した。話が終わらないうちに、彼女は突然起きて、私に声をかけた。


「ポギちゃん早く、いい動きを考えたの」

「え?お!ハーイ~」


ちょっと姉様を追わないと。私もすぐ起きて、随時歌えるように準備した。


太鼓の音が再び鳴った。私の歌声とお姉ちゃんの踊りがもう一度原野に咲いた。


各地に遊歴して、途上に歌と踊りを演じる、これは私達の日常生活である。


Ⅱ 距離

姉様の踊る姿は一番美しい。もっとも優秀な舞手でも敵わない。


ずっと姉様と共にいて、歌の相手である私が、誰よりもそれを肯定している。


でも、あんな優秀すぎる姉様でも……


「あーあー、ゲホ、ゲホ」

私はテーブルに手をついて軽く咳をした。鏡に映る自分の表情はちょっと辛そう。

心が鎮まないせいか、口を開いたらすぐ間違った。

隣のハチミツ水を取って一口を飲んだ。


「難しいね……」

私は両手を頬杖をついて、鏡に弱音を吐いた。

「姉様がすごいのよ……私の歌じゃ敵わないわよ……」


この間の練習で気づいたの、いつの間にか私の歌は姉様の踊りと距離を取った。

窓外の庭では、姉様がまだ踊りの練習をやっている。その練習の様子を見て、思わず心の中でため息を吐いた。


「どうしよう…」

「ポギちゃんどうしたの?何かあったの?」


ある日、共演が終わった後に、私は呼び止められた。姉様が私の頭を撫でて、心配そうな目で私を見た。

「……いいえ……大丈夫よ~」

私はちょっとびっくりしたけど、笑って話を逸らした。

姉様に心配をかけたくないし、迷惑もかけたくない。

部屋に戻ったら、私は鏡に向かって拳を握って、自分に励ました。

「頑張って!きっと姉様についていけるよ!」


それに、私は姉様に気づかれないように歌を練習した。

疲れたけど、姉様が私の歌に合わせるため自分が思う存分に踊れない状況を考えると、その悩ましさはもっと辛いはず。


そんなはずはない。


努力には報いがある。連日の練習は効果が出たようだった。

またある日、私と姉様はある町の広場に即興で実演した。


今回の姉様の踊りはいつもより素早くてしなやかだった。これでも姉様の限界ではないと感じたが、心の中に多少落ち付く感もあった。


周りに見に来る人が多くなった。人々が姉様を見る視線を感じて、私もより嬉しく歌えた。

「ようやく……ようやく少し追いつけたよ。」


心の底で、私は自分にこう言った。


Ⅲ よそ者


実演が終わったら、私は一刻も早く姉様にこの喜びを教えたい。妹が頑張っていると教えたい。


しかしもうすぐ休憩所に着くところで、私は止まった。

姉様は見知らぬ男と話している。

話が聞こえる距離ではないため内容は少ししか聞こえない。


「好きだ……」

「歌い……私が……」

「いいよ……」

この会話の断片を聞いて、私の胸が急に痛くなった。

姉様に嫌がられたような感じだった。

落ち込んだ私は住居に走って戻った。


自分の部屋のベッドに飛び込んで、顔を枕に埋めた。

あの男の顔を考えるとムカついた。

「姉様は絶対譲れない!」


夕暮れ、宿屋前。


「こんばんは、トッポギさん。僕は鄭陽といいます。」

一人の青年が礼儀正しく私と挨拶をしている。

やはり、その男は姉様について帰った。何よそのわざとらしい態度、私が何も知らないと思ったか。

「……ふん!」

思った言葉を口にせず、私はいやいや手を差し伸べた。

「えっと…」

鄭陽はちょっと困った顔をして、気まずくなった。


戸惑う青年と姉様を置いて、私は走って部屋に戻った。

こんなやつを連れてきたなんて、姉様も私より彼の方が優秀だと思っているの?

私は足を抱いて、部屋の壁の隅にくしゃくしゃに丸まった。


翌日の朝、私は早々と練習の場所に来た。

姉様があの嫌なやつと仲良く話している状況を見た。

ぐぬぬ……大人しい姉様があんなに笑ってるなんて……

ふん!きっと口だけ上手のやつだ!と、心の中でこっそり非難した。


試合だったら絶対負けないから。


「私の…負けだ」

一曲終わったら、驚きすぎて何も言えなかった。

認めたくないけど、こいつ本当にすごい。

そして、鄭陽が私の前に来て、小さい声でこう言った。

トッポギさん、この歌の三節目はちょっとトーンを下げたらもっといい効果が出ますね」


な…なに!わざわざ私をからかいに来たの!?

彼の顔をじっと睨んで、私はとてつもない憤怒を感じた。

待ってろ!必ず超えるから!

Ⅳ 時宜に合わず


練習・練習・練習


あの朝以来、私は狂ったようにすべての空き時間を利用して歌の技術を練習している。

私の位置はそんなに簡単に奪えないものだと思い知らせてやる。


……と言っても。


あの鄭陽は本当にすごいやつだ。

話せば話すほど、彼の凄さがわかった。

それでも私は諦めない。

姉様の踊りと合う歌い手は、私でなければならない!


ある日、私達はある町からの招待を受けた。

そこの広場で実演させたいようだ。


「絶対負けない!」

実演の前夜、私は一人で部屋で歌ってみた。

鏡の中の自分に拳を握った。

明日の実演、絶対!絶対にあいつを超える!

姉様に私が一番のパートナーと証明してみせる!



鄭陽と姉様がみんなの期待を浴びて舞台に出た。予定では一曲目は鄭陽と姉様が演じて、次は私と姉様だ。


太鼓が鳴り始め、鄭陽も頭を下げて歌い始めた。


その重厚な声は魔力が込められているかのように、最初からその場にいるすべての人を惹きつけた。


そして、姉様も太鼓を打ちながら、ビートと合わせて優雅なステップで表現した。


「一の山を越えるように、千の川を超えるように。」

「春と秋を繰り返して、カゲロウの生涯を超えた。」

「笑いながら酒を飲もう、悟ったら全部見通そう……」

「……」


二人の歌と踊りは一つの絵巻になったように美しい。


その完璧なコンビを見て、私の心はまた痛くなってしまった。


私も舞台に出たい……

突然この時宜に合わない発想が頭に浮かんだ。

私は思わず前に一歩踏み出した。

私も舞台に出たい……

誰かが私の耳に囁いたように。


太鼓が止まって、歌も止まった。この曲は転折のところに進んだ。


しかし予想外の足音が突然鳴った。

私も舞台に出た。

一曲目の真ん中、まだ終わってない時。

私はルールを守らない客のように、展開された調和の絵巻を破った。


「ポギちゃん……」

姉様の低い声を聞いた。

そして……


「酒が尽き、思念は透った」

「愛も憎も一瞬で逝って、日と月こそ永遠なり……」

私は完璧に繋げた。


鄭陽はびっくりしたが、すぐ微笑んで下がった。

姉様もすぐ歌に合わせて、再び踊り始めた。

誰も信じられないだろう。こんなリハもない突然の状況で、今回の実演がさらなる高みに至った。

一曲目が終わったら、しばらくの沈黙の後に続いたのは、爆発のような歓声だった。

実演は……「成功」だった。


私達三人だけ真実は違うと知っていた。


私はまだ心が静まっていない。自分の挙動により不安と恐れに加え、自分を突破して素晴らしい歌を演じた自負もあった。その複雑な心境を持って、私は姉様を見た。


そして姉様の目に、責める感情を見た。


なによ……私があいつから注目をかっさらったせい?でもどう言っても、私はもうあいつより上手になった!

と思いながら、悔しさと自慢半々で姉のその視線に反抗した。

姉様の側は、誰にも譲れない!


Ⅴ トッポギ

光耀大陸の北辺境に、こんな面白い話があります。


二人の可憐な姉妹が、旅の芸人として、大陸の辺境に歩き回っていた。


妹が歌って、姉は踊る。その二人の実演を見た人は、誰もが惚れた。


しかしいつの間に、妹は自分の歌が姉の踊りに合わせるのがますます難しくなった。気づいたらすでにかなりの距離を取らせた。


状況に気づいた妹はとても辛かった。姉の足手まといにならないように、 こっそり練習を始めた。


だが彼女を愛する姉を騙すことはできなかった。


妹を心配しているが、その努力を阻止したくなかった。


偶然に、姉は昔の友人と出会った。その友人は異国で有名な若い歌い手であった。


その若者は姉妹の共演を見た後、妹の歌を気に入ったから、 姉の願いを受け入れた。「妹に歌の技術を教えて」 と。


しかし、いろいろな予想外の状況のおかげで妹はその若者が自分に代わって、姉とコンビを組むと誤解したので、異常な敵意を持っていた。


結局誤解を解けぬままで、二人はお互いに交流し勉強を始めた。


すべて完了した後に、この誤解はようやく解けた。


「で、あんたは姉様を奪うつもりはなかったの?」

トッポギは呆然とした顔をして鄭陽に聞いた。

「どうして僕がキムチさんを奪うのですか?」

鄭陽は苦笑した。


「いつも僕にきついことを言った理由はそれですか?」

「じゃ、あんたは姉様と初めて会った日になにが好きとか言ってたわよね?」

トッポギはちょっとためらった。

「なんのことでしょう。」

鄭陽は必死に思い出そうとしている。

「あ!それか。君の声が好きだ、助けても構わないとのことですね。」


「じゃ、なにか歌い…私がとかは?」

トッポギはまだ信じていない。

「それは歌い方を私が彼女に教えてあげようと!」

鄭陽は怒る半分笑う半分でトッポギの頭を軽く叩いた。

「立派な大人なのに、なんでそんな子供みたいな発想ばかりするんです? 」

トッポギは頭を伏せて、恥ずかしくてちょっと下がった。


悔しいけど、嬉しい。

姉様が私のであるなら大丈夫!と思いながら、トッポギキムチの胸にペットのように甘えた。


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ゲーム情報
タイトル FOOD FANTASY フードファンタジー
対応OS
    • iOS
    • リリース日:2018/10/11
    • Android
    • リリース日:2018/10/11
カテゴリ
ゲーム概要 美食擬人化RPG物語+経営シミュレーションゲーム

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