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火鍋・エピソード

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火鍋のエピソード

笑顔が明るく思いやりにあふれ、麻雀をこよなく愛する。とりあえず麻雀を一局打てば大抵の悩みは吹っ切れる。友人が多く、平日にパーティーを開いたりしている。


Ⅰ 痺れる

食霊として生まれてきたとき、人間はあたい達よりずっと強い存在だと思ってたけど、

後でそれが違うことを知った。


玉京の動乱の後、安全の保障を失った人々はまるで萎えたトマトのように、誰に何をされてもまったく抵抗しない。

あの時、平和を失った光耀大陸の人々は、まるで魂を無くしたように落ち込んでいた。


今日も玉京からたくさんの人が逃げ出した。

冬の最も寒い日に、血の気のない顔が恐怖に満ちて、ぶるぶる震える口が冷たい空気を呑んでは吐き出していた。それは今まであたいが見た中で人間の最も悲惨な様子だった。


やじ馬していたあたいは、だんだん申し訳なくなってしまって彼らを助けてあげると決めた。

しかしどう励ましてあげても、彼らはずっと絶望の中に隠れて、まったく活気が出ない。


「えい、この腰抜けどもが!空が崩れ落ちたわけでもなし、これくらいのことでへこたれるな!」

こうやって罵ってやったら、ようやく彼らは少しだけの気力を取り戻した。


「……どのみちもう終わりだ」

罵られて喜ぶはずもなく、彼らは依然としてぼうっとした様子。


「情けない!これから、あたいが面倒見てあげんよ!」

死んでいないのに生きる気力を感じられない彼らを見て、なんかイライラする……。


今は怒るより、まずは彼らに安全な居場所を探してあげたほうがいいだろう。

彼らもこの点に関して一応は同意して、あたい達は共に玉泉村に行くことにした。道中たまに堕神に襲われたけど、あたいともうひとり神官を守る食霊がいるから、これくらい大したことはない。


本当に面倒くさいのはこの人たち自身だ。


玉泉村に着いた後、村長は丁寧に対応してくれたけど、あたいらが来る前にもうたくさんの人がここに逃げ込んだから、村にはもうあたいらを受け入れる余裕がないらしい。

あたいらはしばらく瑠璃箪湖の湖畔で野宿することになった。情況はあまり良くなっていないけど、いつ命を落とすかもわからない玉京よりはずっといいだろう。


Ⅱ 辛い

神官を守る食霊は玉泉村であたいらと別れて、望京に向かった。

彼の話では、神官があそこの朱雀様に事情を伝えれば玉京は救われるらしい。


でも、あたいらはそれまで待つしかない。



この寒い中、村から送ってきた布団はあるけど食べ物が足りない。

こんな状況じゃ、太陽が出る時はまだいいけど、夜になったら飢えで体温を保てない人々は肩を縮めて震えるしかない。


「おい、あたいが暖かい食べ物を作ってやる。食べるか?」

「食べ物があるのか?」

落ち込んでる時は腹いっぱい食べて体を温めればいい!


食べ物と聞いて、みんな元気になった。


「食材はどうにでもなるけど、肝心なのはあたいの腕前だな」

まだ動ける人を呼んで湖畔を回ったら、冬に生える野菜が採れた。種類は少ないけど、こんな状況じゃあ贅沢は言えないだろう。


「よし!」

「こ、これだけか?」

「こんな季節でこれ以上は見つからないよ!」

「で、これからどうする?」

「まあ見てて。あたいには伝家の宝具があるんだ!」

火をおこし村から借りてきた壺で料理を作る。料理が完成したとき、あたいの周りは香りに釣られてきた人たちが寄ってきていた。


「さあ、こんな状況だ。一人一すくいしかないけど我慢してね!」

言ったそばから無駄だと気づいた。一日中ほとんど何も食べてない人々は食べ物と聞いて我慢できるはずがない。


でも、一番先頭の人がスープを飲んですぐ吐き出した。


「けほけほ!うう!な、なにこれ?」

「もちろん宝具の効果さ!ほれみて~!」

カバンの中から小包を取り出して開けてみせた。中にあるのはあたいが唐辛子などの辛い物を細かく砕いて作った調味料の粉だ。

「これがあればこんな状況でも温まるだろ?どうだ、まだ寒いか?」


そいつは軽く胸元を撫でて、頭を横に振った。


「お、俺にもくれ!」

「私も!」

「私の子供にも……!」

縮こまってた人々はようやく動き出した。


Ⅲ 風味

寒い中でも、少しの野菜を入れた辛いスープを飲むと、人々の青白い顔にようやく血の気が戻ってきた。


元気になった皆が今後のことを話し合い始めたのを見て、あたいもホッとした。

今までの苦労は無駄じゃなかったな。


「お姉ちゃん、お姉ちゃん」

何人かの子供たちが、いつの間にかあたいのそばに集まってきた。


「……お姉ちゃんは食霊なの?」

「うん、そだよ!」

あたいの答えを聞いて、一人の子供が嬉しそうに自慢し始めた。

「ほら見て、僕の言った通りだろ。お母さんから聞いたんだ。お姉ちゃんは今日ずっと僕たちの面倒をみてくれたし、堕神も撃退してたんだよ!」

「ハハハ、口がうまいねこのチビ!」

努力が認められたみたいで、嬉しくてあたいはチビの顔を軽くつねってやった。


「お姉ちゃん、なんか面白いこと見せて?」

「うん?何を?」

子供達が期待に満ちた目であたいを見てきた。何かやらないと見逃してくれないだろう。

「いいよ!今日はお姉さんが特技を見せてやんよ!」


あたいには堕神と喧嘩する以外にもう一つの特技がある――変面だ。

今まで一人で過ごしてきたから誰かにこの特技を見せたことはなかった。今日ようやく披露することができる!


夜になって雪が降り出した。瑠璃箪湖の湖畔一面の浅い白の中、このかがり火だけが暖かい赤を照らし出している。

それが人々の楽しい顔を照らして、心を覆っている暗い影を追い払った。

驚喜の喝采の声に、まだ寝ていない玉泉村の人たちや他の人たちまで引き連れてきた。彼らは持っていた食料と酒を持ってたくさんここに集まってきた。


元々の臨時難民キャンプは、今はまるでお祭りになったみたいだ。


Ⅳ 香る

朱雀様が玉京に着き、新しい神君となった。


あの食霊は神官を望京に送り届けただろう。

そのことが玉京からこっちに伝わってきた時、たくさんの人が涙を流した。

いずれにせよ、平和がもう一度玉京に訪れた。


あたいは彼らを玉京の城外に送り届けた。

今の彼らはもう恐怖が消えて、逃げ出した当時とはまるで違う。


これであたいの役目も終わった。


この場所を離れようとすると、あたいの袖があの時の子供たちに掴まれた。

「お姉ちゃん、行っちゃうの?」

「チビたちどうした?」

「行かないで」

「いっしょに玉京に帰ろう、いっしょに楽しく遊ぼう!」


この子達はあたいを行かせたくないみたいだ。これが人間の「寂しい」という感情だろうか。


「いっしょに玉京に行くか?それも悪くないけど……」

世の中にはあたいの助けが必要な人が、まだたくさんいる。

しばらく考えて、あたいはポケットの中から一枚の麻雀牌を取り出した。


「良く覚えておいて。人の運命は麻雀と同じくはっきりとつかめない。しかし決定権は君たち自身の手にある。例え強くなれなくても、少なくとも運命と対面したときに迷わないように努力できれば上出来だ」

可愛い顔を軽くつねって、あたいは身を翻して離れていった。




………………

その後、一緒にいた食霊と再会して、あの人達を助けた時の事を話したら、彼は面白い話だと言った。

話を聞くことが好きな彼は、この事は美談として伝えていくだろうと思った。でも、それはまだ先の事だ。


今期待する事は、あの子供たちの成長。

もしいつかまた出会う事があれば、その時はしっかりと彼らを褒めてやらんとな。


Ⅴ 火鍋

とあるレストラン――

中から「トトトトト」と音が伝わってきた。


全身真っ赤な少女がキッチンからホールまで若い支配人を追いかけて、相手を壁際まで追い込んだ。


「御侍!一局付き合ってくれてもいいじゃん!?」

「私はあまり得意じゃないから!それにまだ店を見ておかなければならないから、他をあたってくれ、女傑!」

「得意じゃないならあたいが教えてやるって!それにこんな昼のど真ん中で客なんて来ないよ!」


「あれだ、ライス、お前が付き合ってやれ!」

「へ!?ラ、ライスも、得意じゃないので……」

「こら、女の子をいじめるんじゃなか!」

「え?じゃお前が私をいじめるのはいいのか?」


騒いでいると、一人の白髪の少年がレストランに入ってきて目の前の光景を見て訝しそうな表情を見せた。

火鍋、それと……君達は何を……」

「おお、ようやく助けが来た!イキ、お前がこいつに付き合え!」

「は?な、何に?」


「なに人に押し付けてんだ!こいつが麻雀できる保障はあるんかい?」

「麻雀?できるよ、以前お父さんと一緒によくやってた。舐めてもらっては困るな!」

「ほお~、おとんから教わったんかい?」

「そうだよ。麻雀を打つことは運命を選択する事と同じってお父さんが言ってた。どんな牌を打てるのかは、結局自分次第だって」

白髪の少年は得意げにそう言った。少女は立ち上がって彼を見つめる。


「……それ、あんたのおとんが言ったのか?」

「そうだよ。それがどうした?」

「ぶっ、はははは!いやはや、よくわかってるじゃないか、あんたのおとんは!」

なぜか知らないが、少女は容赦なく白髪の少年の頭をもんで、楽しそうな笑顔を見せた。


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  • 総コメント数26
  • 最終投稿日時 2019/04/14 08:08
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ゲーム情報
タイトル FOOD FANTASY フードファンタジー
対応OS
    • iOS
    • リリース日:2018/10/11
    • Android
    • リリース日:2018/10/11
カテゴリ
ゲーム概要 美食擬人化RPG物語+経営シミュレーションゲーム

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