恐怖の遊園地・ストーリー・サブお化け屋敷
④お化け屋敷
28.キャストの日記
物語 女の子の空中ショー
ピザ「ふー、ふぅ。……ここならお化けはいないようだな。」
ピザ「ゆ、幽霊は?」
カッサータ「今のところ、いないみたいね。」
ピザ「ああ、やっと一息つける……」
チーズ「──ねぇ!ちょっと見て!ここにも日記があるわよ!」
カッサータ「おや、このにっきは写真付きか…キャストの日記らしいな。」
チーズ「???どうしてわかるの!」
カッサータ「勿論、そう書いてあるからに決まってるだろ。」
ピザ「日記になんて書いてあるんだ?」
カッサータは写真と日記をピザに手渡した。写真に写っているのは体のラインが目立つ服装をした女の子で、顔の大きな青あざがどうしても人目をひいてしまう。
ピザは視線を日記に戻す。
「9月1日
やった、やったわ!家出っ子の私もここに来て3年、やっと団長に空中ショーを教えてもらえることになったわ。なにもかもこの日の為にやってきたんだから!
危険だって、構いやしないわ。この顔の青あざに驚きの声をあげるのではなく、観客が私のショーに喝采を浴びせてくれさえすれば、死んだって、悔いはないわ!」
チーズ「随分強い子ね……」
カッサータ「そうだな、同感。」
お化け屋敷のキャスト(布)「ううう〜〜〜〜〜〜ああああおおおお〜〜〜」
ピザ「!!追ってきたぞ!逃げるぞ!」
29.キャストの日記2
物語 踊り出す男の子たち。
カッサータ「え?この写真……」
カッサータ「見てみろよ、この写真にうつってるバレーダンサー、男じゃないか?」
チーズ「どれどれ───あ、本当だわ!」
ピザ「わ、スカートの衣装着てやがるぜ!男がスカートなんてよ…」
チーズ「あら、写真の裏になんか貼ってある。」
「団長、嘲笑う事も、追い出しもせず、こんなきれいな衣装で踊らせてくれて有難う。僕たち、きっとすばらしいショーをみせて、恩返しするから。」
カッサータ「スカートはいて踊るのが好きな男か?」
ピザ「サーカスの団長、ほんと、随分いい人だな……」
カッサータ「こんなふうに表舞台でおどるなんて、相当勇気がいるな。」
チーズ「そうよね…ピザは絶対スカート履いて踊る勇気なんてないものね!」
ピザ「オレは勇気がないんじゃない!スカートなんて履きたくねぇよ!」
チーズ「あらーーー」
カッサータ「あらーーー」
ピザ「信じねえなら、勝手にしろよ!行くぞ!」
30.ライオンと飼育員
物語 かわいそうなライオン。
チーズ「しっ……何か話し声が聞こえる、ここよ、ピザ静かに。」
ピザ「なんだって俺だけに注意するんだよ。」
カッサータ「しっ───!」
お化け屋敷のキャスト(布)「今日もまたライオンに餌やってないのか!」
お化け屋敷のキャスト(馬)「すすすすすみません!今すぐやります!」
お化け屋敷のキャスト(布)「待て!お客さんをおもてなししてからだ!」
お化け屋敷のキャスト(馬)「はい!」
お化け屋敷のキャスト(布)「ったく、飼育員だろ、ちゃんと面倒みてやれ。あいつも可哀そうなんだ。」
お化け屋敷のキャスト(馬)「はい、お話はきいたことが…サーカスの動物たちは皆、以前はものすごくお腹をすかせていたって!」
お化け屋敷のキャスト(布)「わかってるならちゃんと面倒みてやれ!昔、別のサーカスにいた時はいつもお腹を空かせていて、ちょっと盗み食いをしようとしたら、叩き殺されそうになったんだ。団長がお金を出して、何とか助けだしたのも、そんな目に二度と会わないようにだろうが!」
お化け屋敷のキャスト(馬)「はい!ちゃんと面倒見ます!」
チーズ「ライオン、かわいそうね…。」
ピザ「おかしいな。遊園地はこんなにぼろぼろなのに、ライオンなんてまだいたか?」
カッサータ「知るかよ。いずれにしろ、サーカスに行けばわかるだろ。」
チーズ「じゃ、はやくいきましょう!」
31.キャスト大喧嘩
物語 喧嘩を始めたキャストたち。一体どうしたのだろう。
ピザ「おやおや?ちょっと聞いてみろよ、なんか、喧嘩してるみたいだぞ。」
チーズ「こんな時に喧嘩?あたしたちを驚かすんじゃなかったの?」
カッサータ「まったくだらしないキャストだな…」
お化け屋敷のキャスト(布)「ーーおまえなんかさっさと死んじまえ!」
お化け屋敷のキャスト(馬)「とっくに死んでるよ!」
お化け屋敷のキャスト(布)「あ、そうだった…俺らはとうの昔に死んでたんだっけ。」
お化け屋敷のキャスト(馬)「団長が目をさましていらい…」
お化け屋敷のキャスト(布)「団長がおかしくなっちゃった!オレ達全員、殺されちまったああああああ!」
お化け屋敷のキャスト(馬)「落ち着けって!でも今はこうやって生きてるじゃないか!」
お化け屋敷のキャスト(布)「そうだな、オレ達まだ動いてるものな。仕事仕事、なっ!」
お化け屋敷のキャスト(馬)「おお!」
チーズ「???一体、どういうことなの!」
ピザ「まったくわからん…」
カッサータ「でもまぁ、面白いじゃないか。」
32.キャストが泣いている
物語 頭を悩ます泣き声。
カッサータ「んん?さっきのあの部屋……」
カッサータ「あの部屋で、だれかが泣いているような。」
ピザ「そ、そんな…おどかそうとしてるんだろ。」
カッサータ「そうとは思えんが…行ってみよう。」
お化け屋敷のキャスト(布)「うううう…怪物だ、俺はやっぱりあの怪物だ。」
お化け屋敷のキャスト(馬)「おい…泣くなよぉ。俺まで泣きたくなっちまったじゃねぇか。お、俺たち、怪物になっちまったけど、我を忘れた団長に比べりゃ、ずっとマシだろ。」
お化け屋敷のキャスト(布)「で、でも…そんなこといったって、やっぱり怪物だ。…団長さえ、団長さえ…」
お化け屋敷のキャスト(馬)「団長、もう謝っただろ!団長だって、殺そうと思って俺たちを殺したんじゃない…あんなにいいひとだったんだ…俺たち、団長を責めちゃいけないよ。」
お化け屋敷のキャスト(布)「ううううう…」
お化け屋敷のキャスト(馬)「うう…泣くなって、俺まで泣きたいよ。いやっ、泣いちまってるじゃねぇか!お客さんを楽しませなきゃならねぇってのに!なくなって!うええん…」
ピザ「邪魔しないで、戻るか…。」
カッサータ「同感。」
チーズ「…チーちゃんも同感。」
33.時間がない!
物語 ショーまで時間がない。
チーズ「わあーーー!!!!!放して!!!!」
ピザ「そいつを捕まえろ!チーズのスカートを引っ張ってやがる!!!!!」
カッサータ「女の子に手を出すなんて、シバかれたいのか?」
お化け屋敷のキャスト(布)「すみません!!わざとじゃないんです!!でももう時間がないんです!!!!」
カッサータ「何がだ?」
お化け屋敷のキャスト(布)「団長はますます自分をコントロールできなくなって、理性を保っていられる時間が益々短くなり、今はもうほとんどショーのことしか覚えていないんです。もし、もしショーを観てくれる人がいなかったら、なにもかも、ひとつ残らず忘れてしまう…」
チーズ「うん…そういう事なら、まっ、いいか…」
ピザ「だからって、女のスカートを掴んでいいはずないだろ!!やっちまえ!!!」
お化け屋敷のキャスト(布)「わ!たすけて!!」
34.落ちていたブローチ
物語 見覚えのあるブローチ。
ピザ「ああああ!!!やべぇ、マジでこえぇ———!!!!!」
お化け屋敷のキャスト「あ!」
ピザ「オ、オレ、ゆ、幽霊見ちまった!」
カッサータ「キャストに合っただけだよ…いや、待て、あれはーー!」
カッサータはピザがぶつかったキャストの足元に見覚えのあるブローチを見つけた。銅製の二つ頭の蛇が一本の柱に絡みついている――ウィスキーの紋章だ。
ピザもそのブローチに気付き、さっと顔色を変える。さっきまでの驚きは雲のように散り去ってしまった。
ピザ「どこで手に入れたんだ?!」
お化け屋敷のキャスト(馬)「こ…これは手品師さんの部屋で見つけたんです。これが何か?」
チーズ「ねぇねぇ?どうしたの???」
カッサータ「いや、何でもない、ただ…少し急ごうか。」
ピザ「同感。さっさと行こうぜ。」
チーズ「ちょっと二人とも…ねぇ!ピザ!そんなに急がないでよ!待ってってば―――」
35.キャストの本心
物語 団長の願いは、叶うのだろうか。
カッサータ「おい!」
お化け屋敷のキャスト(布)「え?わ!なんで見つかったんだ?う…う…俺はもう首だ…」
チーズ「…この人いったい何なの?なんでこんなに泣き虫なのかしら?」
ピザ「おいおい、泣くなよ。聞きたいことがあるんだ。」
お化け屋敷のキャスト(布)「な、なんですか?」
カッサータ「アンタとアンタの仲間はみんな、団長にこんな姿にさせられたのか?」
お化け屋敷のキャスト(布)「は、はい…」
ピザ「じゃ、恨んでるか?」
お化け屋敷のキャスト(布)「そ、それは…恨んだこともありました。でも団長は何と言っても団長です。団長がいなかったら、私たちもあの日まで…生きてこれなかった!だから…」
カッサータ「だから、団長をたすけてあげたい、か?」
お化け屋敷のキャスト(布)「えぇ…団長の願いを叶えてあげたいんです。そうすれば、安心してこの世を離れられるでしょう。団長だってそもそも私たちの為に…」
チーズ「そんなこと言わないで、団長もアンタ達をせめてなんかいないぞ。」
お化け屋敷のキャスト(布)「本当にそう思いますか?」
チーズ「当然でしょ!団長のこと、信じなさい、昔のままの団長だよ!」
36.吸血コウモリ
物語 真っ暗なお化け屋敷でピザが見たもの。
ピザ「なぁ…この道、どんどん暗くなってる気がしないか?」
カッサータ「そうだな、道の先も真っ暗だ。」
ピザ「先に進まないほうがいいだろう!」
チーズ「ねぇ、二人とも、何かきこえない?」
カッサータ「うん?なんの音だ?」
チーズ「翼をはためかせる音…みたい!ねぇ、こんなに暗いし、もしかしてコウモリとか?降り立った途端、吸血鬼に変身!なぁんてね。」
カッサータ「お前、食霊だろ。吸血鬼なんか、怖がる必要ないだろ。」
ピザ「そうさ、吸血鬼もオレの血は吸えないぜ!」
一匹のコウモリが頭上をかすめ、ピザは驚きのあまり飛び上がった。
ピザ「コウモリ!吸血鬼か!やっぱり道を変えよう!」
チーズ「ハハハ!おバカなんだから。」
カッサータ「おいおい、笑ってるばあいじゃないだろ。追いつこうぜ、出ないとどっかにいっちまう。」
チーズ「わかったわ。」
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