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【白猫】The World of Guilty 2 Story1

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目次


Story1 古戦場の島

Story2 騎士の罪

Story3 聖霊

Story4 迫害




登場人物


ルウシェ・エルレンシア cv.東山奈央
聖霊協会の象徴たる<贖罪の聖女>。
魔神封印の依代として幽閉されていた。
アシュレイ・ディナ cv.速水奨
聖霊教会に所属するアルマ憑きの騎士。
血塗られた過去に苦悩し、教会を離反する。



story1 古戦場の島



世界がどれほど醜いか。ルウシェほど理解しているものはいない。

たとえ世界に、救われる資格が無くても、ルウシェは救おうとするだろう。

俺のしていることは、無意味だ。

……だが、最後に……


騎士様。

――何だ。

これから行く島は、どんな島なんですか?

古戦場の島クァナン。特に語ることもない島だ。


…………

……


アシュレイ殿。よくぞお戻りで……

ディナ家の方が、再びこの島にいらっしゃるとは……


長居をするつもりはない。

騎士様……?この島にいらっしゃったことが?

俺は、ここの生まれだ。


…………

……


「司祭になりたいだと?」

「はい、お父様……」

「覇気のないことをいう。俺がお前くらいの時には、冒険家に憧れた。」

「……でも。」

「わかっているぞ。お前は祈りなどに興味はない。」

アシュレイの父は、机の上に置かれたノートを開いた。

「僕のノート……!」

「詩学を学びたいのだろう。聖霊教会では、そういうものも教えるからな。

「……そうです。」

「まあ、いいだろう。司祭なら、食いっぱぐれもない。」

「やった!」


…………

……


「お兄様、行っちゃうの……?」

「うん。」

「ぐすん……私はイヤ。」

「仕方ないだろ?寄宿学校は、遠くの島だ。」

「おうちに帰ってくる?」

「もちろん、帰ってくるよ。」


「アシュレイ様、お時間です。」

「わかってるよ、じいや。」


…………

……


<アシュレイは、街中にあった聖霊教会の寺院の前で足を止めた>

ここには俺の家があった。

騎士様の……?どうして教会に?

異教徒に燃やされた。教会が建ったのは、その後だ。

……ルウシェ、お前に、話しておくことがある。

どんなお話ですか?

俺が背負った罪についてだ。



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story2 騎士の罪



――虐殺であった。

古戦場の島クァナンにはびこっていた<罪の教団>は反乱を企て――

アシュレイの一族は、反乱軍の手にかかった。

焼け落ちた屋敷を、少年はじっと見つめる。


「アシュレイ様。

――お父上は、立派な最期を、遂げられたそうです。」

「――母様は――僕の妹は――」

「異教徒に……殺されました……」

少年は、涙を流さなかった。

「――じいや。僕は、騎士になる。

異教徒共を皆殺しにする。」


…………

……



アシュレイは、聖霊教会の修道会の一つ、神殿修道会の修道士となった。

修道士とは、信仰と禁欲にその身を捧げる教会の信徒である。

しかし神殿修道会はただの修道会ではない。

神殿修道会の通称は、神殿騎士団という。文字通り武装集団であった。

成長したアシュレイは、そこで騎士として叙任された。


俺を動かすものは、異教徒への憎悪だった。

でも、騎士様は……

今の俺に、異教徒への憎しみは無い。だがあのときは違う。

幸いというべきか、戦う機会はすぐに訪れた。


罪の教団の教えを国教とさだめていた国家ペリシテに聖霊教会は宣戦布告。

ペリシテはクァナンを、己の傘下と加えていた。

連邦各国の介入したこの戦争は、聖霊教会の勝利と終わる。

戦いは、若者を――騎士へと変えた。


アシュレイは、墓標に花を捧げた。

戦いで散った同胞たちの墓標である。


あいつらは、苦しみのない場所に、いっただろうか。

わからない。だが……そうであってほしいと思う。

アシュレイ、決意は固いのか。

ああ、俺はアルマを背負う。


…………

……


アルマとは、意志をもつソウルの結晶。

聖霊教会がいうところの聖霊とはアルマのことである。


行け!我がアルマよ!

<アルマは人と契約して、様々な力を与える。>

この野郎!!

がっ……がふっ……

<聖霊教会は多くの聖霊を秘匿しており、様々な用途に使っていた。

アルマとの契約は、選ばれた信徒にのみ与えられる特権。

教会に身を捧げるという決断と覚悟の表れである。>

罪を抱える者たちを、聖霊の名のもとに裁く!この身は聖霊の剣なり!


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story3 聖霊



<アルマを背負うために、俺は自分を追い詰めた。>


はああっ!!

<砂漠での鍛錬は、数十日に及んでいる。

アシュレイに鍛錬を行うのは、聖霊教会が保有するアルマたちである。

そのアルマを操るのは、ただひとりの老人。>

それまで。

<アシュレイはその場で平伏する。>

アシュレイよ。汝に問う。我ら信徒の、為すべきことは何か。

人の世を、聖霊の御業にて救うことです。

ぐふっ……

汝の剣は罪に穢れている。汝の真意は救済にあらず。復讐であろう。

罪は争いを呼び、さらなる罪を呼ぶ――教会の教えを忘れたか。

……忘れてなど……!

がはっ……!?

悔い改めよアシュレイ。汝の信仰は異端である。


…………

……


<精根尽き果て、倒れたアシュレイは、砂漠に打ち捨てられた。>

はあ……はあ……納得しろというのか…………あのような不条理を!!

異教徒は討ち果たした……だが本当に罪深いものは、裁きを受けていない!

赦しなど不要……!!この手に罪を滅ぼす力を!


…………

……



そこは聖霊教会の聖地。あまたのアルマが封印される、拠点の一つである。

見込みなしか……

聖霊を背負うものには、生まれもった才能と覚悟。信仰。そして……

無償の愛が必要なのだ。怒れる若者よ。お前には何も背負えん。

――

……バカな、これは!

アルマが呼びかけに応えた……!あの若者に、呼応しているというのか!


…………

……


この、アルマは……

解るぞ。……お前ははぐれものだ。

<アルマの瞳に宿るのは、アシュレイもよく知る感情であった。>

焼けつくほどのその怒り。俺は知っている。


やめぃアシュレイ!そのアルマを背負ってはならん!

罪深き者を俺は赦さん。罪にはその血で贖わせる……!

来い!デュナミス!

アシュレイよ……その聖霊を背負いしものに、救いはないぞ!

もとより不要!

哀れな……

<老人の目には、涙があった。>

聖霊よ。もし慈悲があるならば。

この若者を今すぐ神気に返したまえ。

彼の魂が、これ以上罪を重ねる前に……


…………

……



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story4 迫害


騎士様は、罪と戦うために、聖霊様を背負ったのですね。

そうだ……この街は見ての通り、城壁に囲まれている。

はい。

異教徒は壁の外にいた。だが暴動が始まった日……

誰かが門を開け、異教徒を引き込んだ。

……どうして。

罪の教団の手のものが、街に紛れていたのかもしれない。

だが聖霊教会も。この島を火種としてペリシテヘの侵攻を望んでいた。

自作自演の芝居という可能性もある。

そんな……!

今となってはどちらでもいい。聖霊教会だろうが、異教徒だろうがな。

俺が憎んだのは罪そのものだ。断罪のアルマを背負えば、罪への復讐が叶うはずだった。

今から俺は、お前の命を狙った理由を話す。話を聞いた上で教えてくれ。

俺があがき、全てを投げ捨て、赦しを求めたこの世界。

この世界は――救うに値するのか。


…………

……





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