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【白猫】帝国戦旗 Story4

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最終更新者:にゃん

2017/10/13




目次


Story18 帝国の生まれた日

Story19 全ての道は帝国に通じる

Story20 仮面の下で

Story21 幕引き

最終話 さらば、逝くものたちよ



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story18 帝国の生まれた日


z――感知のルーンに反応なし。

航空型の魔物からも、応答なし。

z地下水道は?

z魔物が数体暴れています。

z幻視のルーンで監視を行え。

z――異常なし。


……感づかれてないのか。

ニナが、敵の使ってるルーンに、でたらめを送っている。

魔法を使った情報収集やカモフラージュは、彼女の十八番だよ。

あいつは<狩猟戦旗>だ。今は動けないはずだろう。

なので、離れた場所から私たちを支援してくれている。

……技術はあるようだな。

ニナに、ジュダが褒めていたと伝えておこう。

――とはいえ、グレイスルーンに近づくためには――

潜入のスキルがいるだろうね?


…………

……

警戒が厳重だな。

だったら、こいつで注意を引くとしよう。

待て、それは……骨か?

骨だ。一度置いたら、同じ手はしばらく使えないぞ。


――いっておくことがある。

何か何かな?

オペラ座の男が誰であろうが、俺は帝国の敵を滅ぼす。

心配は不要だ。


……

…………


<ルーンが光り輝いている……>


術式回路だな……とてつもない規模だ。

魔術か?

特殊な力をもった紋様だよ。特殊な力をもった紋様だよ。正確に刻めばソウルが宿り、ルーンと似た効果を持つ。

こいつが焙印のルーンを生み出す仕掛けか。ならば破壊する。

グレイスルーンが術式に組み込まれてる。下手に破壊したらその場で暴走するだけだ。

――この光は。

まずい……起動した……!


”ああ、やっとつながりました!みなさんご無事ですか!?”

そちらから術式にアクセスは可能か?

”やってみます……って!なんですかこれ!?こんな大規模な術式が……”

解析できるか……?

”もう始めてまーす!でも……ここからだと限界が!”

ということは……やれやれ、こちらで術式を止めるしかないな。

――持て。

(――来たか)


やれやれ、君たちはせっかちだなあ。

はっ!

ふんっ!

幻影のルーン……幻か……!

<周囲に、帝都の光景が現れる……>


こいつも幻影だな。

誰だ。

双頭の竜ツァラといえば……ピンと来るかな?

――自己紹介ありがとう。

そして――アイシャ。私は君の父だ。

――聞いたかジュダ。衝撃の展開だね。

共に楽しもうじゃないか。帝国の終焉を!



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story19 全ての道は帝国に通じる


<宮殿内には、多くの人々が集まっていた。今より、皇帝の演説が始まるのだ。>

ハァ……見渡す限りひとひとひとだわ!いろんなひとがいるわね?

これから何か始まるのかしら?

まるでお祭りみたいね♪

あそこから皇帝さんが話すの?マメツブよりもちっちゃいわね。


やあ、みなさん。まずは一言、お伝えしたい。

楽しんでるかい?

<歓声>

……ありがとう。少し、昔の話から始めましょう。

七王国より遠く離れた辺境の海域で、よるべなき人々が小さな国を作った。

獣人、半獣、妖精、人間。あらゆる種族のための国を。

あらゆる種族のための国……

我らのこの帝国は、人々の夢が作った国です。



<その場には、スピーチを続ける皇帝の幻影が映し出される……>

夢ときたか……汚らしいネズミの獣夢ときたか……汚らしいネズミの獣人が、調子にのったものだな。

バカげた夢だろうとも。だが、多くのバカが、あいつの後に続いた――

バカは嫌いなんだがね……

匂うぞ――そこにいるな――簒奪者……!

鼻が利くんだねぇ~。せいぜい無駄な足掻きをしたまえ。

アイシャ、術式は任せる。

――アイシャ、ね――いいだろう。任せたまえ。

チームプレイか。いいねぇ。

……なるほど、見事に凡庸でつまらん術式だな……ところで、君は誰だ?

この帝国の……真の皇帝だよ。君の父でもある。なんだか気恥ずかしいね。

あいつは死んだ。

私は不死身なんだよ。

疑わしいな――

あいつの術式はもっと気持ち悪い。これもダミー、こっちもダミー。フェイクだらけだな……

”ダメです、止まりません……!アイシャさん、逃げてください!”

楽しいかいアイシャ。こうやって一緒に遊んだねぇ。

君との思い出は特にない。

まだ認められないのかい?素直じゃないなぁ……


我々の夢を、絵空事ときめつけ、笑う者たちがいました。

手を取り合うことは、不可能。争いがこの世の真理であり、幸せになれるものは一握り。

世界は最初から白と黒に分けられていた。分断こそが、世界の摂理じゃないかとね。

――冗談じゃない――

我々は、知っている。摂理を超えた力があると。

あまたの苦難を乗り越え、私たちはこの日を迎えた。我らの夢は、永遠に続くのです。

帝国に幸あれ。


いいことをいうねえ。確かに分断こそ、摂理だ。

悲観的な決めつけは、真理とはいえないね。

ああ、ところで……この映像は、十分前のものだ。

――何だと――

ルーンはすでに起動している。帝国はすでに滅亡した。

<帝都の幻影は消えた――

広場は、魔物の群れに――覆い尽くされている――>

帝都だ……まるでカーニバルだね。

――そんな――

ああ、いいねえ……その表情が見たかった!

もっと見せてくれ!その絶望を!


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story20 仮面の下で



<ジュダは――ひたすらに突き進む!>

くそっ……気配を消したか。

――何をまごついている――

おいぼれ……!

――鼻をひくつかせて――何かを探すだと?――

――笑わせるな――望めばすべて――事足りるというのに!

――望めばいいだと……?戯言を……!だが――試す価値はあるか――

探るのではない。――引き寄せる!世界よ、奴の存在を暴け!


…………

……


いま帝都を閑歩するのは、魔物どもの群れだ……いずれは世界中がこうなる。

楽しいだろう?アイシャ……我が娘よ……

……くっ……

私はお前の本性を知っている。どれだけ人が死んでも、君の心はまったく痛まない……

君が関心を抱くのは、計算が困難な事象だけだ。

お前たちが、そのように作った。

そうだとも……!君を逃がしたのは、実に惜しかった――!

ところで……簒奪者くん。君は本当につまらん男だな。

<アイシャは……ジェリービーンズを、指で弾いて、口で受け止めた。>

カプチーノ味。逆転の暗示だ。

逆転……?

<アイシャは、帝都の幻影を指差した。>

――よく見て見ろ。建国記念日の出し物だ。――仮装行列だよ。

なんだと……!?

グレイスルーンは今どうなってる?

――ルーンが――停止を――

”アイシャさん、ルーンが……止まってます!!どうして……?”


……

…………


<ジュダとアイシャが出会い、初めて立ち寄った場所……>


どうしても寄る必要があるんだ。レヴナントはその後だよ。

<そこは、帝都のグレイスルーン……<道のルーン>を安置する場所!>


……

…………


グレイスルーンに何をした!

<拒絶>だよ。全ての干渉を拒絶している。

はぁ……?

父親だったら覚えてるだろ?私はレヴナントに<概念>を移植されていてね……

こんなバカげた力があるものか!

グレイスルーンの機能を<拒絶>することは、私にも難しい。だから――

周辺の空間に拒絶の概念を<仕込んだ>。ルーンヘの干渉は不可能。苦労したよ。

読んでいただと――?こうなることを……?

第十三軍団が動いたということは、帝国の危機。だとすれば……

事前に仕込んで置いても、不思議じゃあるまい?

おのれ……!

さて、ジュダが君を見つける時間は、十分稼げたようだ。


…………

……


<そこは、オペラ座――現在は閉館の時間帯である。>

見つけたぞ――!

<劇場内には誰もいない――だが――>

ガァウルルルゥゥ!!

劇場内では、お静かに……

<舞台の奈落から――ツザラが現れる!>

我が<歪曲>の概念による事象の改変すら見破るか。お前は何者だ……?

お前の舞台は終わったぞ。三文役者――!

やれやれ、犬を劇場に連れ込むとはな……マナーというものを教えてやる!



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story21 幕引き



犬と遊んでる暇はない!飼い主ともども、くたばれ。

退場しろ。お前の芝居は癪に障る。

ここだったか……!

<アイシャの光の矢は、ツァラの胸を貫く!>

……おお、アイシャ……!君を殺しにいく手間が省けた。

寝言はあの世でどうぞ。

いいだろう……ここからは、趣向を変えるよ……!

それはいいな。もう少し盛り上げてくれ。

つまらん一幕は、さっさと終わらせる!!




……なるほど、あいつは二つの属性をもっているらしい。

歪曲を司る氷。そして――否定を司る雷。

二つだと……?

二つの属性を使い分けながら攻撃してくるぞ。

対処方法はわかっているね?

氷には雷。雷には炎か。

何もできはしないよ。君たち凡人にね……

帝国をつくったのも、そういう凡人の集まりだ。

ネズミの群れに興味はないね……!



なかなかの余興だったな。しかし君たちのダンスは、まるでなってないね。

皇帝を演じた気分はどうだ?

私は生まれながらの皇帝だよ。演じているのはネズミの方だ。

お前とあいつとでは、役者が違う!

――ネズミの飼い犬が!

愚かな三文役者よ。皇帝陛下が、汝に棺を賜る。謹んで受け取るがいい!

<――影の中から、巨大な棺が出現した――!>

ぐはあっ!?

<棺の蓋が開くや……無数の影があふれ出し、ツァラの体を押さえ込んだ!>

な、なんだこれはあ……!――助けてくれ、アイシャ!

下手な芝居だね。あいつなら死んだよ。私の目の前でね。だけど――

私だ……私は、君の……父親だ……

おかしいと思っていたよ。絶対に表舞台に立たず、安全地帯から敵を追い詰める。

そんな人間が、わざわざオペラ座で敵の前に現れるか?

答えは簡単。君は一つの体に二つの人格を持っていた。

……正解。

…そしてその一つは、お前か――ハビエル。

死ねなかったのさ。もう一人の私、ミゲルは……随分と執念深くてね……

傷口を再生し……私の人格を封印して、自分が主導権を握った。

<ミゲルとハビエル、二つの人格をもった男が――

真のコウテイツァラを名乗り、帝国に牙をむいた――>

お前たちは何者だ……いや、何者だったのだ。

簒奪者ツァラの複製品だ。それほど意外でもあるまい。

黙れハビエル!私こそが完成品だ!

最後にもう一度……顔を見せてくれ――私の怪物よ……!


なっ――

<ミゲル、いや、ハビエルの魔法の閃光が――アイシャを貫いた――!>

成功だなハビエル。アイシャが死ねば、術式回路が烙印のルーンの生成を始める。

馬鹿な――!!

ううっ……

我々は二人で一つ。協力しあっていたんだ。一心同体ってやつだね。

ふふふ……

『我は認めない。簒奪者よ。我はこの悲劇を拒絶する』

<アイシャは、よろよろと……起き上がった……>

何だと!?

<アイシャは、一冊の本を取り出した。>

こいつが守ってくれてね。何か仕込まれてたらしい。

私が使う<拒絶>は――<否定>という概念の進化系。

そうだろう。ハビエル。お前が持っていた力だ。

ブラボー、よく気づいた。さすがは我が怪物。

<アイシャは、光の矢によりハビエルであり、ミゲルである男の体を貫いた。>

けひっ、けひっ、ぐへえっ!

ははははは!お別れだ!私の怪物よ!


――もう、いいか。

ああ。

納棺する――!

<棺よりあふれた影は――簒奪者の複製を呑み込んだ――>





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最終話 さらば、逝くものたちよ



ごはん、ごはん、みんなでごはん~。

いっぱい作ったわね!

美味しそうですね!

がんばりました!打ち上げには、みんなでごはんですよね!

人の食い物は、口に合わん。

ジュダさんには、こちらをどうぞ!

ええっと、これ……骨?

丈夫そうな骨ね……?

ふむ……いい骨だな……

<ジュダは、骨をくわえた……>

はむ、はむ、はむ……グルルゥ!!

……おや、ジュダ君……いいものを食……おや、ジュダ君……いいものを食べてるね……

やらんぞ。

ニナちゃん、ほくも同じやつ!

はいは~い♪

――元老院は。

今回の件で、責任をおしつけあってるさ。

お前たちは株を上げた。

君らのおかげだよ。

あれ、マシューさんは?

見てないわね。

……今頃、オペラでも見ているんだろう。

アイシャさんも、たくさん食べてくださいね♪

すまないニナ。……私は、食事が苦手でな……

おなかが空くでしょうに。

栄養は魔術と薬品。そしてジェリービーンズで摂取している。

そうだったんですか……ごめんなさい……

いや、せっかく作ったんだ。もらおう。

<アイシャは、スプーンで、スープをすくった……>

むむむ……

どきどき……

はむ。



……

…………



……ふう。食べすぎた……

スープ一杯でか。私には多すぎる。ジェリービーンズで十分だ。

ハビエルという男も、ジェリービーンズを?

あいつ、これが得意でね。

<アイシャはジェリービーンズを指で弾いて、口で受け止めた。>

お前は、悲しむのが下手だな。

悲しむだって?せいせいしたさ。あいつは最低の人間だ。

――客観的な評価か?

主観的には、この世で最低のクズでそもそも存在することが間違いのような奴だ。

親だったのだろう。

正確には育成担当者だ。

レヴナントのか――

私は、奴らが作り上げた兵器だ。だが、あいつは気まぐれを起こして、私を逃がした。

それで死んだと?

――今でもわからない。君も見たとおり、あいつは死ぬまで私をおちょくった。

それだけとは思わん。……あの本は、お前のそれだけとは思わん。……あの本は、お前のために残したものじゃないのか。

根拠のないことを。

俺は弔い手だ。逝くものたちの声が聞こえる。

――あいつは、何て言ってる?

おそらく、お前の想像通りだ。

……ジュダ。ジェリービーンズ占いだ。

……いいだろう。

<アイシャはジェリービーンズの瓶をかたむけた。>


なんだこれは。

ドッグフード味……だな。




帝国戦旗 -END-





番外編 ~The Fortune-Teller~




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