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【黒ウィズ】大魔道杯 in 心竜天翔 Story

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最終更新者:にゃん

綺羅星山を救え!!




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 クエス=アリアスに戻るため、君は〝異界の歪み〟があるというジラル海域を目指していた。

ラギカ・バシルスという魔竜が開いたものが、まだ閉じていないんです。

幸い、ジラル海域は竜力が絡み合っていて、誰も近づくことのできない場所なので、まだ大きな問題にはなっていませんけど……。

そんな場所に、どうやって行くにゃ?

こーゆーことなら、あたしにおまかせっ!りゅーりょくをちょーせーして、いいかんじになんとかしちゃうから!

 具体性がなさすぎて不安だったが、ミネバがいっしょならきっと大丈夫だろう、と君は思うことにした。

と、そこへ。

おーい!

 懐かしい声が、天から降り注いできた。

見仰ぐと、やはり懐かしい顔が、翼のはばたく音とともに降りて来るところだった。

しばらくだね、魔法使い。その節は、いろいろと世話になった。

あんたが来てるってアニマから聞いてね。ちょっくらあいさつでもと思ったのさ。

 差し出された手を、君は微笑んで握り返す。

世界を安定ならしめていた竜ロドムの契約者、イェルノー。君とミネバを相手に1歩も引かず戦った、強靭な意志と竜力の持ち主だ。

いろいろうまく行ってるみたいで、何よりにゃ。

いやあ、そのへんはまったくおかげさま──……って、え?その猫、しゃべるのかい!?

あ、そうらしいんですよ。私もびっくりしちゃいました。

にゃはは。黙ってて悪かったにゃ。

へー。見ろよペルノル。猫がしゃべるなんて変わってるよなあ。

まったくでございますね、デネブさま。ひょっとするとこの猫も竜なのでは。

名づけるなら、そう──〝猫竜キャットドラゴン〟……!!

……おまえさあ、よくもまあ、そんな誰でも思いつくレベルすぎて逆に誰も使わなそうな名前でドヤれるな……。

お褒めにあずかり超ハッピー。

 彼らは?と君はイェルノーに尋ねる。

これをスルーか。タフだねあんた。

僕はデネブ。この先にある〈綺羅星山〉を治める、偉大なぁぁぁーる竜だ。こっちは、お付きのペルノル。

ア、よいしょ。

実は先日、突如現れた魔竜の群れが、〈綺羅星山〉を乗っ取ってしまってさ。

ア、それからどした。

こりゃいかんというわけで、ロドム山に避難し、そこのイェルノーに救援を頼んだんだ。

アーこりゃこりゃ。

 なるほど、と君はイェルノーに向き直った。

そういうわけなんだ。悪いんだけど、〈綺羅星山〉を取り返すのに協力してくれない?あそこ結構な竜穴で、放っとくとマズいんだよ。

 そういうことなら手伝うよ、と君はうなずく。多少の寄り道くらいなら問題はないはずだ。

ありがとう、助かるよ!

恐縮のいたァァァ~~りィィィ~~~。

はは。相変わらずいいヤツだねえ、あんた。

そんじゃ、早いトコすませようか。頼もしい助っ人も、今頃向かってるはずだからね!



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〈綺羅星山〉には、無数の魔竜がひしめいていた。

くっそー、我が物顔で居座りやがってー!

まったくです。ここは私の庭だというのに。

さらっと権利を主張すんな!!

りゅーけつ、おくのほうにあるみたい。たぶん、まりゅーもみんなそこにいる。

洞窟のなかみたいだね。しょうがない、入るしかないか。

 君たちは魔竜どもを退けながら、洞窟のなかへと進んでいく。

するとすぐ、奥の方から戦いの音が聞こえてきた。

えいっ!このっ!

 少女が竜腕を振るうと、竜力の衝撃波が生まれ、魔竜を薙ぎ払っていく。

焦るな、愚か者!効率を考えぬか!

 厳めしい表情の青年が力を解き放った。

すると、散らばっていた魔竜たちが、突如出現した激流に押し流され、一か所に固まっていく。

ありがとうございます、ジャスクスさん!えぇえええぇえええいっ!!

 少女は渾身の力を込めた一撃を放ち、まとまった敵を一網打尽に打ち砕いた。

有象無象の類など!

 槍を携えた竜人が、迅雷と共に駆け抜ける。押し寄せる魔竜の群れに穴が穿たれ、敵の勢いが一瞬、止まった。

となれば、こうだな。

 落ち着いた物腰の男が、指を鳴らした。

少女が駆け抜けた後に残っていた雷気が、竜力を注がれて連鎖的に炸裂──足の止まった敵陣を強烈に打ち崩す。

見事だ、ゲドゥザ。こんなやり方もあったとは。

何事も、応用次第よ。魔術も芸術もな。

 男は悠然と笑ってみせた。

はぁああぁあぁあああっ!

ぬぅううぅううううぅうんっ!

 烈火を放つ女と、斧を振るう男。ただそれだけ、極めてシンプルな進撃が、大量の魔竜を苦もなくねじ伏せていく。

いやあ、義のための戦いは血がたぎるな、レツィーユ殿!それがし、常の数倍の力を出せておる!

そんな理由で力が増えてたまるか。

それが増えてしまうのが、義というものの天晴なところにござる。

汝の言うことは、いつもだいたい解せぬ!

お、やってるねえ。

スーチャさん、パメラさん、バスさん!

みんな、おっひさー!

おお、ミネバ殿にイェルノー殿!アニマ殿も!む!?そちらにいるのは、いつぞやの魔法使い殿ではござらんか!?

ああ、あのときの。これは懐かしいな。

ご無沙汰してます!

 どうも、と君はあいさつを返しながら魔法を撃つ。

かつて、強すぎる竜力の暴走現象によって、己の竜力との対決を余儀なくされた竜人たち。やはり懐かしい顔ぶれだった。

ふん、その者が噂の異界渡りか。

ほう、並みならぬ魔法を使うな。一度、談義を交わしてみたいものだ。

その札から異界の力を呼び込んでいるのか。他人の力を借りる魔法など、我ならば使う気にもならぬわ。

 君の知らない3人が、魔竜たちを吹き飛ばしつつ、あれこれと話しかけてくる。

どなた?と君は首をかしげた。

我らが祖先が契約を交わした竜のお歴々にござる。失った竜力を取り戻すにあたり、いろいろと便宜を図っていただいてな!

あれ、でも、どーしてにんげんのかっこしてるの?

思考を働かせぬか、若輩!かように狭苦しい洞窟で戦うに、竜の威容が向くものか!

そういうことよ。肉弾戦は不利になるが、魔法は使える。さほど問題はない。

我はこの姿でも変わりなく強い。一緒にするでないわ、芸術かぶれ。

うへえ……なんか怖そうな竜たちだなぁ……。

そうおっしゃいますな、デネブさま。我が山を取り戻してくださる、心強い助っ人のみなさまですぞ。

だからおまえの山じゃあないっての!!



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 魔竜たちを蹴散らしながら、奥へと向かう。

そこからも、強烈な竜力のぶつかり合いを感じた。


レガート!うぉおおおおレガート!ちくしょうてめぇら、よくも弟を!ぐぅぅううおおぉおおおああああっ!

兄上。俺、死んでません、兄上。ちゃんと防ぎましたって。

ザッハ、レガート!

おう、姉者!みんなもいっしょか!

竜穴はこの奥です。一気に蹴散らしてしまいましょう。

ああ!みんなでレガートの仇を討つぞ!

いま誰と話してましたか兄上!!

魔法使いさん、こちら、いつかお話した、私の弟たちです。

 なるほど、と君はうなずく。ミネバと同じクロードの血を引く竜人たち。確かに、とてつもない竜力を発揮している。

そういえば、あのふたりは?いっしょではないの?

あー、それがな、姉者。あいつら、とっとと先に行っちまった。

ほら、あそこで暴れてますよ。まったく、こらえ性がなくって。

 レガートが指差す先では──

はあッ!

やあッ!

 ふたりの少年が、魔竜の群れを相手取り、むしろ押し切っていた。

群れるばかりで芸がない。闘士はおろか、道化の才もないとはな。退屈が過ぎるぜ。なあ、シェオ。

そうかな、ルウガ。無心になって何かを潰していくのって、僕は案外、嫌いじゃあないよ。

でも、君が退屈だというなら仕方ない。ここはひとつ、僕が裏切って敵に回ろう。意外な展開と手に汗握る戦いが楽しめるよ。

却下だ。

どうして。

おまえがやっても意外じゃない。

親友をつかまえて、まったくなんて言い草だ。

 軽口を叩き合いながら、ふたりは並んで構えを取る。

カタをつけるぞ。合わせろよ。

努力するよ。君を置いていかないようにね。

 そして、馳せた。

その力、その勢いは、まさしく鉄をも引き裂く竜の爪そのものだった。

紅の拳、蒼の刃が縦横無尽に閃いて、万華鏡めいた無数の光をまき散らす。

あれも知り合いの竜人にゃ?

ルウガとシェオ。俺と兄上の、竜力の化身です。

姉者にとってのアニマみてぇなもんだ。やんちゃで困ってるぜ。

昔のザッハにも困らされたものだけど。

 と。

あにまもー!

 ルウガとシェオが暴れ回る戦場に、喜々としてアニマが飛び込んでいく。

うおっ、アニマおまえ、いきなり来る奴があるか!危ないだろうが!

るうが、じゃまー。

おまえが邪魔をしてるんだ、おまえが!

僕からしたら両方邪魔なんだけどなあ。君たちを巻き込まないように戦うのって、けっこう骨が折れるんだ、これが。

 竜力の化身たちは、わいわいと騒ぎながら敵を蹴散らしていく。

おい、クロードの血族たちよ。自らの分け身くらい、きちんと制御しろ。

元気があるのは結構だが、竜たる以上、威厳も身に着けてもらわねばな。

まったく最近の若輩どもは。

「「「すみません……。」」」

まあまあ、みなさま、よいではないですか。

こんな私だって竜なのですから!!

まったくその通りだよ馬鹿!!

 人も竜もいろいろいるものだ、と思いながら、君はカードに魔力を込めるのだった。



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 戦いの果て、君たちは勝った。

〈綺羅星山〉に巣食う魔竜たちを蹴散らし、竜穴を守ることができた。


ありがとう! みんなのおかげだよ!

汝も竜なら自分でなんとかしろ。

即効で感動に水を差しに来ましたな。水竜だけに。

協力助かったよ、魔法使い。いやあ、持つべきものはお人好しの友人だねえ。

そんなことより腹が減った。何かないのか。

ふっふふん。〈綺羅星山〉を舐めなさんな。ここには食べ物がたくさんあるのさ!

ほう。獣が多いのか?

やばいくらいカスミ出る。

 竜たちが沈黙した。

おい。まさかそれを喰えとは言うまいな。

え!?あれ!?だめ!?カスミ!!

 びっくり仰天、という様子で跳び上がってから。

デネブは、こくりと首をかしげた。

ひょっとして、モヤ派?

喰うか馬鹿たれ!!

竜が喰うものなど、肉しかあるまい。

えー。うっそー。あれー。何このカルチャーショック。竜ってみんなカスミ食べると思ってた。

ねえ。あの食感がヤミツキですのに。

カスミの……食感……?

他にはないのかよ。

う~ん。他って言われてもなあ……。

ねー、みんなー。ここになんか、へんなあながあるよー。

げっ!そ、それは……!

 アニマの見つけた穴を、みんなで覗き込む。

 そこにあったのは──

やや、壮観壮観!宝の山にござるな!

すばらしい美術品の数々だ。感動に震える手を抑えられぬ……。

変わった書物もたくさんあるね。なかなか面白そうだ。

よし。ここから好きなの持って行こうぜ。

ちょ、ちょっと待った!それ僕の宝!あげていいヤツとダメなヤツあるからー!勝手に取ってくのダメー!!

そういえば、竜は宝物に目がないって聞いたことがあるにゃ。

せっかくだから、キミもいろいろちょうだいしていくにゃ!

 まあ、〝あげていいヤツ〟があるならもらっていこうか、と君も騒ぎに加わっていった。

…………。

…………肉は?





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