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【白猫】オーバードライブ紅蓮2 Story4

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最終更新者:にゃん



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story 黒より昏く



<――コワセ――――コロセ――>


w(俺は、なにを…………している?)

<――サリム・クーパーをコロセ――>

w……君は悪い人間じゃない。だから心苦しいよ。

Wグァッ!

wQウェルナー!サリム・クーパーは<概念使い>です。

触れたものを<切断>する。気をつけてください。

w外野が種明かしとは無粋の極みだな。

LLジャアアアアアアアアア!!

wQやっと、あちらの世界で死んでくれたか!赤いヴァリアント!!

m…………

wQ私は最強の駒を二つも手に入れた。おとなしく私の支配下に入るなら、命だけは助けますが?

m獣は人の覚悟も理解しないのか……呆れるどころか憐れみさえ覚えるよ。

いちいち水を差すな、クソ学者。おっと、失敬、口が悪かったかな。

まあ、獣は人語を解さんか……

wQ殺せ!!

LLギィ!

Wグァッ!

LLジャアアアアアアアアア!!

w(赤いヴァリアント……声がする……)

<――サリム・クーパーをコロセ――>

w(違う……俺の敵は……)


「ただいま、ファビオラ。

ファビオラ?いないのか?

<赤い怪物が<左手>を振り上げた。>

「ガッ!な……バケ……モノ……

<痛みや恐怖。理不尽な暴力への驚きよりも思考を占めるのは――>

「ファビ……オラ!ファビ……オラ……

<血だまりのなかでなにかが倒れていた。>

「違う……そんな……

<抱き寄せた体は、まだ温かかった。>

「ああ……

ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!

<……約束した。幸せにすると……それを……

殺し……壊したのは……

赤い……ヴァリアント!!>

m

Wグルァァァァァ!!

wQおい!貴様、どういうつもりだ!?

ありえません!こんなこと!!

m……尻尾をまいて逃げるなんて……つれないじゃ……ないか。……レナート。

wQその傷……なるほど、傷の痛みで精神干渉を避けてたのか。

ならば、治してやろう。治癒術式は得意でね。

m痛みが……ささ……ま……

抗うことはできん。私の精神世界で眠れ。



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story 闇を切り裂く



Lジャアアアアアアア!!

sおお、ー撃……

おい、レクト、もういいって!

どーなってんだ……

rセーラ!大丈夫?

sあたしは大丈夫だけど、レクト、やばいぞ!こっちの声、聞こえてない!


Lグルアアアアアアア!!

r建物が……

逃げて!

mあちらも地獄なら、こちらも地獄。獄卒になった記憶はないんだが……

sなんだ、あいつ。今、なんかビームみたいなの切ったのか?

mただの手慰みだよ、お嬢さん。俺の名前はサリム。職業はヒーローとでも言っておこうか。

rあの時のナンパ男!

m運命の出会いをナンパのー言でかたづけられるのは悲しいが、細かく説明する時聞もない。端的に言う。

黒幕は花園の研究員、レナート・アラルコンだ。

この世界のレナートを倒せば、術式は崩壊する。

rいきなりそんなこと言われても……

m俺はウェルナーの知り合いだ。彼とは戦友でね。彼は彼で今も戦っている。

sそっか、やっぱりウェルナー、生きてんだな!!

mああ、多少、元気だよ。陰気ではあるが。

Lジャアアアアアアア!!

mさて、あれの相手は俺が請け負おう。君たちは君たちの戦いをしなさい。

s行くぞ、リネア。

rサリム、レクトの相手はあたしがするわ。

m女性に危険なことはさせられない。

rレクトは、あたしを助けようとして、ああなった。

あたし、助けられるばかりは嫌なの。

m……わかった。お嬢さん、二人で奸物を探し出そう。

sリネア、やられんなよ!!おまえもあたしの大事な子分なんだからな!

rええ、任せといて、親分。

Lジャアアアアアアア!!

r(いつものレクトじゃない。でも……)

(あたしを攻撃対象から外してる?ギリギリの部分で理性が残ってる……)

(現実世界だとソウルの枯渇が怖いけど、この世界なら気にせず戦える)

rさあ、レクト!一緒にがんばりましょう!




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story 小さな光



Lジャアアアアアア!!

r(今の危なかった……もしかして、レクトの理性が消えかかってる?)

(セーラ、サリム、急いで……!)


mセーラ嬢、君はレナートがどこにいるか見当はつくか?

sたぶん、守ってた住民のなかに紛れ込んでるだろ。

ただ、おまえが来てるの知ったら、逃げてるだろーな。

m隠れられてると厄介だな。魔術を無尽蔵に使える世界とはいえ……

sあ!そうだった!!忘れてた!!

術式展開!かける100!呪文はパス!かける100 ! !

S出しすぎじゃないですか?かける100で律儀に100体、具現化した私も私ですけど。

sこまけーこといいから、レナートってやつ、探せ。あたしらと一緒にいたのに、今、いないおっさん。

S了解しました。それと、現実世界では、私一体が限界ですからね。やろうとしてもソウルが足りなくて死にますからね。

sわかってる。ほら、行け!


wQ……まったくしぶとい連中ですね。

Sあ、みつけた。マスター!!発見しましたー!!

wQチッ!

Sこれ以上、逃げても無駄ですよ。追いかけるの面倒なので、おとなしくやられてください。

wQくっ!やれ!!

sよっしゃあ!到着!!って、敵多いな!!

wQここは私の世界です!!貴様らにできることくらい、できて当然だ!!

sしゃあねえ!やるっきゃねーな!

m……その前に試したいことがある。セーラ嬢、分身を一人かしてくれないか?

s

Lジャアアアアアアアア!!

Sー面焼け野原ですね。

rセーラ!?じゃなく人工精霊のほう?

Sはい。マスターのほうも難儀してまして、力を貸してほしいんですよ。

rこっちも限界に近いんだけど?

Sなので、まとめちゃいましょうって話です。

r

mセーラ嬢、大丈夫か?

sまあな。負ける気はしないけど、勝てる気もしないな。

wQこれ以上の抵抗は無駄です。君たちの精神では永遠に戦い続けることは不可能でしょう?

だが、私は可能です。複数の脳を共有している限り思考に限界はない!

Lジャアアアアア!!

wQなっ!

rどうにか連れてきたけど……!もう限界だからっ!!

mベストタイミンクだ!!

悔しければ、俺を狙え!ヴァリアント!!

Lグルアアアアアア!!

<レクトの放ったソウルの光が魔物の群れを消しとばした。>

mセーラ嬢!道は開いた!!

s超古代ダ――ーッシュ!!

くらえ!これがあたしの!!

超古代空手だあああああ!!

wQなっ!?

r世界が……崩れて……っ!




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story 少女の決意



rっ!ここは……?

sう~ん……頭がぼーっと……ウェルナー!?

Wグルアアアアア!!

LLジャアアアアアア!!

…………

Wグルアアアア!!

sウェルナー!待て!!

wQ…………

m逃げられると思ったか?

wQわ、わかった。レヴナントに協力し……

ぐぁあっ!目がああ!!

m獣を紹介するほど恥知らずではないよ。悪いが、別口で面倒見てもらえ。

コアはいただいていく。お前には、もう不要のものだろ?

wQぐぅぅ……


Lジャアアアア!!

rレクト……どうして?もう禁忌の影響はないはずなのに。

mー度壊れたものは、元には戻らない。そういうことだよ。

r…………

mヴァリアント化の施術をされた者を何人か診たことがある。

最終的には、精神が壊れる。遅かれ早かれ、正気を失う。

……君には酷だろう。俺が始末する。

r……助けるわ。

m……俺だって医者だ。救えるものなら救いたい。

だが、今の技術で、彼を救う方法はない。

r今の技術では不可能でもこの島の禁忌を使えばどうなの?

m

rレクトの精神に問題があるんでしょう?その禁忌は他人の精神に干渉できる。

……術式を解析して応用すれば、方法はあるはず。

mだが、術式を起動するには、ソウルが必要だ。

この島のソウルは禁忌の起動で使われ枯渇が近い。君が魔術を使えば、死ぬぞ。

rどうしてあたしがソウル欠乏症だって知ってるの?

もしかして、あたしを助けてくれた先生……?

m……今では、君の敵だ。それでも自分の患者には死んでほしくない。

r先生に助けてもらった命、無駄にする気はない。でも、レクトの命だって同じだけ価値がある。

m…………

……君がコアの術式を解析をする時間くらいは稼ぐ。急げ。

rありがとう。先生……

Lジャアアアアアア!!

m切り裂きサリムの本領発揮といこうか?ま、このあだ名は嫌いなんだがね。




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story 紅蓮の想い



r(このコアの術式、見たことない。でも……そっか、そういう……なら、レクトの精神に直接干渉するには……)


r…………

できた!!

行くわよ、レクト!!術式展開!!



l…………

ここは……?

<精神干渉によって、現状の僕が視覚化された世界だ。現在、外部からの干渉を受けている。>

ll僕は僕だ。僕のなかにある破壊衝動を擬似的に人格化した存在とでも言おうか。

君がヴァリアント化する度に破壊衝動が僕という形を作ってくれたよ。

今では立派な単ーの人格だ。だから、君はもう不要なんだよ。

無意識の底に沈め。

lなっ!足が……

ll今日から僕がレクト・ラロだ。

lそんな、誰か……助け……

rレクト!!

lリネ……!!

<レクトが闇のなかへと消えていく。>

ll少し遅かったね。君の知ってるレクト・ラロは消えた。

r……別人格?ヴァリアント化の禁忌の影響?

llおしいな。本来、ヴァリアント化の術式には破壊衝動を煽るコードしかない。

rやっぱりロアノク島の禁忌から影響を受けたのね。

ll正解だ。優秀だね、君は。ここで消すのが惜しいよ。

さようなら、リネア・シルヴェストリ。

rくっ!ここで負けたり……しないんだから!

ll無駄だ。消えろ。

<リネアに手を出すな――>


r今の、レクトの声……?

llまだ逆らうか!いい加減……

<暗闇のなかから、赤いヴァリアントの手が伸びる。>

llやめろ!放せ!!

lリネアだけは僕が守る――

llわかった!彼女は帰す!!だから、放せ!

l――ダメだ。お前も一緒に沈め!!

rレクト……?リネア、ごめん……

さようなら――

<二人のレクトが閤へと消えていく。>


rあんたを助けに来た人間に……

……さよならなんて言うな、バカ!

llバカが……このまま二人で沈めば、二度と意識は戻らないぞ!

lかまわない。お前がリネアを傷つけるくらいなら!!

ll救いようのないバカだな!自ら死を選ぶなんて……

rレクト!

l

<暗闇から白い手が伸びてくる。>

rつかんで!レクト!!

l僕のことはいいから!リネアだけでも逃げて!!

r絶対に嫌!あたしはあんたをあきらめない!!

四の五の言わず!あたしの手をつかめ!!

l……わかった。

<レクトがリネアに手を伸ばす――>

llさせるかぁぁぁぁ!

r――光よあれ。あるべきものを、あるべき場所に!封印術式展開!!

最後の最後まで邪魔をするなぁぁぁぁぁっ!!

llクソがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!


…………

……


lっ!!リネアは!?あれ?体が重い……?

r……あたし、生きてる?

m君が持つ<ソウルイーター>の禁忌を外部から起動させ、彼氏のソウルを少し拝借した。

r……彼氏じゃないわ。でも、助かった。ありがとう。

mコアも回収できたし、残りの問題はウェルナーと赤いヴァリアントか……

wQあひゃひゃひゃひゃ!死ね!みんな死ね!!

rこれって……

m自爆術式を起動したか。

ここは崩れる!急いで逃げるぞ!!




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story 復讐の果て



Wグルアアアアア!!

LLジャアアアアア!!

W(殺す、殺す、殺す、殺す!おまえだけは俺が殺す!!)

LLジャアアアアアアア!!

W(もう少し!もうすこしだ、ふぁびおら!こいつをコロセば、キミのもとへ……

ここでゲンカイ……だと……?ふ、ざ、け……る、な……ここまでキて……)


wもうすこし……なのに……

LLジャアアア!!

s

w(ファビオラ……?)

sやめろ!!ウェルナーを倒すなら、先にあたしを倒せ!!

<赤いヴァリアントが<右手>を振り上げる。>

wき……さ……まぁぁぁ!

俺の前でまた殺すのかぁぁぁぁ!

LLガッ……

<ウェルナーの手刀が赤いヴァリアントを貫く。>

sウェルナー!しっかりしろ、ウェルナー!!

二号!

このバカ、運ぶの手伝え!

rセーラ、逃げるわよ!!

sおお!



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story まだ見ぬ可能性



wE精神干渉と共有の禁忌。そして赤いヴァリアントか……

そして、禁忌のコアはレヴナントに奪われた……失態だな。

rお言葉ですがコアの解析は終えて、その術式に関してはレポートで提出してます。

それと、ウェルナーから聞さましたが、イングニウム・コードなる禁忌と赤いヴァリアントの関係性……

wE……上にはうまく言っておく。君も余計なことは口にしないほうがいい。

r(遠回しな口封じ……釈然としないけど、逆らっても損するだけか……)

r了解しました。


…………

……


<ロアノク島から帰ってきたレクトは病院に入院していた。>


wR帰ってくるなり過労で倒れるとか、どんな取材してたのよ?

lすいません……

wRま、地下遺跡の崩落事件と帰らずの島の記事は、悪くないわ。

lほんとですか!?

wRあんたの写真はもう使ったわ。記事に関しては、かなり手直ししたけどね。

lすいません。いろいろありがとうございます。

wRじゃあね。早く治しなさい。


l大変だったけど、少しは前に進めたかな……

セーラにウェルナーさん!?

sおっす!元気か、レクト!

wいろいろ迷惑をかけたそうだな。すまなかった。

lいえ、こちらこそ……

wお前に聞きたいことがある。

お前は、なぜ赤いヴァリアントになった?

lそれは――


…………

……


w不運だな。

l……ウェルナーさんは、この能力と、どうやって折り合いをつけてるんですか?

w……この力が必要だった。それだけだ。

lもとに戻りたいと思わないんですか?

w思わないな。それに不可能だ。

lそうですよね……

w……お前はイングニウム・コードを知っているか?

lなんですか、それ。

w特別な禁忌だ。イングニウム・コードをすべて解析できれば、不可能が可能になるらしい。

精神が破壊されたお前も、ロアノク島の禁忌の力で救われたんだろ?

元に戻りたいのなら、それを追ってみればいい。

l本当に元に戻れるんですか?

wわからん。だが、試してみる価値はある。

sウェルナー、墓に行く時間、なくなるぞー。

w……わかった。最後にーつだけ聞きたいことがある。

お前は左利さか?

lいえ、右利きですけど……

w……そうか。それはよかった。

l(イングニウム・コード……不可能を可能にする禁忌……)


l……元に戻れる可能性か。

rお見舞い遅くなって、ごめんなさい。レクト、具合はどう?

l僕は大丈夫だよ。


…………

……


sよーし、ファビオラさん!花持ってきたぞー!掃除しないとな!

w…………

sファビオラさん、ウェルナーは元気だぞ。あたしがいないとダメダメだけどさ……

w近況報告はしないのか?

w……報告するようなことはなにもない。

あの赤いヴァリアントはファビオラの仇ではなかった。

m気づいてたのか?

wレクト・ラロも赤いヴァリアントだ。他にいてもおかしくはない。

それに、ファビオラを殺した奴は、俺を左手で攻撃してきた。ロアノク島のは右利きだ。

そういうお前は、なぜ気づいた?

mまた現れたからな。うちのエージェントが何人か殺されたよ。

w……終われない。まだ終わるわけにはいかない。

m君の目的と俺の目的は共存可能だ。互いに協力しあわないか?

w……俺は仇を取れればいい。そのためならなんでも利用する。

m俺はイングニウム・コードを必ず手に入れる。そのためなら敵でも利用する。俺と君は似た者同士だ。

w…………

mこれが赤いヴァリアントの出現した未解析の遺跡だ。イングニウム・コードだろう。

<ウェルナーはサリムからー枚の地図を受け取る。>

w(次こそ必ずお前を殺す……赤いヴァリアント!)



それぞれの願望を胸に――

――禁忌をめぐる戦いは続く。





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