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アレクサンダー・思い出

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最終更新者:にゃん

ストーリーまとめ


わがまま王子
アレクサンダー3世
ある国の幼き王子。
わがままだが、根は純粋な少年。

思い出1

アレクサンダー

僕様の名前はアレクサンダーⅢ世!

偉大な王の孫だぞ!


<赤いマントをはおった少年が、

えへんと胸を張って名乗った。>



アレクサンダー

そこのおまえ!

特別に僕様の友達になることを

許可するぞ!


キャトラ

友達になる許可……

とか言われてもねぇ。


アレクサンダー

な、なんだ……?

まさか、イヤなのか!?


<アレクサンダーは

地面に大の字になり、

手足をばたばたさせて叫んだ。>


アレクサンダー

無礼だぞ!

せっかく許可してやったのにぃ!!


キャトラ

お、落ち着きなさいよぉ!

なってあげるてば!

ねぇ、アイリス?


アイリス

ええ、友達は多い方がいいものね。


アレクサンダー

本当か!?


<アレクサンダーは、

がばッ、と起き上がり、

顔を輝かせた。>


アレクサンダー

じゃあ今日からおまえたちは友達!

僕様のいうことを

なんでも聞く友達だ!


キャトラ

そ、それって、

家来っていうんじゃ……


アレクサンダー

この調子で

友達をいっぱい増やして、

僕様は立派な王様になるのだ!


思い出2

アレクサンダー

おい、友達!


<アレクサンダーが、

ふんぞり返って

偉そうに呼びつけてくる。>


アレクサンダー

僕様は遊びたいぞ! 僕様と遊べ!


キャトラ

なんて偉そうなの……

あのねぇ、

友達ってのは家来じゃないのよ!?


アレクサンダー

違うのか!?


アイリス

同じだと思ってたのね……


<アレクサンダーは、

悲しそうにうつむいた。>


アレクサンダー

僕様は王子だから、

まわりに家来しかいなかった。

友達がいなかったのだ……


アレクサンダー

おまえたち! 友達がどんなものか

僕様に教えてくれ! 頼む!



キャトラ

しょうがないわねぇ~。

じゃあ、

いっしょにひなたぼっこでもする?


アレクサンダー

おお! するぞ!

いっぱいするぞ!


キャトラ

その次は、毛づくろい!

それが終わったら爪とぎよ!


アレクサンダー

爪をとぐのか!? すごい!

それが友達の作法なんだな!


アイリス

それは、友達の作法じゃなくって、

猫の習性なんだけど……


思い出3

アレクサンダー

ところで、おまえたち。

ドラゴンを見たことはないか?


アイリス

……!


キャトラ

ド、ドラゴン? そ、そうねぇ……

見たことないわけじゃないけど……


アレクサンダー

そうなのか!?

ならば案内することを許すぞ!


アレクサンダー

僕様の目的は、

ドラゴン退治だからな!


キャトラ

あー、

そのドラゴンはもう

いなくなっちゃったから……


キャトラ

ていうか、

アンタにドラゴン退治なんて

無理でしょぉ~?



アレクサンダー

そ、そんなことはない!


<涙目になって叫ぶアレクサンダー。>


アレクサンダー

僕様は……

僕様は、ドラゴンを倒すんだ!

うぅ……うぅううわぁあぁぁん!


キャトラ

ちょ、ちょっと!

泣かないでよぉ~!


アイリス

キャトラ……


キャトラ

ア、アタシだって、

別にいじめたいわけじゃ

ないわよぉ!


キャトラ

ほらぁ、泣かないでったぁ~!


思い出4

アレクサンダー

おまえたち!

会いに来るのが遅いではないか!


アイリス

ごめんね、

さみしい思いをさせちゃって……


アレクサンダー

そ、そうじゃない!

王は時間に厳しいのだ!


アレクサンダー

まあ、僕様は未来の王様だからな。

ここは寛大な心で許すぞ。 うん。


キャトラ

だあーっ!

なんでそう偉そうなの!


アレクサンダー

う……、す、すまん。

まだ家来以外と接するのに

慣れてなくて……


アレクサンダー

実は……僕様は、

城でもわがままばかり

言っていて……


アレクサンダー

それで、お怒りになった父上に

城を追い出されたのだ……


アレクサンダー

だから……偉そうとか、

わがままとか、

そういうのを直したくて……


キャトラ

あら……そうだったの。


キャトラ

まあ、おいおい直していけば

いいんじゃない?


キャトラ

ほら、そのためにも、たぁ~くさん

友達と遊びましょうよ~。


アレクサンダー

そ、そうだな!


アレクサンダー

では、今日は山に探検に行くぞ!

おまえたち、僕様についてこい!!


キャトラ

って、こらぁー!

1人で先走るんじゃないのぉ~!

思い出5

アレクサンダー

…………


<アレクサンダーは

悩ましそうにうつむいている。>


アイリス

アレクサンダー……?

どうしたの?


アレクサンダー

ちょっと、ドラゴンのことを

考えていたのだ。


キャトラ

そういえば……アンタ、

ドラゴンを倒すのが

目的なんだっけ?


アレクサンダー

そうだ……王位に就くには

ドラゴンを討伐しなくては

いけなから……


アイリス

ドラゴンを倒すことで、

王としてのすごさを示す……

ってこと?



アレクサンダー

うむ。だから僕様もドラゴンを倒す

ために旅をしているのだ。


キャトラ

じゃあ、悩んでたのは……

倒せるかどうか、

不安だったから?


アレクサンダー

いや……


アレクサンダー

何を悩んでいるのか……

自分でもわからないのだ。


アレクサンダー

何か、大事なことを見落としている

気がするのだが……


アレクサンダー

このままでは……

ドラゴンと戦えない。

僕様は王子失格だ……


思い出6


アレクサンダー

なんて優しい光なのだ……

母上に頭をなでられている

みたいだ……


アレクサンダー

そうか……そうなのだ。

わかったぞ……

何か引っかかっていたのか!


アイリス

それは……?


アレクサンダー

うん。僕様は、

王になるためにドラゴンを

退治しないといけないが……


アレクサンダー

それは僕様の都合だ。

倒されるドラゴンが

かわいそうではないか。


アレクサンダー

もしかしたら、

そのドラゴンとだって

友達になれるかもしれないのに!


キャトラ

アレクサンダー、アンタ……


アレクサンダー

ありがとう、キャトラ、アイリス。

主人公……


アレクサンダー

その光のおかげでわかった……

僕様は友達を大切にしたいのだ。

今いる友達も――まだ見ぬ友達も!


キャトラ

……うん。いいんじゃない?

アンタらしくて。


アイリス

ええ。私たちも、応援するよ。


アレクサンダー

うん! ありがとう!


晴れやかな笑顔で礼を述べ――

アレクサンダーは、固く誓った。


アレクサンダー

誰よりも優しい王に、

僕様はなるのだ!


誰より優しき未来の王

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