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【白猫】マウリツィオ・思い出

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最終更新者:にゃん

マウリツィオ・ルガード cv.藤原啓治
悪魔を執拗に追い続ける神父。
その怨恨はとても深い。
2014/11/28


思い出1



俺はマウリツィオ。

悪魔を滅ぼすために旅をしている神父だ。

私はアイリス、こっちはキャトラ、そして主人公。

よろしくお願いします、神父様。

そんなにかしこまらなくてもいい。

まあ望むなら神父として説教してやるがな。ガハハハハ!

なんだか神父ってイメージじゃないわね……

ところで、俺はこの島に悪魔の匂いを感じて来たんだが……

悪魔はいるか?

いえ、私はみかけたことはありませんけど……

そうか。まあ隠れているなら

俺がどんな手を使ってでも見つけ出してやるがな!

『どんな手を使ってでも』って、すごい執念ね。

まあな。悪魔は俺の敵だ。

逃げるならば、逃げ場のないところまで追い込み、

最高級の恐怖を味あわせて、そして滅する。


抵抗するなら、俺にはかなわないことを自覚できるまで抵抗させる。

そして絶望を味わったところで滅する。

悪魔の恐怖に歪んだ顔、怯えて命乞いをする声、たまらんなあ!

ガハハハハ!

(ねえアイリス、神父ってこういう人だったっけ……?)

(私の知っている神父はちょっと違うかな……)

怖がることはない。俺が相手にするのは悪魔だけだ。

悪魔を苦しめるのは楽しいからな。ガハハハハ!

これで怖がらない方が難しいよ……


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思い出2



どうした? お前たち。懺悔でもしに来たのか?

いえ、私は懺悔するようなことはない……と思います。

そうだな。お前はとても綺麗な目をしている。主人公もな。

ねえねえアタシは?

むむ……すまん、猫は俺の専門外だ。

だがその口ぶりは……何かあるな?

隠さずに話すといい。俺が神の名のもとに、お前に許しを与えてやろう。

ア、アタシはそんな悪いことしてないわよぅ~!

ちょっと昨日の晩ご飯をつまみ食いしただけだってば!

キャトラ……

昨日のご飯が少なくなってるな、って思ったけどあなただったのね?

ご、ごめんなさーい!

よし、よく言ったぞキャトラ。許してやろう。

あ、ありがとう神父様!

自らの悪事を話すというのは、とても勇気が必要な事なのだ。

その勇気に免じて、許してやってもいいだろう? アイリス。

えっ? あ、はい!

そういうことだ。よかったな、キャトラ。

う、うん……

(脅されて言っちゃったようにも感じるけど……)

てか、ついうっかり懺悔しちゃったけど、すごく神父っぽかった!

マウリツィオさん、本当に神父様なんですね。

疑われていたのか! こりゃ面白い! ガハハハハ!

だって見た目もしゃべりも、怖いんだもん……

これからも何かあったら、遠慮せずに俺に懺悔するといい。


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思い出3



…………

マウリツィオさん、どうしました?

浮かない顔をしていますが……

うむ、アイリスか。実はこの島で悪魔を見つけてな。

あ、悪魔いたの! それでどうしたの?!

まだ何もしていない。どうしたらいいかと思ってな……

アタシたちは悪魔がいるって話、聞いたことないから……

特に悪いことはしたいないってこと?

マウリツィオさん、悪魔は

倒さなくてはいけないんじゃ……?

ああ、その通りだ。

それにあの悪魔、修道女の服装をしている……聖職への冒涜だ。

神父としては、そこは許せないポイントよね。

……しかし、奴の周りには人間がたくさんいるのだ。

うまく人間の生活に溶け込んだのかもしれんがな。

この島には色々な人がいるから、

そこがかえって住みやすいのかもしれませんね……

それだけではない。奴を頼ってくる者もいたのだ。

悪魔を頼る? そんなバカな話、と思ったが……

あんな奴は初めてだ。俺には手が出せん。

悪いことをしていないならそのままでいいんじゃない?

……そうだな。奴が何者かを見極めてからでも、遅くはないか。

それがいいと思います。何もしないなら、そのままでも。

焦ってもいいことないよ!

『急いては事を仕損じる』だな。うむ、肝に銘じておこう。

だが、殺すに足る悪魔だったなら、最高の苦しみを与えて殺してやる。

その日が来るのが楽しみだ。ガハハハハ!


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思い出4



……ふう。

マウリツィオさん、お疲れですか?

最近大人気よね~。マウリツィオの相談室。

相談を受け付けているわけではないのだがな……

この島には迷える羊が多い。

それだけ神父様が頼りにされているってことですよ。

神父としては喜ばしいがな。皆の力になれているのだから。

お疲れの時は甘い物がいいですよね。

ケーキと紅茶を用意しますね。

わーいケーキ! アイリス神様!

む、むう……そうか……

? どうしました?

俺は甘いものが苦手でな……

こらー! 神父が好き嫌いとかしちゃダメでしょー!

す、すまん。だがダメなものはダメなのだ。

あっ、気にしないでください。代わりのものを用意しますから。

キャトラもそんな事言わないの。

だってぇ~、食べ物は粗末にしちゃいけないって言うし~。

そうだな……俺の分はお前たちで食べてくれ……

こちらこそすみません。気を遣わせてしまって……

神父マウリツィオは今度アタシのところに懺悔しに来るように!

シスターキャトラ誕生だな! 頼りにしているぞ、ガハハハハ!

では私は甘くないものを用意してきますね。

――!

マウリツィオ、どうしたの?

い、いや……昔同じやりとりをした事を思い出してな……

俺はちょっと失礼する……

私……何かよくない事をしちゃったのかな……

うーん……特に何もしてないと思うけど……?


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思い出5



――というわけだ。

神に祈るだけでは何も変わらない。欲しいものは自分の力で掴め!

<マウリツィオと話していた人物は力強く頷き、去っていった。>

マウリツィオさん、今のは――?

ああ、神父の俺に相談があるという話でな。今まで聞いていた。

神父の説教って神に祈って救いを求める、とかじゃないの?

ああ、俺はな。

祈りだけでは救われない。それを俺は知ったからな……

何か……あったのですか?

……昔、俺は教会で普通の神父として暮らしていた。

だがな、ある日教会が魔物に襲われてしまったんだ。

教会の皆と談笑中、ちょうど俺が甘いものは苦手なことを話していた時……魔物が現れた。

この前はそういう……そうとは知らず私……ごめんなさい。

俺は必死で神に祈りを捧げた。

だが教会は破壊され、信者は皆死んでしまった。

俺が助かったのは祈りが天に届いたからかもしれん。

だが、俺にその時力があれば教会を信者を守れたんじゃないか――

俺は、そう考えるようになった。

辛い経験をしたのですね……

教会のことはあまり思い出したくなかった、ってわけね。

俺は人を救いたい、神父としてな。

だが最近、神父としての自分を見失っている気はしているのだ。

力がなければ悪魔と戦うことはできない。

では信仰は何のために存在するのだ……とな。

祈るだけでは救われない。それがわかっている俺は、

神父として必要なのだろうか……



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思い出6



――? この光は……?

神の啓示……いや、これはルーンの……

……そうだな、こんな些細なことで迷うなど、俺らしくもない。

マウリツィオさんは、みんなの相談を聞いてくれる。

それだけでも神父様として充分だと思いますよ?

うむ、信仰を見失うなど神父として失格だ。

俺としたことがまだまだ修行が足りんな。

信仰は心の拠り所。

力を持っていても、そうでなくても信仰は変わらん。

俺が力を振るえるのは、信仰という土台あってのもの。

お前のおかげでそれに気づくことができた。

ありがとう主人公。

これからも、私たちの相談相手として、よろしくお願いしますね。

ああ、勿論だ。

悪魔を滅ぼすまで、俺は戦い続けなければな。

悪魔の苦痛や恐怖に歪む顔、断末魔の悲鳴、想像するだけで身震いが止まらん!

神の名のもとに悪魔を滅する。それが俺、神父マウリツィオだ!

悪魔どもめ、覚悟しておけよ。ガハハハハ!

この怖いのがなければいい神父なのにね……

マウリツィオさん、何かあったら遠慮なく私たちに言ってくださいね?

シスターキャトラがマウリツィオの懺悔を聞いてあげるわよ!

ガハハハハ! 頼もしい奴らだ!

だがその必要はない。俺は神に隠し事などしてはおらん!

これからも懺悔したいことがあれば遠慮なく俺に言え。

俺が許しを与えてやろう!


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