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【白猫】聖夜の奇跡・ブラッド編 Story

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 熱い舞台の感動を胸に、

 とばりの降りた町へ繰り出した男に

 クリスマスの小さな奇跡が舞い降りる――



「へ……へへっ。あー、なかなかおもしれぇ舞台だった!

やっぱ、ああいう温けぇ話ってのは見てて気分がいいよな!

って、さぶっ! こりゃ、さっさと戻らねぇと風邪ひき――

ぁあん? なんだ、ありゃ……」


「あ、あの……困ります。私、早く帰らないと……」

「いいから、こっち来いって。」

「そうそう。仲良くしようぜ? せっかくのクリスマスなんだからよぉ。」

「い、いや……離してください……だ、誰か……神様……」


「……チッ。ヒトがせっかく気分良くしてるってのに……

おいっ! テメェら!」

「あ? なんだ。ニィちゃん。」

「なんだじゃねぇんだよ。くっだらねぇことしやがって。」

「あぁ? 邪魔すんじゃねぇよ! 引っ込んでろボケが!」

「引っ込むわけねぇだろ。よっ――」

<ブラッドは囲まれていた女の子の手を掴んで引き寄せ、自分の後ろへと庇った。>

「あ、あの……」

「ちょっと大人しくしてな。」

「は、はい……」


「この野郎……もうワビ入れても許さねぇぞ……」

「いれるかよ。ほれ、ゴタクはいいから、さっさとかかってきな!

口だけじゃねぇってとこを、見せてみろよ!」

「どうやら死にたがりのバカらしい。後悔はあの世でしな!」

「へっ! そいつは俺のセリフだぜっ!!」



姉と弟



「……ち、ちぐしょぉ……ぐっ……」

「ハッ! 口ほどにもねぇ。これにこりたら、相手を見てケンカしな!」



「あ、あの……」

「あぁ。アンタは、どこにもケガとかしてねぇか?」

「は、はい。ありがとうございました。……天使様。」

「あ? て、天使だぁ? そいつはなんの冗談だよ。」

「え……わ、私のこと助けてくれました……だから……」

「まてまて、たしかに助けたけどよ、それで天使ってのはオカシイだろ?」

「で、でも、私……神様に助けてくださいって祈っていて、それであなた様が助けに……」

「ああ~なるほど、わかった。だけどよ、俺のこのカッコ見りゃわかんだろ? 俺は天使なんかじゃ――」

「あっ!」

 女の子は慌てた様子で、道に転がった小さな箱に駆け寄る。

「――って、なんだよ、その潰れてまってる箱は?」

「クリスマスケーキです。……お願い、大丈夫でいて……」

 箱をそっと開ける女の子だが、中のケーキはグチャグチャになっていた。

「うわっ、こりゃひでぇな……」

「あぁ……そんな……」

「あ~……でもまぁ食べれねぇワケじゃねぇし、そんな落ち込むことねぇだろ。」

「でも……これじゃ、弟が……」

「ん? 弟? アンタ、弟がいるのか?」

「……はい……六つ下の弟です。病気で寝たきりなんです……」

「六つ、か……で、今の話からすると、そのケーキは弟へか?」

「はい。今日はクリスマスだから、ささやかだけど、一緒にお祝いしようと……」

「……そっか。…………そうだよな。アンタ、ねえちゃんだもんな……よし。

なぁ、それ俺にくれねぇか?」

「え……このケーキをですか?」

「おう。今、すげぇハラへっててよ。って、わけでもらうぜ! ――はむッ!!」

「あっ!? ちょっと、あの――」

 女の子が止めるのも聞かず、ブラッドは崩れたケーキを強引に食べ始めた。

「くずれてもケーキだな。うっめぇわ!」

「あ、あ、あぁ……」

「ふぅ……ごっそさん。」

「あ……いえ……」

「さってと、ハラへってたつっても、勝手に食ったんだし、ケーキの礼しねぇとな。」

「……え?」

「クリスマスケーキ買いにいこうぜ! どこがうめぇのか、俺にも教えてくれよ。」

「い、いえ、でも私、助けてもらったから、お礼なんて……」

「気にすんな。俺もまだ食いたりねぇしよ。アンタも――弟が待ってんだろ?」

「それは……」

「な?」

「……ありがとう……ございます。天使様。」

「俺は天使じゃねぇって。ただの……冒険家だ。」



メリークリスマス



「――ふぅ。おぉ~さみぃ。送ってくなんて言わなきゃ……

ぁ~いや、でも途中でからまれてもつまんねぇしな。

さっさと部屋に入って暖まりゃいい――ってなんだこりゃ?」

 ブラッドはドアの隙間に差し込まれた、便箋に気がついた。

「手紙……だよな? 誰からだ?」

『メリークリスマス、ブラッド元気にしてるみたいね』

 その一文から始まった手紙には、ひとりの女性の名前が書かれてあった。

「……っ!? ねえちゃんっ!?」

 慌てて周囲を探してみるが、そこには探し人の姿はなかった。

「ねえちゃん……」

 握りしめたままの手紙を開き、ブラッドは続きを読み始めた。

 そこには懐かしささえ感じる、少し乱暴な文字で、懐かしい姉の言葉が綴られていた。

「げッ?! ウソだろ、見てたのかよ?!」

 手紙には、以前ティナを助けたことへの礼に始まり、舞台に立つティナを見に来たこと、しかし会わずに帰ること――

 そして、ついさっきブラッドが女の子を助けたのを見ていたことも感想付きで書かれていた。

「……なにが『さすが私の弟。いい男になったわね』だよ。来たんなら、声くらいかけて行けってんだ……ったく。でもまぁ……

こっちの方が、ねえちゃんらしいか……

メリークリスマス、ねえちゃん。またな。

………………あっ! この話……ニイさんにしとかねェと、あとでヤベェんじゃ……ニ――

ニイさぁああああんっ!!」




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――今宵、あなたのところにも、

小さな奇跡が舞い降りるかもしれません……




聖夜の奇跡 ~想いをとどけて~

リリー編

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