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ミモリ・思い出

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最終更新者:にゃん
魔法学園の生徒
ミモリ・ベアフィックス cv.高橋美佳子
魔法学園の異端児。
ずぼらで適当で変態だが、成績は学年トップ。


思い出1


おいっす! 私はミモリ。魔法学園の生徒だよ。

おっ、まほーがくえん。

えっ、知ってるの?

立派な魔道士になるために魔術を勉強するところですよね。

たしか魔術と魔法は違う古代技術とかなんとか。

ルーンに白魔術や黒魔術を併用することで、高い効果の魔法を生み出せるとか。

そうそう。ふたりとも詳しいね。

まあね。で、アンタは白魔術と黒魔術どっちが得意なわけ?

う~ん、わかんない。その日の気分によるし。最近だとそうだな……

クラスメイト全員を一斉に空中浮遊させたっけ。めちゃくちゃな魔術理論らしいけど。

アンタってもしかして、すごいひと……?

そんなわけないよ。授業中、居眠りばっかりしてるし。

風紀委員に、ずぼらだってよく怒られるし。キミのほうこそ、猫なのに喋れるなんてすごいよ。

ま、まあそうかしらね。

猫って面白いよね。目つきは鋭いのに、口元は可愛らしくて……

ちょ、なに、顔が近いわよ……

くんくん。なんか匂いも落ち着くよね。特に眉間の部分とか……

だから近いんだってばー!!!

あ、逃げないでよ。

ぷっ……あはははは~♪

へっ?

あ、いや、気にしないで。

……なんなのよまったく。つきあってらんないわ……

あはははは~♪

…………

…………

あは――

こらー!さっきからなんなのよー!

だ、だって、顔は特徴的なのに、後ろ姿はまっさらなんだもん……

…………あはははは~♪

どうしよう……笑い転げてる……

なんなのこいつ!


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思い出2


ペロペロ……

あの……私の顔になにかついてます?

ペロペロ……

<ミモリはアイリスの顔を見つめながら、一心不乱に〈ペロペロキャンディ〉を舐め続ける。>

えっ? ちょ……

やめんかー!

!?

気持ちわるいのよ!なんなのさっきから!

ご、ごめん。怒るなんてそんな……

私はただ、彼女のモチ肌を想像しながらキャンディを舐めることで触感が再現できるかと……

はあ?

ダメ?

ふつうにひくわ! ほら、アイリス、あっちに行きましょ!

う、うん……

ま、待って……

…………

<ミモリは人差し指で地面をなぞり、魔方陣を描きはじめた。>

地と水のエレメントを7:3の割合で混合し、そこに光のエレメントをくわえる……

えっ? なに?

――やがて生命は芽吹く! 汝よ、我を主と崇め……

御意を得よ!!!

<突如、地面から大きなヒマワリが顔を出した。>

!!!



驚いた? 白魔術に黒魔術を組み合わせてみたんだけど。

ミモリさん、すごいです。

おっ、よかった。食いついてくれたわね。

……また友達がいなくなるんじゃないかってヒヤヒヤしたよ。

また?

なぜだかみんな、私から離れていくんだよね。小さい頃からずっとそう。

だからそのたびに新しい魔術を披露して……

…………ちょい待ち。アンタが魔術をはじめたきっかけは?

友達の気を引くためだよ。

…………ひかない行動を心がければいいんじゃないかしら?

どういうこと?それじゃ私が変な人みたいに……

……ダメだこりゃ。




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思い出3



<――魔法学園高等部。昼休み。>


ハルカー!〈空中腕相撲〉しよー!

また変な遊びを……けどね……

どんな勝負だろうと、あんたには負けらんないのよー!

<ミモリとハルカが互いの右手をがっちりと握り合った。

――空中で。>

待った。こういうのってふつう、肘を机の上に立ててやるもんじゃない?

いいから、いいから。このまま腕を左右に振るよ。レディー! レディー!

えっ、なに、これ、なに!?

レディーゴー!!!

<ミモリがハルカの右手を勢いよく押し倒す。二人の腕が空中でねじれていく。>

いたたたたた!ストップ! ストップ!

えっ?

これってどうやったら勝負つくの?

つかないよ。だって空中だもん。

はあ!?そんなの意味ないでしょ!

ないけど、楽しくない?

なわけないでしょ!私は勝負がしたいの!

わかったよ……ん~、じゃあ……

<ミモリは教室の床に四角い積み木を並べ、その上に指人形を置きはじめた。>

…………

バンボロー!!!

<そしてミモリは、並べられた積み木を腕でなぎ払った。>

きゃっ!? な、なんでバラバラに?

どう? 〈バンボロ〉っていう遊びなんだけど……

今の遊びなの!?

ちょっと、静かにしてよ。これだから変人は……

……ごめん。

…………

ハルカだけだよ、私に付き合ってくれるのは。

べ、べつに……私はただ……

よーし、それじゃあ気を取り直して〈腹筋牛乳〉を!

……いやよ!



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思い出4



およよ? 来たかも。

どうしたのアンタの帽子?なんかモゾモゾ動いてるけど……

「グェ、グェ!」

帽子の中から動物の鳴き声が……

犬? いえ、ニワトリかしら……

ミーアキャットだよ。

はあ!?

知らない? イタチみたいに胴が長くて、荒地に巣穴を掘って生活している……

そういうこと聞いてんじゃないわよ!

どうしてそんな動物が、ミモリさんの帽子の中に……?

空間転移させたの。

なにそれ?

古代の黒魔術にルーンを併用した魔法でね。

以前、〈扉のルーン〉を使っている少女を見かけたときに思いついたんだ。

簡単にいうと超重力でA地点の空間を膨張させ、B地点の空間を収縮させることで……

もっとかんたんに!

まあ要するに、帽子をミーアキャットの巣穴を繋げたってこと。

……やってることはアホらしいけど、なんだかすごいわね。

どうしてその魔法を?

もうすぐ自由研究があるから、それに向けて練習してるの。……禁じられた魔法だけど。

それにしても、アンタにしては珍しくやる気ね。

ま、評価とかはどうでもいいんだけどさ。

私が一番であり続ければ、あの子が興味を示してくれるから……

あの子?

私にとって魔術は、私とあの子を繋ぐ架け橋……それだけのものだよ。



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思い出5


おじゃまするわ!

ア、アンタ……!

ねえ、あいつ見なかった?

ミモリさん? でしたら今朝から姿が……

なにかあったの?

今日は学力テストだってのに来ないのよ!

皆勤賞のあいつが!きっとなにかあったんだわ……


 ***


う……う~ん……あれ? ここは?


うそ!? もう目覚めたの? ゾウを丸一日眠らせる薬だったのに……

あなたはうちのクラスの……――!?

<ミモリは手足をロープで縛られ、椅子に固定されている。>

な、なにこれ?どうしてこんなこと……

あんたにテストを受けさせないためよ。

えっ?

私は〈魔法史〉では誰にも負けたことはなかった……

あんたが魔法学園にくるまではね!

……取り柄がなかった私は、遊びも恋愛も全部我慢して、魔法史の勉強に明け暮れた……

なのに……ずぼらで変人のあんたが私の努力を! 居場所を奪った!

そんな……私は適当にやってるだけで……

ええ、そうよ!なのに成績はいつもトップ!

あんたのせいでノイローゼになって、成績は落ちるいっぽうよ……

だから、あんたにも味わってもらうの!トップに立てない人間の屈辱をね!

あじ!? 今、味っていったよね!

はあ?

そんなこと言われたら……舐めたくなっちゃうよ……

な、なによ突然……

キャンディ舐めたい!舐めさせて!

よく見たらあなたの肌、とってもなめらか!

なんなのよこいつ!?


 ***


舐めたい……

えっ? ハルカさんの帽子の中からミモリさんの声が……

これは……空間転移魔法だわ!

おそらく、アンタの帽子とミモリの帽子の中の空間が繋がっているのよ!

……そうみたいね。けど、不完全よ。抜け穴が小さすぎる……

こんなめちゃくちゃな魔法、あいつにしか無理だし……これ以上空間を広げることは……


お願い! 助けて!


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思い出6 (友情覚醒)



えっ?

<ミモリの帽子の中からルーンの光が溢れ出した。>


「こんのぉぉぉぉおおおおおっ!!!」


およ? どこからか声が……

な、なにあれ!?帽子から足が生えたわ!

ぐぎ……頭が重い……なにか、出る!?


はあはあ……成功したようね、空間転移………

ルーンの光が、空間を広げてくれたおかげね……

<ハルカは帽子の中にできた空間の抜け穴を通り、飛行島から廃墟ビルと移動した。>

ハルカ!?

私が来たからにはもう安心よ。すぐに縄をほどいてあげるから……

う、うん。ありがとう。

あんたは万年二番手……どうやってここに……

誰が二番手よっ!!

ひ、ひい!? こわい……

あなたの非道な行いは、風紀委員として見過ごせないわ。

気の毒だけど、学園長にこのことを報告して……

そんな……

まあまあ、私たちも空間転移なんて禁じられた魔法使っちゃったし。

ここは、おあいこってことで。

えっ……

いいでしょ、ハルカ?

………………はあ。しょうがないわね。

ごめん……なさい……

<女子生徒は涙を浮かべ、腰から崩れ落ちた。>



……ふう。これで一件落着だね。

…………

ミモリ?

その……ごめんねハルカ。学力テスト……私のせいで受けられなくて……

いいわよそんなの。

えっ?

あんたがテストを受けないんじゃ、意味ないでしょ。私はあんたを倒して一番になりたいの!

……うん。

さあ、帰るわよ。


 ***


ねえ、ハルカ、そこの答えは〈サフラン〉だよ。

い、言われなくてもわかっているわよ!

課題くらい仲良くやりなさいよね。

そうだよ。二人の点数はどうせ変わんないんだし。

じゃあ、どっちが早く課題を終わらせられるか競走よ!一番は、この私なんだから!

いいね。でも……

一番は、ゆずらないから♪





異次元の理論 ミモリ・ベアフィックス






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