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リツェーレ・バックストーリー【黒猫のウィズ】

最終更新日時 :

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黒猫ストーリー


開催期間:7/14 16:00 ~ 9/20 15:59





歩く、走る、跳ぶ、乗り物を使う、近道を選ぶ、地下を掘る、あえて回り道を進む……。

道を行く方法に様々な手段があるのと同じように、「魔道」の極め方は様々な方法があった。


しかし、この異界――魔道を追及し、魔道を極める異界において――

リツェーレの選んだ「道」は、異端と呼ばれ誹(そし)られている。



「……また失敗か。」


なぜなら、リツェーレは精神的な修行などにより自らの内に魔道を見出すのではなく……

魔力を利用した人形――魔道機械を自らの研究の中心に置いていたからだった。


(……遠い。遠すぎる。こんなママゴトを続けていては、届き得るはずもない)


リツェーレの選んだ魔道は、ほんの数歩進むだけで多大な努力を要した。

なにせ、異端と呼ばれる道である。そもそも誰もその道を選らばない。

後ろ指をさされ、誰もがその異端の魔道に陰口を叩く。あんなものは魔道ではないと。


「……先に、進まなければ。」


だが、彼は足を止めることをしなかった。

この道の先に、確固たる目指す場所があったからだ。


(あれを、あの金色の人形を、再現しなければ……)


幽鬼のように夜の街を彷徨うリツェーレの目には、うつろながらも強い光が宿っている。

寝ても覚めても、リツェーレの脳裏に浮かぶのは――。



幼少期に、街へと流れてきた金色の髪を持った人形の姿だった。

彼女を見た時に進むべき魔道が燦然と輝いたのを、リツェーレは覚えている。


入間と見紛う自然な動き。執念じみた機構の精密さ。

それらを統率する驚異の魔力装式――。


――あれは、芸術品だった。それも、神の域に至るほどの。



(――「あれ」を、私の手で作り出さなければ)


その思いは、もはや恨みや怒り、あるいは脅迫観念に近い。

リツェーレは求めていた。研究を一足跳びに推し進めるであろう「材科」を。

そして、ついに――。



「見つけた……。」


つい先日その短い生涯を閉じた少女の魂。

まだ無垢なその魂を、リツェーレは求めていたのだった。



だが、少女の魂を守る守護聖霊が、それを許しはしなかった。


「……ブラギーア、やれ。」

リツェーレは顔色ひとつ変えず、眉一つ動かさず、巨大な羽虫のような魔道機械の名を呼んだ。


「……」


進むべき道の途上にある、障害物を排除するために。



異端と呼ばれ誹られつづけたリツェーレの魔道。

だが、その道は、およそこの異界の人々の想像の及び付かないところまで伸びていたのだ。

それは、リツェーレの考えうる、あるいは通常の人間では考えもしないような――

ありとあらゆる実験と、気が遠くなるほどの失敗を繰り返した結果だった。



「これで……やっと前に進める……。」


閉じた生命から魂を抜き出す研究は終わっている。

その魂を加工し、無機物に宿す実験も飽きるほど繰り返した。

人の動きを寸分違わず再現するような、精妙な動きを叶える機構も随分前に完成している。

魔力を糧にその機構――魔道義体を動かす方法も、既に用意が終わっていた。


それを動かす無尽蔵の魔力を生む方法は、人の魂を材料に用いれば実現できる。


そして、その材料は今手に入った。

ついにリツェーレは目指す場所へとたどり着いたのである。


「……これで、やっと。」


だが、そこには喜びも悲しみもしなかった。

ただただ、リツェーレは疲れ果てていたのだ。



本当に、あの美しかった金色の人形は、こうやって作られたのか?


否、そんなはずはない。

あの美しい人形を作るために、汚れ果てたこんな手法や手段が用いられたはずがない。

だが、この方法以外の手段など、もう何一つ残されていないのだ。


近づけば近づくほどに、自分の作っているものが目指した美しさからかけ離れていく……。

それは、もはや絶望と呼べるほどの苦悩だった。


(……こんな手で、何が作れるというのだ)

透き通るように白いリツェーレの手や髪は、もう戻れないほどに汚れてしまっている。


リツェーレは、迷わずに道を歩き続けたのではない。

足あとの上に積み重ねた、黒々とした伺かに怯え続け……

振り返ることも、立ち止まることもできなかっただけ。


あらゆるものを踏みつけながら、リツェーレは進むしかなかったのだ。



「……終わった。」


しかし、相反する思いを抱えながら、ついにリツェーレは完成させる。


魂から無尽蔵の魔力を生む手法の頭文字を取り、犠牲となった物言わぬ妹たちの数を与えられ――

最後に、自分が歩んだ魔道の証として、自分の名前の一文字を捧げて。



「……おはよう、私の最高傑作。」

「……おはようございます、マスター。」


こうして、銀色の人形は目を開いた。



はじまりの物語は、ここで終わる。

幸せな物語への道のりは、果てしなく遠く、険しい。



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