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Abyss Code《降誕、そして聖戦》~その産声は不浄~ Story【黒猫のウィズ】

最終更新日時 :

白猫ストーリー

黒猫ストーリー


2017/00/00



「────」

バシレイデは、目を覚ました時、目の前に広がる世界に息を呑んだ。


無限に広がる空、果てし無く続く大地、そしてそれらを彩る数々の生命──

およそ理解の及ばぬ仕組みがその美しさを成していると知り、産声の代わりに賛嘆の声を上げた。

「うわぁ……。」


それが、その世界を壊すとも知らずに。



彼の声は空気を揺らし、音が染みるものを全て砂に変えた。

落ちた涙は強烈な毒を生み、草や木を石に変えた。

目の合った生き物は、砂の彫像へと成り変わった。

地に足をつければ、それは酸を吐く土壌と変わり、空を仰げば、雲が淀んで汚泥の雨が降った。

しかし、不思議とバシレイデは悲しまなかった。


「そうか……これが、"僕の世界"なんだ。僕が神として総べる世界の、あるべき形……。」


自分が世界を総べる神であること──その自覚と責任は、生まれたその瞬間から彼のなかにあった。

だが、他には何も知らなかった。だから、"これが正しい摂理なのだ"と認識してしまった。


毒も汚泥も、腐りゆく大地も、色あせた空も──何も知らぬ彼にとって忌むべきものではなかった。

神が世界にもたらすもの──それはすなわち、"祝福"に他ならないのだから。


「僕が産まれた、僕の世界……。僕が祝福をもたらすべき世界。

この世界を大切にしよう。誰にも渡さないように、誰にも触れられないように……。」




時折、彼によく似た姿の生き物が、鋼の刃を振りかざし、魔力を駆使して攻撃を仕掛けてきた。


「なんてか弱く、儚い生き物なんだろう。だから、僕の力に怯えてしまっているのかな……。」

自らを傷つけようとするその生き物たちに、バシレイデは、そっと優しく声をかけた。

「大丈夫、僕がきちんと守ってあげるよ……。」


そして、彼はその生き物──"人間"へと、無垢なる手を伸ばした。

神として、"祝福"をもたらすために──

その時だった。


「……?」


"悪い予感"が、バシレイデを襲った。

この世界を、バシレイデを侵そうとする敵の気配。神の感覚が、その気配に警鐘を鳴らしていた。


「ああっ……!」

バシレイデは震えた。自分を破壊しうる力と──何より、"破壊する"という強固な意志の接近に。


「こんなものが、来る……僕の世界に──こんな、おそろしいものが……!

させない……僕の世界は、僕が守る! こんな奴に、傷つけさせるものか!」


バシレイデは、それを迎え撃つ構えを取った。

あらゆるものを拒絶する"卵"──自分と世界を守るための殻を備えた、強固な形。


「"壊せない"ってわかって、諦めてくれればいい。そうしたら、こっちも傷つけずにすむ……。

だけど──もし──それでも、僕の世界を……、この世界に生きる命を壊そうとするのなら……。」


壊すしか、あるまい。


絶対不可侵の壁の奥でバシレイデは静かに考えた。

"世界の敵"を完膚なきまでに叩きのめす手段を。



そんなことにならなければいいと──ただただ必死に願いながら。




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