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アイ&アイ(謹賀新年2018)Story【黒猫のウィズ】

最終更新日時 :

白猫ストーリー

黒猫ストーリー


2018/01/01

目次


Story1 主なき世界

Story2 アトラクション巡り

Story3 心に残る宝物



主な登場人物






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story1


「なんダろう、ココ……町?」

「でも、誰もいないね、アイ。」


アイとアイは、そろって首をかしげました。


海に面する、広い広い町――のようなどこか。

ふたりは、その片隅に立っています。

町、のようではありますが、人気はなく、代わりに変わった乗り物や奇妙なオブジェがあちこちに置かれています。


「なんだか、おもちゃの町みたい。それも――」

そこから先の言葉を、アイは、そっと呑み込みました。

それもまるで、飽きられて捨てられたみたい、――とは、□にしたくなかったのです。

きっと誰かに見てもらうために作られたに違いない、どこか愉快な町並みは、誰もいない世界では、ただの廃墟よりさびしく見えました。


「とてモ強い魔力の残滓がアる……。」

アイが、ぽつりとつぶやいて、白く細い手を、乗り物の柱に当てました。

「……んっ。」

アイの身体から、淡い服力の光が巻き起こり、乗り物へと流れ込んでいきます。

「なにしてるの、アイ?」

「この乗り物、魔力デ動くみタイ。だカラ、きっ卜、こうスレば――」

ごぅん、と重い音を立てて、乗り物が動き出しました。

そして、さらに、その乗り物から何かが跳び下りてきました。


「ぬあああああ。」

子供が描いた落書きが、壁からはがれて動き出したような、とても変わった生き物? です。


「絵が出てきた。」

「こノ感じ……魔法で作られタものみたイ。」

「私たちと、同じってこと?」

「そうかモ。 ――ね、おいデ。」

アイは、にっこりと微笑んでしゃがみ込み、機械の指先を伸ばしました。

〝それ〟は、ものすごい勢いで突っ込んできます。

「死――」


「きゃっ!」

「どうしタの、アイ。魔道ビームなんて出しテ。」

アイは、自分の後ろをきょろきょろと見回し、不思議そうに眉を寄せました。

「ごめんごめん、後ろに変な気配がしたから。でも、おかしいな。センサーの故障かも。」


「…………。」

ふたりは気づきませんでしたが、〝それ〟は、ばっちり見ていました。

アイの後ろに忍び寄った幽霊が、魔道ビームの1発で消し飛んだのを。

「…………。

おきゃくさま、よーこそおいでくださいました。ここは、ろあこーすたーです。」

〝それ〟は空気を読みました。

「ほかにも、いっぱいあとらくしょんがあります。どーぞ、たのしんでいってくださいざー。」

さらに、キャストに徹しようとしてか、雑な語尾までつけ始めました。


「アトラクションだッテ、アイ。」

「他の場所も、魔力を込めたら動くのかな。」

「見てみたいナ。」

「うん。手分けして、起動してみようか。」

ふたりのアイは、うなずき合って、それぞれ別々の道に向かいました。


「防衛ッタ1号が消し飛んだんだが?」

「どんまいざー。」


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story1-2



金色のアイが道を辿って行くと、なんだか金ぴかなものがそこらじゅうに置かれた場所に着きました。


「豪華なとコロね。」

アイは、金で塗り固められた女の子の像に触れて(土台にインゴットソフィと書いてありました)、魔力を流し込みました。

すると、ギギギ、とインゴットソフィの首が回り、アイの方を見ました。

「もう少し待っテね。」

アイは、さらに多くの魔力を流し込みました。

「このくらイ魔力があったラ、動ケる?」

「ありがとう。」

インゴットソフィは、にっこりしました。


「いくらほしいの?」

「イイよ、お礼なんテ。」

「ふうん。で、いくらほしいの?」

インゴットソフィは、話を聞かず、ぺらりと金色の紙を差し出しました。

「魔道小切手に好きな額を書いてね!」

「お金、あってモ使わナいから。」

「はい、金の延べ棒だよ。」

「それモ、使わナいかな。」

インゴットソフィは、困ったような顔をしました。

「ソフィの辞書に金以外の文字はないよ。」

「そうなんダ。イイよ、無理しなクて。お気持ちだけデ。」

アイは優しく笑って、次のアトラクションに向かいます。

その背中を見つめながら、インゴットソフィは、ギギギと首をかしげました。

「変なの。絶対嘘だよ。金も金(きん・かね)もいらないなんて。

あっ、ひょっとして、あの子が金色だから?金を見慣れ過ぎていて、相対価値が低いのかな?

だったら、ソフィが見せてあげる。金には無限の可能性があるんだってこと。」



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story1-3


「スーパー・ブッキッシュ・スペクタクル・ライブラリー・オーセンティツク・アトラクション、ストラマーラグーン……。

長い。

私の昔の名前みたい。長いから、マスターは略称で呼んでたけど。

…………。マスター……。」

アトラクションに魔力を注ぎ込みながら、アイは、しょんぼりとうつむきました。

すると。

「じ……っ。」

アイの膝ほどの背丈もない、ちっちゃな女の子たちが、物陰からジッと見つめてきました。

「わ。なんか出てきた。よろしくね。」

アイが手を伸ばすと、女の子の1人が、とことこ近づいてきました。

「我々は、ちっちゃイーニア。

小さいが握力はある。それだけだが、なにか?」

ちっちゃイーニアは、アイの手を取り、ギュッと力を込めて握りました。

アイの手に、万力のような圧力がかかります。

でも、アイはちっとも痛くありません。笑って、握り合った手を軽く振りました。

「私はアイ。仲良くしようね。」

「む。」

攻撃がぜんぜん効いていないとわかったちっちゃイーニアは、仲間を呼びました。

「わ。いっぱい出てきた。」

「とつげきだー!」

ちっちゃイーニアたちが、わーっ、とアイに群がります。

「地味に痛い攻撃を繰り返す!」

「みんなでかかれ! 太ももをつねれ!」

「こうなった私たちは無敵だ!」

ちっちゃイーニアたちは、寄ってたかってアイのあちこちをつねりますが、アイには、やっぱり効きません。

「うふふ。歓迎してくれてるんだね。かわいいな。」

アイは、子猫の群れにたかられているような顔で、幸せそうにしています。

ちっちゃイーニアたちは、アイから離れてスクラムを組みました。

「一旦集まろう。あれ? これで全員かな?」

「まったく効いていないぞ。どうする。」

「悔しいが、力ではかなわない。だが、我々の真の武器は、それではない。」

「うむ。見せてやろう。数の暴力。マスのパワーを。」

「すすめ!」

ちっちゃイーニアたちは、わーっ、とアイに跳びかかりました。

無抵抗で受け入れるアイのあちこちに、みんなで、ひしっ、と抱き着きます。

「バカなやつだ。」

「私たちにまとわりつかれるとうざいぞー。」


「ふふふ。かわいいなあ。あの魔法使いさんが連れてた黒猫さんみたい。」

ちっちゃイーニアたちにしがみつかれたまま、アイは、るんるん気分で歩き出すのでした。



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story2


「ココは……なんダろう。箱がいっぱイ置いてアる。〝エリスボックス〟……。?」

大きなものから、小さなものまで。いろんな箱が、その場を埋め尽くしています。

アイが、箱の中身を確かめようと近づくと――

「ボオオオ……ボオオオ……ボオオオオ……。」

どこからともなく、不気味な声が聞こえました。

箱のひとつが、ずるりと開きます。

その中から、長い髪を垂らした女性が、液体の流れ出るように、どろり(・・・)とこぼれ落ちました。

「ボオオオオオオオ……。」

女性は、ゆっくりと近づいてきます。

「ハッハッハッハッハッ……。

ココココココココココ……!

ヒャハハハハハハハハハハッ!!」

目の前まで来て奇声を上げる女性に、アイは、ていねいに挨拶しました。


「こんニちワ。私はアイ。」

「オォオォォオオオオオオオオ……!!」

「あなタ、箱が好きナの?」

「ハコハイイ……ハコハイイワ……エイエンニ ニガサナイ、トジタ セイイキ……ハコハイイ……。」

「そうなんダ。私も好キだよ。生まれ夕場所を思い出スの。」

「ソウヨ、ハコヨ、コレハハコナノ、アナタモハコ、ハコハコハコハコヒャハハハハハハ!!」

「フフ。楽しそウ。本当に箱が好きなンだ。」

アイは、手近な箱に触れました。

「あ、こレなんテ、装飾が凝ってテかわイイね。」

「アナタモ ヒキズリコンデアゲル……。」

「え? 入れてくれルの? ありがトう。」

「ハコニ! ハコニィ!!」

女性は、がばっとアイに抱き着いて、箱の中へと引きずり込んでしまいました。


「わア、すゴい。中はこんナ風なンだ。」

「ハァアアアァァア……。」

「これハ何? ア、動いタ。おもシローい。」

「ハコノナカニィィィイイイイイ!!」


しばらくしてから、アイはパカッと箱を開け、外に出ました。


「ありが卜う。すゴくおもしろかった。」

「ゼンブ トジコメテ アゲタイノ……。」

「熱心ネ。きっト、ここハ箱屋さんなノね。」

「ハコニ トジコメテ アゲルカラッ!!」

アイを同好の士とみなしたのか、女性は、小さくてかわいい箱を、たくさんくれたのでした。



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story2-2


ちっちゃイーニアたちにたかられたまま、アイは、次のアトラクションに到着しました。

「ここは、どんなアトラクションかな。」

アイは、中央にある大差に触れて、そっと魔力を流し込みます。

すると突然、大釜の周囲で、どーん、という大きな音とともに爆発が起こりました。

「わっ。」

「なんやわれー!」

どーん、どーん、と爆発が続くのは、大釜の脇から現れた人形が、ぽいぽい爆弾を投げているせいでした。

人形は、アイとちっちゃイーニアたちを見て、ぎゃーぎゃーわめきます。

「なんやわれ! なんやわれ!」

「アイだよ。よろしくね。」

「おうおうてめーら、ばくはつさせんぞ!」

言うが早いか、爆弾を投げつけてきました。

「うわ!」

アイは、ひしっとしがみついてくるちっちゃイーニアをかばい、手から魔力の光を放ちました。

アイの光を受けた爆弾は、空中で、どーん、と爆発しました。

「こーら。危ないから、人に向けちゃだめだよ。」

「ええばくはつしとるやんけ!」

「昔は、これで魔物を退治してたんだ。今は、滅多に使わないけど。

それにしても、さっきの爆弾、綺麗に爆発するんだね。だったら、こういうのはどう?」

アイは、そのへんに置かれている爆弾を手に取り、空高く放り投げました。

「えい。」

そこへ、魔力の光を放ちます。

爆弾が空で爆発し、大きくて綺麗な花を咲かせました。

「どう? こんなふうにしたら、安全だし、きれいでしょ?」

「よいばくはつでござった。」

人形は、こくこくうなずき、抱えた爆弾をぽいぽい上に放り投げます。

「まじめにばくはつ!

おちゃめにばくはつ!」

コツをつかんできたのでしょうか。爆発――花火は、どんどん大きく、綺麗なものになっていきます。

アイは、にこにこと拍手しました。

「うまいうまい。」

「ふるすろっとりゃー!!」

すっかり花火にハマってしまった人形を微笑ましく見つめてから、アイは次のアトラクションに向かいました。




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story2-3


「あラ、アイ。そっチはどうダッた?」

「楽しかったよ、アイ。」

施設の中央にある、大きな農園の前で、ふたりはばったり合流しました。

「ここが、最後みタい。」

「じゃあ、せーの、で行こうか。」

「せーの。」


ふたりはしゃがみ込み、農場の土に手を触れて、魔力を送り込みました。

すると、ぼこっ、と土が盛り上がり、中から何かが現れました。


「ソンビエッタ。」

ソンビエッタでした。

1体ではありません。ぼこっ、ぼこっ、と、農場のあちこちから、次々とソンビエッタが生えてきます。


「ソンビは群れをなす!」

「素早いタイプのゾンビ!」

「戦術理解に長けたゾンビ!」

「貴様もゾンビにしてくれるー。」

「死ねえぃ。」

群れをなしたソンビエッタたちが、ドドドドド、と迫ってきます。

でも、足が腐っていたので、コケました。

「いてっ。」

ソンビエッタたちは、バラバラになりました。


「だいジョうブ?」

「ほつれちゃった。裁縫得意?」

「うん。そういうの好き。みんなも手伝って。」

アイたちは、ちっちゃイーニアたちと手分けして、ほつれたソンビエッタの傷を縫合していきます。

「これでよし。どう?」

ソンビエッタたちは、動きません。

「なんだ? 攻めてこないのか?」

「腐ってない……心は……腐って……ない……。

恩は……忘れぬ……。

かぼちゃ食え。」

「ありがとウ。でも私たチ、食べ物はいらなイの。」

「私は喰うぞ。ちっちゃいけどなんでも喰うぞ。」

「ふふ。パーティだね。せっかくだし、他のみんなも呼んでこようか。」



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story3



農場の外に出ると、施設全体が、キンキラキンに飾りつけられていました。

「わア! すっごくキレい!」

「金金金! 世の中やっぱり金だよね!」

飾りつけをしていたインゴットソフィが、満足げに言いました。

「エリスボックスさんたちも手伝ってくれたんだよ。」

「オ マ エ モ ハ コ ヘ。」

「ありがとウね。キレいな箱、置いテくれテ。」

そんな話をしていると、他のキャストたちも、呼んでもいないのに続々と集まってきました。


「なんやわれー!」

「グレートザッ……やっぱ死ねぇい。」

「かかってこいやー! はなびにしちゃるわー!」

「ヒャハハハハハハハハハハッ!!」

「小さいからってバカにするな!」

「ソンビに噛まれるとソンビになるぞー。そしてめっちゃ痛い。」

「さくっとお金で解決しちゃおう!」


「はいはい、喧嘩しないの。みんな仲良くしようね。」

出会うなり威嚇しあうキャストたちを、アイとアイが優しく引き離していると――

突然、ごーん、という鐘の音がして、らくがきリルムが飛び上がりました。


「チャチャチャチャチャランポライザー!」

「どうしタの?」

「グレエエート……。」

「「「「「「ニュウウイヤァァーーーー!!!」」」」」

「ふるすろっとりゃー!!」

キャストたちがそろって叫ぶと、空に大きな花火が打ち上がります。

アイたちは、きょとんと顔を見台わせ――

お互いに、小さく笑いました。


「そっか。もうそんな時期だったんだ。」

「みんナが集まっテきタのは、お祝いノためダッたんダね。」

「よし。じゃあ改めて、みんなで、明けましておめでとうのパーティしようか!」

待ってましたとばかり、ソンビエッタたちが食べ物を運んできます。


「トワファーム、土がいいからなんでも穫れる。

「喜べえい。

「おいしそう……じゅるり。

「オノレェ!

「いろんなもんがはみ出しとるがな!

「まあまあ、これあげますから。

キャストたちは、わいわい騒ぎながら、野菜に群がっていきます。

その光景を見て、ふたりのアイは、どちらも優しく微笑むのでした。


「こうイウ新年も、にぎやかデいいネ、アイ。

「そうだね、アイ。ちょっと暴れすぎだけどね。

「私たちを怒らせたな? これでもくらえ!

「シンプルに死ねえい。

「貧乏人のくせに!

「もう。だから、喧嘩しちゃだめだってば。

あきれながらキャストたちの間に入るアイを見て、もうひとりのアイは、うれしそうに笑いました。

「いいお姉サンね、アイ。」


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story3-2



夜が明けました。

初日の出のぬくもりに触れた潮風が、人気のない路地を吹き抜けていきます。

騒がしくしていたキャストたちの姿は、もうどこにもありません。飾りつけも、すべて消えてしまっています。

アイたちの注いだ魔力が尽きたのです。


「みんな、楽しそうだったね。」

「うン。」

アイとアイは、誰もいなくなった朝の農場を、じっと見つめ続けていました。

朝焼けに淡く照らし出された農場の空気に、まだどこか、キャストたちの騒がしさの余韻が含まれているような気がして。

「面白い子たちだったね。ここを作った人は、きっと、すごく楽しかったんだろうな。」

「そうダね。私モそう思ウよ、アイ。」

誰が、なんのために、この場所を、そして、あのキャストたちを作ったのか。それは、アイたちにはわかりません。

だけど、同じ魔道で生み出されたものとして、感じ取られたことがありました。

「あの子たちハ、作った人二愛されてタ。」

「うん。ちょっとうらやましいな。」

「アイ……。」

「だいじようぶ、アイ。悲しくなんてないから。

私、うれしいんだ。そういう子たちに出会えて。胸が、あったかくなった気がする。

これも、綺麗なもの、美しいもの……だよね? アイ。」

「もチロんそウだよ、アイ。」

ふたりのアイは、互いが抱いたぬくもりを確かめるように、機械の手を重ね合いました。

そして、農場の方を振り返り、優しいささやきをこぼしました。

「来年も、来るかラ。」

「また、いっしょに遊ぼうね。」

潮風が、尻尾を振る犬のように渦巻いて、美しい金と銀の髪をなでていきました。






アイ&アイ(謹賀新年2018)Story -END-

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機械仕掛けの双生
初登場 金色のアイ (900万DL記念)2013/10/15
バレンタイン (限定)2014/02/01
クリスマス (限定)2014/12/16
彷徨う機械、運命の邂逅 (ウィズセレ祭)2015/04/16
初登場 リツェーレ (ウィズセレ祭)2015/05/16
(3500万DL記念)2015/07/31
機械仕掛けの双生2015/08/01
白猫×黒猫×グリコ コラボ (メイン飛行島)2016/01/29


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