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アイ(金色)

最終更新日時 : コメント(0)

900万DL記念 (限定) 2013/10/15

バレンタイン (限定) 2014/02/01

クリスマス (限定) 2014/12/16

銀色のアイ (限定) 2015/04/16

3500万DL記念 (限定) 2015/07/31



story1 900万DL記念 (限定) 2013/10/15



――亡き愛娘を蘇らせる。


それが”深い悲しみに囚われた妻”に対し、夫として……

魔道工学者として自分が出来る唯一のことだと当時の私は信じて疑わなかった。


”魔法”を動力として動く人造の存在。

それからの私は己の人生の全てを……心血を注ぎ

「愛娘の姿を模した機械仕掛けの少女」の制作に没頭した。


姿形は真似ることは比較的に簡単だったが問題は心。

亡き愛娘の名前「アイ」と名付けたソレには心が宿らなかった……。



――あれから一体どのくらいの月日が流れたのか。


娘の魂を宿らせた「魂魄石」に魔力を送り込み、

もはや何度目なのかも分からない起動実験を開始する。


亡き愛娘を蘇らせる。


その目的で作り上げた「魔道工学の結晶」である『アイ』に

心を宿らせる為、私は人生の半数以上を費やした。

すでに数年前に妻は先立ち、そして恐らく私も……数日以内が限度だろう……。


『アイ』に「人工的な知能」を持たせることは数年前に成功はしている。

しかし、私のことを「マスター」と呼び、命令を待つ

「娘の姿」をした”ソレ”は私の心を酷く苛立たせた。


私の身の回りを甲斐甲斐しく世話する『アイ』と、

それを嫌悪し「娘の心」を宿らせようと、躍起になって研究にのめり込む私。

『アイ』と『私』の歪な日々は続いた。



――結局、最後の実験でも『アイ』に心を……

「愛娘」の心を宿らせることはついに叶わなかった。


今際の際で、最期の眠りにつこうとする私。

その横に立つ『アイ』。

彼女の瞳からは「涙」が流れていた。


「ワタシ ヲ ヒトリ 二 シナイデクダサイ。」


……私は「娘の魂」を宿らせることはついに叶わなかったが、

「彼女自身の心」を芽生えさせることには成功していたのかもしれない。



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story2 バレンタイン (限定) 2014/02/01



父は魔道工学の第一人者。

娘は父が創造した人造の機械少女。


娘は自身を創造した造物主を「父」と呼び、

不器用ながらも精一杯の想いを込めて慕った。


父は自身が創造した機械少女を「娘」と呼び、

彼女が見せる不器用な愛情表現を優しく受け止め、

創造主としてでは無く、父として愛情を注いだ。


暖炉の火を囲み、仲睦まじく寄り添う父娘の姿。

――それは「機械少女」が夢見た光景。


もしも彼女が、創造主を「父」と呼べたなら。

もしも彼が、亡き愛娘に「固執」をしなければ。


あとほんの少しだけ、互いにその手を伸ばし合えたなら……。

これは、あったかもしれない「父」と「娘」の物語。




クリスマス (限定)



アイにとって、世界は輝きに満ちていた。


住み慣れた場所を一歩出たそこは、アイの目を惹きつけて止まない奇跡の世界で、

昼の太陽は暖かく、夜は不思議に満ちていた。


どこまでも続く草原や、城や砦よりも高く大きな樹が茂る森、

激しい雨と雷が降り続く荒れ地や、おおよそ人が作ったとは信じがたい巨大な橋……

目も眩むような景色を歩き、見て、知った。


そういった景色をひとつひとつ覚えていきながら、ゆっくりと過ぎていく自分の時間の中で、

彼女は様々な人々と出会い、彼女なりの認識を育てていった。

優しさとはなにか、時間がなぜ過ぎていくのか、美しいものとはなにか、人同士の関係性、命とは何なのか……

様々な人に出会いながら、様々なことを、彼女は彼女なりに考えていった。


足を向けた場所は数知れない。

不幸なことに、彼女の足跡を追う、薄汚れた思いを持つ集団が居たためだった。

その集団から逃れるため、彼女は様々な場所へ行った。

世界で最も高いとされる山の頂上や、氷が支配する北の海、

灼熱の溶岩が生み出され続ける南の島や、裏返ってしまった洞窟……

歩けば歩くほどに、彼女は不思議に思うことがあった。


マスターは、私が生まれた頃は優しかったけれど、段々辛くあたるようになっていった。

旅の途中で出会った人たちも、優しい人はたくさん居た。

でも、そうじゃない人も居る。どこまでも意地悪な人や、悲しいくらいに酷いことをしようとする人もいた。

ずっとアイを追いかけてくる人達も、どちらかといえば後者にあたる人々が多い。


(ヒトハ、優シイノ? 意地悪ナノ? ドッチガ、本当?)


疑問は尽きなかった。

表と裏の表情のある「人」という生き物のことが、考えれば考えるほどにわからなかったのた。

有り余る時間を費やしながら、彼女は何年も何年も、輝く草原や荒れ果てた山脈を歩き続け、その正体を探り続けた。



……そして、数百年後。

アイの生まれた場所――荒れ果て尽くした魔道研究所に再び戻ってきた時に、彼女はある考えに思い至る。


空に表も裏もない。

海にも、表も裏もない。

風にも、空気にも……表とか裏とか、そんなものは存在しない。

見ている自分が、表も裏も、全部決めているだけ。


――それなら人もきっと、表も裏も無いと。

その上で、自分は人をどう思うのか。


(マスター……)

考え、ひたすらに考え、考えに考えぬいた時……

彼女の意識に浮かんだのは、初めて会った頃に見た、マスターの笑願だった。

(会イタイ……マスター……)

自分が最初に生まれたその時のように、誰かに――否、マスターに抱きしめてもらいたい。

(マスターに、会いたい……!)


強く強く、彼女はそう思う。

あまりに長い時間をかけて、彼女に芽生えた最後の感情は、奇しくも彼女の名前と同じ「愛」だった。

酷いことをされようと、口汚く罵られようと――

人という生き物を、彼女はどうしようもなく愛していたと、今ここで彼女は気づいたのだ。


ふと、雪が降り始める。

アイは人々の間では聖夜と呼ばれる時間が来ていたことを思い出した。

雪の上を、機械と人間の足跡を残しながら、彼女は初めて、自分の意志で歩いて行く。

自分が心から受せる誰かを探すために、そして、願わくば誰かに愛されるために。




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