Gamerch
白黒wiki

【黒ウィズ】ガイエン・クロヤ

最終更新日時 :
1人が閲覧中
最終更新者:にゃん
ガイエン・クロヤ CV:
2017/00/00


流水を裂く刃のように生きてきた。

歯向かう輦はことごとく切り捨てて来たし、それに対して後侮なんてひとかけらもありゃしない。

剣の錆になった人間のことは、10から先は数えるのをやめていた。

戦いと剣に明け暮れた日々は、それなりに楽しかったように思う。

……だが、ガイエンのそんな生き様も、もはや風前の灯火と化していた。

「剣さえありゃあ、俺はそれでいい」

国境にそびえる山に浮かぶ、見事な月を眺めながら、ガイエンは酒をあおった。

熱い塊が胸を下りていく感覚に目を細めながら、彼は撫でるように吹く秋風に身を任せる。

「浪人、用心棒、任侠者、侠客……色々と呼ばれはしたが、結局のところ剣を振るしか能がなくてな」

ガイエンはそう言うと、鯉口を切り、白刃を夜風に晒す。

幾度もの死線をくぐつてきた友を愛でるように、ガイエンはその剣を月明かりに掲げた。

「テメェはどうだ、切るしか能がねえテメェは、人を切るしか能がねえ俺に拾われて、後悔はねえのかい」

無銘の剣は何も言わない。だが、白刃はただガイエンに無言の主張を伝えていた。


俺を捨てるなら、お前も道連れだと。

だが、俺とともに往くのなら、俺がお前を生かしてやると。


「へっ」

ガイエンはひとつ笑うと、傷ついた体を起こし、いつものように剣を構える。血を流しすぎたのだろうか、目が少し霞む。

「そろそろ、年貢の納め時みてえだな……」

彼が振り向いた街路の向こう、逆光に立ちふさがる刺客が、銀色に光る刃を抜いた。相当な手練だろう、剣に乗る殺気は深く、重い。

ふと、桜の香りが秋風に乗ってやってくる。華奢な身なりから察するに、眼前の刺客は女だろうとガイエンは察した。

「俺の名前はガイエン・クロヤ」

一ひとつため息をついて、彼はつぶやくように言う。

「覚えとけ、テメエに一生消えねえ刀傷を残す男だ」

ガイエンは言い捨てると、走りだした。


翌日、ガイエンの姿は街になく、彼が最後に目撃されたうらぶれた街路には、椿の花に似た赤い染みが大きく残っていたという。


TOP↑

コメント (ガイエン・クロヤ)
  • 総コメント数0
新着スレッド(白黒wiki)
注目記事
ページトップへ