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【白猫】Wings of hearts Story 前編

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Story1 さみしんぼ

Story2 少年は悪魔に出会う

Story3 せかいせーふく

Story4 ムカつくやつは



story1 さみしんぼ




「……さみしんぼ?」

「そ。ちみの担当は、かわそ~なガキンチョ。」

「……火種、撒けるんすか。ガキなんかで。」


「ちみは初めてだから知らないだろーけどさあ、ガキってさあ、

好き嫌いの感情ははっきりしてるけど、善悪の判断は曖昧なんだよ。

染まりやすいんだよねえ、純粋だから。

で、ちょうどいいのが一匹いるってわけ。」

「……へえ……」


「知ってるでしょ?いまの情勢。なかなか緊迫してるじゃない。」

「……反サタニアスども……幾らブチのめしても沸いてきやがる。」

「ぼくたち、外からは過激派って言われてるらしいよ。

……バカだよね、ホント。悪魔なんだもん。過激で当たり前じゃん?

シスターと偽って布教活動?チラシ配り?ホントたのむよって感じぃ~。人間かっつうの。」

(人間も悪魔みてえなモンだがな……)


「……とにかくよおレイン。まずは一発、火ぃつけてこいや。

人間を殺し、人間に殺させ、死体の山ぁ築け。てめーが先鋒だ。

悪魔の存在、誇示してこいや。」


「はい。……エルゴラム様。」



 ***


「いってえ!!」


「ははっ!やった、当たった!」

「なにすんだよ!……このっ!」

「当たんねえよ、ば~かっ!お前なんか、こうしてやる!」

「わ、わわっ……!やめろ、やめろっ!」

「はははは!じゃーな!ひとりぼっちのロニー!」

「冷たっ!!くっそ~、なんだよ……!」


「……かえろ……」


 ***


「…………」

 ――机の上に、お金が無造作に置かれている。


「……いない。」


 ***


「パンをふたつと、卵をひとつ。……あ、あと牛乳も。」

「おつかいかい?えらいねえ~。」

「……べつに。」


「あ、リンゴも買わなきゃ……」




「ん?なんだガキ、また来たのか?」

「ひとつちょうだい。」

「金あんのかよ?盗ったりしたらただじゃおかねえぞ。」

「……やっぱいいや……」


 ***


「………………外、くらくなってきたな………………」


 寂しいか?


「……え?」


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story2 少年は悪魔に出会う



「うわっ!?なんだおまえ!?」

「……悪魔だ。」

「あ、あくま……!」

「…………感じるぞ。……妬み、辛み、憎しみ……

ハハ、いいモン持ってるじゃねえか!」

「え……?」


「つまらねえだろ?」

「……!」

「オメーを取り巻くこの世界が。――思い通りにしたいとは思わねえか?

俺と一緒にうさ晴らししようぜ。」

「…………」

「俺の力を……ガキ、お前に貸してやる。

何だって意のままだ。気に食わねえ奴を憎め。俺がブチのめしてやる。

欲しい物は奪い取れ。奪われてきた苦しみを、他の奴にも味わわせろ。」


「おまえは……ぼくの味方なの?」

「そういうことにしとくか。」

「ぼくといっしょに、いてくれるの?」

「くく……テメーが〈悪い子〉にしてるならな。」

「…………」


 ***



「何でいっつも俺のせいなんだよ!!」

「だってそうでしょ!?あんたがしっかりしないからあたしが苦労するハメになんのよ!」

「苦労!?おまえ、苦労なんてしてたのか!?大して働いてもねーくせによ!」

「はあ!?あんたよりはずっと働いてるわよ!」

「チッ。……話になんねーよ!」


「…………」


「…………飲まなきゃやってられないわ。ロニー、ちょっと留守番してて。」

「………………うう……」


 ***


「……ふふ。ふふふふふ……!ぼくだけの、悪魔……!ぼくだけの……!!

ねえ、名前はなんていうの!?」

「……レイン。」

「ねえレイン!!おまえがいれば ぼくは せかいせーふくだってできるんだね!?」

「出来る。オメーが世界を憎めば憎むほど、世界はオメーのモノになる。」

「やったー!!」

「これからよろしくな、クソガキ。」


(……クク、バカが何も知らずに……)


「クソガキじゃないよ!ぼくの名前はロニー!」

「わかった、クソガキ。」

「もう!」


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story3 せかいせーふく



「よーーし!今日から、ぼくのせかいせーふくを はじめるぞ!!」

「とりあえず、この村を焼くか。」

「ちょっと待って、もう少しでくると思うから。……あ!」


「お、ロニーがいやがる。おいロニー、今日も雪んなかに――

な、なんだそいつ!?」


「レイン!!こいつをこらしめて!」

「こらしめる?殺すの間違いだろ?」

「ころしたりなんかしないよ。ただちょっと おどかせばいいんだ!」

「……は?」

「ねえ、はやく!!」

「…………」


 ――地面に大穴があいた。


「わっ……わあああああ!!助けてええええ!!」


「あははは、あーっはっはっは!いい気味だ!ばーか!」

「……おい。クソガキ、これはどういう事だ?」

「あいつの顔みた!?ぷぷ、ぷふふふふ……!」

「何故ブチのめさねえ?」

「だって、おどかしさえすれば、あいつは ぼくにもうケンカをうってきたりしないでしょ?

それでいいんだ。……せかいせーふく そのいち、かんりょー!さ、次いこ、レイン!」

「おいおい、マジか……」


 ***


「みて、レイン。あのくだもの屋のおっさん。

いつも ひとりだから、盗むだろうって決めつけてるんだ。……むかつく!!

おい、おっさん!!」



「ん……? またお前か。盗るんじゃねえぞ。」

「レイン、こんなお店は壊しちゃおう。」

「……はあ。」

「はやく!!」

「……わかったよ。喚くな、クソガキ。」

 くだもの屋の屋台がバラバラになった。


「あははははは!!ざまあみろ!!これが悪魔の力だ!!」

「ひい……!」

「せかいせーふく そのに、かんりょー!」


「……おいガキ。いい加減にしろよ。

俺はこんなチンケな事をするためにテメーに力を貸してやってんじゃねえんだ。

いいか?ムカつく奴がいたら……こうすんだよっ!!」


「ぐ……あ、あぁ……

ぐるじ……だずげ……!!」


「ちょ、ちょっとレイン!やめなよ!!死んじゃうよ!!」

「こんなクズ野郎、一人二人死んだってかまやしねえよ。」

「やめてっ!!」

 ――

「はあ、はあ、はあ……ちくしょう、覚えてろよ!」


「……ガキィ!!」

 レインはロニーの首を片手で鷲掴みにすると、体ごと持ち上げた。


「こんな調子じゃラチが明かねえよ。ああ!?わかってんのか!?」

「う、うぅ……!ううううう……!」

「これからは俺の言う事を聞け。絶対服従だ。いいな。でなきゃ――」

「ころせよっ!!」

「!?」


「いいよ……べつに……!どうせ……ぼくなんて……!

いてもいなくても同じなんだ……!」

「…………!」



 よわむしレイン! 

 おまえ、なんで悪魔に生まれたんだ?

 なんにもできねーのに!


 ほんとさ……いてもいなくても同じだよなー!!

 さっさとしねー!!



(クソ、何思い出してやがる……!)


「かはっ!!……はあ、はあ……」

「……帰るぞ。クソガキ。」


 ***



「ねえ……ごはん、たべる?」


(なんなんだよクソ……

あの時のこいつの目……!本気だった!本気で俺に……!

クソ……クソ!全然上手くいかねえ!

……いっその事、俺一人で……

いや、ダメだガキの意志がねえと……あー、メンドくせえ!)


「……レイン。」

「なんだよ!俺は今イラついてんだ!話しかけんな!

……ああ?」

「……手、にぎってもいい?」

「ダメだ。」

「……まっくらが、こわいんだ……」

「俺はオメーの親じゃねえ。甘えんな。」

「ぼくの両親、ほとんど家にいないんだ。……お父さんとお母さんの仲が、すごくわるくて。

おしごとを していないときも、ずっとどこかに出かけてる。一日じゅう帰ってこないこともある。」

「んなもん、知ったこっちゃねえな。」

「……ねえ、レイン。ぼくが今日みたいに たくさん目立ってれば、ふたりは戻ってきてくれるかな?

ぼくに かまってくれるかな。声をかけてくれるかな。……しかってくれたっていい。」

「…………」

「……そのためなら、僕はいくらでも わるいことをするよ。せかいだって、せーふくしてやる。」

「……だったら言う事聞けってんだよ……」


「ね、レイン……いっしょに……わるいこと……し……よ……

ぼくの……ともだち……(…………すう……)

(……ガキが……)



「……クソ。」

 レインはロニーを抱きかかえ、ベットまで運んだ。


「……なに運んでんだ俺……

 …………」


(時間はねえが……じっくりやるしかねえか……)


 レインはしばらくの間、

 孤独な少年の無垢な寝顔を見つめ続けていた――


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story4 ムカつくやつは



「ふあ…………おはよう、レイン。」

(…………)


「……あさごはん、つくろ……

……? 外にだれかいる……?」


 ***


「だれ……?」

「……チッ、起きてきやがった。」

「あ……くだもの屋の……!」


「ダンナ。こいつも悪魔なんですかい?」村人A

「ああそうだ。まだ子供だが……もう一人の方がやべえ。」

「え……なにをいってるの?」


「おいガキ。あいつはどうした。」

「いえで ねてるけど……」

「よし、早いとこ済ませちまおう。」村人A


 村人はロニーの家の周りに油を撒き始めた。


「ちょ、ちょっと……!なにしてんだよ!」

「悪魔め……!家ごと燃やしてやる!!」商人


「悪魔!!この村から出ていけ!!」村人B

「うそでしょ……?や、やめて……!やめて!!」

「俺の店を潰しやがって……!同じ目に遭わせてやる!」

「それは、おまえがぼくを どろぼうあつかい するからだろ!」

「おい、もう充分撒いたろ。……よし、みんな、火をつけろ!」

「なんだよ……なんだよ!せっかく、ころされるところを助けてやったのに!」


 ロニーを押しのけ、村人たちがたいまつを手に家へと近づいてゆく。


「全部燃えちまえ!!死ね!!悪魔!!」


「…………レインのいうとおりだ……ムカつくやつは……しんだほうがいいっ!!

 レイィィィン!!」

「うるせえ、ガキ!!お前はあとでたっぷりと――」



「外がうるせーから何かと思えば……ガキィ、オメーいい感じじゃねーか!」

「レイン!!こいつらみんな……ブチのめしちゃおう!!」

「ハハハハハッ!そうこなくっちゃナァ!?」


「……おい。話が違うぞ。なんだよこいつ……!」

「いや……!殺される!殺されるー!」

「逃げろおおおお!!」


「おい!逃げんな!!くそ、腑抜けどもが……!」



「まずはこいつだな?」

「やって!ねえ、やっちゃってよ!」


「…………ひいいぃぃぃ!!」



「……いいね、追いかけっこだ。レイン、あいつらをいっぱい怖がらせてあげよう。」

「……フン!」


「そうだ……そうだ!!ぼくにはレインがいる!!

ぼくはなんだってできる!!なんだって思いのままだ!

お父さんとお母さんも、きっとぼくを見てくれる!――レインさえいれば!!」


「…………?」(何だ……?)


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