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Birth of New Order Story2

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Story5 反乱軍侵攻

Story6 騎士の運命(さだめ)

Story7 赤い砂塵

Story8 覚醒へと至る

Story9 審判獣との契約

Story10 〈番外〉イスカとメル

Story11 退けない理由

Story12 同調の果てに……。

Story13 〈番外〉団長の悩み

Story14 永久の旅路

Story15 暗幕の向こう

Story16 ラーシャの覚悟

Story17 希望の少女

Story18 疑念

Story19 星が蝕まれる

Story20 触れてはいけない鍵

Story21 すれ違う星屑

Story22 帳が降りる

Story23 思い出す温もり

Story24 驟雨

最終話 人類の砦

エピローグ




story5 反乱軍侵攻




遥か昔から、この大地に暮らす人々は、審判獣に怯えながら生きてきた。

審判獣の研究をつづけてきた大聖堂は、審判獣がエネルギー源とする〈福音〉を人間たちの手で精製することに成功する。

作り出される福音の量は、微々たるものだったが、巨大な力を持つ6体の審判獣を管理することは出来た。

6体の大審判獣に守られた場所。人々は、それを聖域と呼んでいた。

一方で、〈悪〉の焙印を押されて聖域を追い出された者。生まれつき聖域の外で育った者。

その者たちは、すべてインフェルナ人(煉獄を往くもの)と呼ばれ、聖域の支配者たちは、彼らを徹底的に排除した。


mお帰り。でも、出かけるなら、一声かけて欲しかったな。

Iごめんなさい。薬草を採りに、森まで行ってただけだから……。

mあの子のために? それは、いいけど………肝心の薬草はどこ?

イスカは、自分の手になにもないことに気づく。

Iいろいろあって、置いてきちゃった。

mどうせ、そんなことだろうと思った! イスカは、1日1回は、ドジ踏まないと生きていけないものね。

手が掛かる度合いは、あたしの妹たちといい勝負かもね。いや、もっと酷いか。

Iそ、そんなことないよ……。

kメルテールは、書き留めている……。イスカのドジを……。日記に……。

mそんなことしてないもん! もー、クロッシュ兄は、黙ってて!

k薬草なら……ある。……使え。

Iありがとう、さすがはお兄ちゃん! いつも頼りになります。

mほんと大きい身体して、子どものままなんだから。見守ってないと次はなにをやらかすか、知れたものじゃないわね。

k……素直になれ。

mう、うっさい!

I猫ちゃん、起きてる? 薬草入りのおかゆ持ってきたよ?

wいつもすまないにゃ。見ず知らずの私なんかのために。ごほっ、ごほっ。

I傷は、もう大丈夫そうだね? あとは、体力さえ戻れば、ご主人様を捜しにいけるわね?

wご主人じゃないにゃ。私の弟子にゃ。

Iそうなの? あ、おかゆ、冷めないうちに食べて。ごめんね。こんなものしかなくて。

w構わないにゃ。いまは、おかゆぐらいしか、口に入れる気がしないから、ちょうどいいにゃ。

聖域を追い出され、荒野で飢え死にしかけていた時のことを思えば――

ふだんは口に合わないおかゆも、命を繋ぎ止めてくれる奇跡の恵みのようにすら思えてくる。

wイスカたちには、本当に感謝してるにゃ。

Iお礼なんていいわよ。聖域から追い出された人は、みんなあたしたちの仲間だもん。

猫ちゃんが居たいだけ、ここにいていいからね?

Wぐすっ……。その優しさが、心に染みるにゃ。

Iぐすっ……ううっ……。

wイスカまで、泣くことないにゃ。

I子どもの頃からの夢だったの。猫ちゃんとおしゃべりするのが……。

w知らないにゃ!

野営地に響き渡る鐘の音。各テントから、インフェルナ軍の兵士が、続々と出てくる。

I集合を告げる鐘だわ。ごめんね、もう行かなきゃ。

居並ぶインフェルナの歴戦の兵(つわもの)たち。

老戦士イーロスは、陽を浴びて整列したインフェルナ兵たちの屈強な面構えを確認しながら口を開く。

I明日、我々は、いよいよ第4の聖域に向けて軍を進める……。

I第4の聖域は、聖都へ繋がる重要な拠点である。まずあそこを落とし、我々の反攻の足がかりにしようぞ。

覚悟は出来ておるな? いまになって、怖じ気づいたというものはおらんな?

イーロスにつづいて口を開いたのは、インフェルナ軍の頭首マルテュスだった。

m聖堂との長きに渡る戦いは、祖父の代の逢か以前より、つづけられてきた。

これまでは、我らの前に立ちはだかる、執行騎士の存在により、我々インフェルナ軍は、何度も苦渋を舐めさせられてきた。

だが、先の戦で我々は、執行騎士のひとり、サザ・ヤニタを葬った。

メルテールが、つんつんとイスカを肘で突いた。

m第4聖域を守護する執行騎士は、いまや存在しない。

いまこそ、全軍を上げて聖域を聖堂の支配から解放すべきだ。

兵たちの間から、波動のような喚声が沸き起こった。

聖域から追い出されたインフェルナ人にとって、追い出された聖域を奪い返すのは、長年の悲願であった。

そのための戦に向かう命令ほど、兵たちの血を滾らせてくれるものはない。

雄叫びに近い関の声は、日が落ちたあとも、絶えることなく、大地に響き渡っていた。

w戦争になるのかにゃ?

外の賑やかさに招かれたように、ウィズがテントから這い出てきた。

mそうよ。長い時間かけて準備してきたの。そして、やっとここまでこれた。あとは、進むだけだよ。

w戦争は嫌いにゃ。

I私も大嫌い。けど、私たちインフェルナは、聖堂の人たちに虐げられたままでいたくないの。

私のお母さんみたいに、理不尽に殺される人が、ひとりでも減るように……戦うつもりよ。

wそちらにも深い事情があるんだにゃ。よし、決めたにゃ。私も、イスカたちについて行くにゃ。

命を助けてくれた恩を返すにゃ。あちこち旅してきた知識はあるから、きっとイスカたちの役に立てるはずにゃ。

Iありがとう。猫ちゃんが、力を貸してくれるなら心強いわ。

wこれからは、猫ちゃんじゃなくて、ウィズと呼んで欲しいにゃ。

Iわかった。よろしくねウィズちゃん。



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story6 騎士の運命(さだめ)



聖域では、戒律というものをなによりも重んじる。

それゆえ戒律を破って聖都で暴れた君は、いまだに罪人の立場だった。

rとっとと起きろ。

リュオンが牢を叩いた。寝ぼけ眼を擦る君に向かって、一匹の猫を投げ渡す。

rその辺にいた野良猫だ。お前が探している師匠とやらに似てると思ったから連れてきた。

リュオンはそう言うが、その猫は、ウィズとは似ても似つかない。黒というより、灰色の毛をした猫だった。

残念ながら違う。師匠はもっと違う毛並みの黒猫だった、と君は答えてリュオンに野良猫を返した。

rふん、どうやら、お前は違ったようだ。また、野良に戻れ。

いたっ!?

野良猫は、リュオンの手を噛んでから、勝手に逃げていった。

rちっ。動物には、好かれた試しがない。

それなのに君のためを思って、ウィズに似た猫をわざわざ連れてきてくれたのだ。

その心遣いと優しさには、感謝しかない。君は、素直にありがとうとお礼を述べた。

rそんなことより、任務だ。さっさと、牢から出ろ。

そう言いながら、リュオンはなぜか君の顔面を踏んできた。

踏まれるのはいいが、お礼を言われたリュオンが、どんな顔をしているのか見えないのが、とても残念だった。

第4の聖域は、祭儀が執り行われる直前のような無機質な静寂が支配している。

インフェルナ軍の本隊が、この聖堂目かけて軍を進めているとの情報は、聖域側もすでに入手していた。


「おい、早くしないか。戦争がはじまるんだぞ。

「待ってよ。子どもたちもいるんだから!


r住人の避難には、まだ時間が掛かりそうね。

君は、大丈夫? とラーシャに尋ねた。

仇を討てなかったショックで、しばらく塞ぎ込んでいたと聞いた。

rあら? しもべのくせに他人の心配なんて、ちょっと生意気よ。

あなたは、リュオンに拾われたんだから、戦いでリュオンの役に立つことだけを考えていればいいの。私の心配なんて無用よ。

でも、気遣ってくれたことには、感謝してるわ。ありがとう。

s魔法使いさんも災難ですね。いきなり、インフェルナとの戦争に巻き込まれるなんて。

戦争は嫌いだ。けど、リュオンには親切にしてもらってる。その分、力になってあげたかった。

s今回の戦は、厳しいでしょうね。リュオン団長は、平然としてるけと………。内心では、やばいと思ってるんじゃないかな?

そんなに戦況はよくないの? と君は訊ねる。

s偵察で判明したんですけど、敵兵は1万人以上いるようです。対してこちらはこれだけ。絶望的です。


ここには、ラーシャ、リュオン、シリス。そして、君。これだけの戦力しか存在しない。

たった4人で、この聖域を守るのは無謀に思えた。

リュオンは、胸に繋かっている鎖をつかんで、じっとそれを見つめていた。


rいざという時、俺はこいつを使う。巻き込まれたくなければ、逃げろ。

sもちろんですよ。僕は、こんなところで死ぬつもりはありませんから。


執行騎士は、みんな鎖に繋がった武器――執行器具を用いる。それは、契約した審判獣の別の形。

ラーシャやシリスは、手から鎖が伸びているが、リュオンの鎖だけは、胸に繋がっている。

mこいつら執行騎士は、審判獣と契約して聖域を守るための力を得るんだ。

そんで契約するには、身体のどこかを差し出す必要がある。

なんのために? と君は訊ねる。

s契約を破棄する場合、契約の際に差し出した部位を失うのと引き換えに、騎士であることから解放されるんだ。

つまり、この鎖は契約の証しであり、契約した僕らと審判獣を繋ぐ切っても切れない運命の鎖ってわけ。

胸を鎖で繋いでいるリュオンは、契約の際に自分の心臓を差し出した。

それはつまり、命を差し出したと同義だ。

m残念ながら、おしゃべりの時間は、ここまでのようだぜ。

遠くから聞こえる軍勢の行進音は、その場にいる全員の耳に届いた。

lふふっ。嬉しいわね。向こうは、すでに〈悪〉の熔印を押された人々。遠慮することなく、執行器具を振るえるわ。

sインフェルナ側は兵の士気も高いようですね。晶血片(しょうけつへん)の採掘で経済的に潤ったお陰で、軍隊らしく兵装も揃えてますし。

m晶血片か……。聖堂の金持ち連中の中にも、密かに買い求めている奴がいると聞くな。

忌々しそうに吐き捨てた。

m晶血片ってのは、聖域の外で取れる赤い宝石だ。以前は、無価値な石としか認識されてなかったんだがよ……。

インフェルナの奴らが、その石の中に力が含まれていることに気づいて、採掘をはじめたんだ。

その晶血片で僣けたお金で、インフェルナは軍備を整え、反乱を起こす素地となった。

s聖域の財が、インフェルナ軍の軍費の一部になっているなんて皮肉な話です。

その尻拭いをするのは僕らなんですから勘弁して欲しいですよ。

「お、お前たち……。

この聖堂は、審判獣ティアマギス様をお祀りしている神聖な聖堂だ。インフェルナどもを近づけるな……いいな?

審判獣が祀られている?

あたりを見回してみても、それらしい存在は見えないが……。

「審判獣ティアマギス様が、覚醒するようなことがあれば、この聖域は滅ぶ。そのようなこと、絶対に避けねば――

ヒッ!?

r執行騎士は、悪と断罪されたものを処断する。それ以外のことは、知らん。

「くっ……。あ、あとは頼みます……。

r敵の数は圧倒的。こちらには、味方はいない。絶望的な状況だ。

だからこそ、聖域で暮らす民の命が、俺たちの両肩に掛かっている。聖域の守護者としての務めをいまこそ果たせ。

lここは、サザが守っていた聖域よ。言われなくても、皆殺しにしてやるわ。

s戦争か……いやですね。昼寝してる暇ないから。でも、敵が来た以上、僕だって腹をくくりますよ。


地平線の遥か向こうから来る敵の軍影。それは地平に広がる黒い壁のようだった。

インフェルナ兵によって作られた巨大な戦列が迫り来る。


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story7 赤い砂塵




インフェルナ軍の兵たちの目に入ったのは、聖堂を守る、ごく少数の手勢。

相手が小勢だと知ったインフェルナ兵たちは、逃げ去った聖域の者たちの臆病さをあざ笑う。

そして、残ったリュオンたちのことを、逃げ遅れた哀れな若者と勘違いし、侮った。

……それが、すべての間違いだった。

r失せろ、クズども。

リュオンの傑剣が、一瞬にしてインフェルナ軍の戦列を薙ぎ払っていく。

隼のように飛翔する十字の刃は、人の肉体を、チーズのように簡単に斬り、削いでいく。

「な、なんだありゃあ!?

悲鳴と、怒声が戦場に轟く。

崩れ落ちていく仲間の死骸を見つめるインフェルナ兵たちは、ようやく思い出す。

聖域を守る執行騎士リュオン・テラムという男の存在を――

「怯むな! 矢を放ち、炮烙を投げつけて仕留めろ!

l私の鎌、きれいに研がれているでしょ? あなたたちをお迎えするために、磨いておいたのよ。

さあ、首狩りの時間よ。死神に抱かれながら、どちらが先に地獄へ誘われるか、競争しましょう!

断罪の鎌は、ラーシャの殺したいと思った相手を、殺すまで徹底的に追いかける。

対象を殺すと、すぐさま次の対象に狙いを定めてまた殺す。

「うああああっ! に、逃げろぉ!

的確に命を刈り取る鎌の行方に戦々恐々としながら、インフェルナ軍は怯え、逃げ惑う。

兵の一部が、君たちを迂回して、直接聖堂内部に侵入しようという動きを見せていた。

目撃した君がそれを報告すると、リュオンは、敵の狙いを素早く察知する。

rラーシャ、お前は回り込もうとする敵を止めろ。俺は、反対側から敵軍を突き崩す。

l私ひとりで、あれだけの大軍の相手をしろと言うの?ふふっ、無茶を言うわね。

言葉の割りには、どこか嬉しそうに見えた。

r魔法使いを連れて行け。こいつとふたりで、なんとかしろ。

lあら、それは重畳。くれるというのなら、遠慮なく魔法使いさんをいただくわ。

rお前にやるんじゃない。貸すだけだ。あとでちゃんと返せ。

ふたりのやりとりに、君の意思は一切介在していない。

……いいけどね。物扱いされるのにも慣れてきたし、と君は心の中で呟いた。

sということは……まさか、ここを守るのは、僕ひとりですか?

r手を抜くな。本気を見せてみろ。

お前は、まだ力を隠している。それを引き出せ。尽きぬ闘争心で相手を燃やし尽くせ。できないのなら、俺がお前を灰にする。

sまた、無茶なこと言いますね。手を抜いてるのは、事実ですけど。

リュオンはそれを聞いても怒ることはない。むしろ、期待を込めた視線を送るだけだ。

sわかりました。せっかくなんで、ちょっとだけ本気を出しますかね。

打ち合わせが終わり、君たちは、それぞれが担当する戦域へと散開する。

l戦場での高揚が、私の肉となり血となる。石化していた心に鼓動を取り戻してくれる――

雲霞の如く押し寄せるインフェルナ軍を、君とラーシャは、正面から受け止めていた。

君は戦いながら、敵の中にウィズがいないことを願っていた。


「下がっていろ……。


ひとりの男が、インフェルナの軍勢から進み出た。

幅広い刃の大剣を背負った戦士。

執行騎士ラーシャを見つめる男の目は、どこか嘲笑的だった。

k聖堂の番犬……。哀れだ。

お前らこそ、〈悪〉……。ゆえに……斬る。

l攻め込んどいてよく言うわね! この聖域に何人の人が暮らしていたと思うの? 安息を奪う権利は、あなたたちにはない!

しかし、罪なきものをインフェルナに落として奪い取った安息であるとクロッシュは看破する。

k……価値などない。

かつて、クロッシュは手にしていた。家族との安寧を。幸せを。それらは、すべて奪われた。

k俺は、突き落とされた……。インフェルナに……。

ゆえにクロッシュは剣をとった。

聖堂への尽きぬ怨みを附らすために。審判獣から、この世界を解放するために。

k真の悪……この剣が決める。

真の悪。つまり、聖堂は偽りの悪をでっち上げていると宣言しているに等しい。

l私から見れば、縛られているのはあなたの方よ。過去の幸福という幻影にね……。

ラーシャは、手出ししないよう君に目で合図を送る。

lおいで。私が、相手してあげる。あなたが抱えている幻想ごと切り裂いてあげるわ。

k名を聞こう……。俺はインフェルナの剣士、クロッシュ……。

l私は、第3聖堂の執行騎士ラーシャよ。

kラーシャ……か。

ふっと口元に笑みを浮かべる。そして湧き出た感傷を吐き捨てるように表情を引き締めた。

kフェンリナル……。力を……貸せ。

構えたクロッシュの剣より、並々ならぬ殺気が放たれる。

たちどころに死の匂いが立ちこめる。

あの大剣から放たれる殺意と狂気は、リュオンたちが戦闘時に放つ、尋常ならざる気と近いものがあった。

おびただしくも、おぞましい剣気。審判獣の力を扱えるのは、執行騎士だけではない――

kいまから、それを教えてやる……。



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最終話




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