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【白猫】アシャクァトル・思い出

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最終更新者:にゃん

アシャクァトル cv.佐藤 拓也
<太陽と蛇の民の里>の大戦士。
人と生まれ蛇となり、そして神になった者。
2017/06/23


メインストーリー
飛行島の思い出 
その他関連ストーリー関連キャラ



思い出1



<――それは遥か昔のこと――>


wアシャクァトル!

zん?

w選ばれたそうだな!<蛇>の戦士に!

zああ……選ばれた。

wどうした?名誉なことだぞ?もっと嬉しそうにしろよ?

z嬉しいとも。これで、太陽のために戦い、死ねる。

貧しい出の俺に、これ以上の誉れはない。

w本心か?そうは見えないな。

zそうか。

……俺は、<蛇>の大戦士になりたい。

w大戦士だと!?

zああ。

w望みすぎだ!正気かアシャクァトル!?

大戦士は、次の長だぞ!?誰よりも多く駆け、誰よりも多く殺さねばならない!

数多の戦士を押しのけ、屍の山の頂に登らねばならないんだぞ!?

zそうだな。

w驕ったか!いくらお前が強かろうとも、上には上がいる!

zそうではない。上があるのなら目指す。

それが戦士だと思うだけだ。

w……お前は単純だな。

zふん。

w天との戦が近いというのに。

zなんだそれは?

w風の噂だ。

z噂になど興味はない。

俺は里で生まれ、里のために戦い、里で死ぬ。

それで十分だ。

w……つまらない男だ……



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思い出2



――太古の森。

<蛇>の戦士アシャクァトルは、己の肉体を鍛え続けていた。


z…………

<男は考えることが好きではなかった。その必要性を、あまり感じていなかった。

生きるとは、戦いに勝つこと。

彼の肉体は芯から実感していた。>

z…………

しかし智恵がないわけではなかった。むしろ、里の者たちの中でも飛び抜けて明晰だった。

肉体の構造を細部まで把握していた。星の瞬きから吉凶も読めた。

世界がどう成り立っており、どのような<均衡>を保っているのかも。

その気になれば書物にも出来た。>

z…………

<その上で、彼は自分自身に言葉を削ぐことを課した。思考を止めることを課した。

素養と願望は別なのだから。

彼は里を愛し、そこに生さる民を愛していた。

愛するものを守るため、自分のなすべきことは戦うことだけ。

ゆえにそれ以外を削いでいた。>

z…………

<それではいけないことを、彼はまだ知らなかった――>


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思い出3



――里の民は、戦いの部族。

遠征から凱旋した戦士たちは、熱狂をもって迎えられた。

z…………

wおい、アシャクァトル、どうした?

zなにがだ?

w民たちが戦勝を讃えている、胸を張るだけでなく、笑顔も作れ。

z戦士に必要か?

w嬉しくはないのか?

z嬉しいとも。だが、顔に出す必要はない。

wあるさ。民たちが喜ぶ。

z民は勝利を喜んでいるのだ。

wそれと英雄の帰還をな。

z俺は誰よりも殺しただけだ。

w里のためにな。

zそれで、英雄か。

w何か不服か?

z…………

w……ほら、民がお前を見ているぞ。笑顔で手を振り返してやれよ。

z…………

w無愛想な奴だな、お前は。

z愛想が戦士に必要ならば身に着けもしよう。

だが、俺はそうは思わない。

w……ま、勝手にするさ。

z…………


…………

……



z…………

<アシャクァトルは無心となり、鍛錬を続ける。

そのうちに、いくつかの矛盾にも答えを出していた。

それは思考というよりも、肉体が導いた予知のようでもあった。

彼が岐路で迷うことはないだろう。

答えは己の血肉が導く。彼はそれに従う。

そこに意思は介在しない。

z……?

<ふと、鍛錬中のアシャクァトルは視界の端に白蛇を見た。

白蛇はすぐに藪に隠れた。>

z…………

<去った方角へ、しばし祈りを捧げた。

ここは<太陽と蛇の民の里>。蛇は時を経て、守り神になるかもしれないのだから。



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思い出4



<蛇>の戦士アシャクァトルは、ある日、長に呼ばれた。

アシャクァトルは地位を望んではいなかったが、大戦士として長を尊敬していた。

長は既に、戦場に立つことの叶わぬ老齢に達していたが、目の光は若い頃のままたった。

アシャクァトルは生まれて初めて畏怖に近い感情を覚えた。>

z…………

<彼は沈黙して言葉を待った。如何なる場においても戦士であるべしと決めていたから。>

w…………

<長はしばらく彼を見つめていたが、厳然として告げた。>

w大戦士にはなれぬな。

z!!

<それを聞き、さしものアシャクァトルも思わず口を開いた。>

zなぜ!?

w敵を討つのに迷いはないか。

zありませぬ!

wなぜない?

<アシャクァトルは言葉に詰まった。質問の意味がわからなかった。>

w曇った眼は里に害を為す。

<続けられた言葉の意味など尚更わからなかったが、アシャクァトルは先の質問にようやく返答する。>

z敵を前に逡巡すれば、それこそ里に害を為します!

里を脅かす外敵に、慈悲などありません!

それが戦士ではないのですか!?

<長は、最後には質問へと変じたアシャクァトルの叫びには応じなかった。

ただ黙って目をつぶった……>


…………

……



z…………

<アシャクァトルは決して驕ってなどいなかったが、それでも長の言葉は衝撃だった。

事実、彼以上の戦士はいなかった。だから周囲の者も、自然、彼を次の大戦士とみなしていた。

その自分が、長にあのような言葉をもらうとは。

z……俺の眼は……

曇っているのか……?

<アシャクァトルにはわからなかった。

自分は矛盾や迷いを排してさた。それは曇りを晴らすための行為たったのではないのか?

それが誤りであるなら、これまで積み上げてきたもの全てが……>

z…………

<アシャクァトルは、己の肉体が答えを導くのを待とうとしたが……

その答えに疑念を抱いた今、ただ待つことが正しいだろうか?

z…………

<随分長い間、思考を削いできた。>

z……ー晩で答えが出るなど、都合の良いことはないか……

<戦士は大地を踏みしめ、夜に向かって眩いた。

――彼の結論に反し、それは存在する。

時間が問題なのではない。そのー晩に何が起こるかなのだ――



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思い出5



――突然だった。

太陽と蛇の民の里が、炎に包まれたのだ!

それは捕虜たちがー斉蜂起したからだと思われた――

z――敗北者どもめ……!なぜ潔く膝を屈さぬ!

命がいらぬか!

<戦士アシャクァトルは、その務めを果たすべく、目についた全ての他の部族の捕虜を斬る。>

z里に害為す蛮族どもがッ!

<戦鬼と見まごう奮迅に、アシャクァトルの視界から動く敵はすぐに消えていく。

長の元へ。

里の中心へと駆けていく彼は、その男を目にした。>

zお前は……?

w……さすがだな、アシャクァトル。お前が来る前に終わらせたかったが。

<男は里の同朋だった。アシャクァトルとも、幾度も言葉を交わしたことがある。>

wいや、構わないか。お前は里の民のため戦う。

俺もそれに含まれるだろう?

z何を言っている……?

<アシャクァトルが状況をー瞬で理解出来ぬはずはなかった。

ただ戦士は、時間稼ぎのために問いを投げたに過ぎない。

男も、それがわかり、うすら笑いだけで答えない。>

z裏切ったのか……!

wなあ、<蛇>の戦士よ。おかしいと思わないか?

z何がだ?

wなぜ争い、血を流す。同じ人間が?

z里に害を為さぬなら、命までは奪わん。

wそれがお前の言うことか?誰よりも多く殺した、お前の?

z俺は敵しか殺さぬ。

w敵、か……

<男は辺りに倒れ伏す蛮族の亡骸を眺めた。>

w捕虜どもは、解き放たれて逃げ惑っていたに過ぎぬ。

刃に意思があったのは俺ー人だ。

お前は無皐の民を斬ったのたよ。

z…………

……脱走は、罪だ。

wハッ!そうかい?誰でも逃げるだろう!

お前は違うんだろうな!?囚われのまま贄になる日を待っというわけだ!

z…………

w……アシャクァトルよ。遠征先の民たちは、本当に敵だったのか?

z激しい抵抗を受けた。

w

wみろ、わかっていたではないか。『抵抗』、だろうが?

攻めたのはどちらだ?

z…………

<――黒の王国の民は、野蛮な蛮族ではない。

アシャクァトルも知ることだった。だが――いずれこの里を脅かすかもしれない。

ゆえに、先手を。それが命令だったのだ……>

wさて……未来の大戦士よ。

<男はふっと声を落とした。怜俐な表情が張り付いていた。>

wお前には選択肢がある。

逃げ惑う蛮族を斬り、英雄の名を高めるか。それとも――

――俺とともに長を斬り、黒の王国へ降るか。

……あるいは俺を斬るか、だが……里の民を斬れば、お前も死罪だ。

z!!

w証言させようなどとは思うな。そのときはすぐにこの場で死体になってやる。

俺の亡骸の前で、公正な裁きでも受けるんだな。

z…………

<男はー転、激しくなじるように声を荒らげた。>

wさあ、どうする<蛇>の戦士よ!?お前とて、命が惜しいだろう!?

zそうだな。

<アシャクァトルは携えていた剣を捨てた。>

wそうそう、それでいい……!

<男は下卑た笑みを浮かべながら、ー歩後ずさり――

――そして素早く地を蹴ると、転がっている黒曜石の剣へと飛びついた――!!!>

z!!


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思い出6



z…………

w――なぜ――

――俺を斬らない……?

<黒曜石の剣はそのまま、飛びついた男の手にあった。>

w……お前のことは知っている。俺より先に剣を取り、斬るのは容易かったはずだ。

情けか!?俺も戦士の端くれだ……!侮辱には堪えられんっ!

理由を言え!アシャクァトル!

z理由ならば、お前が自分で言った。

wなに……?

zお前は里の民。それ以前に、戦士だ。

戦士の死は、誇りの死。

誇りがなくなったのならば、既に死んたも同然。手を下すまでもない。

まだ、誇りが死んでいないのならば……

<アシャクァトルは静かな瞳で男を見つめた。>

w……お前は、まだ俺を戦士として扱ってくれるのだな?

zお前次第だ。

w……ふっ……

<男は黒曜石の剣を目の高さに構え……

ヒタと喉に当てると、音も静かに刃を滑らせた。>

z…………

w礼を言う、アシャクァトルよ。

z友を見届けるのは当然のこと。

w……ふふふふ……

……大戦士…………お前なら、きっと……!

z…………

<男の崩れる姿を、アシャクァトルは唇を噛み、じっと見守り続けた――>


…………

……


w――共闘?黒の民と、だと?

zはい。

<――後日。>

アシャクァトルが容疑をかけられることはなかった。

そして戦士は、里に残っていた捕虜たちと、語り合った。

捕虜たちも戦士を咎めなかった。里が燃えていたのだ。事実、逃げずに反撃を企てた者もいたという……

蛮族という認識を改め……戦士は、捕虜からあるーつの話を聞いていた。>

z黒の王国では、<闇の王>の増長が著しいのだと言います。

里の近くへ移り住んだのも、そこから逃れてとのこと。

w<闇の王>か……強大だぞ。

天に住まう<白の巫女>ごと、白の王国すら滅ぼそうとしているのだとか。

z黒の民も、そう言っておりました。

なればこそ、敵とすべきは<闇の王>です。

w……かの戦、我らの里とは無関係だ。

なぜ肩入れをする?

<アシャクァトルは、長の鋭い眼光を弾き返した。>

z民に、平穏を。

w……ほう。

この里の民か?

zはい。しかし――

――里の中を守るだけでは、平穏は訪れません。

黒の王国を正すことが、里にも平穏をもたらすのなら――

俺は戦います。

w…………

<長は立ち上がると、アシャクァトルヘと歩みより、佩いていた短剣を差し長は立ち上がると、アシャクァトルヘと歩みより、佩いていた短剣を差し出した。>

zこれは……!

w大戦士の証、<睡蓮の葉>。

意味するは<信頼>。ふさわしい持ち主となれるか?

z絶えず身に着け、戒めとします。

w更なる功を立てるがよい。<蛇>の大戦士、アシャクァトルよ……

z……はっ……!

<――アシャクァトルは、大戦士と認められた。

彼の持つ黒曜石の刃は、必ずや<闇の王>を討つと信じられた。

なぜなら、<蛇>の戦士には――

――<太陽>の加護があるのだから――!


「我は中天に座する、<黒き太陽>――

黒き陽の照るは――間の大地――」


<それは、ずっとずっと昔のこと……!>




天舞う四対の翼持つ大蛇 アシャクァトル


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