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アナザーエデン Story8

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最終更新者:にゃん


「では始めよう……。転送装置起動。出力全開。

『転送装置起動。出力全開。ゲートオープン。

座標調整誤差0.0001%以下。転送ビーム収束度クリア。システムオール・グリーン。』

「よし準備完了だ。いつでも行けるぞきみ達。」

「こいつであの時層回廊とかいうやつの中に入れるんだな?

オッケー。こっちの用意もいい。それじゃ出発しよう。」

「待ちたまえ。」

「どうかしたでござるか司政宮殿?」

「きみ達は怖くはないのか?」

「怖いって……何が?」

「いや、あそこに……あの時層回廊の中に自分達だけで飛び込んで行くということかだ。

中で何が……どんな状況が待ち構えているのか皆目見当もつかないのだぞ?」

「そのことか……。そりゃあ怖くないって言ったらウソになる。

でもそんなこと言ってる場合じゃないだろ? 誰かがやらなきゃならないんだ。」

「それにわたし達は自分の仲間を信じてるもの。」

「そうか……。わかった。幸運を祈っている。」

「ああ。じゃあ行ってくる。」

『時層回廊ヘノ人体転送ヲ開始シマス。

「きみ達……この世界を頼んだぞ!


 ***


「これが時層回廊か……。

「大気成分重力気温トモニ地表上の通常数値ト大差アリマセンデス。

「普通に活動できるってことね。でも何か出てくるかわからないわよ。

「うむ……気を引きしめて参るでござるぞ。



 ***


「これは……!?

「なんだかいくつもの世界が重なっているように見えるでござるが……。

「古代現代未来……三つの時層がコノ位相空間デ共振シ合ッテイマス!

コノ時層回廊の特異点デアルト推定サレマス。ソシテ オソラク ココに……


「な、なんだこいつは……!?

「強大な波動異常ヲ検知!現実ヲ侵食シテ実体化シタ時層の歪みデス。

「これが……時層の歪み!

「こいつをどうにかすれば巨大時震を防げるんだな?

よし!やるぞみんな!なんとしてもこいつを倒すんだ!


 ***



 ***


「やったぞ!時層の歪みは解消された!これでもう大丈夫のはずだ。

「さてそれはどうだろう?

「ファントム!?

「どういう意味でござるか?

「世界の終わりが始まるということだよ。

「なんだと!?



「うッ!?これは……!?」

「なにが始まってるの!?」

「時層回廊からなだれ込んだ我が同朋が動き出したのだ。

いまから浮遊大陸のひとつを時層回廊に衝突させる。」

「なんだって!?バカな……!」

「あれだけの質量エネルギーがぶつかれば時層は歪みがはじけるのと同等の衝撃を受けることになる。

さあ、なにが起こるか見物だぞ。黙ってそこで見ているがいい。」

「回廊内に巨大エネルギー波ヲ検出!巨大時震の波が浮遊大陸ト共に時の流れヲ逆流シテイマス!

「あの大陸と時震の波が古代ではじけたならその衝撃で時空はバラバラに砕け散るぞ?

「イケマセン!巨大時震の衝撃波が古代に到達シマス!コノママでは世界が……!?


「サラマンダー!?四大精霊どもめなにをする気だ!?

『後のことは頼んだぞ……時を往くもの達よ。



「巨大時震の波を身を挺して押しとどめたというのか!?バカな……!?

「衝撃波が逆流!!巨大時震の揺り戻しが来マス!イケナイ!未来世界が……!?

みなさん急イデクダサイ!時層回廊が閉じかけテイマス!

「アルド……!はやく!! きゃあッ!!

「しまった!みんな……!?



砕け散った四大精霊の欠片は
幾日も世界中に降り注ぎ……
すべてを優しく包み込んだ。
無数の流れ星のように……


「時空が衝撃に耐え切れずに裂け……時の流れの内と外とがつながった。

無限のカオス……次元の渦がついに口を開けたのだ!世界よ混沌に食われるがいい!」


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「四大精霊がいなかったら今頃時空はバラバラに砕け散っていたかもしれない……。

結局オレ達のやって来たことはすべてムダだったのか……。

オレ達が無力なせいで世界は……!」

「顔を上げなさいアルド。まだすべてが終わったわけじゃない。」

「あんたは星の夢見館の……。どうしてここに?」

「巨大時震こそ起こりはしたが被害は最小限にくいとめられた。それもみなおまえ達のおかげた。

だが結果として次元の渦が口を開けてしまった……。このままでは世界は混沌に飲み込まれてしまうぞ。

おまえにはまだやらねばならぬことがあるはずだが? クロノス博士も言ってたろう。

おまえは……そしてセシルのジオ・プリズマは世界の希望となるのではなかったのか?」

「だけど………! オレはもうみんなともはぐれて……たったひとりで何かできる……?」

「大丈夫だ。私にはわかる。おまえはひとりぼっちじゃない。おまえ達ならきっと世界を救える。

自分と自分の仲間の可能性を信じることだ。それがこの星の明日を変える力となろう。

あきらめるな。さあ世界がおまえ達を待っているぞ。」





「ここにいたのねアルド!やっと見つけたわ。

「みんな……!」

「アルド。四大精霊はわたし達に未来を託して散っていったのよ。こんなところでのんびり遊んでるヒマはないわ。」

「……!」

「アルドさん……ワタシの内部でナニカがささやいてイルノデス。

この世界を……この星の明日を……見捨テテハイケマセン!」

「あいにくと拙者の辞書には<泣き寝入り>とくやられっ放し>の二つの単語はないでござるでな。」

「……ああわかったよ。そうだな。みんなの言うとおりだ。

オレ達にどこまでやれるかわからないが……あきらめないで最後の最後まで戦うしかないか……。

だけど……どこから手をつければいいんだろう?

フィーネのこともほっとくわけにはし……。」

「一度時の忘れ物亭の方に顔を出してみたらどうかって……星の夢見館のご主人が。

マスターがなにか話があるそうよ。」

「次元の狭間の……?

そうか……じゃあ時の忘れ物亭に行ってみるか。なんだろな話って……。」

「宿を出て下の方に時空の穴があるから。それが次元の狭間につながってるわ。」


 ***


「やあ来たかアルド。大変だったな。まあおまえ達はよく頑張ったよ。

今日来てもらったのは実はちょっと妙な話を耳に入れてな。

未来で合成人間達がまたおかしな動きを見せているらしいんだ。どうやら連中も次元の裂け目に気づいたらしい。

未来のラウラ・ドームに向かってくれないか。そこで連中が何を計画してるのか調べて欲しい。

ラウラ・ドームヘは外に出現した新たな光の柱からいけるはずだ。

じゃあ気をつけてなアルド。この星の明日とほんとのおまえを見つけるんだ。


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「あなた達知ってるかしら?ドームの外に見えている船あるでしょう?

聞くところによるとあれを建造しているのは合成人間だそうよ。なんでも次元戦艦とかなんとか……。

その船で次元の裂け目とやらに侵入して時の流れを自由に行き来する計画なのだとか……。

そうして自分達で合成人間の新たな歴史を築く……というか歴史を書き換えてしまうつもりらしいわ。

もし本当にそんなことになったらこの世界は……私達の歴史はどうなってしまうのかしら?

「合成人間が空飛ぶ船を!?

「っていうか問題は時を航海するってとこでしょ。

ほんとにそんなマシンで歴史を改変されでもしたらとんでもないことになっちゃうわよ!

「ふむ。そいつはなんとしてもその船に乗り込んで連中の計画を阻止せねばなるまいでござるぞ。

「デスガドノヨウナ手段デ?物質転送装置のヨウナシステムはエルジオン以外には存在シマセン。

第一ビーム転送は合成人工物の内部への移動には原子重複の危険性が高ク使用不可デス。

「そうか……でもなんとかして合成人間の船に乗り込む手を見つけないと……!

「そうね……。とりあえずドーム内で情報を集めましょう。何かしら打つ手があるはずだわ。


「ねえお兄ちゃん達ももう見たと思うんだけどさあ。あの空に浮かんだ合成人間の次元戦艦ッ!

くやしいけどさ……ちょっとかっこいいよね?ちょっとだけ。合成鬼竜っていうらしいよ。

もう絶対にあーいうのを造らなくっちやダメなんだよなエルジオンの大人達は!

ほんと漢(おとこ)の魂を理解してないというかこの軟弱者どもめ!というか……。

こーなったらやっぱり巨大ロボットを建造してだなあ一発ドカーンと派手な必殺技で………

「もうなにが巨大ロボットで一発ドカーンよ?まったくこれだから男子ってヤツは……!

「してその巨大ロボットとかいうのはいったいいかなるものでござるか?

「ああリィカが超でっかくなったようなものよ。

「なんと!巨大リィカでござるか!それはまた面妖な……!

この時代の男子はけったいなものが好きなのでござるなあ。

「エイミさん!マコトニ遺憾ナガラソノ説明は著しく適切性に欠ケルト断言セザルを得マセン!

ワタシはアンドロイドでアリロボットと同列に処理サレル事案には断固トシテ抗議スル所存デス!

「いえだからリィカがロボットなんて誰も言ってないでしょ!あくまでみたいなの話であって……

「いやいや!拙者はよいと思うでござるぞ巨大リィカ。ぜひ一度はこの目で拝んでみたいものでござるよ。

「なるほど……必殺技でドカーンか……。うん……?

ところで……そこにある土管だか大砲みたいなのは何なんだ?さっきから気になってたんだが。

「ああそれ?花火を打ち上げる大筒だよ。そこは花火師のおじさんの家だからね。

「へえ花火か……。花火……?


 ***


「おうどうしたおまえ達?なんだかワケありそうな面してるじゃねえか。ああ?

なんか問題でもあるのか?俺にできることなら相談に乗るぜ?困った時ぁお互い様だからな。

「ムチャなのはわかったうえでちょっと聞きたいんだが………

オレ達を花火で空高く打ち上げるなんてことはできるかな?

「はあ!?おまえ達を花火で打ち上げるだあ!?正気なのか?

ドッカーン!と大空で華々しくぶっ飛びたいってのか?おいおいカンベンしてくれよ。

「違う違うそうじゃない!合成人間の次元戦艦に花火を使って乗り込みたいんだよ。

「ちょっとアルド!?いきなりなに言い出すの!?冗談でしょそれ!?

「まさか拙者達が花火にぶら下がって空を飛ぶでござるか!?いやいやいやそれはムリでござろういくらなんでも。

「アルドさんは花火玉ノ中に入ッテ打ち上ゲテモラウという計画なのではナイデショウカ?

「花火玉のなかに入ってって……それだってかなりムチャでしょ!?

「ムチャではあるがムリではない!なんとしても合成人間の計画を止めなくちゃならないし……。

そんなノンビリしてられないだろ。他にいい手も見当たらないし……ムチャを承知でやるしかない。

「むむむ……でござるよ。

「なるほどな。合成人間のヤツらとやり合うためか……。そりゃあやってやれねえこともないが……。

うまい具合に大玉の玉皮は在庫があるしな。

内側に火薬の代わりに防御魔法を施したクッションでも敷き詰めて外は玉皮の強度をアップしてやれば……。

「じゃあいけるんだな?

「ああなんとかなると思うぜ。ちょいとばっかし危険だが。

「それじゃあ頼むよ!あの次元戦艦をこのまま放っとくわけにはいかない。

「よしわかった。引き受けたぜ。だが正四尺玉を打ち上げるとなるとかなりの量の火薬が必要になるぞ。

さすがに物騒だから火薬はうちじゃ保管してねえんだ。

っていうか大量の火薬なんて今じゃもうどこ行っても手に入らねえだろうが……。

「最新式の爆薬とか魔法とかじゃダメなのか?

「残念だがそういうのじゃ爆発の規模の調節が難しいんだよ。昔ながらのデータの蓄積ってのがねえからな。

地上でどかーん!とそのまま木っ端微塵にゃあなりたかねえだろおまえ達も?

「それじゃどうすればいい?のんびりしてるヒマはないんだ。

「ふッ心配すんねえ。いつかまた花火を打ち上げる日が来ることもあろうかと思ってな。手は打ってある。

実はドームの裏の畑でな以前からどっせいっていう魔物をこっそり放牧してるんだ。

そいつらをとっつかまえて……そうだな3匹も捕ってきてくれりゃあ万事オッケーだ。

あいつらの火の強さの加減ならこっちはちゃんと把握してる。間違いはねえぜ。

「わかった。それじゃ即行でつかまえてくるよ!

「ちょっと待ちな。ヒマワリイのタネを渡しておく。こいつはどっせいの好物だ。

「ありがとう助かるよ!

「おう!気をつけてな。こっちも打ち上げの準備をしとくからよ。


「何度見てもすごい……まさに黄金の海ね!どこまでも歩いて行けそう。

「むむむ……しかしこれでは何も見えぬでござるぞ。

「動態センサーに反応アリ……複数の熱源感知。花火師さんの言葉ドオリ何か棲息シテイマス。

「よしじゃあこの辺でまくか。ほ~らヒマワリイのタネだぞ~。いい子だから出ておいで~。

「オッケー捕まえた!でも一匹じゃ足りないぞ。もっと探さないと……。


「よしこの辺りにもいそうだぞ。それそ~れヒマワリイのタネだぞ~!

「これだけ捕まえれば十分だろ!花火屋のおやじさんの所に戻ろう。


 ***


「おう捕ってきたか!よし。じゃあ早速最後の仕上げにかかるぜ。ちょっくらちょいと待っててくれよ。

「アルドさん。まだヒトツ解決シナクテハナラナイ重要な案件が残ってイマス。

「重要な案件?

「ハイ。花火で打ち上げラレテモ合成鬼竜の防御システムをドウニカシナイ限り艦には近づけマセン。

合成鬼竜は当然ナガラミサイルレーザーなど厳重な兵装を有シテイルモノト思ワレマス。

ワタシ達が破壊サレズニ無事合成鬼竜に着艦デキル確率は現状デハ8%以下デス。

「無事に花火が打ち上がっても結局ヤツらの格好の的になるだけということでござるか……。

なるほど。確かにそいつはあまりありかたくない状況でござるな。

「どうにかして合成鬼竜の防御システムを無効化するか連中の注意をそらしておく必要があるわね。

でもどうやって……?空を飛んで向こうの注意を引きつけたり花火の大玉を守ったりなんてできっこないわ。

「合成人間デアレバ可能デス。

「合成人間ってどうして彼らがわたし達に………はッ!?まさか……?

「ハイ……彼女でアレバキット可能ナハズデス。

力を貸シテモラエル可能性ナキニシモアラズと言えなくもナイデショウ。お願いシテミルベキデス。

「何かアテがあるでござるか?しかし合成人間というのはそなた達の敵なのでござろう?

仲間を裏切ってまで力を貸してくれる目があるというのでござるか?

「どうだろうな……。だがリィカの言うとおりだ。やってみるしかなさそうだ。

この問題をクリアしない限りただのムダ死になるのは間違いなさそうだし……。

「なんだかよくわからねえがこっちの作業はバッチリ進めておくからよ。

準備が出来たらいつでも戻ってきな。

「ああ!ありがとう。

よし!それじゃ会いに行こうヘレナに。




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