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【黒ウィズ】空戦のシュヴァルツ Story0

最終更新日時 :
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開催期間:2018/05/18




story0 プロローグ



視界一面に青い空が広がっている。顔を撫でる風は強烈だった。

ここは、どこだろうと振り返る。

君の目線と同じ高さの雲が、凄まじい速度でうしろに流れていった。


「風と空。そして、オイルの匂い……。

はあ……。どうやら私たちは、また、空戦の異界へ飛ばされてしまったようにゃ。」


かつて君たちは、ディートリヒとともに世界を飲み込もうとする脅威、イグノビリウムを退けた。

その戦いでは、多くの血が流れた。尊い代償を山ほど払って、この世界は、平和をつかんだはずだった。


「そこにいるのは、誰です!?」

「もしかして……その声はローヴィにゃ?」

「あなた方は……なぜ、私の艦にいるのです?」


ローヴィは小銃を君たちに向け、引き金に指をかけた。


「密航者は、発見次第その場で射殺されても文句は言えません。」

「にゃっ!?」


君たちに向けられた銃口は、吸い込まれそうなほど黒く、深い。


「ですが、私も貴官――いえ、魔法使い殿にお会いしたかったのです。密航の件は、私のー存で見逃しましょう。」


小銃が降ろされ、切れ長の目が優しい弧を描く。

ディートリヒの副官としての印象が強いローヴィだが、いまの彼女は、記憶の中の印象とかけ離れていた。

肩に掛けた大きめの軍服は、ひょっとしてディートリヒのものだろうか?


「あなた方を探している人物がいます。これから、その方に会っていただきます。」

「ディートリヒにゃ?」

「元帥閣下は、いまどこにおられるのか……。私にはわかりません。」


聞けば、イグノビリウムとの戦が片付いたあと、ディートリヒは誰に相談することもなく、黙ってドルキマスを去ったそうだ。

ローヴィは、失踪したディートリヒを探すために、空賊に偽装しているのだと教えてくれた。


 ***


ほこりっぽい部屋に通された。壁際に荷物が山のように積み上げられている。

どうやらここは倉庫のようだ。人と会うのに適した場所には思えないが……。


「そんな不安な顔をしないでください。ここは、私の艦。貴官らの安全は、保障いたします。」

「ローヴィが艦長なのかにゃ? 出世したんだにゃ。めでたいにゃ。」

「閣下の下で艦を指揮し、ドルキマスの勝利に貢献できるというのであれば、血も沸きましょう。

ですが、閣下が失踪なされた現状では、そんなことは夢物語。とても喜べません。」


ディートリヒがドルキマスを去ったと聞いて、君はあまり驚かなかった。

最早、ドルキマスでの己の役目を終えたと感じたのだ。とはいえ、あのまま国にいても、災いの種になるだけだ。

だから、みずから身を引いた。それが、空軍元帥である自分の役割だと信じて……


「すまん。待たせた。」


白い輝きと共に、背中に翼の生えた男性が降り立った。

倉庫の中なのに、降り立つ(・・・・)とは不思議な表現だが、ルヴァルの登場の仕方は、そうとしか言い表せなかった。


「私たちを探しているのは、ルヴァルだったにゃ?」

「久しぶりだな。魔法使い、黒猫。

卿らと再会して、いきなり頼み事をするのは心苦しいが私の話を聞いてもらいたい。」

「もしかして、イグノビリウムに関連することにゃ?」


ルヴァルは、当たらずとも遠からずという顔で、君たちへの頼み事を切り出す。


「実は、この世界には、膨大なエネルギーを秘めた特殊な鉱石が存在する。この世界の人間は、それを聖なる石と呼んでいた。

それは、イグノビリウムが、この大陸に降り立つ理由となった。」


聖なる石には、魔力と同等のエネルギーが秘められている。

イグノビリウムは、それを餌としていた。この大陸が、彼らに侵略されたのも、それが原因だ。


「先の大戦の後期、私たちは聖なる石の〈原石〉を発見したのだ。

通常の石の数万倍のエネルギーが内在されているその〈原石〉が、イグノビリウムに渡れば――

イグノビリウムという種を今後数百年に渡り、延命させたはずだ。」

「その〈原石〉とやらは、今どこにあるにゃ?」

「……奪われてしまった。空賊の手によって。」


そんな莫大なエネルギーを持つ〈原石〉が野放しにされていては、いつまたイグノピリウムのような存在が大陸に襲来しないとも限らない。


「空賊の中に潜入するには、私の格好は、少々目立つ。

だから、私に代わって卿らが〈原石〉を取り戻すのだ。もちろん礼はする。」


大陸が再び戦乱に巻き込まれるようなことになれば、君たちの努力、そして死んだ兵たちの思いが無駄になる。


「その顔は、引き受けるつもりにゃ? 人助けが好きなキミは、きっとほっとけないと思ったにゃ。」


お節介なのは、師匠に似たんだけどねと君は笑った。


「これで、あなたの要望は叶いましたね? 約束どおり、報酬をいただきます。」


淡々と紡ぐ言葉の裏に、彼女の焦りが滲んでいた。


ディートリヒ・ベルクの行く先か……。そっとしておくのが、彼への優しさではないかね?」


ローヴィは、躊躇うことなく小銃の引き金を引いた。威嚇のために放たれた弾丸は、ルヴァルの身体をかすめる寸前で受け止められた。


「相変わらず生真面目なお嬢さんだ。私でなければ死んでいたぞ?」


ルヴァルの手から、ひしゃげた弾丸がこぼれ落ちた。


「世迷い言を聞く気はありません。元帥閣下の捜索は、王の命令です。」


いっそう厳しい表情で、ルヴァルを問い詰める。天の使いは、観念したように翼を閉じた。


「生憎、本人の居場所は知らん。だが、奴には弟がいる。

行方不明のまま、所在が知れなくなっているドルキマスの第4王子だ。」

「噂でしか耳にしたことかありません。……あなたは、正体を知っていると?」

「右眼に光紋を宿した男を見つけろ。ハイリヒベルク家の血を引く者であれば、間違いなくその証を持っているはずだ。

私が言えるのは、それだけだ。」




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空戦のシュヴァルツ Story

 プロローグ

空戦のシュヴァルツ Story1

 髑髏諸島の空賊たち(初級)

 西の空賊、東の空賊

空戦のシュヴァルツ Story2

 〈原石〉の行方は?(中級)

 クレーエ族と墓守

空戦のシュヴァルツ Story3

 竜を探して(上級)

 女王のお願い

 その男、ハリールース

空戦のシュヴァルツ Story4

 古代遺物をつかめ!(封魔級)

 落胤の証明

空戦のシュヴァルツ Story5

 空の支配者ランダバル(絶級)

 空賊たちのケジメ

空戦のシュヴァルツ Story6

 闇夜の果てに(覇級)

 髑髏諸島の秘密

 〈原石〉の行方は……


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