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【黒ウィズ】ぽっっ!かみさま Story4

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四章 風車の復活


Story1 エルフとの約束

Story2 フラワー売り

Story3 女の戦い





story1


という感じで~! 我々と黒猫のひろは約束しらのら? それを破っておいれ……うぷ。

酔っぱらうし、話が長いし、土のエルフはろくでなしね。

コロッココの昔話も、最初の方は真面目な調子だった。

だが、途中で舌を滑らかにするとかなんとか言い出して、一杯くびっと飲むと、もう後の祭りだった。

ちょっともう一杯。これが最後のもう一杯。いやいやホントに最後の一杯と、杯を重ねるうちに、もう止まらなくなった。

君たちも過去の出来事を理解しなければいけないので、しっかりと聞き入るつもりだったが、途中で馬鹿らしくなった。

過去はもう杯のあぶくの中に消えていった。まさしく泡沫(うたかた)だね、と君が呟くと。

えーと……どういう意味ですか?

いまいち通じていなかった。少々、詩的過ぎたのだろう。

いま気づいたんだけど、あなた、そういう事言う時。「ドヤ」って顔になるわね。

そういう顔になっていたのか。初めて知った。

ウィズに見られたら何を言われるかわからないな、と君は襟元を正した。

あ~もうなんか眠たくなってきたな……。もういいや、今日は帰って、寝るから帰って。

こりゃもう帰るしかないっしょー……。


イーザの部屋に戻った君たちはふかした芋を食べながら、断片的な情報を元にエルフと人間との約束について考えた。

たぶんテッラーロの車を管理するのがエルフとの約束だったと思うんだけど……。

イーザ、その車っていまどうなっているの?

その名前を聞くのも初めてですが、おそらくあれのことだと思います。

指差したのは苔むした建造物だった。羽のようなものがあったので、車と呼ばれるのはそこが由来なのかもしれない。

エルフの遺跡だとは聞いてますが……約束というのは初めて聞きました。

リュディが何のためにそんな約束をしたのかよくわからないけど、300年もすれば約束なんて忘れるわよね。

それは言えるねえ。守ろう守ろうと思っても忘れてしまうのが約束だからねえ。

そういえばあなた、自分が使った食器は自分で洗うっていう約束は守ってないわね。

守ってないわけじゃないっしょ。ついつい忘れてしまうっしょ。ついついっしょ、ついつい。うっかり。

しゃらくさいこと言うな。

ひーーーー。

リザがカヌエのこめかみを責め立てる。

君が容赦ないな、と思いながらそれを見ていると、グレイスがぽつりと呟いた。

もしかしたら、リュディガ一さんは忘れてもいいと思ったのかも?

ほら、エルフの皆さんもずっと封印されたままじゃ、かわいそうですし、それに……。

約束が破られた時にエルフの封印が解けたら、みんなか約束を思い出すきっかけにもなります。

現にいま、そうなってます。

君はグレイスの言う通りだ、と同調した。きっとエルフの復活はエルフを忘れてしまわない為の目論見だろう。

冗談はわからないけど、こういう頭の回転の速さはあるんだな、と君は思った。

たまにこういう人はいる。

バロンタイプの人だ。

それなら、私たちのやることはひとつだねえ!

で、何をやるんだい?

わからないなら、それっぽい台詞を言うな。

約束を守ればいいんだね、と君はグレイスに確認した。

はい! テッラ一ロの車を直しましょう。



>はー、こりゃ大変だねえ。



と、テッラーロの車まで来たのはいいけど、これけっこう大変そうね。

そうだねえ……これはえらいこっちゃだねえ。

村のみんなで取り掛かってもすぐには終わりそうにないですね。それにお金もかかりそう。

お金なら大丈夫だと思うわ。だってほら、カヌエはー応神様だし。ヴィジテに借りれば何とかなるでしょ。


 ***


そら無理な話ですぜ。

え? そうなの?

君たちは船に戻り大人の事情に詳しそうなマッサに、教団がテッラーロの車を修繕する費用を賄えないか、尋ねた。

マニフェにしろヴィジテにしろ市民の寄付で教団を運営してますからねえ。

金の使い道の報告義務やそれを監視する市民団体もあります。そこのチェックを通らないとそんな大金は動かせないでしょうね。

でも、ソラはこーんな大きな船をホリーに造ってもらったじゃないか。

私は知ってるんだよ。これがマニフェのお金で作ったって知ってるんだよ。

だから私にだってお金使ってくれたっていいんでないかい? チクったっていいんだよ、ええ? チクってもさあ。

何をむくれているんだ。これは私のものではないぞ。表向きは漁師ギルドのものだ。

ギルドからマニフェヘの寄付ですね。で、こうやって船を出す時はギルドの若衆が駆り出されるってわけです。

比較的自由に使えているが、私のものではない。

あー、ずるいねえ。そんな大人のやりそうなことやっちゃってさあ?汚い大人がやりそうなことだよ。

だから、何をむくれているんだ。

君は話を聞きながら、神様も大人のやり方には苛立ちを覚えるのか、などと思っていた。

リザの知り合いはこの辺りにいませんか? そういう人が力になってくれないでしょうか?

は? 何言ってるのよ。私に知り合いなんているわけないでしょ。この世界にリュディとふたりきりで来たんだから。

君もグレイスが不思議なことを言うな、と思った。ちょっと空気が読めていない感じだった。

そういう時、君は背筋が冷えるような感覚に捉われる。共感性羞恥というものらしい。

人の失敗を見て、自分が恥ずかしくなるという心理である。

これだけではなく、グレイスは少し変わったことや世間とズレたことを言ったりする時があった。

なにか普通とは違う異質な感覚がある。

バロンタイプの人だ。

おいもも不作ですし、お金を工面するのは大変だと思います。いつだってお金です。お金。お金お金……。

まるで呪誼のようにそう呟くイーザに、君は疑問に思っていたことを尋ねた。

あんなに花が咲き誇っているのに芋は不作だという事実である。

畑の景色はまったく不作のようには見えない。むしろ花咲き乱れる素晴らしい景色である。

ボルデー芋は、育ちが悪いほど、きれいな花を咲かせるんです。

そうすれば昆虫たちも寄ってくるので、自分たちの種の保存にかなっているんでしょうね。

君は腕組みをして、ぼんやりと考えていたことをみんなに伝えた。

花を売ればいいのではないか、ということを。

花を売る……? 売っても食べられませんよ?

食べるのが目的じゃないわよ。愛でるのよ。部屋に飾ったりとかして。魔界ではよく花を飾ったわ。そういうのしないの?

愛でる?どんな字を書くのかすらわからないです……。そういうブルジョワ的な思考は私たち農民にはなかったです。

ブルジョワって……。花を愛でることは普通のことでしょ。

でもリザは魔界の王様のところで育ったんですよね?

王様!! ブルジョワ!!

花を売るのはいい案だと思うぞ。なんならこの船で大掛かりに売り捌けばいいんじゃないか?

それなら俺たちも力になりますぜ!

あーたの案……採用ざあます!

最後によくわからないことを言われたが、どうやら方針が決まったようだ。

フラワー売りに行くっしょー!!




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story2



フラワー! フラワーいらんかえーーー? 活きのいいフラワーいらんかえー?

フラワー、いらんかえー?

フラワー売りに諸国をフラフラフーラフラ。

フーラフラー。

あ、フラワー。あ、フラワーいらんかえー? いまならちょっとした幸運つけちゃうっしょー。

前に壷売ってた時もそれ言ってたけど、逆に胡散臭くなるわよ。

フラワー買うと、家内安全、金運上昇、健康第一、縁結びに、台所キレイ。諸々幸せになるっしょー。

すごく嘘っぽい……。

フラワー、いらんかえー?

フラワー、いらんかえー?

早く帰りたい……。





これが神様の徳の高さ故なのかはわからないが、花の販売はなかなか良い収益をあげた。

にょほほほ。思わぬ小金持ちになっちゃったねえ。なっちまったねえ。

少しは車の修繕費用の足しにはなるわね。

そんな話をしていると、ノックもせずに誰かが入って来た。

ほっほっほ。皆さん何やら楽しそうですな。こんな貧乏が染みついたような場所で。

誰ですか?

長者様です。お金を持っているからと言って、いやみなブルジョワ的振る舞いをされる方です。

ほっほっほ。お金を借りている相手をそんな風に言うとは心の底から軽蔑しているようだね。

はい。とっても。

どうも。人は私のことをおいも長者と呼びます。ま、フランクに長者様と呼んで頂いてけっこうですよ。

『様』をつけるのはフランクではないな、と思いつつ、君は長者様は何の用でここに来たのですか? と尋ねた。

もちろん貸していたお金を返して頂こうかと。

あの……まだお金の方は……。

おや? おかしい。私の鼻がここに小金があると教えてくれるのですが……。

お金なんかないわよ。こっちは毎日ふかした芋を食べてるんだから。

おや? 本当に? 本当にないのですか?

はい。ありません。

みんな、咄嵯にいま手に入れたお金を失うのはまずいと判断したのだろう。

それは君もすぐに理解した。

あなたもお金、知りませんか?

お金はない、と君は答えた。

ふーむ。おかしいなあ。

辺りを見回し、長者様はずいとカヌエの前に出た。 

あなたもお金を持っていませんか?

も、持ってないっしょ……持ってたら言うっしょ、ふつう……。私は神様だから……持ってたら言うっしょ、ふつう。

だから持ってないっしょ。持ってるわけないっしょ!! にょほ、にょほ、にょほほほ……。

(おいーーー……)

隠しているのはバレていますよ!!

ひーーー、なんでバレたっしょ!

バレいでか、と君は思った。

カヌエが隠し持っていた金袋をひったくり、その中身をちゃらちゃらと検めながら、長者様はにやりと笑った。

目当てのものも見つかりましたので私はこれにて失敬させて頂きますよ。長居すると貧乏がうつりますからね。

これでまた……1からやり直しですね。

みんなさすがにショックを受けているようだった。

つとリザが顔を上げる。

あいつ殺そうか。

いやいや、名案を思いついたみたいな調子で言ったけど、普通にダメだよ、と君はリザを諭す。

でも、それくらいしか方法が……。

ねえ、リザの知り合いを探そう。たぶんそれしか方法がないよ。

だから、私に知り合いなんていないってば………。

リザ? リザ………あら、その髪の色……ナイフに……ペンダント……あと、口が悪い。

そんなやり取りを聞いて、まだ何となくそのあたりをウロウロしていた長者様がこちらを見た。

口が悪いは余計よ。

もしや、あなたはリザ・ロットレンダーという名前ですか?

ええ、そうよ。

おーーーろおろおろろ、おーろおろおろおろおぃもおいも……。

なぜか長者様は突然泣き始めた。

もう手え出したのかい?

出してないわよ!

目元を高そうなハンカチで拭うと、長者様は涙のわけをぽつりぽつりと話し始めた。

実は私の先祖はこの村がまだただの平原だった頃から移り住んだ者でございます。

先祖はリュディガー・シグラー様に救われたも同然にここに移り、商いを始めました。

村づくりも軌道に乗り始め、リュディガー様がここを離れる時に、先祖はわずかばかりのお礼として金品を渡そうと思いました。

ですが、リュディガー様はその申し出を断られ、ある提案をされたのです。

もしリザ・ロットレンダーという女性がここを訪れたら、その方に渡してほしいと。

そこで先祖はそのわずかばかりの金品を渡すのは忍びないと思い、そのお金を運用して、さらにお金を増やし続けました。

そして、いつか現れると信じてコツコツ増やしていたものを、いまようやく渡せるというのですよ!

これは泣かないわけにはいきますまい!ああ、おじいちゃんもう少し長く生きていたら!あ、額はこれぐらいでございます。

うあ! すごい額! これもらっちゃっていいの?

もらって下さい! もらって頂かないと渡せずに死んでいった一族の者が浮かばれません!!

これもしかしたら、神の力、来ちゃったかもよ。

絶対違うでしょ。

これは失礼。取り乱してしまいました。では、念のためではございますが、合言葉をお願いします。ルシエラ。

は?

合言葉でございます。リュディガー様が本物のリザ様かを確かめるために用意しました。

ルシエラ。それに続く言葉をお願いします。

……こわい?

え? あ、あ、あ、ちょっと違いますね。もう一度お願いします。ルシエラ。

……笑いながら怒る?

え? え? あ、ちょっとお待ちください。三回間違えると、偽物に認定されてしまいますよ。

いや、でもルシエラだけ言われても、すごく難しいんだけど。

君も少しルシエラで思いつく言葉を考えてみた。

すぐに頭が痛くなってきた。

ヒント! ヒントが欲しいっしょ!

いいのか? と君は思った。

わかりました!我々も300年待ってようやく訪れたこのチャンス!逃したくはございません!

いいのか、と君は驚いた。

最初の一文宇目は「あ」でございます。

あ、あ、あ、明るいところで寝――

わーわーわー! セーフ……リザ様はまだ何も言っておりません。

普通ならアウトだろうな、と君は思った。それにしても、ルシエラは明るいところで寝るのか……。

なぜかちょっとわかる気がした。何かしら常軌を逸した所があるので、自然に思えた。

次の一文字は「る」です。「あ」と「る」。

あ、る、ある? ある……歩くのが嫌い。

……はっ! いま何かおっしゃりましたかな? 私、ちょっと聞いておりませんでしたので、ノーカンでございます。

永遠に終わらない気がしたので、君は答えだと思う言葉を言ってみた。



(そ     れ     )

口の動きだけでもの凄い同意を送ってきた。

え? あ、そういうこと? アルドベリク!

ぱんぱかぱーん! ぱんぱんぱんぽんぽこべんぺんぽぉ~ん……。

最後の方が弱くなっていくので、正解したのかしなかったのかわかりづらいな、と君は思った。

正解です! おめでとうございます!

よかった! よかったですね!

すごいです、リザさん!

ははは……なんか、すいません。

何はともあれ、テッラーロの車の修理に一歩前進した。

にょほほほほ。終わりよければ全部よしっしょ!






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story3



つまり、テッラーロの車の修理をすることが出来るってことだな?

なら、やってもらおうじゃないか。

なら、やってやろうじゃないかい。

何を張りあっているのよ。

車の中を詳しく調べようと思うので、ぜひコロッココさんにも同行して頂ければと思いまして……。

わかった。それなら行ってやろう。

よかった。じゃあ私、お弁当を作って来ますね!

え?

と、君たちは思った。

ここに来て数日過ごしてわかったのだが、イーザの料理と言うのは芋をふかしたもののことだった。

それ以外はまったく作らなかった。作らないというよりも、他に何か作るという観点がなかった。

じー……。

じー……。

じー……。

……わかったわよ。何か作るわよ。


 ***


リザ、今日は何を作ってくれるんですか?

決めていません! あるもので何か作ります。では材料です。芋!以上。

おいもおいも~。

では、この芋をざっくり切って、ゆでます。ゆであがったら熱いまま潰して下さい。素手で!!

素手で!?

うわちゃ、うわちゃちゃ!!ほっほっほ、うわちゃちゃ! 手があついっしょ。

その間に玉ねぎとひき肉を炒めます。

これは何のお肉ですか?

あれです。

あれなの!?

とうとい命を頂くっしょー。

はい。では粗熱を取った芋と玉ねぎを混ぜ合わせます。熱かったら木べらとかを使ってくださ一い。

私の素手はなんだったっしょー!

これを丸めてー、卵をつけてー、パン粉をまぶして、揚げまーす。

この鳥と同じくらいの色になったら、油から上げて、キャベツと一緒にパンに挟んだら完成でーす。



にょほほほ。これはあれだね。ほくほくでたまんないねえ。

ほほ、ほほ。うまいうまい。これは蜂蜜が無限にいけるやつだ。

何もなくても、無限にいっていた気がしたが、君は黙っていた。

炭水化物を油で揚げて、それを炭水化物で挟むなんて、とってもプロレタリアな感じですね。

言われてみれば体を動かす人間にはいい料理かもしれない。エネルギーしかない。それが良いことかは別として。

うまい。気に入ったぞ。この料理は何という名だ?

……コロッケでいいんじゃない? それのサンドイッチだからコロッケサンド。

明らかに私を見て決めたよな、いま。






テッラーロの車の調査もひと段落した所で、君たちは昼休憩を取っていた。

にょほほほ。ティータイム、ティータイム、ティータイム大事だよ~。

以前の事件で出会った時計塔の人たちに倣い、カヌエもちょこちょこティータイムを取るようになったらしい。

長い間使っていなかったので、中はやっぱりひどい状態ですね……。これがいくつもあるから……うーん。

コロッケサンドを食べながら、交わす会話は楽しいものにはならなかった。

見るからに、復旧修繕は大仕事だったからだ。

問題はこの変な植物のツルだな。これが絡まっていて、どうにもならない。

時間はかかるかもしれないけど、お金はあるから何とかなるでしょ。心配するな、コロの字。

コロの字って……。

呼びにくい変な名前だから、コロの字にした。コの字でもいいわよ。

変な名前って失礼だな。グレイスよりましだぞ。

ええ? アタシですか?

グレイスのどこか変な名前なのよ。

エルフからしたら、変な名前だ。理由は聞くな。

なにそれ?

にょっほっほ。ところで、リザ様、そのお金でわたくしめにも、ソラに負けないくらい大きな船を買って頂ければ。にょっほっほ。

ノォォォォウ。

ひどいっしょ。けちんぼっしょ。

無駄遣いはしちゃだめでしょ。みんなに利益があることに使った方がいいでしょ。神様なのにそんなこともわからないの?

神様は……わがままな生き物だからねえ。

そろそろ休憩も終わりだろうと思い、君は片付けを始める。

ふと、コロッケサンドがひとつだけ残っていることに気がついた。

余っちゃいましたね……。

ということは……第2回魔法使いさんいっぱい食べてね選手権を開催します!

あ、またやるんだ、と君は自分の腹具合を確かめた。1つくらいならなんとか入るだろう。

では、ここは私からやろうかねえ。ま、神様だからさすがに2回も負けられないっしょ。

なんでこの人たちはこんなに乗り気なのか、と思いながら、君も居住まいを正した。

よよよよ……魔法使いさん、魔法使いさん、いまから私は人目のつかないところで、機を織ります。

けっして、けっして、覗かないで下さい。

と言って、カヌエは物陰の方へ移動した。君は、一体何が起こるのだろうと待っていた。

待っていた。

待っていた。

覗きにくるっしょ……! 覗きに来ないと始まらないっしょ!

あ、見に行かなきゃいけないんだ。なんだか面倒だな、と思いながら、君は物陰に行った。

にょほほほ。こっそりコロッケサンドを独り占め独り占め……ってあわわわ、バレちゃった!

こんな風に、神様も独り占めしたくなるコロッケサンド! ほれ、いっぱい食べてみ!

小芝居が長い。と君は一刀両断した。

はうー……。

はいはい。茶番も終わったし、本番に行くわよ。今度こそは絶対に負けないから!

アタシも負けませんよ。ほら、イーザさんも。

え? あ、はい! やるからにはー所懸命で頑張ります!

なんだかもの凄いやる気だった。

君は心の中ではカードを構えるくらいの気持ちで、少女たちの挑戦を受けとめる。

先鋒はリザだった。

昔の自分を超えられないのは、最大の屈辱!私はいまの自分の全てをぶつけるわ!

すごい気合だ。気合だけはすごい。そして、コロッケサンドをずいと差し出した。

ほら。余ってるから食べなさいよ。片付かないじゃない。ほら、食べろ。

は?

ブレずにいまの自分で攻めてみた。どう?

どうって……なめてるの? と君は返す。

は?

は?

はあ!?

はあ!?

ちょちょちょ! ケンカみたいになってるっしょ!

一触即発のところをカヌエが割ってはいったおかげで、なんとか事なきを得た。

だが、君はリザには伸びしろがないな、と思った。

次はグレイスだった。

魔法使いさん。コロッケサンドもう一個いかがですか?

すごい安定感があるな、と思った。

というか、他が安定していない。いや、安定以前の問題というのもがあるが。

あ、もしちょっと大きいな、って思っているなら、食べやすくしてあげますね。

心づかいもいい。

これをこう、ギューと抑えつけて……。

ちょっと、ちょっと、ちょっと。と思わず君はグレイスを止めた。

人が食べるものを勝手にギューってしちゃダメ! と君は声を荒げた。

ええ? そ、そうなんですか?

まあ、ギューってしていいのは自分が食べる分だけだねえ。

あーあ、もう、ちょっとギューってなっちゃってる。次、イーザの番なのに。

私はギューってなってても全然かまいませんよ。

イーザはややギューってなっているコロッケサンドを受け取り、そう言った。

ただ、そのややギューってなっているコロッケサンドを食べるのは自分だ。

人がギューってしたサンドの実に食べたくないことか……。君は少しだけ勉強になったな、と思った。

ただ、それだけで割り切れるものではないが。

次はイーザの番だ。彼女がにっこりと笑いかけてくる。

うふふ。おいもってどうやって出来るか知っていますか?

これまた厄介なのが来たな、と君は思う。完全に意表を突かれた。

最初は芽出しという作業を行います。種芋を光が当たり過ぎない所に2週間くらい置いておきます。

そうすると種芋から黒っぼい芽が出てきます。その後、芽の数を均等にするために、その種芋をふたつに切ります。

切ったら、それを風通しの良い場所で乾燥させる作業が……。

待って! と君はイーザを止めた。思ったよりもいろんな工程があり、いまだに種芋が土の中に植えられていない。

ここから育って、食べられるようになるまで一体どのくらい時間がかかるのだろう。

それならいっそ、コロッケサンドを食べてしまった方がいい。

そう思った。

あ、おいもが育つにはまだまだ作業があるんですが……。

そうだと思った、と一言告げて、イーザの持つコロッケサンドを受け取った。

もうこれ、いっぱい食べてねとかそういうレベルの話ではないな、と思いながら。

おー、今回はイーザさんの優勝ですねー。

また負けて、悔しさしかないっしょ。

他の参加者に己のふがいなさを自覚してほしい、と思いながら、コロッケサンドをギューってしていると。

揺れた。車全体が揺れているようだ。

石畳が波打ち、周囲に蔓延っていたツルが生き物のように曇き始めた。

隙間をこじ開けて、太いツルが突き出してくる。

石畳が波打ち、周囲に蔓延っていたツルが生き物のように轟き始めた。


「我々の住処で何をしている!!」

「答えによっては、生かして帰しませんわよ!」


君は、ここに来てようやく戦いらしい戦いが始まろうとしていることに、若干のいまさら感を感じつつ、カードに手を伸ばした。






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