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【黒ウィズ】ぽっっ!かみさま Story5

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最終更新者:にゃん



五章 おいもの花の咲く頃に


Story1 根っからのお人好し

Story2 「淀み」産みの神話

Story3 ふわっと再会

Story4 古の傷痕

Story5 旅の総括






story1 根っからのお人好し
















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story2 「淀み」産みの神話













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story3 ふわっと再会



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story5 旅の総括



再び稼働を始めたテッラーロの車を君たちは満足げに眺めていた。

イーザをはじめとした村の人たちは忘れかけていた村の一面を思い出したようだった。

それはかつて見た原風景のようなものなのだろうか。

一度も車が動いているところを見たことが無いはずなのに、彼らは心が震えているようだった。

また約束は守られたというわけだ。しかし、我々はどうすればいいんだろうな?

また本の中に戻るのか?

と、コロッココは本を取り出した。グレイスが持っていたものに似ている。

おそらくリュディが作った本だろう。

一緒に生きたらいいんでないかい? もう戦争なんてしてる国はないから、一緒に生きたらいいっしょ。

そうね。あなたたちならそれが出来るんじゃない?

イーザとコロッココは顔を見合わせる。視線の位置は不揃いだが、そこには同じ光が宿っていた。

もう一度、よろしくお願いします。

うむ。よろしくな。この約束は岩のように固いぞ。あとコロッケも頼むぞ。

はい!

異種のふたりが手を取り合うのを見て、カヌエが持っていた杖の石突で地面をぽんと叩いた。

土に花! 空に太陽! 人にカヌエ! これにて一件落着っしょー!

じゃあ、解決したところで、みんなで歌うかねえ。

何を!

ああ、そういうのはなかったかねえ……。それにしてもグレイスはどこに行ったんだい?

そう言えば、村の人を呼びに行くと言ってまだ帰ってきていない。

村の人たちはもうここにいるのに、彼女だけ帰って来ない。

一陣の風が吹くと、リザが怪厨そうな顔をして呟いた。

この風、血の匂いがする。

彼女がそう言い終わる前に、君たちの前にふらりふらりと幽鬼のようによろけながら、エルフが現れた。

あいつ。はぐれ者だな。それに……。

その手は血で濡れていた。

人を襲ったようだな。

ここは……ここは! どこだ!

もはや正常な判断すら出来ていない。君は突っかかってくるエルフに向けて魔法を放った。

直撃し、作裂し、エルフは他愛もなくその場に崩れ落ちた。

何者だい?

我々と同じ時期に本から外に出てきたのかもな。

エルフの国を……殺された同胞の仇を……。どこだ! どこに行った!!

鷲の時代の生き残りか。時代が変わったことに気づいていないのか?

それとも外の世界が一変していたので、ショックを受けているのか。我々よりも石頭だな。

エルフは君を見る。

お、お前はあの時の男と同じ魔法を使う……。なぜ、なぜ! あの男は私を殺さなかった。

魔法を使う。リュディのことだろう。

同胞が、誰もいない……。お前たちが殺したのか? こんな残酷な仕打ちをよくもしてくれたな!

ねえ、あなた。リュディの文句ならそっちじゃなくて私に言いなさい。

リュディが何を考えて、あなたを生かしたのかは知らないけど、そのことが受け入れられないなら。

いつでも私が殺してあげる。ただし、その手についた血がグレイスのものなら……いますぐ殺す。

君も同じことを考えていた。

血塗れの爪。

帰ってこないグレイス。

良くないことを考えるなという方が難しい。

エルフの鳴咽が緊張した時間を引き延ばす。


皆さん、深刻そうな顔をしてどうしたんですか?

にょほほほ。遅かったねえ、グレイス。迷子にでもなってたのかい?

え? 迷子になんかなってません。真っ直ぐ村の人を呼びに行きましたよ。

朗らかな気配を取り戻しつつあったその場に、場違いな叫びが上がった。

ああ!! ああ! あ……あ、ああ……。

エルフはグレイスを見ているようでもあり、焦点の定まらぬ視線を宙に漂わせているだけのようでもあった。


こいつの身柄は我々が引き取ろう。落ち着かせる必要がありそうだ。蜂蜜を飲ませれば少しは落ち着くだろう。

あの方、どうしたんでしょうか?

グレイスが土人形に運ばれていくエルフを見送る。

さあ? 幽霊でも見たんじゃない? それとグレイス、襟に血がついているわよ。早く洗わないとシミになるわよ。

あ、ほんとです!どこでついたんでしょうか?

君はグレイスに対するリザの態度が妙だと思った。いつもより隔たりがあるようだった。

グレイスのことを一番心配していたのは彼女だったはずだ。

なぜだろうか。


 ***


君たちはポルデーヘの旅を終え、サンザールに戻って来ていた。

まだクエス=アリアスに帰ることも、ウィズに会うことも出来ないが、少しは情報が手に入った。

ウィズはリュディと行動している。そしてエルフの封印に関係しているようだった。

ご飯出来たわよー。

待ってましたっしょー!

目の前の皿にはソースのかかった小さい団子のようなものがいくつも盛られていた。

君は目の前に出された変わった料理について、リザに尋ねる。

これは小麦粉と芋で作った団子にトマトソースを絡めたものよ。名前はニョッキです! そんな気がしました。

にょほほ。もちもちのふよふよで食感がたまらないねえ。ニョッキニョッキニョッキニョキー。

いただきますは言った?

いただいてまーすっしょ。

屁理屈!

しびびびびーーー。

御子が神様のこめかみを責め立てるのを横目に、手に入れたリュディの本を読みふけるグレイスに声をかける。

あ、はい。いま行くね。

放っておくと、食事すら忘れるほど本を読んでいるのだ。

大げさな表現だが、彼女にとって本を読むことは生きることに必要なことなのだろう。

グレイスは持って来た本をテーブルの上に置いた。

食事の時くらい本を読むのをやめなさいよ。

違うの。コロッココさんから預かった本を合わせると、すごーいことが出来るの。見て見て。

グレイスが2冊の本を重ね合わせ、一方をぺらぺらと繕いていくと本が輝き始めた。

こうすると、エルフの人が呼び出せるの。

その光は細い帯となって部屋の一隅に飛んでいった。すると。

ほえ? ありゃ? ここどこだ? あーだめだ全然覚えてない。眠い。寝よ。寝ます。

ほほほー、すごいねえ。これは大発見だねえ。

すごいのはわかったから、そのろくでなしは元の所に返してあげなさい。

あー、もうのめましぇーん。でもまた飲みたくなるんだろうなあ……。コロッコッ!

そうだねえ。この子は夜に呼び出しちゃだめだねえ。

食事もひと段落したところで、リザが立ち上がった。

あーーー、ニョッキがちょうどひとり分くらい残っちゃったー。どうしよー。

えらく芝居がかったことを言い出したのを見て、君は、来たな、と思った。

さ、いっぱい食ぺてね選手権やるわよ。

やろうやろう!

望むところだよう。神様としては何度も何度も負けられないからねえ。

はいはーい。では私から行きます。

まほーつかいさーん。いっぱい食べてね。

いつもと少し違う明るいニュアンスだったが、相変わらずグレイスは安定しているな、と君は思う。

次は私ね。。……いくわよ。

もう。せっかくいっぱい作ったのに残っちゃったら、とっても悲しいんだぞ! だから。

いっぱい食べてね、魔法使いさん! ……おえ。

体が悲鳴をあげてるよ。

まあね……。

でも、すごく努力しているのはわかった、と君は言う。

ふむふむ。で?

は?

努力はしている。か~ら~の~?

ないない。

ないない。……か~ら~の~?

本当にないよ。ほんとうに。と君が言うと。

……つまんね。

ぷいと君に背中を向けて、食器を片付け始めた。君は、そういう態度良くないと思うよ、と諭した。

はいはい。片付けておくから、進めておいて。

もの凄く態度が悪かったので、君は思わず、そういう態度良くないと思うよ! と同じことを2回言ってしまった。

気を取り直して、肘をつんつんしてくるカヌエの番である。

今回はとっておきを用意したよ。ちょっとちょっとグレイス。

と、グレイスの耳元で何かを囁く。

ごにょごによ。ごによごにょごによ。ごにょごにょごにょごにょごにょごにょ。

なかなか長いごにょごにょが終わり、カヌエが君の前に立った。なぜかグレイスがカヌエの後ろに隠れている。

魔法使いさん、まだまだ食べられるんじゃないかい? だったらいっぱい食べるっしょー。

いっぱい食べてみるっしょ一。にょほほほ、美味しいから、いっぱい食べてほしいっしょ一。

何をやってるんですか? と君はカヌエの頭をむんずと掴んだ。

私はねえ、知ってるんだからねえ、あーたかグレイスの時だけうれしそうにしてるのを。ひーきっしよ。ひーきしてるっしよ。

そうだ、そうだ。ひ一きだ、ひ一き。ひーきしてるー。

突然負け犬ふたりが徒党を組み始めた。

だったら、グレイスに言ってもらったら私も勝てるはずっしょ。そう思ったんだねえ。

神様のくせに他力本願なのはどうなのか。そもそもひーきはしていない。

それにこの提案にのるグレイスもグレイスだ。そういうタイプだとは思わなかった。

こういうことを喜んでするのは、ウィズタイプだ。

ふと君は思う。以前はバロンタイプだと思ったが彼女は意外とウィズタイプなのかもしれない。

まあ、同じネコ科だから似ている所があるのかもしれない。

いや、そういう問題じゃないな。

で、結局、この勝負誰の勝ちかねえ……!


この勝負……。






 ***


さてと、余興も終わったし、本題に移りますか。

君は何のことだろう、と思った。

ねえ、グレイス、あなたどうしてポルデーに私を知っている人がいるってわかったの?

へ?

どうしてリュディと契約する方法を知っていたの?

エルフはあなたを殺したと思っていたはずよ。なのに、なぜあなたは生きてるの?

グレイス。あなた、一体何者?

え? え? あの? えと……。

君もカヌエもその言葉に、呆然とするほかなかった。







焚火の周りには冷たい敵意だけが漂っていた。

リュディガー・シグラーだな?」

毛布の上に腰かけているリュディに対して、兵士たちは十数人。しかも油断なく槍を構えている。

「ええ、そうです。」

リュディが飲みかけの茶を焚火の中に捨てる。わずかに白い煙があがった。

ただ、それだけで兵士たちの軸足に力が入る。勇気よりも恐れに支配された動きだった。

「来てもらうぞ……王殺し。」

「にゃ……? リュディ……。」

かすかに漏れたウィズの声に反応して。リュディは微笑んだ。

「ここに来てから、いろいろあってね。」





ぽっっ!かみさま
~土のエルフと黒猫の人~
-END-





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