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【白猫】オーバードライブ紅蓮 Story2

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最終更新者:にゃん


目次


Story5 変身

Story6 僕は今

Story7 歯ブラシの歌

Story8 チャンスとチャレンジ

Story9 炎の中より

Story10 もう戻れない


story5 変身



Nグォアアア!!

Lジャアアアアア!!

rすごい……なんて戦いなの……!


Nグゥウウウ……!!

<魔獣は、空に舞い上がり、消えた……

残された魔獣は、あたりを見回したのち……>

r……襲ってこない?

<こちらも、飛び立っていく。>

r助けてくれたの?


…………

……


<魔獣は空を飛び、一瞬で雲の上に出た。>

L(あ、あれ!?もういなくなってる!?

……うーん。おっぱらえたから、いい……かな?)

<魔獣は急降下し、人気のない裏通りに降り立った。>


lあいつ、僕と同じなのか――

ハァ、ハァ、ハァ……やっぱりケンカはしたくないな。

に、しても……リネア、なんであんなところにいたんだ……?

なんかフクザツになってきたな……えっと、とりあえず店に戻ろ。


…………

……


数日前……僕は、怪物になった。


きっかけは、些細なことだった。まあ……なんだってそういうものなんだろうけど。

僕は一応魔術士を目指してる。でも、才能はない。


l……今度こそ、成功させてみせるぞ……!


筆記はまあまあ。問題は実技……ぼくはいわゆる、落ちこぼれってやつ。

なので、隠れて訓練するのに最適な場所で、特訓をすることにしたってわけ。


<レクトは、ろうそくを前に呪文を唱え始めた。>

lこれでいい……はず……


ここはその昔、冒険家のカイル・バイトランドがルーンドライバーのオリジナルを見つけた場所。

最近ここで何か実験が行われてるみたいで、区画の一部が閉鎖されていた。

そのせいもあってか、立ち寄る人はほとんどいない。


<火花がとびちり、ろうそくに火がついた!>

lやった!火がついた!


わかってるさ。これはスキエンティアなら小さい子でもできる、基本的な魔術だ。

僕がこの魔術に成功したのは今日が初めてだった。だから今日は僕にとって、少しだけいい日に……

なるはずだった。


lえっ!?

うわあああああ!!

<遺跡の奥から激しい光がほとばしり――レクトは光に飲み込まれた!>


…………

……


気がついたら僕は、こうなっていた。

おかしなもので、化け物になっても、僕は冷静だった。


L……これ、僕の手?

Lジャアアア――

<声は、言葉ではなく、奇怪なうめき声となって響いた――>


僕の手は……なんていうか、人間の形じゃなくなってる。声もこの通りだ。

帰りが遅いと、おじさんにこっぴどく怒られる。

でも……こんな僕をおじさんが見たら、どうするだろう?


Lどうするんだよ……これ……


そこには、膝をかかえてメソメソしてる怪物が一匹。


wb感知のルーンに反応があった。実験を見られたかもしれない。

wHスパイか……?そっちにはいたか?

wb……いや、こっちにはいない。

wH実験を見た者は、生かして帰すな!


僕は物陰……というか、とっさの判断で……

遺跡の天井にへばりついていた。とんでもない跳躍力。敏捷性、パワー。


Lええっと……僕、いよいよ人間じゃなくなったみたい。

それより、生かして帰すなって。どういうこと?



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story 僕は今



奴らから逃げた僕は、<取り残された森>で、軽く運動をしてみた。


Lす、すごい!!


走るのが遅かった僕が、稲妻よりも早くなっていた。


L次はパワーかな。そこの岩を、持ち上げてみよう。

Lジャアアアアア――ジャアア――!


岩が砕けた……!


Lおおお~。そうきたか~!!

Lグゥオオゥ……


テンションがあがった僕は、ふと川の水面を見つめた。


Lあ、これ……僕なんだ。

Lグゥアーウ……グォウウ……


そこにいるのは、見たこともないモンスターだった。


…………

……


これからどうやって生きるのか、考えた……


L無人島に行こうかな。

普通、怪物になったら、正気とかも失われるんじゃないんだろうか。


でも僕は、まったくもって僕のままだった。中身だけは。


L無人島に行く前に、おじさんには書置きくらい残しておこう。

……僕は怪物になったけど、心配しないで。……うーん、いまいち。


…………

……


いつもバイトしている店が、なんだかもう懐かしく見えた。

もう二度と、ここは戻れない……


Lおじさん、まだ帰ってないのか。手紙でも残しておこう……

ええっと、ペンは……流石に持ちにくいな。


今の腕じゃ、ペンが持ちにくい。そう考えたら……


l……えっ……?


…………

……


……無人島への引っ越しは、先延ばしになった。

……これからどうしよう?秘密を抱えて生きることになるなんて、思わなかった。


lひょっとして……僕はもう、人間じゃないのかな……



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story 歯ブラシの歌



r一体、この街で何が……?

l考え込んでるね……

rあたしだって悩むわよ。

l大変……だったね。その……ガトーショコラでも、どうかな……?

rレクトにしては、なかなかのセールストークね。


…………

……


rこのガトーショコラ……

l……れ、レーベン……なんとかって島のチョコを使ってるんだ……

どうかな?

rお菓子の魔女の島、レーベンクーヘンの……!おいしいはずだわ!

lそれって、すごいの?

rお菓子の魔女は、力を認めた人にしか、チョコを売らないの。マスターってすごいのね。

lおじさんはすごいんだよ。それにひきかえ僕は……

rどうしたの?

lこれからパーティーに行くんだ。


…………

……


y殺された評議員とゴビノーは、魔法薬の輸出で巨万の富を稼いでいたらしい。

j規制前はすごく安かったのに、規制後にすごく高額になった薬ですね……

yゲルハルトはこの件の黒幕だ。怨恨の線もあるな。

j身辺を、洗ってみますか……ねえ、ヤコボさん。

yどうした?

j魔獣をけしかけた奴は、本当に……人間なんでしょうかね。

y<闇>だとでもいいたいのか?

j噂になってるじゃないですか。あれは……<闇>じゃないかって!

y……だとしたら、我々には……何ができるのだろうな?


…………

……





今日は僕の先輩の誕生日。僕は余興をやることになっていた。


w_u2早くしろよレクト~!早く俺を楽しませてくれよ!


先輩のいうことには、逆らえなかった。やれやれ。僕は怪物なのにね……


lや、やあ……僕は、歯ブラシの精霊。今日はパーティに呼んでくれて本当にありがとう。

お、お礼に一曲、歌うね?

<レクトは……面白おかしい歌を懸命に歌った……>


w_u2こんなに無様なモンを、見たのは始めてだぜ!

w_u2バカにされるために生まれてきたのかオメーは!

w_u2ひっでえ~。逆にクオリティたけえ~。

lあ、ありがと……


r……あー……

l(リネア、なんでいるの?……ああ、そうか……まあ、いい見世物だもんね……)

r見てられない……!レクト!

lは、はい!?

rあたしが本当の歯ブラシの歌を歌ってあげるわ!!見てなさい!!

lええええ!?

rあんたも歌うのよ!

lまた!?

rさあレクト!本当のあんたに変身しなさい!


…………

……


w_u2なあ、二次会いくだろ?そんな使い捨ての歯ブラシは、捨てちまえよ。

l(使い捨ての歯ブラシ……!ナメクジ人間よりはちょっとマシかな……)

r残念だったわね。私はこれから歯ブラシの精霊とデートするの。

lほへっ!?

rほら、行きましょ!


w_u2魔法原理学部のリネアだ。魔法で性格を変えたいランキングナンバー1の。

w_u2外見は最強だが、中身に問題アリってことか。

w_u2決めたぜ。明日レクトの奴に舌がカエルになる魔法をためしてやる。


…………

……


lあのその……えーと……

rあたしじゃ不満かしら。

lそんなことないよ!

r不満なんか、あるわけないわよねー!

l(僕はストレスのあまり、幻覚を見ているのだろうか。

きっと明日は雨が降る。靴紐が切れる。先輩が僕をゴミ箱に閉じ込める)

rじゃあ、どこに行こうか?



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story チャンスとチャレンジ



rあ、クレープ屋さんだわ。なんか買いましょう。

l……う、うん……

(どうしよう。女の子とクレープ屋なんて……!)

rレクト、女の子とクレープ屋に来るのなんか初めてって顔してるわね。

lそ、そうかな?

rすぐ顔に出るのね。


…………

……




rなんだかいい気分。この街に、まだあたしの知らないところがあったなんてね!

l…………

まだ……魔獣について調べたりするの?

rあたりまえでしょ?フィールドワークだもの。

lじゃあ、僕もいっしょに……

rあ、別にいいから。そういうの。

lいやその……でも……魔獣に襲われるかも……

r足手まといはいりません。

lいや、でも……

r大丈夫よ、あたし、それなりに腕が立つからね。


……

…………



y殺された評議員は、遺跡で大規模な魔法実験を進めていたようだ。

r魔法実験……表ざたにできない実験を、遺跡で?

j遺跡の魔力……ソウルを利用する実験だったみたいだね。失敗したみたいだけど。

rその実験、今はどうなってるの?

j現在はゲルハルト評議員が実験を主導しているんだって。

yどうも成功を焦ってるらしい。評議員も立場が危ういのさ。

r詰め腹を切らされるとか?

yかもしれないな。もう一点、気になる話がある。

r気になる話、ですか……?

jあの魔法実験は、その昔遺跡で確認されたある現象を再現したものなんだ。

y高密度なソウルの発生現象さ。聞いたことないか?

r遺跡に蓄えられたソウルが、漏れ出した件ですね……?

yなんでもその時……ただのネズミが、強力な魔物に変身して人を襲う事件が起こったらしい。

rなんですって!?

y当時のことをよく知る人物に、話を聞いて回っている。何かわかったら伝えよう。


……

…………


<レクトは、店の掃除をしていた。>

l驚きだね。僕の人生にあんなことがあるなんて……

……これで僕にもっと、なんというか……勇気があれば……


Nチャンスをものにしたのか?レクト?

lえっ!?そ、それは……その……なんといえば……

Nチャンスをつかむためにはどうすればいいと思う?

lええっと……

Nチャレンジだ。チャレンジしなければ、始まらないだろう。

lチャレンジ……

Nそうだ、チャレンジだ。一線を越えるんだ。レクト。



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story 炎の中より



l一線を越える、か……

――リネアに、正体を明かすべきなんだろうか……?

でも、僕が魔獣と知ったら……彼女はどうするだろう?


w_oたいへん!火事よ!

w_Nまだ建物に人が!

lええっ!?

<繁華街の宿屋が燃えている……!?>

l……大丈夫さ……僕が、行かなくても……


w_oBま、まごが……あの中に……おるんじゃ!

こら、やめろ!

l駄目だ。こんな人込みの中じゃ……今、変身なんかしたら……!

w_oB誰か、あの子を……!


lちくしょう……


…………

……


<炎がまきあがり、宿屋が焼け落ちた……

人々は、悲鳴をあげる。そこに――>


w_oBあ、ああ……!!

な、なんだあいつは!

<炎の中から現れた魔獣は、腕に女の子を抱えている。>

w_o<クーリアの魔獣>だわ!!あいつが宿屋を!

w_N女の子を抱えてるぞ!

Lグオオオオゥ……!!

魔法攻撃用意!

女の子に当たるぞ!

<レクトは女の子を、老婆に預けた。>

w_k2ばーちゃん!!

w_oBあ、あんた……

どういうことだ……

攻撃だ。

しかし!

上からそういう命令が出てるんだ!!


Lグォォォォォアアアア!



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story もう戻れない



<魔獣となったレクトを、兵士たちが魔法で攻撃する!>

Lグオオオゥ!!

(ぐあああああ!!)

rあの魔獣は……あたしを助けてくれた!?

――追わなくっちゃ!

L(また撃ってきた……!この攻撃、生身で受けてたら一発アウトだね!)

<レクトは速度を上げた!>

L……僕を射ち落とすつもりか。


wJ今じゃ!

wb<闇>は許さない!!

L(ううう……僕……は……)


 ***


rこの辺りに落ちたはず…………えっ!?

L(……リネア……!)

Lジャアアアア!!

rあんたはいったい、何者なの?

Lジャアッ!!

<魔獣は拳を振り上げた!>

L(ど、どうして…………)

Lジャアアアア!!

rやるわね!じゃあこっちも、全開でいかせてもらうから!

L(体の制御ができない……)

r私達の街で、好き勝手はさせないから!

Lやめろっ……やめてくれ!!

<魔獣は、己の腕を抑えた!>

r動きが止まった!このスキに!

L……そうだ、人間に……戻れば……

うっ……ううっ……!戻らないよ……!?どうして、戻らないんだ!

rはあああっ!!

L

r逃げた……?あっちは、遺跡の方ね……!


…………

……


Lガアア……!

<レクトは、遺跡の中に逃げ込んだ。>

Lソウルが……流れ込んで……

<魔獣の負傷は、急速に回復する!>

Lははは……僕は不死身か……

(力が戻ったら……人間にも……

だめか……うまくいかないね……

どうして僕は……いつもいつも……!)

Lグオオオゥ……


「そうだ、チャレンジだ。一線を越えるんだ。レクト。」


L一線を……超える?


……

…………


<遺跡の一角に、巨大な魔方陣が描かれている……!>


gいいか、なんとしても実験を成功させろ!なんとしてもだ!

あの忌々しい魔獣が現れたら……わかってるな!

wHわかってますよ……我々もプロです。

wJ今度は百倍の熱量を試してやるぞ……グフフ……

gこの私の実験を妨害はさせん!させんぞ!!






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