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【白猫】春風と修羅 Story

最終更新日時 :
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最終更新者:にゃん

2015/04/20




目次


Story1 花咲かぬ春

Story2 喪神の森

Story3 春に愛されし少女

Story4 鬼二人

Story5 春を蝕む影

最終話 遅れて来た春



登場人物


プリムラ
魔法学園に入学したばかりの少女。
春の精霊に守られている。
シュラ
百鬼夜行、魑魅魍魎を従える鬼。
人族を知るために各地を旅している。




story1 花咲かぬ春



<飛行島から見下ろす水平線上に、小さな島が見えた。>


ちっちゃな島ですねえ。これではお土産は望めそうもありません。

シュラったら相変わらずのお土産バカねぇ。

とーっても、きれいなお花畑があるの。プリムラが見つけたんだよ。

お花がいっぱいの島って、素敵ね。プリムラちゃん。

えっとね。きっと今頃、お花でいっぱいなんだよ。春の精霊さんがいってたの。


…………

……


ここがプリムラのいってた島ね。どこにお花畑があるの?

んーとね、んーとね……あれ?

本当にこちらの島でお間違え有りませんか?

まだ、花が咲く時期じゃないのかも。

えっと……うん、春の精霊さんが、この島で間違いないって……

そうですか。でしたら……

今年はこの島に、花は咲きません。来年も、再来年も。

そんな……そんなの、やだよ。

それって、どういうこと?

アイリスさんなら、お判りでしょう。

……はい。島の中央から、何か嫌なソウルを感じます……

そうです。そのソウルが、彼らを呼ぴ寄せた。

<一行の目前に、魔物たちが現れる――!>

魔物ッ!?

お出ましですね。いやいや、実にめでたくない人たちだ。



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story2 喪神の森



なんとかやっつけたわね。

鬼のおにいさん。どうすれば、お花さんたちは咲くの?

私にはなんとも。この島の奥まで行かねば、その理由はわからないでしょう。

わたし、お花さんたちを……助けてあげたい。

プリムラちゃん。だったら私たちも手伝うわ。

お人好しな人たちですねえ。まあいいでしょう。私にも少々気がかりがありますしね。


…………

……


<一行の目の前に、枯れた大樹が現れた。>

あ桜の木さん……前に見た時は、お花でいっぱいだったのに。

この桜の木は……すでに死んでいるようですね。

いいえ、まだこの木には……命があります。ほんのわずかですが……

……大丈夫、だよ……桜の木さん。

白魔術で、私の元気をわけてあげれば……


<プリムラの体を、暖かな光が包み込む……>


 七の天光 四の霊耀 一の破暁
 我が身のほむらを矩火となし
 もって汝に燈し置かん!


<プリムラの手から光があふれる。

光は大樹の幹を優しく包んだ。>


あっ! なにか生えてきたわ!

<見れば、木の枝の先に、ちいさなつぼみが芽生えている。>

がんばって……!

<だが、ちいさなつぼみは、それ以上膨らまない……>

どうして……わたしの白魔術じゃ……お花さんを……!

残念ですが、そんなことをしても無駄です。

アンタね! ちょっとは言葉を選んだらどうなの!

この島の草木を救いたいのなら、原因を絶つ以外にはない。

シュラさん……

さあ、休んだら行きますよ。



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story3 春に愛されし少女



お怪我はありませんか、小さな魔術士殿?7

んとね……あのね……大丈夫、です。

そうですか。ですが無理はお控えください。

精霊の加護があるとはいえ、油断は禁物です。

しゅ、シュラさん……シュラさんは、やさしい、ですね。

ははは泣く子も黙る<蒼の鬼神>が優しいですって?

これはおかしな話ですね。私は文字通りの<鬼>だというのに。

キャトラちゃん、シュラさん、やさしいよね?

アタシもそう思うわ。素直じゃない鬼さんよね?

ところでプリムラさん。どうして貴方はこの島の花たちを助けたいんですか?

んっとね……お花さんはね。春の精霊さんの、仲良しなの。

わたしは春の精霊さんとお友達なの。だから……お花さんも、お友達。

お友達、ですか……。春の精霊殿とは、どちらでお友達に?

ええとね……んっとね……わたしの、島で、お友達になったの。

島の人たち、精霊さんのことをね、忘れてたんだって。

だから、友達になってくれて、うれしいって……わたしも、とっても嬉しかったの。

……驚きですね。精霊というのはもっと気難しい連中だと思ってましたが。

んっと、ええっと。春の精霊さんは、とっても優しいんです。

だから、プリムラとも……お友達に、なってくれたんです。

変な精霊ですねえ。じつに珍しい。

へえ、そんなもんなの?

普通の精霊は、人間なんか気にしません。人間が精霊を気にしないように。

珍しい人間と、珍しい精霊が、たまさか出会った……そういうことでしょうかね?



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story4 鬼二人



それにしても、アンタが人間に協力するなんて、意外だわね。

協力なんかしてませんよ。たまたま行く先が同じなだけです。

どーだどーだかのう。このものは意地が悪いからのう。

きっとそこな少女の心を試しているつもりなのじゃ。チョー性格の悪い鬼よの。

……その声は、我が宿敵ですか。

然りじゃシュラ殿。鬼おっはーなのじゃ。

これはこれはキサラギ殿また変な歌でも作ってるんですか?

シュラ殿こそ、誰も欲しくないお土産を買いにいかないでいいのかのう?

私はヒマじゃないんですよ。アナタと違って。

はーん。お偉方に疎まれてヒマを申し渡されたのはどこの誰じゃったかのう?

二人って知り合いだったのね?

不本意ながらその通りです。

シュラは幼いころ、我が家に仕えておったのじゃ。それ以来の腐れ縁じゃよ。

つまり私はこいつの毒舌を年中聞かされていたわけです。お察しください。

それに、仕えていたのは元服する前ですからね!

それはそうとキサラギ、アンタこの島で何してるの?

花を愛でながら一首と思って参上したが、この有様。いとムカ着火地獄での。

腹いせにこの無残の元凶を探っておったのじゃが、もしやおぬしらも?

えっとえっと……わたしたちも、です。

何かご存じでしたら、教えてください。キサラギさん。

よかろう。おぬしらも感じておるかの? この異様なソウルを。

飛行島が飛び立って以来、このようなソウルを世界中で感じるのじゃが……のう。

それってまさか……!

<闇>が……この島に……!

ふむ。おぬしら、あれを……そのように呼んでおったか。

急ぐがよい。いまのおぬし達であれば、<闇>を祓えるはずじゃ



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story5 春を蝕む影



しかし……飛行島を動かせたり、闇を祓う力をもっていたり、

普段は呑気なのに、あなた方もいい加減得体がしれませんね。

そうかしらね? あんまり考えたことなかったけど。

おにいさん、お花さんを助けてあげて。

大丈夫よ。主人公ならやってくれるわ。

<その時、森の奥に広がる黒がりが、じわりと轟いた。>

これって……!

おやおや、どうにもイヤな気配ですねぇ。

己と異なるものへの、強い恐れと憎悪……といったところでしょうか?

<一行の周囲を、黒い靄(もや)が渦巻きはじめる……

靄は次第に濃くなり、光を飲み込んでいく……!>

<闇>……!

<主人公は剣を構える。>

これが、<闇>……なの?

間違いないわね……!

おねがい……おねがい、お花さんを、いじめないで!

あれにそんなことをいっても無駄です。

おそらくあれは……この世の理を外れたもの。

存在するだけで、この世を損なってしまう……

(なるほど、こいつは私の知るいかなる<鬼>とも違う。

こんなものが、世界中に溢れようとしているとは……)

アイリス、いける!?

大丈夫。でも、その前に……!

……一仕事、ですか。

……がんばる。プリムラがんばる!


<闇の中より、魔物が現れる!>



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最終話 遅れて来た春


<*×○■!&%$…………>


<アイリスの詠唱が、森の中に響いていく。

周囲に明るい光の粒子がきらめき……気づけば、闇の気配は消え去った。>


これで花たちも助かるでしょう。今年咲くのは無理かもしれませんがね……

……よかった。でも、お花さんが見れなくて、ちょっと寂しい……

<その時、プリムラの体を桃色の光が包み込む……>

あっ! 春の精霊さん……?

<少女は手を広げた。小さな手の中に<春風のルーン>が現れる。>

! 精霊が、自分の意志で、力を貸そうというのですか……

<ルーンは、温かい光を放った。光は瞬く間に、小さな島を包み込む。>

あっ……お花が!

つぼみが膨らんでる……花が咲き始めたわ!

きれい……

お花さん……、お花さんたち……よかった……


「どういうこと、いやーな気配が消えたとおもったら……花が咲くなんて。」


あっ……! あっ……!

せん……ぱい…… !

えっ? プリムラじゃない。どうしたの、こんなとこで。あんたもフィールドワーク?

せんぱい! せんぱい!……せんぱいっ……

ど、どうして泣いてるのよ。泣き虫ねえ……


…………

……


プリムラちゃん! お友達みーんな連れてきたよ!

コヨミちゃん……ありがとう……

みんなで、お花見しようね!

こうやってみんなでお花見できるなんて、思わなかったわね。

よーし、カニカマもってこーい!

キャトラ、あんまり羽目をはずしちゃダメよ?

あっ……シュラさん……?

<蒼い鬼は、桜の木の下で、にぎわう人々を見つめていた。>


<闇>の存在。精霊の声を聞く少女……そして<闇>にあらがうものたち。

鬼ヶ島の仲間たちに、いい土産話ができましたね……






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