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【白猫】Brave The Lion 3 Story

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――ここか?

ああ。

<――合成研究の島・エキドナでの闘いを経たダグラスは――

オズマの指示により、バイパーと共に、すぐにとある島を訪れていた。

その島とは……>

瘴気に冒された島、エデン……

瘴気に……?

しばらくの間、ここで暮らしていてくれ。

そりゃあ構わねえが……あんた、平気なのか? バイパー?

全然平気じゃない。すぐに帰る。

だが、お前には都合がいいだろう?

……姉ちゃんは?

森の孤児院だ。……いまは、お前とは一緒にいない方がいい。

あんたらがそう判断したんなら何か意味があるんだろうけどよ……

もう少し説明しちゃくれねえのか?

なんだ、聞きたかったのか。

そりゃそうだろ?

質問されてなかった気がしたもんでな。

……だっけか?

エキドナ……あの島は、目をつけられている。

ああ?

だからだ。

それだけじゃ……

悪いな。そろそろ行かねば、瘴気がこの身を蝕む。

おい! 待てって!

あまり考え込むな。

はあ?

ここはリゾート地だ。お前だけにとっては、だが。

しばらく羽根を休めてろ。

ちっ……! 行っちまいやがった……

……まあ、いいか。

たしかに、こんだけ大量の瘴気がありゃあ、当分は困らね――

――!? どこで寝泊まりしろってんだ!?


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story2



……ん~……

紅茶です。どうぞ。

おう。

……アチィ! ジョニーこの野郎、カップの持ち手が熱いってどういう滝れ方だぁ!?

えぇ? そんなはずは…………ほら、別に熱くないですよ?

おめぇ、このオレ様が悩んでると思ってただろ?

はあ、そりゃあ。ディルムンに一枚噛まないなんて、らしくないと思いましたし。

どこがだよ。妥当な判断だぜ?

法王としてはね。でも、その気になればいくらでも介入出来るでしょう?

おめえはイマイチわかってねえな。レディ・キラーも、かけひきの一つなんだよ。

……その呼び名、使つてるの一人だけですよ。

ならおめえもそう呼べ。

なんか恥ずかしくて……

この野郎! 上司のネーミングセンスにケチつけやがる気か!?

そこはいいかなって。

まあな。そこはいい。名前なんざ、ハッタリになりゃそれで十分だ。

なってないから異を唱えているんですけど……

戦争はまあ、振り出しに戻る形で終わるだろうなあ。

連邦も帝国もそれなりに疲弊する。そのタイミングで……奴らは何を仕掛けてくると思う?

国力が弱った隙を突いて、一気にどっちかに侵攻してくる……とか?

そんならたいしたこたぁねぇ。

ありますよ~。

……お、丁度よく冷めてきたか。

最初から適温でお出ししました。

熱もねーのに熱いと叫ぶ……<闇>の連中、お得意の手だろ?

敵の思考を想像するのは大事なことだぜ。

上司の思考すら全く読めないんで……

オイオイ、頼りねえなぁ……オレらが何に喧嘩売ってると思ってんだよ?

相手はとんでもなく年上なんだぜ。差を縮める努力をしねぇとなぁ……



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story3



カティアさま、お茶を滝れました。

…………

……カティアさま?

え? ああ、お茶ね。ありがと。

何か……悩み事ですか? 最近、ぼーっとされてることが多いようですが……

……ミレイユ。聞き捨てならないわね。この天才がぼーっとしてるですって?

天地がひっくり返ろうと、そんなことがあるわけ――

カティア様!

むっきぃいいいー! なによ!

お、お客様です。

通しなさい!

……どうしたの?

なんでもないんだけど……

――あら? アンタは……?

ルーグだ。初めまして。

ルーグね。ここのこと、誰に聞いたの?

退魔士のメアに。いや、元、だったか。

ふぅん? メアと知り合いなのね。

メアには以前、俺の腕の呪いのことで相談したことがある。

そのときからの知り合いだ。以来、幾度か討伐を共にしたこともある。

なんだかバカ丁寧な説明ねえ……

よく言われる。お前は馬鹿正直だな、と。

……正直、いいと思います。ルーグさんのまとってる雰囲気、なんだか透明な気がします。

ありがとう。子供は好きだ。好きな相手に好かれるのは嬉しい。

……っ!? エイン……!?

お兄ちゃん、どうしたの!?

……エインが…………何かを感じている……?

……そうか。ぼくも同じなんだな。

(ぼ、ぼく!?)

俺の腕は、<荒ぶる神>の禁呪に侵されている。

鍛錬により抑えているが、完全に制御しているわけでもない。

……この腕に<何者か>が宿っている、と言うこともできる。

……それで……!

……アンタのことはわかったわ。それで、ルーグ。私に何の用なの?

共に来てくれ。

はぁ!?

そう伝えるよう言われた。

わかんないわよ! 順を追って話しなさい!

時間をもらうが、いいのか?

いいわよ! そんな端的な説明じゃ判断のしようもないでしょ!

そうなのか。時間の節約になると思い、単刀直入に言ったのだが。

この場合、そうではなくて順序立てるべきだったのだな。失敗した。

(この人……本当にすごく正直だ……!)

……はあ。じゃあ、座んなさい。ちょうどお茶にするとこだったの。

うまそうだ。



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…………

…………

弟よ。

なんだ、姉貴?

<志>について、考えたことはあるか。

そりゃな。日に十回は言われてんだ。

足りん。今日から百度は語ることにしよう。

それだけで一日が終わりそうだ。

それもよかろう。雌伏の時とは、思索を巡らす時期なのだから。

考えるときに、考える。動くときは、迷いなく動く。そういうものだ。

……で?

志には後継者が必要だ。正義の灯は、絶やすべきではないのだから。

で?

我々は、救われた。

法王様に拾われ、こうして職を得た。家を得た。

…………それで?

しかし、それで生涯を――

――終えるつもりか!? 弟よ!!!???

……ハァ……

…………

……そんなつもりはねえよ……

ただ……

ただ?

俺はもう、チンケなスリに戻りたくはねえんだよ。

……なるほど、つまりはそれが――

このひもじさの原因か……

…………

弟よ! 志を高く持て! 空腹など、なにあらん!

姉貴、俺は気づいたぜ! なんか小難しいこと言って、タダ暇つぶししてるだけだな!?

ええい! この姉に向かって! 言葉に気をつけろ、弟よ!

――

!! ペンタ様!

<竜守り>の人間たちよ。我ら竜族の恩人より、要請があった。

ボクの供をする者はいないか。

は! 我ら姉弟が参りましょう!

……え? みんなで相談は……しないのか?

我々が適任です!

我らも同じく、あの方には大恩のある身。ぜひともご一緒させてください!

ああ……うん……ゴホン!

ならば!汝らは、 ケイよ、ショウよ!このペンタと出立せよ!

残りの者には、<竜の里・イーラビーダ>の守護を頼むぞ!

はい! そのように伝えます!

では……明朝、発つ!


急に来たな、姉貴……!

こんなものよ……! 動くぞ、弟よ……!



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――久しぶりね、ユーリエ。話はもう耳に入ってるかしら?

坊主に言っといてもらえるかの。紙切れ一枚で年寄りに命令とは、何様のつもりじゃ。

法王様でしょ?

人間が作った位じゃろ? それでデカイツラされてものー。

そんなに頭ごなしに命令してきたの?

うんにや。丁寧なもんじゃった。言動はチャラいが、あやつは礼儀もしっかりしとるな。

ならいいじゃない。

それに何より、あやつは金の約束を、決して違わぬからのう……♪

……そ。


……この国に、奴の気配が?

ないとは言えんなぁ……何しろ、聞いたじゃろ? 例のお題目を?

ええ……!

……馬鹿にしてるわ……っ!

おぬしが怒るのも無理はない、全ての孤児の救済など、どの口が、じゃ……

……あなたにも声がかかったということは、人魚も……?

ほんに、どうしようもない同族じゃ。

なんでもアリならなんでも出来るが……

やってはならんこともある。


…………

……


いつまでこんなところにいるつもり?

私めなどにはここが似合いでございます。

休暇はもう十分でしょ?

私めは実らせることがないのです。

どれほど養分を吸い、水を飲もうとも、決して花開くことはありません。

手前などには、水すら贅沢なのでございます。

……あなた、少しは意味のある会話をしようとは思わないの?

私が来たということは、そういうことなのだけど?

お慈悲は大変嬉しく思います。ですが馬がないのです。

手前一人では無力なのです。跨らせて欲しいのです。蒼褪めた馬に。

さもなくば働けませぬ。

……はぁ……

くくく……変わらねえなあ、おめぇは……

おお……! ボス……! ボスではないですか!

わざとらしい。最初から気づいてたクセに。

ボスがいるなら馬はいらぬ。いや、ボスが馬なのか?

乗せるのは無理だが、ニンジンならくれてやれるぜ?

なるほど、では代わりにオレが走ろう。

大方、ディルムンの余波だな? 帝国と連邦の膠着状態を突き、<闇>が縄張りを広げたか?

お、いいね~。

……よくわかるわね。

耳を澄ませばその程度。

さあボス、命じてくれ。楽しい時間は長くはない。

どこへでも混じってみせよう。オレは由緒正しい――

――<黒の民>だからな――



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……驚いたな。

私も、経過を観察しながら自分の目を疑う思いだったわ。

ダグラス一人いれば、世界は平和になるんじゃないか?

瘴気問題だけの話でしょ。

おう、今日は二人そろって、どうした?

ダグラス。この島に来て、どのくらいになる?

一年くらいだな。あんたらも知ってるだろ?

まさかその間に、島の瘴気をあらかた吸い尽くすとはな……

ま、そんな広さでもねえし。十分な時間だったけどよ。

島の住民には会ったか?

……ああ。人間はみんな、地下に避難してたんだな。

代わりにアンドロイドが瘴気を取り除いてたけどよ……だいぶ、手間取ってた。

感謝されたろ?

ま、な。つっても、オレにとっちゃ、呼吸してただけのようなモンだが……

……住民に聞いて、わかったぜ。オレをどうしてこの島に連れてきたかがな。

……そう。

緑豊かだったかつてのエデン……<闇>を手引きし、島を滅茶苦茶にしたのが――

――あの、ルエルなんだな?

当時は島の領主の娘として、名前も違ったようだがな。

因縁を感じるねえ……

ダグラス。あなたを利用した形になったことは謝るけど――

構わねえよ。どっちみち、オレの体には多少の瘴気が必要なんだ。

それが人の役にも立つなら、何も言うことはねえさ。

次のミッションに移る。……いいな?

ルエルを討つんだな?

そこにいればな。

……そこ? って、どこだ?

ほらよ。新聞、ってヤツか。どれどれ?

探すまでもないわ、一面よ。……一面だって言ってるでしょ。裏っ返さない!

おっとっと……ん?なんだこれ……?

姉ちゃん……!?


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――どういうことなんだよ!?

俺は退魔士は辞めたが、戦士は辞めていない。

ああ!?

真実は、戦い抜いた先にしか見えては来ない。

そうね。自分の目で見て、そして判断するしかない。全ての物事は。

……そうだな。

あんたたちはどうするんだ?

お前を運び、サポートする。相手は、<国>だ。

オレ一人で戦えってのか? そりゃちょっと、<できちまわねぇ>ぜ?

いいえ。ちゃんと他にもメンバーはいるわ。

今回は、大規模な作戦行動になる……連携が必要なの。

……てぇことは……!

ええ。飛行島にも協力を頼んでいる。

それに……あなたがまだ、会ったことのない仲間にも、ね。

――へっ……! 頼もしいね……!

まだ人間には、劣勢だという自覚がない。

ん?

だが、敵が攻勢に乗り出してきたときこそ、間隙が生じる。

藪に潜む蛇は、その一瞬を見逃さず――

穿つ!……ふふふ……♪ ってね♪

セラ……その通りだ。

……オーケイ。頼りにしてるぜ。

乗り込もうじゃねえか、その島――<ヒストリア>に――!




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あら? アンタは?

正式には初めてでしたね。私はジョニー。オズマ様の部下です。

オズマさん……?

あのチョビヒゲったら、いっちょまえに部下なんかいたのねぇ。

ハハハ。ですよね。チョビヒゲのくせしてねぇ。

あっ! いいの!? そんなこと言って、上司でしょ!?

一つ、お願いがあるのですが。

あーっ! 話を逸らしたわねー!

皆様のお力を、賃して頂きたいのです。


…………

……



「……ここは……? ……俺……は……?」

『…………』

「なんだ……? なにをくわえて――

――この、女は……!?

…………!」


「――裏切り者め――!」




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