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【白猫】とらぶるトラベラー Story3

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最終更新者:にゃん


目次


Story13 メガネが!!

Story14 トラップマスター

Story15 準備の時間

Story16 カウントダウン

Story17 ブレイクダウン

最終話 家に帰るまでが探検





登場人物


古美術商を営む探検家フィオナ・オルブライト
コーネル探偵社リリー・コーネル
トレジャーハンターソアラ・パノス
神鳥ベズトリフェニル
考古学者ドーリー・アームストロング



story13 メガネが!!


やったぁぁぁぁぁ! 起動したぁぁぁぁっ私の勝ちだあぁぁぁ!

動いたけど……これは……

さ、さ、寒いですっ!

冬将軍到来というやつですな!

ここ南国ですよ!

あぶないっ!

 ――

だいじょぶですか?

え、ええ……

なんかこっち狙ってます!

いやったぁぁぁっ! どうだ! 見たか!! 動いたぞ、こんにゃろめぇぇぇ!

お、落ち着いてください!

メガネをぬすんだ!

前が見えない! 私の魔神像はどこ!!

(あれは私のです)

所有権を主張しあう前に離れたほうがよいかと。

と、とにかく逃げましょう!

――

はっや……しかも、飼い主置いてったわね

あたしらもベズトっさんを追いかけましょーぞ!

私のメガネ返してー!



なんか追いかけてきてます!

思いのほか健脚ですな。

もっと速く走らないと、追いつかれます!

こっちよ。

ここの講を見て。手で押すと…

取っ手が出てきました!

これを手前に引くと、こうして水が出てくるわ。

地下にたまる雨水がどこに行くか不思議だったの。思ったとおりトラップに活用されてたわね。

ものすごい水音が聞こえるんですけど? あと、いい加減、メガネ返してください。

頭の上にありますぜ!

いつの間に……

神像も水に押されて、歩く速度が遅くなってるわ。さあ、このスキに行きましょう!

あの、ひとつ、いいでしょうか?

なにかしら?

このままだと私たちも溺れてしまうと思います!

……そうね。

そうねじゃないですよ! どうするんですかっ!?

そ、そろそろ、足がつかなくなってきました!

(ソアラよ、ぬすっとソアラよ。聞こえますか?)

(はい、聞こえます。そろそろ溺れてこの声も聞こえなくなるかもしれませんが……)

(って、本当に沈んでるじゃないですか! 少しはあがいてくださいよ)

(スーッ……)

(薄くなってはいけません! ちょうど流木を持ってきました。この大きさなら、浮き輪代わりになるでしょう)

溺れる者は丸太をつかむとも言いますからな。

それを言うならワラでしよ。

今はワラえない状況ですがな。でも、これで溺れることは……

今度は天井がもうすぐそこです!

出口、出口! 出口を探すわよ!!

あたしの健脚は水陸両用ですぞ!! バタ足、バタ足、バタ足ぃ!

みんなで泳ぎましょう!!

あのレバーは……

みんな、あのレバーの元まで近づいて!

すいすいすいすいすい!

もう少しで……届きそうです!

動かして!

 ――

なに? なに? なに? なに? なに? この音!

水の排出システムね。トラップには解除用の機構もあるの。この振動から察するに一気に上層まで押し出すタイプね。

さすがの私も、このシステムは初めて……

嫌な予感しかしない!!



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story14 トラップマスター



ぎょえー!

<水に押し流されるまま、四人のつかまった丸太が地上へと飛び出した。>

い、いい加減、水の量も限界が来たみたいね……

私の三半規管はもう限界……

し、死ぬかと思った…

怖かったです……

おや、ベズトっさんは……

(ゴボゴボガボガボ……)

 ――

(ぜえ、ぜえ、ぜえ……死ぬかと思った……)

結局、魔神像は?

水のなかで動きは鈍ると思うけど、簡単には壊れないと思う。

(あれは危険なものです。ソアラよ、破壊するのです)

壊すのですか? せっかく直したものを?

結論を出すのは少し待って。ドーリー、あなたはどう思う?

……残念ですが、このままにしておけません。破壊すべきだと思います。

あなたも考古学者なら、魔神像の学術的価値がわかってるはずよ。

それに、動いた時は、あれだけ喜んでいたでしょう?

ええ、嬉しかったですよ。でも、だからって、アレをどうにかできると思いますか?

私は思いません。今は起動してしまったことに後悔しかありませんよ。

…………

 ――

気をつけてください! 足元が崩れますぞ!


『――』


ここまでの階層を全部、壊してきたっていうこと?

また私たちを狙ってます!!

みんな伏せて!!


<伏せた一同の上を巨大な刃が飛んでいく。>


罠を使って倒す気ですか!?

この程度の罠じゃあ、破壊できない。せいぜい足止めが限界……

でも、近づいて起動システムだけ破壊でされば、止まるかもしれない。

なに甘いこと言ってるんですか!? 倒さないと、みんな死んじゃうかもしれないんですよ!

私が諦めたら人類の歴史と遺産が失われる。それだけはできない。

……一人でやるわ。あなたたちは逃げて。

わかりました!

よくわかんないんですけど、フィオナさんのお手伝いをします! 遺跡探偵リリーにお任せです!

(ソアラよ、ここは危険です。帰りましょう)

なにも盗まずしてぬすっととは言えんでおまー!

フィオナさん、あたしもお手伝いしますぜ!

ちょっと、あなたたち……

……ありがとう。

罠を使って動きを止めるわ。その隙に近づいて、止められるか試してみる!



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story15 準備の時間



ぜんぜん効いてません!

スキあり!!


<盗賊のナイフをぬすんだ!>


成功したんですか!?

まあ、ただのナイフなんですが、あたしが持つことで盗賊のナイフになるかと。

本当に、あんた、なにやってんの!?

…………

どないでっか?

ダメ。魔術システムヘの干渉を受け付けない。

(止めるには、もう物理的な破壊しか……)

このままじゃあ遺跡が……



!!!

幻獣様……?

リリー、ソアラ! アンタたち、こんなところでなにしてんの?

アイリスさん! みなさんこそ、どうしてここに?

詳しい話は後です! 魔幻獣を止めないと!

魔幻獣?

あのなんか動いているでっかいのよ!

ぎにゃー! さむいっ!

これは、罠!? 神像に反応したの!?

天井が崩れてきます!

逃げないとぉぉ!!



…………

……



部屋が崩れたおかげで、少しは時間稼ぎができたみたいですね。

さっき魔幻獣とかそんなことを言ってましたよね? それってなんですか?

黒の王国時代に作られた兵器です。おそらく、あれはそのうちのーつだと思う。

兵器ってあぶないものですよね! 動かしたらダメなやつじゃないですか!

とはいえ、もう動いてますからなー。

…………

まだ迷ってるようですね。フィオナさん……

たしかにフィオナさんのおっしゃるとおり、魔神像を破壊したら、過去の情報は失われてしまいます。

でも、私、考古学者として思うんですけどこの遺跡からだって、いろいろな情報が得られるはずです。

なのに、見てください。魔神像は、この遺跡を破壊し、過去の情報を壊しています。

今、こうして悩んでる間にも過去の情報は刻ー刻と失われていってるんです!

…………

このままだと全てを失ってしまいます。あの神像とこの遺跡を発掘した者として、正しい判断をしなければなりません。

さあ、決断の時ですよ。フィオナ・オルブライトさん。

……わかりました。被害を最小限に食い止めましょう。

でも、どうするんですか? あんな大きいもの、私たちだけだと勝てないですよ。

……いえ、ーつだけ方法があるわ。あの大砲よ。

入り口近くにあったやつですね!

さっきの天井が崩れてくるトラップ。あれは神像に反応した。

これは推測でしかないんだけど、あの砲は侵入者迎撃用の武器じゃなく、神像が外に出るのを防ぐためのものだったんじゃないかしら?

たしかに、それならあの大きさにも納得ですね。

急ぎましょう。神像が出てくる前に準備を終えないと……




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story16 カウントダウン



<↓●……>(オピフェクス ジュペール)

回路がここで切れてる。だから、あの時、起動が止まったのね。


『――』


!!


準備のほうは!?

もう少し時間がいる!


(ソアラよ、やりましょう。ここまできたら、あの神像を破壊しせめてその欠片だけでもちょうだいしましょう)


<屠神剣イシュ・ペテカをぬすんだ!>


ベズトっさん、これはなんですか?

(ぐごー、すぴー)

『――』

(ぎゃあああっ! 尻尾が凍りました!!)

ベズトっさん、ぬすっとじゃあ、勝てませんぜ。もうー度、あたしを勇者に戻してくんろ!

(しかたがありません)

やっぴょんぴょーん!

いっちょやったりまんがなー!

ソアラさん、その剣、置いてきましたね。

(あなたが使ってください)

大丈夫です! ダウジングがあるので! いろいろ見つけますよ! 弱点とか!

アタシたちも行くわよ!

ああ、もう! フィオナさん、頼みましたよ!


『――』

ぎにゃー! なんか飛ばしてきた!

これ、リンツ島の魔幻獣も……

魔物です!

なんぼのもんじゃーい! 勇者ソアラがやったりますぞー! 青田刈りじゃー!!

遺跡探偵リリーもいきます! 刈ったります!!

ちょりゃあああっ!

<ソアラの剣が弾かれた!?>

さっぱりですな。

見えない壁のようなものがあるんでしょうか?


『――』


さ、寒いです!

いったん、引きましょうぞ!

<どうすれば――>

このままじゃあ、ジリ貧ですね……あの大砲はまだですか?


この穴の奥で、アレがひっかかって……取れない……

(お困りのようですね)

そうね。なにか棒のようなものがあれば……

それ、貸してもらえるかしら?

(世の中にはレンタル料という概念があります。恩寵もタダではないのです)

そうね。盗掘を見逃す義理もないわね。

(ぐごー、すぴー)

借りるわよ。


よし、取れた! これで――

みんな! 射線から出て!!


<魔幻獣に攻撃が通った!?>


たたみかけましょーぞ!

行きます!!




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story



トドメですぞー!

――

ほげー! ぜんぜんトドまらーん!

壊れたところが直っていきます! ど、どうしましょう!!

フィオナさん! 大砲! あの大砲、もうー回使えないの!?

エネルギーの再充填には時間がかかるわね。

…………

この剣なら神像の装甲を貫ける。

あ! その剣で、切ったりくっつけたりしてました!

(だけど、本当にいいの? 壊せば、過去の情報が失われるかもしれない)

…………

覚悟があるのなら、思うようにやればいいと思います。

覚悟……?

あなたの選択の結果を受け入れる決意です。後悔も予想外も喪失も含めて……

あなたの決定に覚悟があるなら私はそれでいいと思います。

……そうね。

<\!□◆○?!……>(アウト イニミクス インフェニアム アウト ファティアム)



<フィオナの持つ剣が光を帯びる――>


はああああっ!



<フィオナが持つ光の剣が動力源を刺し穿つ――>

神像が!

<光となって砕け散った――>


はあ、はあ、はあ……

終わったの?

なんか赤くなってます!

まずい! 爆発する!! 逃げないと!

ぎにゃー!


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最終話 家に帰るまでが探検



遺跡が……

見事に崩れましたなー。

…………

大丈夫ですか?

……結局、全て失われてしまった。

まだ残ってます!!

遺跡を掘り返せば。いいんです。全部壊れたわけじゃないと思います!

……あなた、やっぱり探検家に向いてるわ。そうね、探検はまだ終わりじゃない。

発掘して研究しなおしね。ねえ、そうでしょう? ドーリー。

興味深いのですが、私は手を引きますよ。

ロイド博士にできなかったことをできた。それだけで私の目的は達成されてます。

アンタ、ロイドのこと知ってるの?

ええ、知ってますよ。博士が亡くなったことも。今回の調査は彼への手向けの意味もあったんです。

あなたたちは、アレを破壊するために世界中を回ってるんですか?

そうよ。でも、なかなか情報がなくて……

ドーリーさん、どうして笑ってるんですか?

いえ、なんの得にもならないことをただの善意だけで行ってる人がいる。それがすばらしいなと思いまして。

託されたから……

いろいろあったのよ。だから、アタシたちがやらなきゃいけないことなの。

そうですか。できることがあれば、なんでも相談してください。

ロイド博士ほどではないにせよ、私も考古学の知識はありますので。

(ソアラよ、さあ帰りましょう。早くに。今すぐにでも。飛ぶ鳥、後を濁さずです)

それはかまいませんが、その光ってるものはなんですか?

(ごがー、すぴー)

スキありっす!


<古代のメダルをぬすんだ!>


それは……

金ぴかのメダルです!

ベズトっさん、これはなんですかな?

(ひゅー、ひゅー)

ジー……

(誤解です)

ジー……

(私は遺跡が崩壊することを先読みし、少しでも古代の研究が進むであろうものを持ち出しただけです。

最初から、フィオナに渡すつもりでした。これが神鳥からの恩寵です)

そういうことなら責任をもって管理するわ。


いろいろありましたけど、これにてー件落着ですね!

遺跡探偵に解けない謎はないんです!ドヤドヤ♪

言うほど謎は解いてないですけどね。

大丈夫です! 普通は、それほど事件って起きないものです。でも、今回起きました!

結果、探偵の勝利です!

もうそれでいいです……



 こうして新たな魔幻獣は破壊された。






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エピローグ


「姫様! おお、やっと……やっとお目覚めに……爺は心配しましたぞ!」

「……あなたは?」

「まさか私をお忘れですか? グラハムです。姫様の近衛隊長グラハム・オウガスタです!」

「頭が……」

「大丈夫ですか!? あまり無理はなさらず……」

「…………」

「姫様?」

「……な……も、お……い……ない。」

「?」

「なにも思い出せない。

……私は? ここは……?」

「…………

辛いことがありましたからな。全てを忘れたくなるのは、無理もございません。

ゆっくり……ゆっくりと思い出していきましょう。」

「…………」

「なに、安心なさってください。ガリウスの護剣の名にかけて、姫様のことはワシがお守りいたします。

「…………

……ありがとう、ございます。」




とらぶるトラベラー -END-



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――これは世界の終わりを紡ぐ物語――
EP1 蒼き炎のテンペスト
序章前編中編後編
2018
03/29
EP2 とらぶるトラベラー
序章前編中編後編
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序章前編中編後編
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EP4 カオスエンブリオ
序章
06/28
EP5 WORLD END
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