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【白猫】とらぶるトラベラー Story 中編

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最終更新者:にゃん


目次


Story8 ハイテンション!

Story9 一人寝りに寝る

Story10 残されたもの

Story11 しゅうりんぐ

Story12 起動したぜい!



登場人物


古美術商を営む探検家
フィオナ・オルブライト
コーネル探偵社
リリー・コーネル
勇者
ソアラ・パノス
神鳥
ベズトリフェニル
考古学者
ドーリー・アームストロング



story8 ハイテンション!



本当にどうしてこんな目に……

これが……ぜえ、ぜえ……遺跡探索の醍醐味……はあ、はあ、はあ……

おや? あそこに大きな扉がありますな。

開けてみましょう!

ちょっとワナ! ワナ気をつけてワナ!

お断りワナー!

ワナワナワナー♪


!!



あったぁぁぁぁいやっふぅぅぅっ!

テンションたっけ……

そりゃあテンションもあがりますよ!! いやったああああああっ! これで私の勝ちだあああっ!

おっきい像ですね。これ、壊れてるんですか?

ロイド博士の論文では、そう書かれてましたね。

それと起動には鍵が必要だとも……

カギ? 像にカギって必要なんですか?

動くそうなので。

はあ、はあ、はあ……動く巨像。古代の神秘。未開の叡智……はあ、これだから探検はやめられない。

これ、みんなで……直して動かしましょうひゅう、ひゅう……!

いい加減、呼吸整えてくださいよ。

三半規管、弱いから……

問題はそこじゃない。

ドーリーさん、これ直すにしても材料とか道具とかどうするんですか?

……そのためのフィオナさんよ。

あなたの持っている剣。それこそ黒の王国時代に作られた多目的工具!

工具なの、これ。知らなかった。

あなたを呼んだのは、この魔神像の修理に、その剣が必要だったからです。

では、私を呼んだ理由は!?

え? いえ、その作業員として筋肉探偵に頼もうと思って……

任せてください! 私にも人並みに筋肉があります! 腹筋と背筋、二十回くらいならできます!

そうね、期待はしませんけどお願いします。

ドヤァ……

ならば! あたしが呼ばれた理由とは!?

いや、あなた呼んでないから!

ズガーン! そりゃないっす! ー緒にやってきた仲じゃないっすか!ないっす!

あたしにも存在理由をくれろー!なんでもいいんで!おねげえしまっす!しまっす!

じゃあ、いろいろ調べたり運んだりしてもらうため?

(ドーリーよ、私が呼ばれた理由は……)

(ブロックブロックブロック……)

(対応……が……手……厳し……い……)



調査開始よ。

これが遺跡探偵です!

ベストっさん、一人でなにを?

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story9 一人寝りに寝る



なんか見つけました!

なにそれ。

マリモです!

こんなところにマリモ……どうやって生き残ったのかしら? 興味深い……

あたしも見つけましたぞ!!

え? 寿司桶?

つい最近作られたものね。いったい誰が、こんなところで寿司を食べたのかしら?

これは事件です!

誰が、この遺跡でお寿司を食べたのか? いわゆるフーダニットです!

…………

犯人がわかりました! お寿司好きの人です!!

こんな場所でお寿司を食べるなんて相当のお寿司好きです! お寿司しか食べないくらいの!

そうね。でも、そういうことじゃなくて……

おや、裏に名前が書いてありますぞ。スパイシー・トヨスニーテン(旧姓ツキジ)?

そのスパイシーさんが犯人です!!

少し役に立つもの、持つてきてくれないでしょうか?

ドヤァ……

マリモは役に立ってないから!

フフッ……なら、真打登場ね。

フィオナさん、なにか手がかりを!?

……落語の噺家の真打でもスベることがある。例えば、マクラがつまらないとか。

つまりそういうことよ。

どういうことよ?

なにも見つけられなかったってことでしょうな。

ごめんなさい。だって行く先々で神島がなにやらガサゴソと……

(すぴー、ごがー……)

狸寝入りは後ろめたさの証拠! ここで素直にブツを出せば、お縄を頂戴しませんぜ!

よくわかんないんですが、トリさんなにか見つけたんですか?

(すぴー、すぴー。ムニャムニャ、もう食べられないよ……)

念話で寝言なんざ、胡散臭くて限界ですぜ! はよ、起きなはれ!

(……ソアラよ。どうして私の体をまさぐるのですか!?)

盗むのはぬすっとの仕事でんがなー!

(ちょっと待って! 羽根が!)

これは……

(金になりそうなもの。もとい、役に立ちそうなものを持ってきました)

ペズトっさん、ごまかしきれてませんな。

その本、古代文字ね。

どうやら魔神像の封印と解放の方法が書かれてるみたいですね。

封印……解放……?

ー部の回路を断線……そこの補修……

このカギが起動用の……文字が読めない……

でも、これを参考にすれば、直せるかもしれません。

物理的な損壊じゃなくて、魔術的にシステムがエラーを起こしてるみたいですね。

やったじゃないですか! トリさんの大手柄です。

(これでも恩寵と導きを司る神鳥ですので)

まあ、盗掘しようとしてた件は、これで見逃してあげます。

(ごがー、すぴー……)

都合が悪くなると寝るのね。




まだまだ調べましょう。

まだまだ遺跡探偵です!

ベストっさん、起きなはれ。

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story10 残されたもの



<一方そのころ――>


やっほー、エマ。

こんにちは、エマさん。

zみなさん、どうしたんですか?

実は困ってるのよ!

魔幻獣を探してるんだけど、情報がなくて……

それでロイドの家に情報が残ってないかと思って、来てみたの。

おじさんの家ですか……

勝手に家に入るわけにもいかないし親戚のエマに許可がほしくて。

そうそういうことであればかまいませんよ。


…………

……


綺麗なままなのね。

時々、掃除しに来てますから。

この辺りの本、見てもいいですか?

はい、どうぞ。私も手伝いますね。


なにか見つけたの!?

ロイドさんの研究レポート……のメモ書き?



文献によるとカラカス島にはガラカス島には魔神像と呼ばれる古代の巨大な像が封印されているらしい。

だが、多くの蛇に行く手を遮られ諦めざるをえなかった。


古文書<異端神礼写本>(いたん しんれい しゃほん)によるとカラカス島の魔神像は一部を破壊され、起動できない状態だと書かれていた。

起動……この単語が私にはどうしても引っかかる。

封じられた魔神像。これこそ四魔幻獣のうちの一つではないだろうか?


推測の域は出ない。次に調べに行く時は、獣に対し感応能力のある私の姪を連れていこう。



ガラカス島の魔神像……あやしいのが出てきたわね!

今のところ手がかりはこれだけかしら?

目につく本はざっと見てみたけど、正直なところ難しすぎて……

主人公、このカラカス島に行ってみよう。

私もー緒に行っていいですか?

それは助かります。でも、本当にいいんですか?

はい、私としても四魔幻獣というものを知る必要があります。

幻獣様の巫観として。

わかったわ。じゃあ、みんなで行きましょう!



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story11 しゅうりんぐ



フィオナさんが、神像のてっぺんに……

フィオナさんの剣は、なんでもできるんですなー。

汎用多目的作業用刀剣に不可能はないわー。

この調子なら、神像も修理できそうですね。

(ちわっすソアラっすー。なんか用っすか?)

(まだなにも言ってません。ですが用はあります。ソアラよ、この像なんですけど、どうにも嫌な感じがします。

あの神像からは凶兆を感じます。ソアラよ、調べるのです。それがあなたの使命です)

(借金は減らず、使命ばかり増えていさますな)

(あなたも口は減りませんね)

(今は喋っておりませんが?)

さっきからトリさんと黙って見つめあってどうしたんですか?

にらめっこですね! 私、得意です! にらめっこしましょ♪ あっぷっぷ♪

あっはっは! トリさん、面白い顔ですね!

(なにもしてないんですが……)

(現実ってのは厳しいもんですな)

それよりもリリーさん、ベストっさんが言うにはこの神像からキョウチョウを感じるそうで。

仲良くなれるということですか?

それは協調ですな。強めて表現することっす。

(それは強調です。ここまで話が伝わってなかったことに軽い絶望を感じるのですが……)

なにがあったかわかりませんが、元気だしてください。

わかりました! トリさんが元気出るように神像と仲良くなればいいってことですね。

当たらずとも遠からず。リリーさん、この神像を調べてみましょー。

(本当に当たらずとも遠からずですね)


…………

……



わかりました!

この神像は、とても硬いです! 鉄の棒でつっついても、傷ーつつきません!

少々汚れてはいますが、拭けばキラキラしとりますな。

(ソアラよ、この神像を我が家の宝物にするのです。それが、あなたの使命です)

あたしは、そんな文章みたいな長い名前嫌ですな。

(それは氏名です。私が言ってるのは、あなたのやるべきことの氏名です)

今、間違えましたな。

(誤字です。なぜ念話の誤字がわかるんですか?)

下手な鉄砲数撃ちゃ当たる感覚で言っただけですぞ。当たる時は当たるもんですな。

(ムチャクチャですね)

それはベズトっさんのほうでんがなー。さすがに使命、多すぎますぞ!

(使命がーつあるなら、百個はあると思え。と言うではありませんか)

ならば! トリさんにも使命が百個くらいあるということです!

誰だってやらないといけないことのーつや二つあるものですから!

(私の使命は人々に恩寵と導きを与えること。与えてます。今、この瞬間も)

嘘こくでねー!

(人の身では、わからぬこともあります。大人になった時、あの時って実はこういうことだったの? と気づくように、いずれ気づきます)

答えの棚上げですな。

 おーい、みんなー! 休憩ですよー!



<休憩タイミング>

ひと段落ついたわ。

おなかが空きました。

家で寝たいですなー。

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story12 起動したぜい!



一仕事したあとの食事は最高ね。

あんな高いところ、怖くないんですか?

遺跡の外なら怖いでしょうね。でも、遺跡の中なら、安全よ。

気分の問題ってだけですね……

それより修理のほうはどうなんですか? 食料もそろそろ限界ですよ?

順調ね。明日には、ほぼ終わると思うわ。

そのことなんですが、ベストっさんが神像に凶兆を感じると。

(ソアラ、もういいのです、ソアラ。あの像はピカピカしてるので、金に……もとい文化的価値があります)

もう凶兆は感じないんでっか?

(それは感じます。ビシバシと。ですが、この像が私のものになるのなら、それでよいのです)

現金な性格ですな。すいませんな、ベストっさん、もういいらしいです。

でも、少し心配ですね。

この遺跡は構造的に見て、神像のために作られたものよ。

神像を直して、はじめて遺跡は完全な姿になる。それでやっと正しい研究ができる。

フィオナさんは遺跡に思い入れがあるんですな。

昔の人は、ここでなにをして、なにを感じたのだろう? そういうことを考えるのが好きなの。

それだって遺跡や遺物があるから考えられる。その扱いを誤れば、本当にその情報は失われてしまう。

ここは幸いにして、盗掘の手が入ってないわ。だから、大切にしたい。

私もお手伝いします! がんばりましょう!

もとよりフィオナさんと目的は同じよ。さあ、明日もがんばりましょう!

ですなー。


…………

……


そのネジ、取って!

遺跡でみつけた、このネジですね!

(ごはっ!)

ベストっさんが泡を吹いてるんですが……

その草、食べちゃダメなやつです! こっちの草、食べさせて!

がってんがってん!


<そして――>


外装の補修は完了。魔術的システムの再構築も終わった……

直ったということですね!

ええ、そうよ。それで、起動用のカギは?

これです!

さあ、フィオナさん、このカギをさしてください!

フフッ……さあ、行くわ!



な、なんか光ってます!

(ソアラよ、しくじりました)

(なにをですかな?)

(これ、やべえやつです)


…………

……


本当に蛇ばっかりの島なのね。

エマさんがいてくれて、助かりました。

いえ、このくらい別に……

――ゴゴゴゴゴゴ

なにこれ地震!?

このソウルは……

<リンツの島の時に感じた――>





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