【白猫】トラブル・ジーニアス Story
2014年 10月31日 ~ 11月7日
目次
story1 スクラップの山へ
うっわぁ~……すっごいガラクタの山ねぇ~!
本当……壊れた機械が、こんなにたくさん捨てられているなんて……
まだ使えそうな機械も、けっこうあるのにね。
それで……まさか、これを全部、片づけるって話じゃないよね?
そうしたいのはやまやまだけど、僕らだけじゃ、ちょっとね。
今回ここに寄ったのは、あくまでも、まだ使えそうな機械や部品を調達しておくためだ。
正規品を購入すると値が張るが、ちょっとしたものなら、部品さえあればロベルトが修理してくれるからな。
うん、任せて!
ロベルトって、発明家だけど、修理とかもできちゃうのね。
あくまで発明が得意ってだけで、本分はルーンエ学の技師だからね。もちろん、そういうのもお手の物だよ。
でも、ここの機械、勝手に持って行っちゃっていいの?
ああ、だいじょうぶ。この島の人たちには許可を取ったからさ。
勝手に機械を捨てられたらしくて、いい迷惑なんだって。持って行ってくれるなら大助かり、って言ってたよ。
あら、さすが。そういうとこ、抜かりないのね。
性分なんだ。研究だ発明だっていうのは、けっこういろんな人に気を遣うものだからね。
うむ、よいことだ。では、主人公。力仕事は男の見せ場、全力で機械を運ぼうではないか!
story2 機械なら任せな!
これ……は使えるかな。こっちは……うーん、無理か。
よく、まだ使えるのとそうでないのと、区別がつくわねぇ~……
さすがは専門家というところだな。
でも、見分けられるのが□ベルトくんだけじゃ、やっぱり時間がかかりすぎてしまうんじゃないでしょうか……
だいじょうぶだよ、アイリス。応援を呼んでおいたからね。ほら、ウワサをすれば!
がんばってるねえ、坊やたち。おばちゃんたちも力を貸すよ!
ったく……しょーがねーな。なにノロクサやってんだ。見ちゃいらんねーだろーが!
グリースさん、テツヤさん!手伝ってくださるんですか?
これでも整備士だからね。生きてる機械の見分けくらい、ドンとこいって感じさ!
……それに、こいつらを放置したままにするのも寝覚めが悪イしよ。技師ギルドに報告するための調査も兼ねてんだ。
詳細に報告できれば、技師ギルドが人海戦術で片づけをしてくれるかもしれん、ということだな。
そ。どこの誰がこんなことやったか知らないけど、ルーンエ学のイメージダウンになるようなこと、ほっとくわけにはいかないからね。
へぇ~……アンタ、そんなことも考えてたのね。
僕としては、ここの機械たちを野ざらしにしておくのはイヤだな、っていうだけなんだけど。
こういう捨てられた機械には、よくお世話になってたから……
あ……そっか。ロベルト、昔はスラムでそういうことやってたんだっけ。
うん。正規品の機械を買うお金なんてなかったからね。よくスクラップを拾ってきては、いろいろ改造してたんだ。
今は、公爵さまに拾っていただいたおかげで、スクラップを使う必要はなくなったけど……
まだ使えるのに捨てられてる機械を見ると、やっぱりウズウズしちゃうんだ。
おめー、わかってんじゃねーか!だよなだよな、こういうの見ると、なんかこう、無性に悲しくなるつつーかよォ――
こら、テツヤ!なにサボってんだい!しっかり仕事しな!
いてててて!いてーよ、おふくろ!俺の耳がスクラップになっちまうだろ!
はは――いいなあ、ああいうの。
□ベルトくん……
ああ、ごめん。手が止まってたね。
うん、僕らもしっかりがんばろう!
story3 思わぬ閃き
これとこれとこれ……あと、これ、それでこれ……
これは、通信機か……こっちは、映写機かな……
……ん?そうか!
<突如として打ち震えたロベルトが、すさまじい勢いで、その場で機械を組み立て始めた!>
通信機も映写機も、原理はルーンの共振現象を利用して、音声や映像を再現してる……
複数のルーンを並列的に配置して、疑似ハイルーン構造を作り、分散されるソウルのロスを機械側の構造でうまく吸収できれば――
<余人には理解不能なことをつぶやきながら、ロベルトは猛然と動き回る……>
……なにやってんだ、あれ?
さあ……なんだろうねえ?
ロベルト~?機械、持って帰るんじゃなかったの~!?ねえ~!!
<そして、日が暮れた頃……>
できた!!
<小屋ほどの大きさを誇る機械のカタマリを見上げ、ロベルトはさわやかに笑った。>
えーっと……これは?
映像つき通信機さ!
これまでの通信機は、音声を送ることしかできなかったけど……これは、しゃべっている人の顔を見ながら遠くから通信できるんだ!
へえ――そりゃいいね!たとえば子供と離れて住んでる人も子供の成長っぷりを実際に見ながら通信ができるってわけだ!
なんで俺の方を見て言うんだよ!
それはいいんだけど……ちょっと大きすぎない?これ……
もっといろいろ研究すれば、いずれは携帯できるくらいのサイズにできると思うよ。
それっていつ頃?
……20年後くらいかな?
気が長ぁ――いっ!!
story4 暴走機械を止めろ
うう……夜に来ると、な~んかイヤな感じがするわねぇ~……
よどんだソウルが集まって、ここの機械たちを暴走させている……って話なんだよね?□ベルトくん。
うん。そのせいで、技師ギルドの<片づけ>もうまくいってないらしいんだ。
なら、まずは、その暴走している機械を止めないと……ね!
ありがとう、助かるよ。
なんとか手短にすませないとなぁ。明日は公爵さまのお屋敷に顔を出すことになってるから……
アンタを拾ってくれたっていう、気のいい公爵さまね。
心配かけちゃうといけないから、けがしないように気をつけないとね。
うん。お世話になってる以上、発明に支障が出るといけないからね。
そういう意昧じゃないんだけど……
かといって、君たちだけに危険を押しつけるわけにもいかない。ケガに注意しながら、全力で戦わないと!
<ロベルトの手にしたドリルが、ぎゅいーん、と力強く回転する。>
……前から思ってたけど、その槍、当たると痛そうよね。
はは。本来、槍に使うものじゃないんだけどね。
公爵さまが槍の達人でさ。自分の身を守れるようにしろ、って槍術を仕込まれたんだ。
それで、ドリルを槍にしたのね。
これも、公爵さまの発案でね。
そんな使い方をするとは思ってなかったから、正直びっくりしたよ。
いろんな意味で、常識を超えてくる方なんだよな……
最終話 天才少年の誤算
よし、これで全部――
うわっ!?
<突如として、スクラップの山が盛り上がり、暴走機械が雄叫びを上げた!>
しまった……!まだいたのかー!
□ベルトくん!
<不意を討たれたロベルトに、暴走機械の魔手が伸び――>
ブリリアントアンナビぃームっ!
<鮮烈なる槍状の閃光が、その魔手を消し飛ばした!>
とうっ!
傘を手にした少女が、悠然とロベルトの前に立つ。>
ア――アンナお嬢さま!?なんでここに!
wロベルトさまが暴走機械を止めに行かれたという話を、バロンさまからうかがいましてね。
<しれっとして言いながら、老執事が機敏な連撃で暴走機械を打撃する。>
それで、旦那さまが助けに行ってやれって――あ、お嬢さま!前に出たら危ないですよぉ!
<モップを手にしたメイドが、強烈な一撃で暴走機械を叩き伏せる。>
執事長……チェルシーも!?僕なんかのために、そんな、わざわざ――
<なんか>、なんておっしゃらないの。
<少女は、にっこりと微笑む。>
あなたは、わたくしたちにとって家族も同然。もっと頼ってくださってもいいのよ。
お嬢さま――
と、いうわけでっ!暴れてまいりますわよ――っ!
<3人の助っ人が、暴走機械へと駆け出していく。>
はは…………ったく、もう――
僕を助けるためにケガなんてされたら、公爵さまに会わせる顔がないじゃないか!
まったくもってそのとおりね~。んじゃ、ロベルト。どうしちゃう?
決まってるさ。
<苦笑してロベルトは、決然と前を向く。>
みんな、お願い、手伝って!全員、無事に帰れるように力を合わせて、あの機械を止めるんだ!
「「「おーーーーっ!!」」」