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【白猫】カオスエンブリオ Story2

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最終更新者:にゃん

開催日 2018/06/28


カオスエンブリオ

カオスエンブリオ Story0

カオスエンブリオ Story1

カオスエンブリオ Story2

カオスエンブリオ Story3

カオスエンブリオ Story4

カオスエンブリオ Story5


後日談

シェリル・思い出

ルーファス・思い出



登場人物







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story 駆け出し冒険家の憂鬱




<シェリルと主人公たちが出会う少し前――

リンツの島で、もう一つの出会いがあった。>


ハーブティーです。エマさんもどうぞ。

ごちそうさまです。

ありがとうございます。いや、いい香りですね。

ルーファスさんはグラハムさんとお知り合いなんですよね?どういったご関係なのですか?

以前、ギルドの依頼で、グラハムさんとチームを組んだことがあったんです。

あの時は大変だったね。

いや、もう本当に。しかも僕が足を引っ張ってばかりで……

いやいや助けられたよ。ルーファス君は頭がよくてね、魔物を渓谷に呼ぴ寄せ、一網打尽にしてくれた。

……と、昔話に花を咲かせてはいられないな。君の依頼について話を聞こう。

はい。以前、グラハムさんには話したことがありますが、僕はもともと研究者でした。

彼は会社の社長だったこともあるそうだ。

すごいですね。

あははは……いや、あの頃のことは思い出したくないといいますか……

それでですね、その当時、僕が研究していた技術があるんです。それこそ未発表のものも多くありました。

倒産した時、いくつかの技術を封印しました。使い方を誤ると、危険なものだったからです。

……その技術を悪用している奴がいます。

どのような技術なのですか?

人工物と生体の融和。人間を改造する技術ですね。

どうしてそんな研究を?

メンテナンス不要な人工臓器を作りたかったんですよ。

難病で苦しむ人を救いたい。そんな理念で研究していたんです。

アレは明らかに軍事転用だった。

どういうことだね?

兵器を生体に移植し、同化させていました。全身凶器の武器人間ですよ。

しかも女の子に施術するなんて!

たしかに人道的ではなさそうだな。だが、君がやらねばならないことなのかね?

あの技術は僕の子供のようなものです。子供が悪さをしてるなら、止めてやるのが親ってものですよ。

君とは無関係の者が考えたかもしれないぞ。

……かもしれません。ですが、仮にそうだとしても、あの技術を、あんな風に使ってはいけない。

技術というのは多くの人を幸せにするためにあるんです。でなければ、人殺しの道具になりさがる。

……君の思いは理解できた。

だが、剣を貸すには、いささか大義が足りない。ワシの剣は姫様の剣だ。それを汚すことはできん。

その連中がとある麻薬を生成している可能性があるとしてもですか?

麻薬……か……

僕のつてで連中の研究所まで判明しました。どうやら、麻薬も生成しているそうなんです。

グラハムさんの故郷で起きた政変の際、民衆にバラまかれたのと同じものです。

…………

あの政変に、その研究所が関わってると言うのかね?

可能性はあります。

……わかった。手伝おう。

ありがとうございます!!

それで、君の技術を盗んだ人間それで、君の技術を盗んだ人間に見当はついているのかね?

こんな非道なことをするとしたら、一人しかいません。

考古学者ロイド・イングラム。古代魔法学における僕の師でもあります。

!!



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story 敵地へ




無事に入島できましたね。情報によると、この森の奥に研究施設があるそうです。

…………

どうかしましたか?

やはり姫様を連れてくるべきではなかったかもしれん。

今からでも遅くはありません。エマと一緒にリンツ島に戻っていただけませんか?

ごめんなさい、グラハムさん。でも、ロイド・イングラムに関わりがあるのなら、私は行かなければならないと思うから。

しかし、ロイドはもう亡くなってる。

それでも、なにか手がかりがあるかもしれません。

お願いします、グラハムさん。私も記憶を取り戻したいんです。

…………

足手まといには、なりませんから。

しかし、危険な仕事ですし……

私なら大丈夫なんですか?

エマは並みの冒険家より強いからね。しかし姫様は……

エレノアさん、強いですよ? 実はエレノアさんに頼まれて武器の使い方や戦い方を教えてました。

なんだと!? 姫様、それは本当ですか!?

えっと……グラハムさんに頼んでも教えてくれなかったので……

剣の扱い方なら私より全然上です。私が並みの冒険家より強いなら、エレノアさんも強いと思います。

それに僕も冒険家です。エマさんやエレノアさんは僕が守りましょう。

しかし……

グラハムさん、お願いします。

…………

……わかりました。



そろそろ施設が見えてくるはずなのですが……

その地図、どこで手に入れたのかね?

前職のつてですよ。人脈だけならあるので。

前職というのは、社長業ということですか?

え? ああ、まあ、そうですね……

あの、なにか聞いてはいけないことを尋ねたでしょうか?

……あの頃の僕は人間としてクズだったので、思い出すと死にたくなるんです。

ただ、今はもう冒険家ですので、ゼロベースからのスタートで心を入れ替えて努力し――

うわっ!

大丈夫ですか?

あはははは……助かりました。

もうここは敵地だ。気をつけたほうがいい。

はい……

ひらけたところに建物があるな……

資料にあったのと同じ建物……じゃないな。なんかおかしいぞ?

なんか一部、壊れてません? 暗くて、よく見えないんですが……

……壊れてます。内側からなにかが飛び出したような壊れ方です。

なにか想定外のことがあったのかもしれないな……とはいえ、ここで立ち往生しているわけにもいくまい。

姫様、エマ、ここから敵地です。ゆめゆめお忘れなきよう。

はい!



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story フラッシュバック




簡単に潜入できましたね。

……人が少なすぎるな。

どうしたんでしょうね?

なにかあったんでしょう。いろいろ破壊された形跡がありますし。

気を抜くわけにはいかんな。トラップの類もあるだろう。

任せてください! この廊下にしかけられてるソウル感知システムは僕の魔術干渉によってダウンして――

ありえないっ!! 嘘だっ!! こんなこと起こってたまるものか!!

いや、ありえる!! 信じてた仲間が揃って辞表を提出してきた時の、あの感じに似てる!!

あ、過去の記憶がフラッシュバックして……

落ち着け。バレてしまったものはしかたがない。駆けるぞ。姫様も、さあ。

はい!




どうにかごまかせたか……

調子に乗って失敗とかどうして僕はいつもこうなんだ?あの時もその時もこの時も……

あの……ルーファスさんが部屋の隅っこで三角座りしてるんですけど……

ルーファス君、みんな無事だったんだ。気にしなさんな。

いえ、ダメです。自分で自分が許せないんです。すいません、今、頭のなかで一人反省会を開いてるんで……

あの、大丈夫ですか?

は、ははは、大丈夫ですよ。こんなミス、会社を潰したことに比べれば、大したことありません。

ルーファス君、すぎたことより、今のことだ。なにか気づいたことはあるかね?

……やはり解せないんですよね。あの廊下のシステムは確実にダウンさせたのですが……

待てよ……いや、あるいは構造上、別の廊下の感知システムが作動した?そうなるとかなりのソウル量が……

今度は床になにかを書き始めたんですけど……

気にしなさんな。彼はいつも、こんな感じだよ。

すみません、この中に実はものすごい力を持つてる人っていたりしますか?

急にどうした?

先ほどの警報なのですが、別の階層の探知機が作動した可能性があります。

計算上、常人の十倍以上のソウルじゃないと作動しないはずなんですが。

もしかしたらエマかもしれんな。この子は魔獣と心を通わせられる。

なるほど……今後はエマさんのソウル量のことを計算に入れて行動したほうがいいですね。

さあ、行きましょう。もう二度と同じミスは繰り返しません。



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story 忍び寄る危機




なにか異常はあったか?

異常ばかりだよ!

だろうな。ま、金の分は働くしかねーさ。行くぞ。

行ったようだな……

本当に異常事態みたいですね。先ほどの警報の時も衛兵の動きがありませんでしたし。

嫌な予感がする。姫様、お気をつけ……

こんなところに子供?

いったい……どこから?

君、どうしたの?

姫様、下がってください!!

ケケケケケケ!

きゃっ!

エレノアさん!

ウケケケケケ!!

なんだ、こいつ!腕が何本も生えて……!

貴様ぁぁぁっ!姫様を放せぇぇぇぇっ!!

腕が砲身に!?グラハムさん!!

くっ……!

姫様!姫様はとこだ!?

お、落ち着いてください!グラハムさん!

落ち着いていられるか!姫様とエマがさらわれたんだぞ!!

ええ、わかってますよ!ですが、見てください!どこに逃げたって言うんですか!?

二人の女性を連れて、忽然と消えるなんて物理的にありえません。

魔術か!?

いわゆる幻術と呼ばれる類の認識阻害でしょう。まだ攻撃が続いている可能性もあります。

今、魔術で干渉してます。すぐに幻術をとくので……


逃げられたか!後を追うぞ!!

動くな!!武器を置いておとなしくしろ!!

そこをどけっ!!


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story 尋問の作法



ば、化け物!!

全部素手で……

ルーファス君、こやつの足を持ってくれ。

少々、聞くことがある。


…………

……


騒げば殺す。

い、言うとおりにしたほうが得策だと思いますよ?

質問にだけ答えろ。この施設でなにがあった?

お、俺はなにも知ら――

がっ!

戦場で拷問の光景はよく見てきた。どんなに強情で気高い人間でも、最後は血のあぶくを吹きながら、殺してくれと懇願するようになる。

お前さんで試してみるかね?

わ、わかった!話す!話すから!!

あの怪物はなんだ?

アゴニアと遭遇したのか?

それはなんだ?

詳しいことは俺も知らない。そう呼ばれてる化け物だよ。

アレが僕が研究していた技術で作られた怪物ですよ。前に見たものとは違いますが……

…………

アレはいったい誰が作ったんだ?

し、知らねえよ!本当だ!!お偉いさんの名前を、俺が知ってるわけねぇだろ!

がっ! か、勘弁してくれ。本当に知らないんだ……

……どうしてそんな怪物が、徘徊している?

一週間前に特別被験体が逃げだしたんだ。その騒ぎのせいで他の被験体まで外に……

それで施設は怪物だらけ、ということか?

ああ、そうだ。警備してる余裕なんてない。

被験者はどこから連れてきたんだ? 子供だったぞ。

詳しいことは知らないが、貧しい島でガキに仕事をやるとか言って、集めてくるらしい。

まあ、最近はカペレ教って新興宗教の信者が被験者として連れてこられる。

マジでイカレてるぜ、あいつら。自分らが信じる神と一緒になるとか言って、喜んで化け物になりやがる。

……この施設で麻薬も作っているのか?

ああ、そうだ。そっちが本業だよ。

ま、待ってくれ!俺は金で雇われてるだけなんだ!勘弁してくれよ!!

伏せろ、ルーファス!!

な、なんなんですか!?なにが起こったんですか!?

敵襲だ。さて、片付けるか……

落ち着いてください!相手は銃ですよ!剣だけで勝てるわけ……

勝つ必要はない。斬ればいいだけだ。


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story 姫様



ガリウスの護剣……本当にすごいんですね。

今はただ姫様に仕える老兵でしかないがね。

伝説の剣士と、こうして一緒に仕事ができるなんて……感激ですよ!

あ、素朴な疑問なんですが、エレノアさんの名前って偽名ですか?

いきなりどうした?

いえ、その……以前の仕事で連邦諸国との取引があって資料を読んだことがあるんです。

政変の時、ガリウス家の三兄妹は、民衆の前で縛り首になったと書かれていたので。

だから偽名なのかと思いまして。たしか当時の名前は……

なにを言ってるんだ?君は……

グラハムさん?

姫様はいる。……いるではないか。

やめろ。違う。ありえない。姫様は……

グラハムさん?大丈夫ですか?グラハムさん!!


…………

……




戦場で生まれ、戦場で育ってきた。ただただ人を斬り続けてきた。

生き残るためという生存本能でさえない。罪悪感も達成感もない。呼吸をするように人を殺める。

いつしか剣鬼と呼ばれるようになったが、どうでもいい。グラハム・オウガスタは、ただ呼吸を続けるだけの存在だった。


ガリウスの護剣と称され、重用されるようになっても、なにも変わらない。

畢竟(ひっきょう)、斬れるか斬れないか。それが全ての判断基準であり、己が主でさえ、そう見ていた。

自分に斬れないものはない。

それが主だろうと敵だろうと、刃の届くものならば、総じて刃下に散っていく。

――そう思っていた。



「グラハム、見てください。」

それは公妃の戯れだったのだろう。いや、戦場しか知らない老人への憐れみだったのかもしれない。

「私の娘です。ほら、グラハムですよ。グラハム、怖がらないで、触ってあげてください。壊れはしませんから。」

おそるおそる指を伸ばす。その赤子は力強く指を握りしめ、ガラス玉のように澄んだ目で射抜いてきた。

足元から地面が崩れるような感情に襲われた。生まれてはじめて感じた情動に、呼吸さえ忘れた。

それは胸をかっさばいて心の臓を打ち捨てたくなるような痛みだ。

瞬間、啓示のように悟った。

斬れない、と。


この赤ん坊――

――●●様を斬ることだけはできない、と突きつけられた。


葛藤はあった。そんなはずはない、と何度か●●様の枕元に立ち、剣を抜いた。

――できなかった。敗北感に打ちひしがれ、しばらく剣を見るのも嫌になったほどだ。

「これが無刀の境地か……」

剣鬼と呼ばれ恐れられた男が、まさか無力な幼子に敗北するとは、誰も思うまい。

だが、負けを認めた瞬間、なぜだか笑っていた。

やっと己の剣に意味を見出せた気がしたのだ。

この剣は●●様のため捧げる。●●様に降りかかる全ての苦難を、この剣で断ち切る。

そう誓ったのだ。



「グラハムは私の騎士なんでしょ?」

「はい。姫様の騎士ですぞ。」

「だったら、私のこと守ってくれる? オバケとかから……」

「お任せくだされ、姫様。オバケだろうとなんだろうとワシが斬り捨ててやりましょう。」

「約束だよ。絶対に守ってね。」

「はい、お任せくだされ。」

「なら、この花輪、グラハムにあげる。私の騎士のために作ったの!」

「これはこれは素敵な花輪ですな。ありがとうございます、姫様。この花輪にかけ、姫様をお守りすることをここに誓いましょう。」



それは――突然、野火のように広がった。領内で民衆が蜂起したのだ。

――その戦場で地獄を見た。


女子供の区別なく、誰もが武器を持ち、襲い掛かってくる。武器がなければ石を持ち、石がなければ拳で、拳がなければ己の歯で。

戦場の狂気は知っている。死兵相手に戦ったこともある。だが、その戦場にいたのは、人間の形をした怪物だった。


気づけば、一人で立っていた。ともに戦った者たちと斬り捨てた者たちの亡骸の上に。

「姫様……帰らねば……姫様のもとに……」


……違う。

これは違う。あれは姫様ではない。●●様ではない。

誓ったのだ。すべての苦難から守り抜くと。それが自分の在り方なのだと。

救われたのだ。あの笑顔に。あの小さな掌に――

だから救いたかったのだ。返したかったのだ。あの暖かい気持ちを。あの笑顔を――



「…………」

穴を掘っていた。小さな穴だ。子供が入りそうな大きさの穴だ。なんだこの穴は?

この穴はなんだ? いったい、なんのために? 誰のために?

この小さな◆◆はなんだ? 腐敗し、ハエがたかっているこの小さな◆◆は――

「…………」

これは罰なのか?

ならば、どうして●●様なのだ?どうしてワシではないのだ?

いや、そんなことはありえない。あってはならない。あるべきではない。認めるわけにはいかない。


「…………」


姫様……

どこにおられるのですか? マルグリット様……





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story 過去の傷



グラハムさん!しっかりしてください、グラハムさん!!

姫様……姫様を助けに……行かねば……

大丈夫ですか?

ああ、大丈夫だ。姫様を助けなければ……

……すみません。変なことをききましたね。

……急ぎましょう。



うわあぁぁぁ!

なんなんだ!なんなんだ!ちくしょうっ!!


研究室は、その扉の向こうです。

姫様……姫様はどこに……

危ないっ!

ルーファス君、姫様はどこに?どこに? どこに……

……もう少しです。今、ロックを解除します。


開きました!

jどうして、君が……!?

ジェフ!?そんな……まさか、あなただったのか!?

……知り合いかね?

以前の仕事で世話になった人です。信頼も……していました。

お前さんは姫様の居場所を知っているかね?

幻術を使う怪物だ。それにさらわれた。ああ……なんてことだ。またワシは……

jおそらく被験体2085だろう。変異体で、特殊な魔術を使っていた。

ジェフ、どうしてだ?あなただって、あの技術は人を救うためのものだと知っていたはずだ。

jどうして、か……まだ、わからないか?

君は自分の成した偉業さえ歯牙にもかけず、いつも、つまらなそうな顔をしていたな。

……僕が傲慢だったのは認める。

j私たちが嫌だったのは、君の人格じゃない。

私たちが求めた新たな摂理を! 新たな発見を! 君はつまらないものかのように見ていた。

私たちが求めるものが、そんなにくだらないことか?そんなに簡単なものなのか?

……そんなこと、思ったこともない。

jならば、どうして研究者として返り咲かなかった?

…………

j気味の態度が我々研究者のプライドをへし折った。

だが私はシェリルを作り上げた!君にはできないことをした!私ははじめて君に勝てた!!

……僕に勝つために、あんなものを作つたのか?

jああ、そうだ。それだけが私の目的だ。

…………

j……被験体2085なら、おそらく自分のケージにいるだろう。外に出たがらない子だったからな。

いささか実験で殺しすぎたが、後悔はない。

…………

j君の、その顔を見たかった。いい気分だよ。

……殺せ。もう満足だ。

……殺さない。

あなたはまちがってるし、僕は負けてない。それを証明してみせる。

j…………

あなたが僕の技術で多くの人を傷つけたなら、僕はあなたが傷つけた人を救う。

jもう手遅れだ。

手遅れね……こんな言葉、傲慢だから言いたくないが、あなただけは別だ。

天才をなめるなよ、凡人!


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story 兵器の価値は



扉が壊れてる……開きそうもありませんね。

この奥が、姫様のいるケージなのか?

jああ、そうだ。だが、行けそうもないな。どうするかね?天才君。

そちらの部屋は?地図には兵器研究室と書かれてたはずですが。

j…………

行きましょう。扉を開けるのに使えるなにかがあるかもしれません。



これはなんだね?

j対魔幻獣用の兵器だ。

あれらの外装は、通常兵器や魔術では対抗できないからな。

仕様書はこれか……魔幻獣の構造も書かれてるみたいですね。

こんな生物……いや、兵器か……ありえるのか? こんな巨体で自重を支えるなんて……

ルーファス君、急ごう姫様を助けねば……

すみません。そうですね。わかりました。


使い方は把握しました。おそらく、この武器なら扉を破壊できるはずです。

この扉の構造上……ここを破壊すれば……

ほう……扉が吹っ飛んだな。

しょ、衝撃がすごいですね。肩が外れるかと思いましたよ……


…………

……


はあ、はあ、はあ……ここの扉も……壊せまし……

<部屋の奥にエマとエレノアが倒れていた。>

姫様っ!!

くっ!

jもう正気ではない。殺すことでしか救えんよ。

なんだ!?

j誰かが施設の放棄を選んだんだろう。要するに自爆だ。

どうする?天才。時間はないぞ。

…………



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story 背負うべきもの




はあっ!!

再生力が高い……その上、硬い……

四肢の位置と行動パターンから把握するに肉体的変異とソウルの循環値は……

jあがいても無駄だ。彼女は救えない。

……証明終了。残念だったな、ジェフ。彼女を救う方法はみつかった。

j……なんだと?

僕の理論を踏襲しているのなら移植に使われているのはソウルの収束理論仮説のはずだ。

身体力学によるエネルギー変移とソウル循環値の推定値から87パーセントの確率で右下腹部にソウルの流れが集中するターミナルがある。だろ?

j……たしかに、因子の移植部位だ。

そこを破壊すれば、彼女は止まる。剣では外骨格は貫けないから。こいつでやるしかない。

j殺すつもりか?

たしかに魔幻獣の因子により、彼女のソウルは濁っているし、移植部位を破壊すれば死ぬ。

だが、移植部分の破壊と同時に、治癒魔術を展開。濁ったソウルを吸い出し、代わりに清浄なソウルを流し込めば、理論上は救える。

j机上の空論だ。そもそもソウルを移し替えるなどそんな技術、聞いたこともない。

僕が今、思いついたことだから当然だ。

jこの足元の数式か……!?……っ!!こんな理論……

これでは、君が死ぬぞ。

……僕の生みだした技術が彼女を傷つけたのならそれもしかたがない。

j私の作品を自分のものだと?

応用したのは、あなただが、土台の理論は僕のものだ。だから責任を取る。あなたはそこで見ていろ。

jあれは私の作品だ!君のものではない!絶対にアレは私のものだっ!!

どこまで傲慢なんだ、君は!!

……最後に言っておきます。僕は、あなたを尊敬してましたよ、ジェファーソン先生。


jその顔をやめろ……私をそんな目で見るな……私を……蔑むな……



チッ!

あまりはしゃぎなさんな、お嬢さん。ジジイが相手なんだ。

グラハムさん!左足の膝裏を斬ってください!!

うおおおおおっ!

術式展開!

jさせるかああっ!!

ジェフ、なにを!?

jぬああああああっ!!

まさか……どうして、あなたが……

jせ……い……こうだ。

……シェフ。

jふ、ふふふ……これで……私の勝ちだ。

……どうして?

jどうして……?言ったろ、ルーファス……君はシェリルを……見てない。

…………

j予言しよう……あの方法では……シェリルは救え……ない。

彼女は私の最高傑作だからな……

ああ、知ってるよ。自我を保持し、因子を完全にコントロールしていた。

彼女を見た時、悔しかった。認めたくなかった。僕の理論を誰かに完成させられたことが……

j…………

シェリルは、カペレ教団に……向かったはず……

彼女が……魔幻獣の……起動に……必要なカギ……

彼女が……君の敗北の証だ。ルーファス……

……僕は負けないよ、ジェフ。必ず彼女を元に戻してみせる。

j無理だと……絶望する顔を見れないのが……残念だよ……天才君……

…………

jルーファス……どこだ?どうして……私は……お前と……

…………

なあ、ジェフ……どこでおかしくなったんだろうな?やはり僕のせいなのか?

なあ、教えてくれよ、先生……



姫様!エマ!大丈夫か!?

頭がぼーっと……?

グラハム……さん?

体の具合は大丈夫ですか?

はい……でも、いったい、なにが……

『自爆シークエンス、ファイナルフェイスに移行。機密保持のため隔壁は閉鎖されます。』

扉が!?

隔壁はこいつで破壊していきます。グラハムさん、その女の子をお願いします。

わかった。彼女はワシが背負おう。

脱出用の飛行艇があるはずです。そこまで行きましょう。



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story それぞれの使命




見えました!!飛行艇ですっ!!

急げ!!


…………

……


肝が冷えたな。皆、無事かね?

はい……

この子は……大丈夫なのですか?

詳しく調べてみないことにはなんとも言えませんが、傷もふさがっていますし、大丈夫だと思います。

知り合いに信用できる医者がいます。彼に任せれば、大丈夫でしょう。

一件落着かね?

……いえ、まだです。

僕には、まだやるべきことがあります。

シェリルという少女のことかね?

……放ってはおけません。それに魔幻獣という兵器も危険なものです。

先に病院のある島に寄るので皆さんは、そこで降りてください。

ルーファスさん、邪魔でなければついていってもいいでしょうか?

……危険ですよ。

それでも、私は行かなければならないと思うのです。

…………

……いたしかたあるまい。姫様が行くとおっしゃられるならワシもついていくよ。

私も行きます。魔幻獣……幻獣様がなんなのか、私もきちんと知るべきだと思うから。

…………

わかりました。





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