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【白猫】Brave The Lion 3 Story4

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最終更新者:にゃん



目次


Story19 口で負けたくなくてなぁ

Story20 強固な防備

Story21 陽動成功

Story22 呼び戻すベルの音

Story23 陽動作戦

Story24 任務完了

Story25 山だ

Story26 鍋だ

Story27 その頃、町の要所では




story19 口で負けたくなくてなぁ



連携すると言うけれど……アタシたちはガンガン突っ込んできゃいいの?

まあ、そうですね。

そんなら、ゴーゴー!

キャトラ、慎重にいこうね?

…………

いいんだな?同行して?

何か不都合が?

俺にはないが。

ご一緒してくださると心強いです!

敵は<闇>……無尽蔵に魔物を呼びます。

力を合わせて戦いましょう!

……そうだな。

アンタのご主人様、眉間にシワ寄ってるわねぇ……

心配症なのだろうな。主人というわけではないが。

なら教えてよ、アンタとグレイヴってどういう関係なのよ?

それに人間と犬との歴史的な関係からの話をする必要があるが、いいか?

はしょって。

ううむ、達者な口の猫だ。

アンタに言われたくないわよ。

俺が目覚めたとき、コテツが隣にいた。

え?

そこはかつて<瘴気の島>と呼ばれていた、エデン島だった。

……どうしてそんなところに?

……さあな。

きおくそーしつってヤツ?珍しいわねぇ。

……キャトラ?私たち、人のこと言えないよ?

お前たちもそうだったのか。ならばむしろ、わからないか?

記憶はなかろうとも、<使命>は感じた。それがこの身を突き動かす。

アタシはそんなものとくにないけど……

私にもとくにない。犬や猫にはないのかもな。

かもだわねぇ。

グレイヴさんの感じた<使命>というのは……

…………

そこは省略させてくれ。

省略するんかい。

構いませんよ。続きをどうぞ

名前は俺が決めたが、コテツには何か、父や母のような印象を抱いた。

この犬に!?

犬なのになぁ!?

その、ちょいちょいやる大きな声での反撃なんなの!?

口で負けたくなくてなぁ。なにせは私タダの犬だ、吠える以外にやりようがない。

ともかく、コテツがいて、俺は助かった。この島へ来るべきだと言ってくれたし。

記憶がないからといって、ダラダラもしてられんだろう。

やりたいことがあるのなら、それがやれそうな場所へ赴くべきなのだ。

来て、そう思った。コテツは何気にすごい。

グレイヴを導くことが、私にとっての<使命>といえば<使命>なのかもな。

ふ~ん……コテツは記憶喪失なの?

聞きたいかぁ!?

聞いてるよね!?

寝てた。

寝てたぁ!?寝る前の記憶は?

あやふやだ。

コンニャローウ!

猫の貴様にはわかるだろう!?動物ってそんなモンだろうがぁ!?

ソウダケドサー!

では、出発しましょう。忘れてるかもしれませんが、周り中、敵だらけですんで。

あんまり騒がないでくださいよー。

考えておく。

コテツ……騒がないでくれ。

うむ。



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story20 強固な防備



うーん……こんなに町に近い砦に、魔物を配置しますかね、フツー。

住民近づけないようになっていますけど、それにしても……

……この国おかしいかもね。アタシ、思うの。

閉ざされた島国では、<常識>を操作できてしまうわ。そこを利用されてるのよ……

急にかしこぶるでない。

なんとなく思っただけよ。ジョニー、だからなんじゃない?

へ?

ずっと閉鎖されていたエルフとドワーフの島……だから<闇>に目をつけられたのね?

ま、それが連中にとって都合良かったってのはあるんでしょうね。

アイツら……!ズルいわね……!

<闇>は卑怯で校狛ですよ。魔物をけしかけてくるだけなら、はっきり言って対処も出来ます。

ですが、奴らは…………社会に、人間の弱い心に、食い込もうとしてくるんです。

厄介だな。

今回なんて、<国>ですからね。国際的に、ここを認めたらどんなことになってしまうやら……

絶対に、阻止しましょう……!

だが、どうやってあの砦を抜く?

もちろん。ここで連携ですよ。

別働隊に敵を引きつけてもらいましょう。

そうすれば、あの砦手薄になるずです。

なるほど!

さ、思い知らせてやりましょう。多面作戦って、守る方大変ですよ~。



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story21 陽動成功



やった~♪

別働隊が上手くやってくれたようですね。

助かるな。俺たちも、働きで返そう。

そうそう。こっちが食い込むほど、陽動作戦もしやすいでしょう。

そうやってジワジワと本丸に近づいていくんです。

ワオーン!

どうしたの?なんて意味?

ただ鳴いただけだ。

ぎにゃー!どーしてそーゆーことスルノカナー!

……

行くぞ。


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story22 呼び戻すベルの音



かぁっ!

はっ!

っしゃあ!!

…………

あとはおめえだけだ覚悟しやがれ!

愚かなことに、私めは時計に縛られております。

あぁ?

長く伸びた影を踏むとき、ベルは鳴ります。そろそろ家路につかなければ。

なんだ!?

影……!?

母が呼んでいます。晩御飯が出来ましたよと。

家路につかなければ。

ちっ……

はぁっ!

おりゃあ!

尻尾切りかよ……

なんだったんだ、あいつ……

姉貴と同等か……いや、それ以上にワケわかんねえこと言いやがって!

聞き捨てならぬぞ、弟よ。

いや、褒めてんだって。そうでもねえけど。

なにを!

…………

……遅かったじゃねえか。大変だったんだぜ?

何があった?

敵の襲撃。

なんでいねえんだよ。

俺はどうしようもなくタイミングが悪くてな。

そりゃ知ってるけどよ。

二人は、無事か。

はい、大丈夫です。

余裕っすよ!

そんなものはいらん。余力を残すくらいなら、全力を尽くせ。

うっす!肝に銘じておきます!

フン。

<黒の民>とかいうヤツが襲って来たぜ。なんか聞いてるか、バイパー?

<黒の民>……?影を使わなかったか?

ええ。あの男、<影繰>ね。

かげくり……?

影のようにどこにでも差し込み、ターゲットを始末する…………って、噂よ。

なあ、<黒の民>ってのは……?

……遥か昔。天空に白の王国が栄えていたとき。

それと対を成すように、地にも民がいたという。

<闇>に支配されしその国の人間を……<黒の民>と、呼んだそうだ。

神話の世界の話だから、さだかでないけどね。

今の世の中にもいるんですか?その、<黒の民>って?

不明だ。というのも……

そんなこと言っても、得ないでしょう?

そうですね……帝国も連邦も、<白>を主張することあっても……

わざわざ自分が<闇>の手下だと言い出す奴なんかいねえ、ってことか。

ま、そういうことだ。……一つ、言っておこう。襲撃されたのも、計画のうちだ。

え?

このチームの基本任務は『陽動』

出来る限り多くの敵の目を引きつけ、別チームヘの注意を逸らす。

……了解です……!

よかったっす!そうだバイパーさん、姉貴、心配してました!

オイ!

よしなさい。派手にやるのとただうるさいのは違うわ。

この先に、軍の駐屯地がある。そこを、冒険家ギルドから派遣された大部隊が狙っていると、噂を広めてきた。

そりゃ、警戒されるな?

力の足りない者は生きて帰れないだろう。覚悟あるか?

全然平気っす!

<志>があります。死など恐れません!

……恐れなさしい。

え?

私たちは、あなたたちのことを次につなけようともしている。

期待を裏切らないで。

……はい。

わかればいい。では、ただちに向かうぞ。



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story23 陽動作戦



あそこだな、駐屯地ってのは。

そのようです。

なんっか、ワラワラと待ち受けてそうな気配っすね。

”油断するなよお前ら。敵陣の目前だぞ。”

はい、警戒、怠ってません!

”任せたわよ。私たちは退路の確保と、他チームヘの連絡を行うから。”

おまえらは戦わねえのかよ?

”心配するな。お前らがしくじったときは、ちゃんとケツを拭いてやる。

”そうならないことを祈るわ。”

へ~い。

”作戦は『陽動』だ。より多くの敵の注意を引け。”作戦は『陽動』だ。より多くの敵の注意を引け。”

”ショウ、あなたは得意でしょう?

私たち、派手に気を引くのはあまり向いてなくてね。”

そっか、そうだったな。

任せてください!ド派手に暴れてやりますよ!

慢心するなよ、弟。

わかってるって!

――反抗の狼煙は、この作戦で幕が開く――

成否が今後の命運を分かつ。失敗は許されない。

目的を違えるなよ!作戦は『陽動』だ!各々それを念頭に、最大限の効果を狙え!

はい!

さ~て、見せてやるとするか……オレはいまでも、<できちまう>ってことをなあ!


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story24 任務完了



ふぃ~……!くたびれた……喉乾いたぜぇ~………

はぁ……はぁ……軽い、軽い……

強がるな、弟よ。だが、十分な働きだったぞ。

”フン……そうだな。よくやった。”

ありがとうございます!

”これで他のチームは楽に動けるはずよ。”

そりゃ良かった。……って、待てよ。

”どうした。”

こんなことしてたら、目立つよな?

”当然だ。”

じゃあよ……こっから先も、ずっと囮をしなきゃいけねえってことか?

”そんなこともないわ。他のチームも既に作戦行動を開始している。

戦況は変化する。こちらが手薄になったら、敵陣を<穿つ>。”

なるほどな……!そうやって、多方面から攻めていくってわけだ。

”ようやく飲み込めたか?”

説明が足りてなかったっての!

”体で理解するのが一番だ。次の目的地へ向かうぞ。”

はい!

(待っててくれよ……姉ちゃん……!

嘘、なんだろ……!?)



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story25 山だ



山だ。

……見ればわかるわ。

理解した。俺たちは、この島を取り囲む断崖絶壁をぐるりと乗り越え、背面から本陣を突くんだな。

この島を取り囲む山々は天然の要塞……

ここから攻められるなんて思っていないでしょうからね。

油断は禁物じゃ。狼煙一つでオジャンになる、脆い作戦でもあるでのう。

お粗末ね。

憎まれ口を叩くでない。だからこそ、完遂すれば虚を突けるというもの。

別働隊が気を引いてくれとるうちに、迅速に進むのじゃ。

別動隊……飛行島の皆も動いているんだったな。

そうじゃ。カティア、連絡を密にの。戦況に変化があったらすぐに教えとくれ。

わかってますって、先生。

あなたたち、隠密行動は出来る?

音を立てないことは得意だ。

……ならいいけど。

さて、奇襲部隊に突出は禁物じゃ。

一定の速度以下で進むぞい。今日はこの山で野宿じゃな。

……野宿……

鍋を作ろう。

はぁ!?何よあんた!?

得意なんだ。



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story26 鍋だ




出来た。

野趣が溢れとるのう……

……食べれるんでしょうね?

鍋は万能だ。何を入れてもうまい。

だが、バナナだけは駄目だ。あれは全てを台無しにする。

知らないけど……まあ、においは悪くないか……

野草のスパイスを入れた。味には自信がある。

…………

何を考えている?

……仕事のことよ。

この作戦か?

これも、含めて。

そうだな。ここだけで終わるような小さなことではない。

……あら。

聞いた。

……何を?

<悪しき精霊>による子供さらい……そんなことが、この世界の裏で行われていただなんて。

俺はのうのうとしていた。

知らないのも無理ないわ。一つの島だけで生きていれば、見えてこないことだもの。

島を出てからも、聞くまで見えていなかった。

……知った今ではどう?

おかしいと感じる。

おかしい?

人間は、無力じゃないはずだ。どうして<闇>を止められない?

向こうの方が力があるからよ。

ならば、対抗出来るよう、力を合わせればいい。

そんな簡単なことじゃないの。

その簡単なことが出来ないのが、おかしい。

現に俺たちは、力を合わせて共通の敵を討とうとしている。

これをみんなでやればいい。出来る方法を模索すればいい。

……あなたはトップには向いていないわね。

俺は戦士でいい。信じるもののために戦う。

それをどこまで貫けるかしら。

どこまでも。

……だといいけど。

さて、腹もくっちくなったで、明日の計画を練るとするかのー。

ルーグ、これってレシピあるの?おいしかったんだけど。

それは嬉しい。レシピはない。カンだ。

がっかりだわ。

ようやく仕事の話ね。で、どういう指示?

あそこに塔が見えるじゃろ?あそこからは、この島が一望できる……

なるほど。

どういうことだ?

あの塔は絶好の狙撃ポイントってこと。

そうじゃ。あそこを敵に押さえられとると、別チームの行動も見つかる可能性がある。

気づかれんよう、落とすんじゃ。

潜入なら任せて。で、その後は?

わしとカティアにかかれば、奴らにバレんように仕掛けするくらいワケないわ。

へえ、さすが科学者ね。

天才、をつけてくれるかしら?

この世に天才はいないわ。

はぁ!?

いるならどうして苦しむ子供がいるの?

研究してる分野が違うのよ。

そんなものに意味が?

……ファルファラ。つっかからないでくれる?

今はまだ達していなくても、未来の世界のために、科学者は研究してるんだから。

……そうね。ごめんなさい。

あら……?素直じゃない。

必死なのよ。……一人じゃ何も出来ないこと、頭ではわかっているから。

……ふむ。

作戦決行は早朝じゃ。それまで見張りを立て、順番に休息をとるぞい。

わかった。夜目なら利く。未明を担当しよう。


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story27 その頃、町の要所では



……けんもんってヤツ?

さて、どうしたもんでしょうね。ここを通らなきゃ、王宮には行けませんが……

招待状でも見せればいいんじゃないの?

見てくださいよ、連中を。

たいそう殺気だってますよ。イケると思います?

イチャモンつけられそうねぇ。

じゃあ、こっそりと通り抜けましょう。

……アイディアは浮かんでないですけど……

私が一肌脱ごう。

犬の私かワンと鳴く。すると連中そちら見る。見てる間にサッと行く。

ヘンなリズムでしゃべるわねぇ……

急に思いついて。

犬に気を取られては、見張りにならないと思うが。

ム!いいところに目をつけるではないか!成長したなぁ!

でもそれが――犬と猫だったら?

変わらないだろ。

伏せろ!

銃撃!?どこから!?

隠れろ!


…………

……


……せまい……!

贅沢言えませんや。丁度よくあった廃墟に感謝しましょうよ。

せまぁーーーーい!

しーっ!見つかっちゃうから!

あはは♪冗談よ♪

(じょ、冗談って……!)

キャトラはとんち小坊主だな。

ちょっと!レディよ!

褒めたのだ。

ありがと!

……どうする?

ここは……仲間を頼ってみましょうか。



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