タイキ・思い出

タイキの思い出とボイス

思い出1

タイキ

俺、タイキっつうんだぁ。

よろしくなぁ。

クワを担いだ男が、

なまりのある口調で言う。

タイキ

で、おめら、畑、どこだ？

アイリス

え……？　畑？

タイキ

んだ。畑耕すんが、俺の仕事だぁ。

アイリス

畑なら、確かヘレナさんが趣味で

作っていたのが、

向こうの方に……

タイキ

おお、そっかぁ、ありがとなぁ。

タイキ

じゃ、ちょっくら行ってくるべさ。

実直にうなずいて、

タイキは歩き去っていく。

キャトラ

はー……

なんか、仕事一筋、って感じねぇ。

思い出2

タイキ

おう、おめら。元気かぁ？

アイリス

はい。タイキさんは？

タイキ

おう、この通りだぁ。

キャトラ

すごい筋肉よねぇ～。

タイキ

野菜と米と肉ぅ食って働きゃ、

こうなるべさ。

タイキ

アイリスは細すぎだべ。

野菜、食うか？

アイリス

いいんですか？

ありがとうございます！

キャトラ

……

キャトラ

だ、大丈夫よね、

主人公。

キャトラ

タイキの野菜食べたら、アイリスが

ムキムキになったりしないよね！？

ね！？

思い出3

タイキ

よいしょ、っと……

タイキが、手押し車にたくさんの

野菜を載せて運んでいる。

アイリス

タイキさん、収穫ですか？

タイキ

んだ。採れたもん、

分けてもれぇてなぁ。

ふるさとに送るんだぁ。

アイリス

ふるさと？

タイキ

俺の育った農村だぁ。

キャトラ

そういえばアンタ、

どうして故郷を出てきたの？

タイキ

出稼ぎだぁ。

ここなら、戦って金もらえるし、

農作業もできて、一石二鳥だべ。

アイリス

出稼ぎ……お金が必要なんですか？

タイキ

まあなぁ.……俺の村、

ちっと貧乏でよぉ。

税を払えねぇんだぁ。

タイキ

このままじゃ、領主に何されっか

わかったもんじゃねぇべ。

タイキ

だから俺、出稼ぎに来てんだぁ。

生まれた故郷、守りてぇからよぉ。

思い出4

タイキ

む……

タイキが、トウモロコシを手に、

うなっている。

キャトラ

なぁに～？

トウモロコシ、苦手なのぉ？

タイキ

いんや、大好物だぁ。けんど――

ちっと思い出しちまってよぉ。

タイキ

ウチでよぉ……大事に育ててたんが

家出しちまってなぁ。

タイキ

今、どこさ

ほっつき歩いてんだかなぁ……

キャトラ

ええっと……犬か何か？

タイキ

いんや。トウモロコシの話だぁ。

タイキ

元気かなぁ……

思い出5

タイキ

……どういうことだべか。

タイキが唖然と立ち尽くしている。

キャトラ

タイキ？　どうかした―――

うっわぁーっ！？

タイキの周囲に、野菜たちが――

ずらりと並び立っている。

ピーマン、ダイコン、ニンジン、

タマネギ、ゴボウ、レタス――

色とりどりの野菜たちが、

タイキを取り囲んで、

腕組みをしている。

キャトラ

……って、なんで、

野菜が腕組みしてるわけぇ！？

アイリス

足も生えてる……

タイキ

た、助けてくんろ！

主人公！

タイキ

いきなり野菜たちが来てよぉ……

俺を掴んだまま、

なんも言ってくれねぇんだぁ！

キャトラ

無言で野菜に取り囲まれるって、

ちょっとしたホラーよね……

アイリス

いったいどうしたのかしら……

タイキ

俺、なんか悪いこと

したんだべか……？

思い出6

タイキ

なんだぁ……？　こりゃあ？

お天道さまみてぇに、

あったけぇ光だぁ……

タイキ

おまえのかぁ？

主人公……

たまげたなぁ……

その時――ルーンの光を受けて、

野菜たちが輝きを放った！

タマネギ

タイキ……

タイキよ……

タマネギ

我は大地の女神……

今、野菜たちを通じて

おまえに語りかけている……

タイキ

大地の……女神……！？

キャトラ

……語りかけるだけなら、

野菜に手足生やす必要なくない？

ダイコン

村と野菜を想うおまえの心意気、

深く感じ入った……

ニンジン

我にとっても、あの村は居心地の

よい場所だ……

ゴボウ

重税をかける悪い領主は、

野菜の兵隊たちに命じて

こらしめておいた……

レタス

だからタイキ。

金のことなら案ずるな。

ピーマン

おまえはおまえの望むように

たくましく、生きてゆくのだ……

その声を最後に、

野菜たちは動きを止めた。

アイリス

タイキさん……

これでもう、出稼ぎをする

必要はなくなったんですね。

タイキ

……いや、もうちょっと、

ここで働かせてもらうべ。

タイキ

女神の声を聴けたのは、

主人公のおかげだぁ。

だから、恩返しがしてぇんだべ。

言って、

タイキは太い笑みを浮かべた。

タイキ

そういうわけでよぉ、

主人公！

またうまい野菜食わせてやるべ！

キャトラ

ていうか……

そこに転がってる野菜たち、

手足生えたままなんだけど……

ボイス

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