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羊肉泡饃・物語

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一 満天の星・壱

◆主人公【男性】の場合◆

(逆の場合の差分は募集中)

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青団子

「めぇぁ~めぇぁ~」


「メーメー」


青団子

「うふふ~ひつうじさんたちが青に合わせて歌っていますよ~

 みんな嬉しそう、青も嬉しいです~」

「小旦那様、羊兄さん~

 青とひつじさんたちがそちらに行きますよ~」


羊肉泡饃

「はは! 青、あんまり遠くに行かないでね!」

「○○、歩き疲れたか? 水を飲まないか?」

「おい! 万象陣のおかげで、ひつじさんたちが戻って草を食べることができたんだ。ここのムラサキウマゴヤシが大好きなんだよ!」


片児川

「おい! そんなところでイチャイチャするのはやめろ!」

「羊頭児、前に言ったとおり、キミの家はこの近くか? 早く連れて行って休ませてくれ!

 北の麺類研究のためでなかったら、ボクもついてきて苦しむことはなかった!」


羊肉泡饃

「おれの家って、ここにあるんだよ!」


片児川

「目が見えないと思ってるの?

 ここは木と草ばかり、あとキミの羊たち。どこに家屋が?」


羊肉泡饃

「家屋なんて持ってないよ!」


片児川

「はぁ? こんなに長い間ここで暮らしてて、まともな屋根すらないってのか? なんてみすぼらしい!」

「曲がりなりにもキミは食魂だぞ!

 金銀財宝を手にしろとまでは言わないが、せめて羊肉泡饃を売ったり、チェーン店ぐらいは出せるはずだろう!」


羊肉泡饃

「みすぼらしいか? おれは気に入ってるんだけどなぁ…」

「ほら! 空が屋根で、草地が寝床だ、おれの家はこーんなにでっかいんだぜ!」


片児川

「はっ! そうやって自己満足に浸っていればいいさ!

 こんな生活…」


【選択肢】

・水筒一つに、鞭一本、一日中羊たちの放牧かぁ。

・ロマンチックでいいですね。

選択肢

水筒一つに、鞭一本、一日中羊たちの放牧かぁ。

羊肉泡饃

「そうそう! ○○の言う通りだ、難しい事考える必要もない自由気ままな生活さ!」

「おれはこういう生活が性に合ってるし気に入ってるぜ!」

ロマンチックでいいですね。

羊肉泡饃

「なんか○○にそう言われると、ちょっと照れるけどな!」

「ロマンチックではないと思うけどな、まぁロマンチックが何なのかよく分からないけど!」

「ただおれは、こういう難しい事考える必要もない自由気ままな生活が気に入ってるんだ!」

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片児川

「ふん! いつかキミが金銀財宝を手にするようになったら、そんな考えも消えるよ!」

「まぁ、そんな大金を目にする日なんてキミには来ないだろうがね!」

「もういい、そのあほ面に何を言っても無駄みたいだな…

 ボクはむこうで休んでるよ、用がないなら近づかないでくれよ!」


羊肉泡饃

「○○、おれたちもあっちで休もうぜ!

 どっかで日向ぼっこしながら昼寝でもどうだ?」




羊肉泡饃

「う~ん、ここはいまいちだな…」


羊肉泡饃

「こっちもだめだな…」


青年は独り言を言いながら、こっちで横になったり、あっちで寝てみたり、一体なにをしているのだろうか。

ようやく、一か所の草地の上で横になった時、彼の顔が満足げにほころんだ――


羊肉泡饃

「へへ! ここだな!」

「○○、きみはベッドで寝慣れてるから、いきなり草地の上で寝るのは慣れないだろ!

 だからおれが色々寝比べて、一番柔らかい所を見つけておいたぜ! 全然チクチクしないから!」

「こっちこっち~」

【選択肢】

・じゃぁお言葉に甘えて。

・餃子みたいな動きだったよ。

選択肢

じゃぁお言葉に甘えて。

羊肉泡饃

「どうだ? スプリングマットレスと比べてどっちが柔らかい?

 実をいうとな、おれ初めてスプリングマットレスっていうので寝た時、体ごと沈んじまって、あれにはびっくりしたぜ!」

「てっきりマットレスの中に万象陣がついてて、おれをどっかに吸い込んじまうのかと思った!」

餃子みたいな動きだったよ。

羊肉泡饃

「言われればそうだな!餃子の爺さんが食魘をいびる時に似てるかも!」

「くっ……」

「って、ごめん! ○○の事を食魘だと言ってるわけじゃないぜ!」

「きみみたいにキレイな食魘なんているわけないもんな!」

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羊肉泡饃

「……」

「○○、もっと近くに来いよ! きみと話がしたいんだ!」

「知ってるか? 片児川はおれが金銀財宝なんか持ってないって言うけど、実は持ってるんだぜ!」

「きみの目の前に広がる太陽に照らされた丘、そこに生い茂る草たちはみんな黄金に輝いてるだろ!

 へへ! それがおれの金銀財宝の金さ!」

「そんで、夜の帳が降りて、星たちが昇るとな、おれたちの頭上には宝石よりも光り輝く灯が瞬くんだ…」

「そして星の光に照らされた丘は、今度は美しい銀色になる、まさしく金銀財宝の銀だ――」

「そうだ! ○○、夜になったら、一緒に丘の上で星を見よう!

 空桑にいた時も、よく一緒に星を見に行っただろ?」

「ここの星と空桑の星、どっちが明るいか比べてみようぜ!」


午後の風が草地を撫でる。

寝そべった所の草はとても柔らかく、太陽の光で熱され、芳醇な甘い香りを漂わせていた。

そよ風と、風に交わる若草の香り、それらが青年の声と共に、暖かい流れになって穏やかに押し寄せて来る。心と体に浸透し、とても心地が良い……






???

「羊兄さん、小旦那様~早く起きてください~」


???

「寝ながら死んだか? 永眠させてやろうか?」


???

「ちょっ!川兄さん、な、なにをするんですか!」


???

「めぇぁぁーーーー!!」


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二 満天の星・弐

◆主人公男女共通◆

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片児川

「うー!!」

「おい…コイツは羊と長く居過ぎたせいで叫び声も羊になってしまったのか!

まったく…こっちが驚いたじゃないか!」


「っゴホン!起きたか?」


羊肉泡饃

「あれ?児川の旦那だったのか!」

「っう!いってぇ!確か夢の中で○○と丘の上で星を眺めてて…

そんで流れ星がおれの頭に落ちてきたんだ!」


【選択肢】

・流れ星よ~片児川の暴力的な性格が治りますように~

・夢じゃなくて本当のことですよ!

選択肢

流れ星よ~片児川の暴力的な性格が治りますように~

片児川

「なんだと?」


羊肉泡饃

「う……そうだ!流れ星にお祈りできるんだよな!

じゃぁおれは、○○とずっと一緒にいられますように!」


青団子

「小旦那様、羊兄さん、あれは本当の流れ星じゃなくて~

児川兄さんが投げた石なんですよ~」


夢じゃなくて本当のことですよ!

羊肉泡饃

「マジで?でもこんな真昼間に、どこに星が見えるんだ?」


青団子

「羊兄さん、小旦那様が言いたいのは、頭を打たれたのは本当だっていう意味ですよ~

児川兄さんがあなたの頭めがけて石を投げたんです~」


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羊肉泡饃

「ええ?そうだったのか!」


片児川

「おい、羊頭児、こんなところで○○と頭を頭をくっつけながら仲良く寝やがって……

どうりで起きたがらないはずだよなぁ?」

「○○、何故ボクを睨むんだ?コイツが死んだ羊のように眠りこけているのが悪いんだろう!

ボクがありったけの声で叫んでも、まったく起きなかったんだからな!」


羊肉泡饃

「児川の旦那、どうしたんだ?なんでそんなに怒ってるんだ?」


青団子

「先ほど官吏のお兄さんが訪ねてきてですね、児川兄さんがてっきり自分に会いに来たんだと勘違いして、

その人と握手をしようとしたんですよ、それで――」

「もごっ!」


片児川

「大人の会話にガキが口をはさむな――」

「ごっほん!」

「キミ何かよからぬ事をしでかしたんじゃないだろうね?

でなければ、どうして官吏がキミを探してるんだ!」


羊肉泡饃

「え……あいつまた来たのか?」


【選択肢】

・その言い方、知っている人なんですか?

・羊頭児は品行方正で善良な青年です!

選択肢

その言い方、知っている人なんですか?

羊肉泡饃

「ああ!多分知ってると思う!」

「いや、そこまでしっているわけでもないか…

以前おれを訪ねてきた人で、街の官吏だって言ってたんだ!」

「でも具体的に何の官職か忘れちまった…てへ!」


羊頭児は品行方正で善良な青年です!

羊肉泡饃

「へへ!○○の言う通り、おれはいたって真面目な羊飼いだ!よからぬ事なんて一切してない!」

「あいつは街の官吏だよ、官職は忘れたけど…

以前おれを訪ねてきたことがあるんだ、捕まえに来たとかじゃないぜ!」


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羊肉泡饃

「なんでもおれを東京へ連れて行って、金銀財宝を与えて、でっかい家に住まわしてくれるって言ってたな!」


青団子

「えええ?」


片児川

「なんだと!?一体どういうことか説明しろ!」


羊肉泡饃

「ええと、ちょっとばかし長くなるぜ!何年も前の話になるんだけど――」



羊肉泡饃

「ほえ~!長安の街は賑やかだなぁ!でもやっぱりおれは木や草がないとだめだな!

ひつじさん、きみもそう思うだろ?」


「メーメ―」


羊肉泡饃

「ひつじさん、何処に行くんだ?」



男性

「うぅ……」


羊肉泡饃

「あれ?街角で誰かが倒れてるぞ?大丈夫か…おい起きろ!」

「まさか病気か?ひつじさん、この人を医館へ連れて行かないと!」


男性

「私は大丈夫です……ただ、もう何日も食べ物を口にしておらず、力が出なくて……」


男は端正な顔立ちをしており、みすぼらしい衣服を着ているが、しぐさからは気品が漂っている――


羊肉泡饃

「そうだったのか、びっくりしたぜ!」

「あそこまで連れて行くから少し休んでな、おれが何か食べる物探してくるから、待ってろよ!」



羊肉泡饃

「温かいスープと饃を持って来たぜ!

あ…饃が冷めちまってるな、ちぎってスープに浸して食べな!」


熱々のスープと饃を口にして、男は少し回復したようだ。手にしたお椀を眺めながら、何かを考えている……

暫くして、ようやく顔を上げた男は、感謝の眼差しで羊肉泡饃を見つめ――


男性

「今日の御恩は一生忘れません!

何時の日か私の願いが叶い、成功を収めたなら、必ずや恩返しに参ります!」


羊肉泡饃

「ええ?気にしなくていいって!

大したことしてないしさ!」

「悪い人じゃなさそうだから助けたんだ、恩返しして欲しいなんて思ってないから!」


男性

「あ……」


「メーメ―」


羊肉泡饃

「どうしたひつじさん、もう家に帰りたいのか――」

「おれのひつじさんがそろそろ帰りたいみたいだ、じゃぁここでお別れだな!」


男性

「はい……ありがとうございました。」



羊肉泡饃

「それで、その後本当に夢が叶って、功を成して、東京で大物になったらしいんだ!」

「へへ!具体的にどんな偉い人になったのか分からないけどな…

でも近くの街の官吏たちはその人の命令に従ってるみたいだ。現におれを東京につれて来いって命令された官吏が来てるからな!」

「これがおれに起こった出来事だ……多分全部伝えられたはず!」


「メーメ―」


羊肉泡饃

「うんうん!ひつじさんもそうだって言ってる、間違いない!」


片児川

「ボクの言ったことが現実になるとは…

昼に金銀財宝のことを言ったばかりなのに、もう実現したじゃないか!」


青団子

「違いますよ~児川兄さんは、羊兄さんがそんな大金を目にする日なんて来ないって言ったんですよ~」

「でも、もし羊兄さんが東京へ行ったら、青たちと空桑には帰れなくなっちゃいますよね?」


片児川

「……。」


青団子

「どうしたんですか?児川兄さん、変な顔して。

もしかしてそこまで考えてなかったんですか?」


羊肉泡饃

「○○、そんな顔でおれを見るなよ!誰も東京に行くなんて言ってないだろ!」

「でも、確かにあの官吏に会っておかないとな……」


片児川

「ふん!行かないと言っておきながら、やはり内心は良い気分なんじゃないか?とんでもない棚ぼただな!

金と名声が用意されているのに、受け取らないのはバカのすることだ!」


羊肉泡饃

「違うって!おれはただあの人にもう来ないでって伝えたいんだ!おれのせいで何度も街から往復させるのは心苦しいだろ!」


片児川

「はっ…ははは!羊頭児、キミは本当に頭がおかしいみたいだな!」

「好きにしろ!官吏でも何でも勝手に会いに行けばいい!

あそこの木の下で待つように言っておいたからな!」


半時辰後


羊肉泡饃

「みんな!ちょっとあの官吏と長安の街まで行ってくる!」


片児川

「なんだって?

何をどうしたらキミの考えがそんなにコロっと変わるんだ!」


羊肉泡饃

「いや、考えを変えたわけじゃなくて…ただ長安行って帰って来るだけだよ!」

「先に近くの村で休んでてよ、何日かで帰ってくるから!」

「おれが食べ物をあげた人、どうやらわざわざ東京から長安までおれに会いに来てるみたいなんだ。」

「そんな遠くから来てもらってるのに、おれが会わなかったら失礼だろ?」


片児川

「は!見かけによらず、随分と律儀なんだな?」


青団子

「羊兄ちゃん、早く帰って来てくださいね!」


羊肉泡饃

「安心しな、青!すぐに戻るよ!だって――」

「○○と一緒に星を見るって約束したからな!」

「待っててくれよな、○○!」


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三 満天の星・参

◆主人公【女性】の場合◆

(逆の場合の差分は募集中)

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青団子

「今夜の星もいっぱいで綺麗ですね~」

「あれから何日も経ってるのに、ここの星たちは毎晩とても綺麗です~」

「でも何時になったら羊兄さんと一緒に見れるんでしょう~」


片児川

「静かにしろ!ガキ、うるさいぞ!」


青団子

「ううぅ、児川兄さんは羊兄さんのこと心配じゃないんですか?」

「青たちと約束しましたよね、お話するだけだって……

まさか本当に東京へ行くことになって、もう戻ってこないなんてこと無いですよね?」

「青、お偉いさんになるkとがどんなに凄い事なのか分からないけど、けど…けど…」


片児川

「……。」


【選択肢】

・きっと帰ってきますよ。

・……

選択肢

きっと帰ってきますよ。

青団子

「……。」

「うん!青、小旦那様と羊兄さんのこと信じてます!」


片児川

「はっ!あんなバカ頭、間違っても富や権力に興味が湧くなんてことあるはずがないさ!」

「むしろ帰り道で何かあったのかもしれんぞ、羊共々煮込まれたとかな!」

「○○、なんでまたボクを睨むんだ?」

「まったく!あんなに大量の羊を引き連れてるんだ、その中一匹の頭突きでも受けてみろ、くたばるのは悪者の方に決まってるだろ!」


???

「へへ!○○、児川の旦那、青、安心しな!

おれは無事だし、ひつじさんたちも無事だぜ!」


……

青団子

「うう~小旦那様黙ってないで何か言ってくださいよ~」

「羊兄さんは必ず帰って来て、青たちと空桑に帰ります!

そうですよね、小旦那様!」

「え?小旦那様、今誰かこっちに来てるって言いましたか?」


???

「へへ!○○は耳が良いな、せっかく驚かせようと思ったのに!」


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片児川

「その声は――」


青団子

「羊兄さん?羊兄さんが帰ってきた!」


軽快な笑い声と共に、木々の間から引き締まった体の青年が、雪のように白い羊の群れを引き連れて現れた。

少しの間しか離れていなかったのに、こんなにも懐かしい顔を、星から降り注ぐ銀色の輝きが照らしだす――


羊肉泡饃

「まったく、きみたちを置いて行くわけないじゃないか?」


青団子

「小旦那様、本当に羊兄さんですよ!帰って来たんですね!」


羊肉泡饃

「へへ!青おいで、高い高いしてやるぞ――」


青団子

「わ~高い高い~」


片児川

「……おいおいおい!こっちに来るな、ボクは結構だ!」


羊肉泡饃

「じゃぁ○○、おれたちもハグしようぜ!」

「ひゃっほ――い!!」

「やっと帰ってこれたぜ、嬉しいなぁ!」


正面から駆け寄ってきた青年に抱きかかえられる。懐かしい青草の香りに囲まれ、視界いっぱいに広がる星たちが楽しく回る二人の間でシロップと蜂蜜のように甘くとろけていく……


青団子

「ううぅ~羊兄さん、なんでこんなに帰りが遅かったんですか~」


片児川

「まったくだ!一体何処をほっつき歩いていた?

おかげで毎日このガキが心配してぐずるから、ボク一人で空桑へ帰ろうかと思ったよ!」


羊肉泡饃

「あの人としっかり話して、おれの言いたいことを全部伝えたんだ!」

「わざわざ会いに来てくれたのは凄くうれしいけど、」

「あの時助けたのは、悪い人じゃなさそうなのに、あんなに苦しんでいるのを見ていられなくて。

別に東京へ行って偉くなりたいとか、お金持ちになりたいとか思ってないってな!」

「今の生活と比べたら、そんな暮らし窮屈すぎるだろ!」

「本当は、もっと早く帰れたはずなんだけど、その、うっかり…」

「へへ!一番お気に入りのひつじちゃんとはぐれちゃってさ!」


青団子

「あれ?」


片児川

「なんだと?結局はそういうことか!」


羊肉泡饃

「二日かかってようやく見つけ出したんだぜ!」


片児川

「ふん!バカな飼い主にはバカな羊がお似合いだな!」


「メェ~!メェ~!」


片児川

「いって――!!」

「こんのっバカ羊!ボクを角で小突きやがって!」


羊肉泡饃

「へへ!怒るなって、ひつじさん!

元はと言えばおれたちが悪いんだから、○○たちに心配かけさせちゃったな!」

「もう勝手にどっか行っちゃだめだからな!」


「メェ~」



青団子

「……。」


片児川

「スー……スー……」


夜が更け、羊に寄り添いながら片児川と青団子が眠りについた。

そんな二人に羊肉泡饃が優しい手つきで毛布をかける――


羊肉泡饃

「○○…児川の旦那と青は寝ちまったみたいだ、ひつじさんたちも寝てる…

きみは起きてるのか?」

「へへ!子羊みたいに目がまんまるだな!

まだまだ眠くなさそうで良かった!」

「ほら!今晩の星空はひと際輝いてる気がしないか、すっげー綺麗だ!

まるで今日おれが帰ってきて、きみと一緒に星を見ることを知ってるみたいだ!」

「もし本当にそうなら、星たちにお礼を言わなきゃな!

ありがと――!!」


体の任意の位置に触れる

触れ合い

頭に触れる

羊肉泡饃

「ひゃあーっ!!」

「え?おれの頭に草がついてるって?」

「さっき急いでたからついちまったのかな?

へへ!全然気づかなかったぜ!」


体に触れる

羊肉泡饃

「あれ?もしかして眠たくなった?

眠いならおれの肩かしてやるよ。」

「ん?眠くないって?その角度で見た方が星が綺麗に見えるのか?」

「……きみが構わないなら、好きなだけ寄りかかっていいぜ!」


手に触れる

羊肉泡饃

「ん?おれがまた何処かに行くんじゃないか心配だって?安心しな、もう何処にも行かないよ!」

「わ、きみの手冷たいな……」

「せっかくだから温めさせてよ!」


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羊肉泡饃

「……。」

「…へへへ!」


羊肉泡饃

「んっ…ううん…」


羊肉泡饃

「わっ…ごめん!つい大声で笑っちまった!」

「あまりにも嬉しくて……離れてた間、ずっときみとの約束を考えてたんだ、ずっと会いたかった!本当に、会いたかったんだ、想像しているよりももっと!」

「ほら見て――」


そう言って、青年は濃い藍色のビロードのような天幕に手を伸ばし、まるで光り輝く星の粉を掬い上げるように手を動かした。

そんな満天の星空の下、私たちが座っているここも、青年が言うように、純銀の世界へと変わっている――


羊肉泡饃

「おれにはこんなに綺麗な宝物が沢山あるんだ……」

「たとえ金銀財宝の山を十個積まれようが、絶対について行くもんか!」

「それに、その宝物よりも、何千倍、何万倍と大切な宝物を見つけたしな!」


そう言って彼はこちらを覗いてくる。銀河から降り注ぐ眩い光が、すべて彼の瞳に吸い込まれたかのようだ……


羊肉泡饃

「その宝物は――」


名前も知らない草花を夜風が鳴らし、馨しい香りが幻想的な光景に彩を添える。

二人は静かに身を寄せ合い、無限に広がる天幕に散りばめられた輝きを数えていた――

一粒一粒の星はどれもが輝く珠玉であり、慈愛に満ちた瞳のようでもあった。

だがその場で最も輝いていた物は、知らず知らずのうちにきつく重なり合った二人の手のひらに隠されていて。

そして、最も慈愛に満ちた眼差しは、傍で微笑むあなたの瞳……



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