子推燕・手紙

最終更新日時 : 2020/11/28 17:43

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半分風雅

主人公名：

　　若殿が私のために、わざわざ作ってくださった小屋に引越しした。すごく住み心地がよいです。本当にありがとう。でも私の入り方が悪かったせいか、翼がドアに挟まれたまま、今朝気付いたらもう濡れちゃった……

　　ああ……翼の整理は本当に面倒くさくて……この翼の存在意義が分からないなぁ……

子推燕

主人公名：

　　若殿が、私のために昼夜なしに滅び方法の本を探していると聞きましたよ……ああ、私に申し訳ない気持ちは持たなくて大丈夫です。私は強い願いから生まれて、その願いが散るまで滅びることはありません。それはもう、わかっていることです。

　　若殿とここに戻ったのは……他の理由がありますから。あんまり気にしなくてもいいですよ。

子推燕

主人公名：

　　隠居し山にいたとき、人間が奏でる音楽を聞いたことがあります。

　　綿山では笙と古琴で奏でた仙楽を聞きましたよ。今ではさほど意味をなさない行事でよく使われる楽器ですね。生演奏は、とても気持ちが落ち着きますね。

　　若殿の声にも同じ効果があります……ああ、もしかしたら私は滅びかけているのかもしれません。そう思ったら思考がだんだん薄れていきそうで……

子推燕

主人公名：

　　若殿だけでなく、龍井蝦仁も私がいなくなるのを心配しているみたいですね。ただ、滅びを追う道すがらにも……まだ心残りはあります。

　　ふぅ……永遠の命を持つと、確と見えないものが増えていきます。それは、私も逃れられないでしょう。

子推燕

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