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屠蘇・物語

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最終更新者:皮蛋納豆丼

一 妙手回春・壱

◆主人公【女性】の場合◆

(逆の場合の差分は募集中)

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寒流が西北から来襲したおかげで大雪が降りしきり、羽毛で作られたような厚い布団が大地にかかった。


???

「へ、へっくしょん──」


「ヘックション──クション──クション──」


静かな冬の夜に、小さなくしゃみの音が空桑に響きわたった。


空桑天町の懸壺横丁には二軒の医館が並んでいる。前の一軒は「良薬は口に苦いけれど病に効く」の旗を掛けているが、屋敷の門前には雀羅を張るほど人が少ない。


もう一軒は開いたばかりで、庭には薬草が勝手に伸びている。屋敷の内装も主によく似た峻厳な雰囲気だ。庭に一歩でも踏み入れば、主の「無関係者立ち入り禁止」の禁令を犯した気分になってしまう。


ラジオから流れる音楽だけが、この医館に生気を添えている。


しかし──


かにみそ湯包

「おいおいおい!列に割り込むなよ、おれのほうが先に来たんだか…ヘックション!」


煲仔飯

「割り込んだわけじゃないよ・・・ぐぅぐぅ・・・寝てたら勝手に転がってきてただけで・・・ヘックションZzz・・・」


かにみそ湯包

「くそ、おれの前にまだ四五十人もいるじゃんか。診療してもらうだけなのに、ヘックション!なんでこんなに時間がかかるんだ!!」


年年有余

「受診手続が実に面倒臭い〜長い列に並ぶのが辛気臭い〜何時間も待たなきゃ〜呼ばれるまでずっと待たなきゃ〜♪︎」

「あれ、若くんじゃないですか?あなたまでインフルエンザにかかってしまわれたのですか?」


【選択肢】

・皆も病気なの?

・どうして餃子の医館に行かないの?

選択肢

皆も病気なの?

年年有余

「若くん、ご安心ください!僕は丈夫ですから、インフルエンザなんかに負けませんよ!」

「僕は空桑テレビ局「食魂直通車」の番組に頼まれて、只今食魂の厚生福祉状況について取材をしていたんです!」

「では、こちらへ!カメラマンの年糕さん、カメラをこっちに向けてください!よし、続けますよ──」


どうして餃子の医館に行かないの?

年年有余

「おやおや、このお方は流石に言うことが違いますね!その通りです、何故このお屠蘇医館だけが空桑の食魂達にこんなに愛されているのでしょうか?」

「では、この僕がテレビの前に座って厚生福祉番組「食魂直通車」をご視聴中の皆様に答えをお伝えしましょう──」

「コホン、カメラマンの年糕さん・・・もう少し上に上げてもらえますか?涎を垂らしている煲仔飯は映さないで頂けると助かります・・・」


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年年有余

「インフルエンザは、冬と春によくある伝染病の一つです。今週の寒流によって、空桑の食魂の発症率は23.33%まで上がりました。開業したばかりのお屠蘇医館の前には御覧の通り、長い列が並んでいます!」

「では!僕がテレビの前の皆さんに代わって、患者達のお話を聞いてみますね──」


屋敷の外はとても賑やかで、医館の中のラジオが既に止まったことには誰も気づいていない。


かにみそ湯包

「なんでこっちに来たかって?皆がこっちに来てたから、皆について来ただけだよ!餃子さんの漢方薬が苦くて飲めないなんて思ってない!」


煲仔飯

「あ〜ぐぅぐぅ・・・新しいお医者さんは・・・死んだ人も甦らせるらしいから・・・どうしても試したくなってZzz・・・」


蜜汁叉焼

「ぼくもぼくも!叉焼にも言わせて〜」

「わかさまがね、お屠殺のお医者さんが消えそうだって言ってたの!そうしたらせっかくの医術がもったいないから、助けに来たんだよ〜」


屠蘇

「・・・・・・。」

「お屠殺・・・」

「おい、誰がお屠殺だって?!」


暖簾が力強く退けられ、「バン」と音を立てて壁にぶつかった。その影から飛び出してきたのは、爆発寸前の火山のようなお屠蘇の顔だった──


屠蘇

「ああ、なんて愚かな朝なんだ。オレの名前も覚えられないような相手が、オレの機嫌を取りに来たとはな!」


蜜汁叉焼

「うわぁ!こっ、怖い・・・叉焼怖いよう・・・うぅ・・・」


煲仔飯

「かっ、彼が新しく来た死人をも蘇らせる神医・・・?」


屠蘇 

「ああ、オレだ!」

「そんな君は誰なんだ?寝言でもくしゃみが出るほど熱があるのに、入り口で何をもたもたとしている?」

「ははは!まるで零下35度の川に全裸で入って泳ぐような間抜けだな!」

「何を睨んでいる!オレと同じくらい厳しい顔をすればオレに親切にして貰えると思ったら大間違いだ!自分の体調もきちんと管理出来ない奴は、まさか甘い薬湯を飲んで病気が直せる妄想でもしているの」


彼は唐突に薬の包みを取り出して、かにみそ湯包のフード帽子に投げ入れた。


屠蘇

「ここで医療資源を浪費する精力があれば、その薬用入浴剤で風呂にでも入ってこい。中には説明も書いてある。不機嫌な面とツンデレ病にもよく効くからな。」


かにみそ湯包

「・・・うぅ!」


煲仔飯

「ぐぅぐぅ・・・カニくん、どこに行くの・・・」


年年有余

「ええー、以上!本日の「食魂直通車」の朝取材でした!視聴者の皆さん、またお会いしましょう~!」

【選択肢】

・君、彼らに厳しすぎるんじゃない?

・よく口が回ったね。ラップも歌えそう

選択肢

君、彼らに厳しすぎるんじゃない?

屠蘇

「厳しい?どこがだ?」

「これはオレの生まれつきの性格だ!オレは何をしても自分の心を素直に表すだけ。これが厳しいと言うのなら・・・オレに「優しい」時もあったのか?」

「○○、オレは普段君にや・さ・し・過・ぎ・たんだろうか?」


よく口が回ったね。ラップも歌えそう

屠蘇

「Oh hey、オレは医者だ神様じゃない。君らが病む宿命ならば、オレは治す役目を果たす。言うことが聞けないならオレは抗う──」

「何を楽しそうに聞いている。ああ・・・音痴にも限度がある!」

「オレは舞台に登ってふらふらするようなつまらないことには興味がないんだ!歌声が奴らを全員草薬にすることができない限り。そうすれば二度とオレを邪魔する奴が出てこないからな、本望だ。」


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そう言い終えると、お屠蘇は扉に掛けていた札をひっくり返し、その後ろにある三つの文字を皆に見せた──

「休業中」。


屠蘇

「気分が害された。今日は休業させてもらう!」

「君、君、そして君・・・入口の前から六十丈以上離れろ。その顔をオレの視界に入れるんじゃない。」


年年有余

「どうしてこうなったんです?こんな状況になるなんて思いもしませんでした。」

「海参が投資したテレビ局昼番組「1818葱々目線」がこの「医館事件」の続報を追い、必ず皆様に真実を伝えます!」


【選択肢】

・これ、連続ドラマになったの?

・お屠蘇、有名になるよ!

選択肢

これ、連続ドラマになったの?

年年有余

「若くんは知らないかもしれませんが、年末の空桑は一層平和になりました。今では原因不明の火災や、訳のわからない喧嘩に関するニュースもかなり減ってしまったんです。」

「せっかく「乱暴医者が患者を門前払いした」スクープが出たんですから、これを狙っている番組が殺到して、どこもいいネタを掴んで正月前に良い実績を出そうと腹を括っているんですよ!」

「しかし、お屠蘇さんがこんな風に患者を扱うと・・・お名に傷が付くかもしれません!若くん、彼にアドバイスしてみては如何でしょう?」


お屠蘇、有名になるよ!

屠蘇

「名誉だと?オレは医術を学び始めた頃からずっと有名だった。そんなもの、オレにとっては何の役にも立たない足手まといにすぎない。」

「なんだ?なぜ顔をしかめて頭を横に振る?○○、君はオレに──」

「何か文句でもあるのか?」


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年年有余

「おっと、若くんはこれ以上耐えきれないようです。彼女は一歩一歩屠蘇先生に近づき、足も段々速くなってきました──!」

「屠蘇先生は落ち着いた素振りをしていますが、その両手は車椅子をしっかり掴んで放しません。薬草たちが稲妻に打たれたように直立していることから、彼の緊張ぶりが完全に暴露されています。」

「双方が膠着していると、○○が何か黒いものを勢いよく屠蘇先生の懐に詰め込みました。それはなんと薬草の包み──」

「うぅっ?!」


屠蘇はその精神安定効果のある薬草の包みを年年有余の口に放り込んだ。余ちゃんは頬がパンパンになり、言葉を発せなくなる。


屠蘇

「○○、薬草の包みをくれたということは・・・」

「君も、オレは言動を控えるべきだと言いたいのか?」

「まあ、いい。」


屠蘇はそれ以上何も言わず、ただ車椅子を反転させ、ゆっくりと屋内へ戻った。

一方、隣の餃子医館には賑やかな笑い声が響いている・・・



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二 妙手回春・弐

◆主人公【女性】の場合◆

(逆の場合の差分は募集中)

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餃子

「おやおや、落ち着きなされ。次の薬剤はまだ出来上がっておらんぞ。」

「どれどれ・・・ほほう、この荊防敗毒散には黄連をもう少し入れといたほうがいいかのう。清熱効果を強化して・・・」

「はて?叉焼くん、煎じ薬がまだ残っているではないか。冷めたら効果がなくなってしまうし、二杯追加しないと病気は治らないぞ?」


蜜汁叉焼

「うわあ・・・二、二杯追加なんていやだ・・・」


煲仔飯

「おかしいな。今日の餃子の漢方薬・・・ちっとも苦くない!餃子さん、まさかようやく味改良の大切さがわかってきたんですか?」


かにみそ湯包

「う・・・一杯飲んだら熱も下がってきたようだ。黄連が二粒も入っていたけど、味はちょうどよかった。」


蜜汁叉焼

「ほんとだー!餃子先生、すごいね!この薬を飲んだらイライラしてた気持ちまで晴れてきたきがする!」

「餃子先生こそ真の神医だ~!これで叉焼はまた遊びに出掛けられるよ~!」


煲仔飯

「ふぅ・・・私も飲み終わったし、帰って一度ぐっすり寝たらすぐに治るでしょうZzz・・・]


餃子

「おい、待ちなされ──!」


餃子が急ぎ足で医館を出ると、そこには大股で遠くへ走っていく豚兜麦の後ろ姿しかなかった。門の外には塵が舞い上がっている。


餃子

「まったく・・・今年の寒波はいつにも増して激しいというのに、そんなにき気を抜いては根本的な解決にならないじゃろう。」


遠くへ消えていく彼らを眺めながら、餃子は己が書いた処方を手に、ただ仕方なく首を振った。


餃子

「この私が処方を改良するわけなかろう。「良薬は口に苦し」こそ私の看板じゃからなあ。」

「けど「気急げば毒火生じ、口に苦ければ燥気除き」ともいう。私の薬が飲めたのも、屠蘇のおかげなんじゃよ・・・」


雪が降ってから三日後


ようやく大地に日が射した。一尺ほど積もっていた雪が陽光の温度で融けていき、辺りには底冷えだけが残された。

雪でぬかるんでいた道には、淡い車輪の跡が崖の峠へ向かって走っている。


屠蘇

「まさか空桑にこんな薬漬けがいたなんて・・・オレの在庫まで尽きてしまった・・・」

「何日も例の患者たちにやられれば、餃子の薬倉庫もきっと堪えられない。薬の触媒を探しに出かける以上、いっそ他の薬草も一緒に採ってくるか・・・」


ふいに、彼の視線は崖の縁に止まった──

そこには赤い果実がなった低い植物が風の中に揺れている。


屠蘇

「やはり風雪を恐れない生き物だ。オレの師匠も長きにわたって君を探していた・・・」


彼は車椅子をゆっくりと滑らせ、崖から突き出た尖った先へと慎重に近づいていった。

もう少しでその薬草に届きそうになった時──

下から「グシャ」と聞こえ、左側の車輪か雪に陥り、車椅子が片側にぐらついた──


屠蘇

「しまった!」

「ここの積雪は・・・地面じゃない?!」


【選択肢】

・車輪を掴む

・屠蘇を引っ張る

選択肢

車輪を掴む

屠蘇

「何してるんだ、手が傷つくだろう!・・・オレの事は放っておけ、ここから早く逃げろ!」


屠蘇を引っ張る

屠蘇

「おい、よせ・・・近づくな!早く帰れ!」


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薄い積雪は二人の重量に耐えきれず、ギシギシと音を立てながら崩れ落ち、二人はまっすぐ崖の下へと墜落した──


屠蘇

「っ──!!」


屠蘇

「○○、起きろ・・・」


屠蘇は目覚めると、すぐ腕の中にいる人の様子を確認した。彼の髪には細かな雪がついており、小刻みに震えている。


屠蘇

「反応がないな。まさか怪我を・・・」

「青白い顔に遅くて重い脈。陽気が損なわれているし、血気も足りない・・・かじかんでいるのか。

この馬鹿は雪の中でどれくらい俺を覗き見してたんだ。」


彼はふかふかの防風フードを脱ぎ、付着した雪をパタパタ叩き落すと、相手の体をそっと包んだ。


屠蘇

「ふう・・・とりあえず手が温まるまで擦ってやろうか。」


【選択肢】

・彼と掌を合わせて詠春をする

・このまま気絶したふりをする

選択肢

彼と掌を合わせて詠春をする

屠蘇

「・・・・・・!?」

「○○、よくも騙したな?おい、オレの手をいじってどうする気だ──」


このまま気絶したふりをする

屠蘇

「脈拍が急に強くなってきた・・・おい、起きろ!」

「寝たふりをしていれば、君のせいで二人とも落ちたことを忘れるとでも思っているのか!」


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「まったく、優しくしてあげたのが間違いだった。本来なら、あの赤い果実を摘んでくれば駆寒の薬触媒にすることもできたのに。あの崖はもう百尺も高い・・・今となっては登れないな。」

「愚かな弟子だ。どう賠償してくれる!」


せっかくの霊薬を逃したせいか、それともまた別の理由か、彼は耳まで赤くなるほど怒っていた。

屠蘇は袖を振り払い、手すりの横にある薬草を何本も押しつぶして雪谷の奥へとまっすぐ進むが──

彼の背後では「ダダダ」という足音が寸歩も離れずぴったりと寄り添ってきている。


屠蘇

「どうして後をついてきた?あの日食魂を治そうとしなかったから、空桑の若としてお仕置きにでも来たのか?」

「それとも機会を伺って、これからはちゃんと診るように強権で服従させるつもりか?」

「たしかに君とは契約したが、診るかどうかを決めるのはオレの自由だ。誰にも干渉されたくない・・・ハクション!」

「ん?生姜の匂い・・・君が取り出した魔法瓶からか?」

「それはこの前オレが教えてやった寒さ避けの桂枝湯だろ・・・オレのためにわざわざ持って来たのか?」


【選択肢】

・一緒に薬草を採りたかっただけ

・風邪ひいちゃうんじゃないかと心配で

選択肢

一緒に薬草を採りたかっただけ

屠蘇

「・・・・・・。」

「なんだ・・・薬草不足で患者を拒んでいたことに気付いていたんだな。」

「強権で服従させることもなければ、正議論を掲げながら干渉することもない。ただ傍にいてくれるだけなんだな。」

「ありがとう。」


風邪ひいちゃうんじゃないかと心配で

屠蘇

「ふ・・・今まではオレが他人の病気を心配してきただけだったが、君のような存在は初めてだ。」

「・・・・・・。」

「オレが薬草不足で患者を拒んでいたことに気付いてたんだな。」

「どうもありがとうございます。」


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彼はその温かい薬湯を手に取り、一気に飲み干した。

ちょうどそのとき、雪は散り花のようにはらはらと降り出した。

雪の花は彼の長いまつげに留まり、玉石のような透き通った光を反射し、彼の優しい眼差しを一層引き立たせた。


屠蘇

「オレもそろそろ吹っ切れた方がいいな。師匠が亡くなった後、オレは人間性を疑うようになった。」

「医学を学び始めてから、周りの人たちが求めてくるのは治癒と生に他ならない。彼らは皆・・・希望というものをオレに強請った。」

「その希望を得るために人間は人間性を捨てるようになり、オレが思い描いていたような悪の姿にどんどん近づいていく。」

「でも、君だけは違った。君はずっと違っていた。」

「青丘で初めて会った時、君はいくら怒っても、せいぜい小さな風船の爆発程度の情緒しか見せなかった。」

「悪意を持って接してきたことは一度もないし、最後までオレを信じてくれていた。」

「君は他の誰でもないし、さらに曹̪孟德のような存在でもない。自分の命を大切にしているだけでなく、希望を・・・オレに託していた。」

「ん?なぜ顔を真っ赤にして後ずさる?せっかくの本音なのに、恥ずかしくて受け入れられないとてもいうのか?」

「どうやらいつものオレのほうが好きみたいだな・・・待て、その後ろには・・・」

「気をつけろ!そっちは坂道だ──!!」



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三 妙手回春・参

◆主人公【男性】の場合◆

(逆の場合の差分は募集中)

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ここは絶壁の下にある谷で、一日中日差しが当たらない。ここ数日分の雪が積もり、高低差の激しい雪の坂道を成している。


しかし、坂道の下には豊かな薬草畑が広がっていた。艶やかな赤色が一面の雪に反射された幻想的な景色が目に映る。


屠蘇

「これは…希少な薬草だ…!」

「これらは極寒の雪山にしか生えていない。環境に厳しいだけでなく、が少なすぎるせいで受粉もできず、絶滅したと聞いたのだが…」

「これらの薬草の力を借りれば、食魂も今年の寒波を乗り切れるはずだ。」

「〇〇、雪溜まりの中で何を探している?」

「凍りついた巻物?なぜこんなところに…」

「…!これは…師匠の筆跡だ!」


彼は手が寒さで赤くなるほど本を開こうとするが、凍ったページをめくることはとてもできなかった。

「シャッ」と音が鳴り、揺れる炎がページを照らすと、氷の結晶はみるみるうちに溶けだし、小さくなっていった。


屠蘇

「ありがとう。」

「これでやっと見れる…確かに師匠の筆跡だ。

 くそ、手書きの文字の一部が水に濡れてぼやけている。」

「「曹孟徳の病を治すにはまだ薬草が足りない。彼と共に暮らしたくなかったため、遠方の旅へ出て薬を求めることにした。」」

「「飢えに耐えていたとき、俗世間を離れたある餐庁に出くわした。その繁栄ぶりと調和ぶりに、帰ることを忘れるくらいいつまでもいたくなった。」」

「「ここで暮らせば、雪山で薬草を植えるだけでなく、隠遁することもできる。なんて素晴らしいのだろう。」」

「……」


【選択肢】

・この薬畑は祖師が残した希望だ

・この薬畑は命の奇跡だ

選択肢

この薬畑は祖師が残した希望だ

屠蘇

「祖師?なんだ、こんな時だけはあっさり認めるんだな。

 普段はまったく師匠と呼んでいないくせに。」

「でも、君の言う通りだ…」


この薬畑は命の奇跡だ

屠蘇

「そうだな。いくら時が経っても、これらはこの人跡まれな雪の谷で静かに生きている…」


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そよ風に揺れる美しい朱色は、まるで精霊が挨拶をしているようだ。


屠蘇

「師匠はとっくの昔に亡くなったが、この貴重な薬畑は師匠が残してくれた存在証明だ。」

「オレももう、苦痛に縛られることはない。今までとは違った形で師匠の意志を受け継いでいくつもりだ…」

「そのニヤけた顔はなんなんだ?

 祖師の意志を継承するということは君も関係しているのだぞ?」

「空桑の食魂が今年の寒波に耐えきれなかった最大の理由は、君のその甘えなんだからな――!」

「〇〇、わかったならちゃんと責任を取れ!」



かにみそ湯包

「ハクション!ハクション!

 どうしてだろう。風邪はもう治ったはずじゃ…」


煲仔飯

「ぐぅぐぅ…ハクション…ハクションZzz…

 つらいなあ、悪夢でも見てる気分…」


蜜汁叉焼

「うぅ、どうして~

 叉焼はいい子にして餃子先生の薬を全部飲んだのに!」

「どうして再発しちゃったんだろう?

 餃子先生の薬が間違ってたのかな…ハクション!」


年年有余

「こちら空桑テレビ局、空桑テレビ局です。ただいまお送りしているのは、生活番組『本日の目玉』の生放送です。」

「前回の『1818葱々目線』でも報道された医師と患者の関係について、さらに取材をしてきました。」

「餃子先生の家で清熱の煎じ薬を飲んだ食魂が再びインフルエンザに感染してしまいました。」

「そのため、困った患者さんたちは小さな団体を作り、餃子の医療館に説明を求めに行こうとしています。」


???

「うぅ…うぅ…」


蜜汁叉焼

「あれ?誰か泣いてる?

 煲仔飯、見て、あの部屋に何か変なものが…」


煲仔飯

「あれは桂くんじゃない?なんか木製のからくりに引っかかってるみたいだね。これはまずい、はやく開放してあげよう!」


蜜汁叉焼

「桂くん、桂くん…何があったの?誰かに苛められた?」

「どうして木の上で猿の真似なんかしてるのさ?」


臭桂魚

「ああ、ありがとうございます。ちょっと引っかかっていただけで…ご迷惑をおかけました。誰にもいじめられては――」


かにみそ湯包

「その百宝の箱に刻まれてるのは薬草の記号だろ!あの怪医屠蘇からもらったのか?!」


臭桂魚

「そ、そうです。役に立つだろうと、この百宝の箱を渡されて…」


かにみそ湯包

「こんなことあってたまるか!診てくれないならまだしも、人を弄ぶなんて!

 ちょうど餃子医館の隣に住んでるし、今日という今日こそ説明してもらおうじゃないか!」


臭桂魚

「ちょ、ちょっと待ってくだ…!」



屠蘇の医館に駆けつけた一同は、その大きく開かれた扉と草木の香りとともに吹いてくる風に驚いた。


かにみそ湯包

「別状はないように見えるけど…なんかおかしいな。」

「今までと雰囲気がずいぶん違くないか?

 なんだ、この陽気なラジオの音楽は?」

「おい!怪医屠蘇、出てこい!家にいるのは分かってる!」


屠蘇

「忙しいんだ、用事があるなら入ってこい。」


かにみそ湯包

「は、入ってやるさ。誰が怖いもんか。」


一同は列になって入っていった。医館は改装したばかりのようで、木の匂いを混ぜた薬草の香りが漂っている。


皆は息を止めて、床をつま先で歩いた。


すると突然、何か仕掛けを踏んだかのように、ガタッと音がした。


蜜汁叉焼

「うわあ――!

 つ、捕まっちゃった!!はやく叉焼を助けて!」


かにみそ湯包

「どこから出てきたからくりなんだ?

 すぐ助けに行くから…うわっ!今おれの足を掴んだのは誰だ?!」


パニックの中、木製と石造りのからくりがどんどん床と壁から現れてきた。


それらは患者の体を素早くスキャンしながら、それぞれ奇妙なポーズにさせた。


蜜汁叉焼

「うわー足が…なんで四つん這いにさせるの!?ああ、足が空に向かって引っ張られてく…!辛いよ!」


年年有余

「おや?僕はこのポーズに見覚えがありますぞ?」

「蜜汁叉焼は今四つん這いになり、腰を伸ばしながら横足を空に挙げて――一二三四と、七回ずつ前後に伸び縮みしています!」

「テレビの前にいるストレッチ好きな視聴者様ならきっとこのポーズをご存じでしょう!

 そうです、これは華佗が作った五禽戯の一つ――虎戯です!


煲仔飯

「うわあ…この機械、私の頭を左右に、足を前後に動かしてくるんだけど、これってもしかして鹿戯?」

「長い間運動してなかったせいで体がだるい。わかさま、はやく助けに来て…」


【選択肢】

・これは屠蘇医館の新しいルールだよ

・助けてあげる勇気がないよ

選択肢

これは屠蘇医館の新しいルールだよ

年年有余

「おや?どうやら屠蘇医館はフルセットの五禽戯をやらなければ診察を受けられないという新しいルールを出したようですね!」


助けてあげる勇気がないよ

煲仔飯

「え?屠蘇医館に入れば、その新しいルールに従ってフルセットの五禽戯をやらなければ終わらないってこと?」


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医館の奥から車椅子で移動する音が聞こえ、屠蘇にしては珍しい笑顔がカーテンの後ろから現れた。


屠蘇

「ははは!自分の惨めな姿を見てみろ、貧弱にも程がある!道理で寒波を相手にバタバタ倒れるわけだ!」

「君たちは餃子先生の再診に通い続けることもできなければ、病と闘うために体を鍛えようとも思わない。再発して当然だ。体を大事にできない怠け者はな…」

「ニカラグアのジャングルに行ってナマケモノとでもじゃれ合ってこい。頭を思いっきり叩かれれば考え方も改められるだろうからな!」


【選択肢】

・今のは「体を鍛えてくださいね~」っていう意味だよ

・今のは「直してあげま~す」っていう意味だよ

選択肢

今のは「体を鍛えてくださいね~」っていう意味だよ

蜜汁叉焼

「体を鍛えるかあ…うぅ、叉焼はずっと動いてなかったから、どんどん動きたくなくなっちゃったんだよ…」


今のは「直してあげま~す」っていう意味だよ

かにみそ湯包

「どう考えてもそういう意味じゃないだろ!その「~」がそもそもあいつの口調じゃない!」


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蜜汁叉焼

「でも、わかさまはどうして屠蘇先生の言葉をもう一度「翻訳」するの?

 もしかして、先生の専属翻訳者になっちゃった?」


屠蘇

「専属翻訳者?悪くない。

 オレは〇〇と合意に達した――」

「本日より、空桑連合中央医館は空桑にいる皆の健康に責任を持つ。」

「餃子とオレは外科医と処方を担当し、蟹釀橙は五禽戯監督機関の設計を担当する。〇〇は…」

「オレの美しい日本語を翻訳する担当だ。」


全員

「……」


餃子

「皆、五禽戯はもう終わったじゃろう?

 次はこの爺やのSHOW TIMEじゃな~」

「叉焼くん、おいで。これは黄連が2倍入った煎じ薬じゃ!ほうら小湯包ちゃん、あ~ん。これは風邪の解毒剤じゃぞ~」

「そして煲仔飯、これは貴方のために調理した眠気覚まし薬じゃな~」


全員

「うっ…すっごく苦い…」


屠蘇がテーブルの上のボタンをそっと押すと、三つのオルガンの宝箱が地面から飛び出してきた。箱の中には五禽戯の詳しい説明図が添付されていただけでなく、使用時間や使用頻度などの厳しい条件も記載されていた。」


かにみそ湯包

「毎日の朝晩にフルセットの五禽戯をやるのか?!

 こ、これが本当に役立つかどうかはどう証明するんだよ!」


餃子

「おやおや~冬に入ってからどんなに猛烈な寒波に見舞われても、空桑で一番病気になりやすいと思われていた子がくしゃみの一つもないまま元気に過ごしてることにまだ気が付いていないようじゃのう?」

「彼は医者に言われた通り、決まった時間に薬を飲んだり、真剣に体を鍛えたりしているんじゃぞ~」


かにみそ湯包

「それはもしかして――」


臭桂魚

「やっと追い付きました…皆さん、待ってくださいよ…!ふぅ、ふぅ…」


医館の外から近くなる足音が聞こえ、その場にいた全員が何か悟ったかのように顔を見合わせた。


屠蘇

「臭桂魚なら、今年は既に一度倒れている。」


餃子

「はて?いつ頃だったかのう?」


屠蘇

「彼は冬の寒波で風邪を引いた第一号の患者だ。オレが作った薬草をたった一人で食べ尽くしたから、仕方なく運動の仕方や免疫力アップの方法を手取り足取り教えてあげる破目になった…」

「また、再発を防ぐために、蟹釀橙にも頼んで五禽戯と薬炊きの仕掛けを作ってもらった。」

「ここに至ってはじめて、彼のインフルエンザは完治した。」


蜜汁叉焼

「それって、今年一番最初にインフルエンザにかかった空桑の食魂は桂くんってこと――?!」


かにみそ湯包

「つまりあいつのせいでおれたちは――」


全員

「臭桂魚!!」



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