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石子饃・物語

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最終更新者:皮蛋納豆丼

一 心の烈火・一

◆主人公【男性】の場合◆

(逆の場合の差分は募集中)

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上元の晩、同州の街中に明りが灯った。この光には、不思議な神の力が宿っている。

木の枝や石ころが瑠璃になり、足下で珠玉の音を立てる。舞い立つ砂埃は、砂金になる。

傍にいるこの人の厳格な表情も、「神の力」の下では、いつもよりやさしく見える。


石子饃

「……」

「○○、人が多いな。はぐれないよう、気をつけてくれ」

体の任意の位置に触れる

触れ合い

頭に触れる(彼の眉毛を撫でる)

石子饃

「……!

 えっ? 眉間に皺を寄せずに、もっと笑えだと?」

「お前とランタン祭りに来られて、すげえ嬉しい。ただ、俺はあんま笑ってるの、得意じゃないんだ」

体に触れる(彼に近寄る)

石子饃

「手をつないでいた方が、安心だ」

「繋ぎたくない? 俺の手がガサガサだからか? 違う? じゃあなんで……」

「なら俺の服をしっかり掴んでろ。どうした。顔が赤いぞ、暑いか?」

手に触れる(彼の手を握る)

石子饃

「そうだ。そうやって離すな。しっかり掴んでろ」

「安心しろ、俺もお前を離さないから」

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遠くから太鼓の音とともに、天を突き抜けるような歓声が響いてきた――


石子饃

「賑やかだ。あっちで綱引きがあるようだな。見に行こうか!」




二人で綱引きを見た後、暫く歩いたせいかお腹が空いて、食堂に入る。

すると、熱い湯気の立った甘い香りのスープが出された。


石子饃

「花火の時間までは早い。少し休んで、ランタン祭りの謎解きに参加しようか」

「さあ、まずはこの同州の名物の『棗沫糊』を食べてみようか。まだ熱いから、やけどに気を付けろよ」

【選択肢】

・同州には美味しい料理が多いんだね!

・石子饃も同州の皇帝への献上料理だよね!

選択肢

同州には美味しい料理が多いんだね!

石子饃

「ああ。あの空桑の周大峡も、同州出身だ」

「彼が化霊したのは俺より少し遅かったな。けど、義侠としてヤツは各地で人々を救った。俺はそんな彼を尊敬している」

「もしも棗沫糊が化霊したら、やっぱり苦しむ民を危機から助けて、困難を乗り越えることを自分の使命とするかもしれないだろ?」

石子饃も同州の皇帝への献上料理だよね!

石子饃

「もしかしたら、本当にお前の言う通り、俺はいっつも同州にいるからな。それでこの『石子饃』という料理に影響を与えたのかもしれない」

「ならばこの石子饃の美味しさで、天子がより民を愛せたら、って願うだけだな」

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石子饃

「そうだ、これをお前に――」

「この棗沫糊はもういい具合に冷めたよ……食べてみろ」


石子饃が話題を変えたのを見て、背後のヒソヒソ声に気づいた。

だが僕には、彼らが何を話しているのか全くわからない。

だが、石子饃にはハッキリと聞こえているようだ。表情が次第に険しくなる。彼らが外に出るのを待ってから、石子饃はこう言った――


石子饃

「あの数人は、入ってきたときから怪しかった。先ほども会話に多くの隠語を混ぜて話しているように聞こえる。だからコッソリ彼らの会話を盗み聞いた――」

「彼らはこの人混みを利用して婦女や子どもをさらって、どこかへ売り飛ばそうとしているようだ」

「お前はこの金で、点心でも食って待ってろ。俺は状況を探りに行く。半刻しても俺が戻らなかったら、通報するか空桑に戻って助けを呼んでくれ」

【選択肢】

・あなたの傍より安全なところってどこ?

・忘れちゃった? 私も戦える!

・さっき『離れるな』って言ったよね?

選択肢

あなたの傍より安全なところってどこ?

石子饃

「俺のことを、そこまで信頼してくれてるなんてな」

「そうだ! ○○、そこまで信頼してくれるなら、俺は必ずお前を守ってやる!」

忘れちゃった? 私も戦える!

石子饃

「あ……」

「申し訳ない。ランタン祭りでハシャぐお前を見て、つい子ども扱いしちまった」

「よし! ○○、じゃあ一緒に確かめにいこうぜ!」

さっき『離れるな』って言ったよね?

石子饃

「あ……」

「正直言うと、あそこに行くのは危険だと心配してた。けどお前の言う通り、俺の考えが足りなかったようだ」

「一緒に行くぞ。どんな方法を使っても、お前を全力で守ってやるからな」

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ふたりはお互いを見やって笑顔を浮かべ、先程の怪しい人物の後を追いかけた。




彼らの後をついていくと、そこは城外の廃屋だった。

月光が枝葉に遮られ、周囲は真っ暗だ。窓奥に蝋燭の光が揺れているのが見える。

僕は固い木の枝をそっと拾って、石子饃と一緒に窓辺に近寄った。

屋内からは乱暴な怒鳴り声とか弱い泣き声が聞こえてくる。

それを聞いて怒りが沸き上がり、拳を強く握りしめた。

屋内の状況を確かめようとしたとき、急に泣き声が叫び声へと変わった。

悪党が女性を虐げようとしているのだろう。

もう躊躇してはいられない。僕たちはすぐにドアを蹴破り、中に入った――


石子饃

「その手を放せ!」


室内には、五、六名の女性がテーブルに縛り付けられている。

その顔は汚れ、髪は乱れていた。彼女たちは抵抗することもできず、

酒を飲み騒いでいた七、八人の悪党は、突然人が入ってきてとても驚いている。

僕たちはすぐに飛びかかって、二人を取り囲んだ。


石子饃

「……!」


石子饃は嵐のような拳を浴びせ、俺も果敢に木の枝を振り回す。

すぐに六人まで倒した。すると、残る一人も萎縮して抵抗をやめた――


石子饃

「……おい! 怪我はないか?」

「お前が剣術に長けていることは知っているが、棍棒もなかなかの腕前だな。知らなかったよ」

「おい、お前! すぐ解毒剤を寄越せ!」


悪党

「おおお、俺……いや! わ、わたくしは、解毒剤などもっていません! 解毒剤はボスのところです……英雄殿、どうか命だけは!」


石子饃

「弱い者いじめをしていたくせに情けないヤツだな。他にも婦人や子供を閉じ込めているんじゃないか?」


悪党

「あああああ、ありませんよ! ゆゆ、許してください! さ……さもないと、ボスが戻ったらお前たち、タダじゃすまないぞ!」


石子饃

「どうやらボスの帰りを待って、解毒剤を手に入れるしかなさそうだ」


悪党は恐怖から、命乞いや強気になっている。気が動転しているようだ。

暴れ出さないよう、棒で叩いて気絶させ、他の者たちと一緒に縛り上げる。


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二 心の烈火・二

◆主人公【男性】の場合◆

(逆の場合の差分は募集中)

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一時間ほどすると、外で物音がした。僕たちは息をひそめて耳を澄ませる――


石子饃

「フンッ……!」


ドアが開くと同時に、剣が空を切って振り下ろされた。相手は屋内の異常に気付いていたのだ。

だが石子饃も警戒しており、幸運にもその一撃を受け止めた。

彼は僕を守りながら敵の攻撃を受け流し、小声で呟く――


石子饃

「お前は毒を飲んだ彼女たちのことを見てくれ。こいつの相手は俺に任せろ」

【選択肢】

・了解! 私に任せて!

・あなたも気を付けて!

選択肢

了解! 私に任せて!

石子饃を安心させたくて、なるべく軽い口調で告げる。

すると彼が珍しくユーモアに返してきた――


石子饃

「ああ、口から出まかせ言ってるんじゃないってことはわかるぞ」

あなたも気を付けて!

石子饃

「ああ、安心しろ。俺は負けないぞ」

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まだ話の途中だったが、石子饃は再び前方へと飛び出していった。覆面を被った悪党のボスと彼の闘いはなかなか勝負がつかない。屋内では剣と拳が飛び交い、目の回るような戦いが続いた。


石子饃

「……!」


百回以上はふたりで打ち合っただろう、そのとき――

石子饃は相手の剣をギリギリで躱すも、腰布が切り裂かれた。敵も石子饃の拳をギリで躱したが、拳の風圧で仮面が二つに割れて地に落ちた。

石子饃は仮面の下に現れた顔を見て、思わず絶句する――


石子饃

「お前は……『諫邪剣』の林三?」

【選択肢】

・知り合いなの?

・悪者らしくない名前だね

選択肢

知り合いなの?

石子饃

「本人に間違いない。けどそんな、まさか……信じられない」

悪者らしくない名前だね

石子饃

「ああ、俺の知ってる『諫邪剣』は悪者なんかじゃない。だが……」

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悪党

「『諫邪剣』? アハハハハハハハ! おれは『諫邪剣』なんて知らねぇ!」


石子饃がその名前を言った瞬間、敵は狂ったように笑い出した。

壁に映る彼の影がゆらゆら動き、炎よりも炎らしく見えた。

だがそれは人を温かくする炎ではなく、陰惨で、全てを呑み込む毒の炎だ。


石子饃

「ああ……隠しても無駄だ。お前の剣捌き、あいつのものに違いない」

「お前はもう忘れてしまったかもしれないけどな、俺はまだよく覚えている」

「かつて男を数人連れて、馬賊の基地を襲撃したことがあるだろう。そこに、俺もいたんだ」

「俺たちは悪い馬賊を捕らえ、空腹の女性たちに『干粮』を分け与えた。それからお前は馬賊を怒鳴りつけたよな。武器を持たぬ婦女たちを虐げるのは、とんでもなく悪いことだ、良心のかけらもないことだ、ってな」

「その声は、今でも俺の中に残っている……」

「だがそのお前が今、とんでもない悪事を……良心のかけらも感じられないことをやっている!」


悪党

「ハッ……ようやく思い出したぜ。お前はあの『石好漢』と名乗った石子陌か。正に『天涯で再会できないはずはない』というべきか?

 フッ、だがお前にとっては気まずい再会だろうなぁ!」


石子饃

「……」


悪党

「フッ、そういやお前、さっきは『何故』かと聞いていたな……」

「お前は馬賊退治のことを、思い出深く語っていたけどな。あの馬賊の首領の兄弟が、官府と結託していたことは知ってるか?」


石子饃

「な、なんだと!」


悪党

「ああ……信じられないのも無理はないな! だがそれが、あの百姓に人気のあるあのお方の裏の顔なんだ!」

「見るからに高潔そうな貪官は、俺の父母や妻子を餌にして罠に仕掛けてきた。俺たち一家は濡れ衣を着せられて、牢獄に入れられた。千万の屈辱を味わわされたのだ」

「……その後、俺はなんとか隙を見て逃げ出して、あの強欲な役人を切り刻んでやった」

「だが一度失ったものは戻らない。俺は民衆に悪党だと、ドブネズミだと蔑まれた。俺の家族に……一体何の罪があったというんだ!」

「だが世間に畏れられ、欺かれ、罵られる中、俺は悟った! 時には正義すらも、人に噛みつく凶器になり得るってことをな! もう拘りはなくなった。正義に生きるより、己の為に生きる悪党になるほうがマシだ!」

「俺は昔と正反対のことをやりたくなった。とんでもない悪いことを!」


石子饃

「なんだと……!」


悪党

「これで、理由はわかっただろ……満足か?」

「『石好漢』か。ハハハッ、お前の評判はあちこちで聞くぞ。お前はいままで称賛ばかり浴びてきたんだよな。裏切りと罠に遭遇することもなく……」

「お前が俺と同じように、固く信じていた道義に裏切られたらどうする?」

「それでも正義を貫けるのか? 嘘だらけの正義のために、拳を振るえるのか?」


石子饃

「……」

「俺はそんなことに遭遇した経験がない。聞いてるだけではわからない……この身で経験しなければ、お前の辛さは理解できないだろう」

「だから、俺がどうするのかについては、想像で答えるのはやめておく」

「俺にわかるのは今、目の前のことだけだ――」

「俺にわかるのは、彼女たちには罪がないことだけだ。罪のない者を、虐げるべきではないということ」

「どんな理由があろうと……!」


その言葉を告げた瞬間、ふたりは身を屈めて、稲妻の如くぶつかり合う――


石子饃

「フンッ……!」


悪党

「ハァッ……!」


悪党

「ククク! お前の拳には一寸の迷いもなかったな……

 お前の手にかかって死ねるなら、俺に悔いはない!」

「アハハハハッ……いいだろう、ゴホゴホッ! 石のように動かない『石』好漢……ククククッ! じゃあな、『石好漢』。『万事順調』にいくことを祈ってるぜ……グハッ!」


悪党は真赤な液体と黒い呪言を吐き出して両目を閉じた。

石子饃は息を切らせて相手を見つめている。

その様子はまるで呪いの言葉に縛られたかのように、その場を動かない。

【選択肢】

・石兄さん?

・子陌

・……

選択肢

石兄さん?

石子饃

「ふぅ、俺は平気だ」

「お前たちこそ、大丈夫か?」

子陌

石子饃

「……!」

「○○、俺は大丈夫だ。さっきの戦闘で、少し疲れただけだ……お前たちこそ大丈夫か?」

……

石子饃

「……」


彼の名前を呼ぼうとしたが、彼の表情を見た瞬間、喉から声が出てこなかった。

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石子饃はゆっくりと身を屈め、悪党の懐から弛緩毒の解毒剤を見つけ出す。

彼は顔を上げ、顔の汚れを拭い、懸命に笑顔を作った。

彼は風中の蠟燭のように、今にも消えそうな笑顔を必死に持ちこたえながら、壁際で丸くなっている女性たちに優しく声をかける――


石子饃

「毒が抜けたら、お前たちを家まで送ってやるからな」

「今日は、本来はおめでたい日のはずなんだけどな」


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三 心の烈火・三

◆主人公【男性】の場合◆

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全部片付いたそのとき、ランタン祭りの終わりも近づいていた。


石子饃

「……」

「せっかくお前をランタン祭りに連れてきたのに謎解きに参加できなかったな……

 すまない。」


【選択肢】

・あのとき助けに行かなかったら、心から楽しめなかった。

・自分もあなたと同じ選択肢を選んでたと思う。

選択肢

あのとき助けに行かなかったら、心から楽しめなかった。

石子饃

「……〇〇。」

「俺は誰かが苦しんでいるのを黙って見てられないんだ。

 ランタン祭りがどれほど面白くてもな、それを心から楽しむなんてできない。」

「それは、お前も同じだ。」

「だからこそ、俺はお前について行くことを決めた。」

「そうだ、最後の花火を見に行かないか?

 今ならまだ間に合うからさ。よく見えるように、高いところへ連れて行ってやる。」


自分もあなたと同じ選択肢を選んでたと思う。

石子饃

「あんなに楽しみにしていたのにすまなかったな。

 何か埋め合わせできることはないかな、あれば言ってくれ――」

「今から、一緒に花火を見にいきたい?」

「それだけで……いいのか?

 じゃあ行こうか。よく見えるように、高いところへ連れていってやる。」


石子饃

「……お前も同じ選択をするのか?」

「〇〇、お前がそんな人だからこそ、俺はお前について行くことを決めた。」


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高いところまで登ったとき、空に一際鮮やかな花火が上がる。

町全体が明るく輝き、人々の幸せな顔がくっきりと照らし出された。


だが石子饃の笑顔は、どこか翳っている。

その瞳はまるで、河で水に打たれる二つの石のように、冷静な光を放っていた。


石子饃

「……」


体の任意の位置に触れる

触れ合い

頭に触れる(彼の前髪を整える)

石子饃

「俺の髪、乱れてたか?

 外見のことって、あんま気にしないからな。ありがとよ。」

「俺のことばっか心配して、お前の髪も風で乱れてるぞ。

 じっとしてろ、俺が直してやるから。」


彼は手を伸ばし、私の前髪をそっと整える。


体に触れる(彼にもっと近寄る)

石子饃

「寒いか?」


手に触れる(彼の手を握る)

石子饃

「手が冷たいようだな。風にあたったせいか?」


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「高い場所は風も強いからな。気づかなくて、すまない。」

「俺が温めてあげよう。」


両手が彼の手にすっぽり収まった。

岩のように固くて大きな両手は、まるで春の日差しのように温かい……


石子饃

「俺が何を考えているか聞きたいのか?」

「……お前には隠しごとができないな。俺は、あの男が言ったことを考えていた。」

「彼はかつての俺と同じように、困った人を助けることを信条としていた。

 あの頃の彼は、今の俺よりずっと優れていたよ。」

「彼が無実な人々を虐げたことは、許されるべきではない。

 だが、俺は確かに彼のような苦しみや屈辱を経験したことはない。」

「彼は最後、彼の拳に迷いはなかったと言った。

 でも彼から質問されたあの瞬間、間違いなく俺の心は動揺していた。」

「俺は自分を石のように固い男だと自負しているが、

 本当の石のようには固くも動かなくもない。」

「俺は無実の者を虐げたりは絶対にしない。だが、自分を信じられなくなった――」

「もし俺が同じような境遇に陥ったら、それでもまだ俺は、

 『火に向かい刃を踏み、死しても振り向かぬ』などと言っていられるだろうか?」


【選択肢】

・そんな事態に自分が絶対に遭遇させないと誓う!

・あなたは石じゃない、血も涙もある人だよ。

選択肢

そんな事態に自分が絶対に遭遇させないと誓う!

石子饃

「あなたは……」

「お前にそういわれると、心強いな!」

「俺はずっと誰かを守ることが当たり前だった。

 だが今は、誰かに守られているように感じている。」


あなたは石じゃない、血も涙もある人だよ。

石子饃

「……」


石は誰かのために悲しむことも、喜ぶこともない。

石は誰かの苦しみを和らげることも、幸せを齎すこともない。だから――


石子饃

「お前の言う通り――

 医師は誰かに心を……寄せたりもしない。」

「そうだ、よくわかたよ。俺は石じゃない。

 だが、誰かを守るとき……お前を守るときは、石のように固くいたいと願う。」


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石子饃

「〇〇、ありがとう。」

「不思議だな、この平和な景色とお前の笑顔を見てると心が明るくなってくる。

 まるで……勇気の火が灯ったようだ。もう未知な存在と戦うことも怖くはない。」

「この気持ちを忘れなければ、堂々と前へ進んでいけるだろう。」

「……」

「そうだ――」

「これをお前にやろう。以前買ったものだ。ずっと、渡しそびれていた。」

「俺はこういった物を選ぶのに慣れてない。

 だから、気に入ってもらえるかわからないんだが。」


彼はそう言うと、ポケットから一つ、綺麗な色の綿嚢を取り出した。


袋には小さな穴が開いている。

そこから乾燥した小花が飛び出し、心安らぐ甘い香りが漂ってくる。


石子饃

「あ……どうして穴が開いてるんだ?」

「そうか、さっきの戦闘で破れたんだな。俺が鈍いからだ、これじゃあ……」


彼は珍しく赤面して手を広げた。そして気まずそうに微笑む私をまっすぐに見つめた――


石子饃

「ん?今日の記念に、破れたところに花火の模様を刺繍してほしいって?」

「えっと……どんな花火がいいんだ?」


そのとき、人々がまた大きな歓声を上げる。最後の花火が上がったのだ。

無数の火花で作られた大輪の花が夜空に……ふたりの頭上に見事に咲いた――


石子饃

「この花火の模様を刺繍するよ。

 きっと縁があって、俺たちの頭上に現れたんだ。お前はどう思う?」


そう言った瞬間、その眉間に皴が消えた。

そして彼は、今まで見せたこともない明るい笑顔になる。


目の前の花火は虹色に輝いて星のように散っていく。

そして、燃え盛る蛍のように散っていく。

空はそのたびに、明るくなったり暗くなったりを繰り返している。


石子饃

「〇〇、俺は昔、花火のことが好きになれなかったんだ。

 華やかだけど虚実だと……長続きしないものだと感じたから。」

「けど、今日の花火は違う。特別だ。」

「俺はこれを香嚢に立派な刺繍を施すよ。そして――」

「心の中にも、しっかり刻み付けたい。」


花火が絢爛に輝いて、月光が煌めいている。更に人々の足音が聞こえる。

ふたりは静かに肩を並べ、その心地よい情景をしっかりと心に刻み付けたのだった。



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