花菇無黄蛋・手紙

主人公名：

　　俺が空桑にやって来てしばらく経ったな。ここに来てから俺はずっとここの防衛能力を観察して来て、さらに守りを固められるアイディアがあるんだ。今まさに俺の訓練計画を完全なものにしようとしているところさ。俺があいつらをしっかり鍛え上げて、誰も空桑に手が出せないようにしてみせるぜ！

　　俺のことを疑うのはナシだぞ！もう長い間この拳を使ってねぇとは言っても、戦いの本能はまだ俺の血の中を流れてるんだからよ！

　それからお前！お前だっていつまでも連中と遊んでばっかりじゃダメだろうが。お茶飲んでお喋りするのは、訓練よりも重要なことなのかよ？

勇猛な戦士

主人公名：

　　お前はやっぱり良い若様だな、二つ返事で俺の空桑子供軍団設立の計画を承認してくれるなんてよ！いや、二つ返事じゃねぇか。お前はあのチビどもの意見も聞いてたもんな。

　あいつらにどんな意見があるってんだよ、俺みたいな素晴らしい戦士と訓練ができるんだぜ。あいつらだって優れた戦士になれるんじゃないか！

　　＜この部分から、筆跡が乱れ始め、何度も消した痕が残っている。一気に書ききった文章ではないようだ＞

　　俺はそんな風に自信を持って考えていたんだが、どうもこの前のことは、そのやり方じゃ通らなかったみたいだな……あの、臭桂魚が怪我した時のこと、ありがとうな……今じゃあいつも俺のこと怖がらなくなって、仲の良い兄弟みたいになってんだ！

　　それからお前が俺のために用意してくれたサプライズのお茶会も……悪くなかったと思ってるぜ。

　　まあいい、そんだけだ、じゃあ訓練計画を練り直さなきゃいけねぇからよ！

最強・勇猛な戦士

主人公名：

＜手紙は力いっぱい握り潰した後にまた開いたかのように、筆跡が少し曖昧になっている＞

　ガキどもは最近、訓練にかなり積極的だ。毎回俺がハッパをかけようとした時には、あいつらはとっくに訓練を始めてるんだ。演習と戦闘の時、あいつらは俺の指揮を必要としていない。自分たちで陣形を組んで動けるようになってる。

　それはもちろん良いことなんだが、なんだか自分が用済みになっちまったような気がするんだ……

　ずっとお前に話したかったことがあるんだけど、笑われるのが心配でさ！俺が病院で化霊した時、病人たちの傷付いた姿を前に、俺の拳があの雑菌ども相手に意味を為さなくなったことを知って、俺の心は何も出来ない挫折感でいっぱいになっちまった。後になって……色々とあって、俺は自分にも彼らのためにできることがあるって気付いたんだ。

　だけど今、俺は何もできなくなってる。この必要とし、必要とされるっていう関係が消えちまったら、俺には自分がどこにいるべきか分からないんだ。

普通・勇猛な戦士

主人公名：

＜手紙に手書きの招待状が添付されている＞

　おおおおおお前、俺にガキどもの感謝の手紙を送ったのは、どういう意味なんだ！？あれは褒めて欲しくてした話じゃねぇんだぞ！

ふん、まあいいさ、それからまたお前の書いた手紙を読んだんだが……お前はやっぱり嫌らしい人だぜ！

　何が“何もできないわけないよ、私はまだあなたが必要だから”だよ、何が“仲間はお互いに必要とするだけの関係じゃない”だよ……ほんとに人を担ぐのが上手いな！

　仲間……俺たちの関係は、俺とあいつらの関係は、本当に仲間なのか？何の理由もなく一緒にお茶して喋ったり、特に何もしないで、一日一緒にぶらぶらしてるような仲間にか？

　……

　……

　いいぜ！お前が俺たちを仲間だって言うのなら、俺だってケチなことは言わねぇ！明日、超デカいお茶会を開くから、お前にも招待状を送っとくよ。来なくても別にいいけど、お前の好きな菓子はなくなっちまうかもな！

花菇無黄蛋