第16章 ストーリー
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目次
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16-1「さよなら凌雲城」
(飛空挺・アイアンローズ号) | |
モモ | リンレイを連れて行ったあいつ……何者なんだ? |
ポポ | 凌雲城はノーザン軍に包囲されていたよね。あの人もあたしたちみたいに、下水道を通って入ったのかな。 |
メイラ | あの男が駆けて来て、一人で包囲網に突っ込んでいくのを着陸前に見たわ。 |
ミリタリーのコーデのが得意みたいだから、実力で突破したんでしょ。 | |
モモ | ミリタリーのコーデが得意……ってことは、ノーザン王国の奴か!?連れて行かれたリンレイはどうにゃるにゃ! |
ポポ | ノーザンにはいちおう君主がいるけど、内乱が長年続いていて軍閥が勢力争いをしているらしいの。 |
だから、あの人はニーズヘッグとは違う勢力なのかもしれないけど……。 | |
ブランシェ | ……そんなこと当然じゃない。 |
メイラ | はぁ?どういうことよ。 |
ブランシェ | あの青年は私たちの敵ではない。 |
ランサー | テュール連合軍は勢力が大きくなりすぎて、元々ノーザン領内にも敵が多かったんですの。そこへ、今回の勝手な他国への侵攻。 |
先日ノーザン王室が声明を発表したのご存知ない? | |
「ノーザン王室」はテュール連合軍を『反乱軍』とみなす。 | |
七大国はノーザン王国軍と共闘し、反乱軍を討つべし」とね。 | |
いくらおバカさんな、メイラでもこのくらいは知っておいてくださらない?アイアンローズの一員として恥ずかしいですわ~。 | |
メイラ | うっさいわね!イヤミ女! |
モモ | でもさ、ノーザン王国軍が反乱軍を討つっていうなら、 |
奴らが雲上帝国に攻め込んでいる今、背後から叩けばいいんじゃないの? | |
それをしないってことは……やっぱりどうも信用ならないにゃ。 | |
シンシア | それはもちろん、漁夫の利を得ためよ。子猫ちゃん♪ |
ニキ | シンシア!どうしてここに? |
シンシア | あなた達が話をしている隙にこっそり乗り込んだの。。ニュースのあるところには必ず駆けつけるのが、記者魂よ! |
ランサー | ……新聞記者の侵入を許すとは……はぁ。 |
お嬢ちゃん、ちょっとこの記者さんと 目立たない通りすがりの人のコーデバトルをして、メイラの目を鍛えてやってくださらない? | |
メイラ | あんただって気がつかなかったでしょ!?そっちこそ老眼鏡でもかけてなさいよ! |
コーデバトル |
16-2「多事多難の時」
シンシア | ノーザン王室声明ならも、ちろんアンフィシア新聞も報じたわ。 |
王都シュヴァルツ・ヴァッサがテュール連合軍を糾弾し、一致団結して対抗するように各国に呼びかけたのは、さっきの話の通りね。 | |
これに対してテュール連合軍側は、雲上帝国がノーザン王国の財宝の変換を拒んでいると主張したの。 | |
交渉は決裂。仕方なく武力で財宝を取り返すことにした、というのが連合軍側の主張ね。 | |
ポポ | 財宝って何なの?もしかして、さっき言ってた英雄ユージェニーの『氷嵐の戦歌』とか? |
シンシア | それはわからないわ、戦争を起こすためのただの口実かもしれないし……。 |
それよりもニーズヘッグが最後に取り出したネックレスのほうがただ事じゃないと思うの。 | |
ニキ | ……ニーズヘッグのネックレス?シンシアさん、どういうことですか? |
メイラ | さすが新聞記者度、目ざといわね。あんたも気がついたんだ? |
シンシア | ええ、ニーズヘッグがネックレスを取り出したとき、変だなと思ったのよ。 |
あの独特な蝶のデザイン、彼のこれまでの作風とは違っていたから。 | |
そうしたら、あなた達の友人が倒れた後、ネックレスのトップが突然赤く輝きだして、 | |
その後すぐネックレスをしまってしまったけれどと。確かに見たわ。 | |
ランサー | 今回のニーズヘッグの行動は、きっと何か裏があるに違いありませんわ。 |
お嬢ちゃんが奴の陰謀を暴きたいなら、そのネックレスは突破口になるかもしれませんわね。 | |
モモ | つか~!お前らは何か知ってるんだろう!?はっきり言え! |
ブランシェ | ……ちょっと黙って。危ないからちゃんと座ってて。 |
(飛空艇は雨雲に突っ込み度。大きく揺れる木) | |
メイラ | ねぇブランシェ、雨雲を避けるとかももう少し優しく操縦するとかさ……まぁいいわ。 |
さ、もうすぐ洛川城外のカルファ軍駐屯地に着陸するわ。着いたらさっさと降りてよね! | |
シンシア | 私は急いでパテールに行くわ。さっき新しいニュースが入ったの。 |
パテール連邦のアパレルグループが突然総裁を更迭したんですって! | |
総裁はもう一週間も会社に姿を見せていなかったのよ。大ニュースだわ。大急ぎで伝えなきゃ! | |
ニキ | アパレルグループの総裁って、サクラさんのお父さんですよね!?新しい総裁って誰なんですか? |
グループの後継者はサクラさんのはずですけれど……? | |
シンシア | 新総裁の名前はチャールス。グループの最高財務責任者だった人物よ。 |
それ以上の状況はまだはっきりしないわ。でも、今後もアンフィシア新聞はこのニュースについて追っていくつもりよ。 | |
ポポ | なんだか陰謀の匂いがするわ……!ニキ、あたしたちもパテール連邦に行ってみない? |
ニキ | うん、そうだね。……あっ、でもその前に、洛川城に行って郭将軍に凌雲城でのことを報告しないと。 |
シンシア | じゃあ先に行ってるわね!ニキ、パテール連邦のオートクチュールのコーデを手伝って。取材の準備をしなきゃ。 |
コーデバトル |
16-3「ドワーフのスタイリスト」
(飛空艇がカルファの駐屯地に降りていくと、ドワーフの少女が飛び出し、ぷんぷん怒りながら飛空艇に向かって手を振り上げている) | |
メイラ | あら、情熱的なお出迎えね、ディーヴィー。ひとり静かに読書を楽しめた? |
ディーヴィー | ひどいわひどいわ!あたしを置いて3人でこっそり凌雲城に行っちゃうなんて! |
重要な任務になるといっっつもあたしを置いていくの、絶対わざとでしょ! | |
ランサー | 何度も呼んだじゃありませんの。読書に夢中で返事をしなかった癖に、こちらのせいにしないでくださる!? |
ディーヴィー | うそ! 呼んだなら聞こえないわけないじゃない! |
絶対あたしに黙ってこっそり出かけたんでしょ……って、あれ、だぁれ? | |
ポポ | わあ、カルファ王国のドワーフさんだ!初めて見た~! |
ドワーフさんって、宝石のデザインが得意なんでしょ!しかもこんなに小ちゃくって、めちゃくちゃカワイイ~! | |
ディーヴィー | 失礼ね!あたしはこのカルファ王国アイアンローズの一員、ディーヴィーよ。もっと敬いなさい! |
ブランシェ | アイアンローズ内で序列10番目のディーヴィーよ。 |
ディーヴィー | ブランシェ!ひどい! |
ニキ | はじめましてディーヴィー。私はニキ、こちらはモモとポポよ。 |
ポポ | 私はポポ。よろしくね! |
それにしてもびっくりだよ。こんな可愛らしいドワーフさんアイアンローズの一員だなんて……他の3人と画風が全然違わない!? | |
ディーヴィー | む~~~~~! |
ランサー | ほらほらディーヴィー、機嫌を直して。凌雲城からお土産を持ってきましたのよ。 |
モモ | ランサーのお土産って何だろう。嫌な予感がする……。 |
ランサー | このピンク色の髪のお嬢さんを保護するのが今回の任務でしたの。 |
コーデの技術は全然大したことないから、あなたが鍛えてやってくださらないかしら。どう?素敵なお土産でしょ? | |
ディーヴィー | は!?あたしに鍛えて欲しいの?フフン……しょうがないわね。 |
本来ならあんたみたいな小娘、私とバトルする資格もないんだけどな。でもランサーがどうしてもって言うなら仕方がないわね。 | |
仕~方がないから、やってあげるわ!どーうしてもって言われちゃったから!あなたを一人前のスタイリストにしてあげる! | |
ニキ | え!?ち、違うの、私はただコーディネートに興味があるだけで、まだまだ勉強中で……! |
ディーヴィー | ごちゃごちゃうるさいわね。あたしは最近古風で神秘的なウェストランド風のコーデに興味があるの。それでバトルよ! |
コーデバトル |
16-4「敵を侮るなかれ」
モモ | おかしいな。アイアンローズのスタイリストって実力派揃いなのに、今回はどうしてこんなに簡単に勝てたんだ? |
ディーヴィー | はわわわ、しまった、ページを間違えた!今のはノーカウント、ちょっと待ってて! |
メイラ | はぁ、この本の虫ったら。相変わらずアイアンローズの面汚しね。 |
ランサー | あなた、その面汚しに何度か負けてるってことをお忘れなく。 |
メイラ | はっ、それはお互い様でしょ。 |
ランサー | なっ……、あれはたまたま調子が悪かっただけですわ!……あらいやだ、コホン。 |
ディーヴィーは本に頼りすぎて本番に弱いんですの。 | |
だからこそアイアンローズ内での序列では10番目なのですけれど__とはいえ、甘く見てもらっては困りますわよ。 | |
ディーヴィー | ふう、このページで間違いないわ!……ニキ、もう一度勝負よ!今回のテーマはカルファの学者ね。 |
この本に書いてある通りにコーデをすれば、あんたなんかに負けないんだから! | |
ポポ | いつもフィーリングで選んでたけれど、コーデの本ってどんなことが書いてあるのかな。仕上がりが楽しみ! |
コーデバトル | |
ニキ | デーヴィーはすごく勉強熱心なスタイリストさんなんだね。私もがんばらなくちゃ。 |
ランサー | デーヴィーは毎回安定して本領を発揮できるわけではないけど、コーデバトルの実力は確かですのよ。 |
ニキ | それじゃあ、私たちは行きますね。アイアンローズの皆さん、助けてくれて本当にありがとうございました。 |
メイラ | 礼には及ばないわ。あとで代金を請求するから。ふふっ、じゃあまたね、お嬢ちゃん! |
16-5「特殊工作員クローカ」
ポポ | 洛川城の周り、なんだか前より人が多いね。 |
ニキ | 村を焼かれた人たちが避難してきてるんだね。 |
急がなきゃ。雲上軍の駐屯地は洛川駅の近くだから、もう少し先だった筈。 | |
(洛川駅) | |
モモ | わ!誰だよぶつかってきたのは!もう、痛いなぁ……。 |
クローカ | 駅は人が多いので気をつけてください。 |
ポポ | クローカ!なんでここに? |
はっ。もしかしてリリス王国もカルファ王国みたいに援軍を派遣することにしたの? | |
クローカ | いいえ。軍とは関係なく、単身で来ています。 |
ロイス様は、ナナリー女王の失踪にはニーズヘッグが関係しているとお考えです。 | |
ポポ | ニーズヘッグか……あいつ一体何を考えてるんだろうね。 |
初めはリリス、次に雲上帝国。ただ戦争起こすのが目的……ってわけでもなさそうだけど。 | |
クローカ | ニーズヘッグの居所を探るのが今回の任務です。ニキ、目立たないスパイのコーデを手伝ってもらえませんか? |
それと。今回は極秘任務ですので、ここで私に会ったことあった事は他言無用です。 | |
ニキ | はい、もちろんです。 |
コーデバトル |
16-6「飛空艇の虚言」
(洛川駐屯地) | |
郭啓州 | おお。リンレイ師のお友達ではないですか。よくぞご無事で!ささ、まあ座って……! |
モモ | 何もかもお前のせいだ!お前のせいでリンレイが……! |
ポポ | モモ……。 |
ニキ | 郭将軍。リンレイは凌雲城を守るために、ニーズヘッグの挑戦を受けたんです。 |
彼女は立派に戦いました。 | |
でもニーズヘッグがコーデバトル中に武力を使って……リンレイは……犠牲に……。 | |
ポポ | 凌雲城はチュール連合軍に占領されました。このことをお伝えしたくて、急いでここに戻ってきたんです。 |
郭啓州 | ……ふむ。それは本当なんですかな?制約を破り武力を行使するだなんて。 |
ポポ | 本当に決まってるじゃない!あたしたちはこの目でニーズヘッグがリンレイの命を奪うところを見たんだから! |
あんたは安全な場所で何もしないで、援軍も出さなかったくせに、リンレイが犠牲になったことまで疑うの? | |
ニキ | 将軍、凌雲城が陥落したのが半日前です。ニーズヘッグはすぐに他の都市にも進行してくるでしょう。 |
急いで迎え撃つ準備をしないと、同じ悲劇がくり返されることになってしまいます! | |
郭啓州 | 何だと?半日前?凌雲城から洛川城で一日はかかるぞ。一体どうやって? |
ニキ | カルファ王国のアイアンローズが助けてくれたんです……。 |
郭啓州 | アイアンローズが!……そうかそうか。 |
カルファ王国の支援があるならば、雲上帝国はきっと凌雲城を奪還して勝利を手にできるだろう! | |
ささ、何をしてるんだね。早くその方々にも入ってもらわないか。私からもよ~くお礼をしなければ! | |
ニキ | いえ、その……ついでに送ってくれただけで、。ここへ来なかったんです。迷惑になるからって……。 |
郭啓州 | 迷惑なものか!彼らは洛川城の大恩人だ!そうだ、今からでも使者を送ってお招きしよう。 |
今夜は君たちと彼らのために宴席を設けよう! | |
モモ | このおっさん。やたらとアイアンローズに会いたがってるけど、絶対ロクなこと考えていないよ! |
ニキ、うまいこと理由をつけて、アイアンローズは来れないって言ってやんなよ……! | |
ニキ | うん……そうだね、分かった。……郭将軍!えっと、その、 |
実はアイアンローズの飛空艇が故障していて、今、みんながんばって修理してるんです! | |
それで、えっと僕、よくわからないんですけど、エンジンが壊れちゃったみたいで、修理には数日かかるそうで…。 | |
だから、その、手が離せないと思うんです! | |
ポポ | そうそう!服も顔もオイルだらけにして、一生懸命修理してたよね! |
ほら、ニキ!さっきの様子を飛空艇修理中の服に着替えて郭将軍に見せてあげなよ! | |
コーデバトル | |
ポポ | そういうわけでアイアンローズは来れないから、あたしたちももう帰っていいよね。 |
郭啓州 | いや、待ってくれ!アイアンローズは来られないとしても、前線の情報を持ち帰ってくれた君達も当然大事なお客だ! |
今ここは人があふれかえっているから、宿を探すのも大変だろう。私が君たちの泊まるところを用意しよう! | |
モモ | まーたいい人ぶって……。 |
いやあ、リンレイ氏のこと、残念だ。実に心が痛む。 | |
郭啓州 | せめてご友人の君たちを招待させてくれ。もう日は暮れたし、どうぞ遠慮せず。 |
16-7「雲上の秘話」
(郭将軍の公邸) | |
モモ | ふう、なんとかアイアンローズを招待するのは諦めさせられたにゃ。 |
でも、どうしてあんなに必死にボクたちを引き留めておこうとするんだろ? | |
賢そうな女性 | それは、凌雲城が陥落したという話が広まっては困るからですよ。 |
景梓 | ニキ、お久しぶりです。 |
ニキ | 景梓じゃない!えっと、こちらは……? |
祝嘉南 | 初めまして、ニキ。私は嘉南、洛川軍の軍師です。 |
前線へ出て凌雲城の情報を持ち帰ってくださったそうですね。 | |
その勇気と誠意ある友情に心から敬意を表します。 | |
景梓 | 軍師様は凌雲城陥落の知らせを聞いて、とても心を痛めて自分を責めていらっしゃいます。 |
申し訳ありません。僕も軍にいながら、何の手助けもできずに……。 | |
祝嘉南 | 郭啓洲は、洛川城を死守してニーズヘッグから凌雲城を奪い返すという甘い夢を見ています。 |
雲京の使者が軍令を帯びて出発したことも知らずに。 | |
彼は傲慢で敵を軽んじ、大きな災いを招きかねません。政府も放ってはおかないでしょう。 | |
モモ | 軍師様はいろんなことを知ってるんだなあ、すごいや……! |
景梓 | 軍師様は南方の名家の出身で、学識や視野が非常に広いんです。 |
郭将軍の郭家が異民族の騎兵を撃退して雲西に名を馳せたのは、軍師様が知恵を貸したおかげと言っても過言ではありません。 | |
今、雲西が平和なのは軍師様のおかげです。洛川の軍師にしておくにはもったいないくらいですよ。 | |
祝嘉南 | いやいや、とんでもない。四大貴族ならともかく、私はただの平民にすぎません。 |
そんなに褒められるほどの者ではありませんよ。 | |
ポポ | へえ、四大貴族って雲上帝国の貴族のこと? |
景梓 | ええ。四大貴族の始祖は四名の偉大なデザイナーでした。 |
その功績を政府に讃えられ、四つの方位それぞれに世襲の爵位と家紋を賜ったんです。 | |
白蓮はその四大貴族の中のひとつ、雲東の白家の出身なんです。 | |
ああ、白蓮はどうしているだろう?彼女は雲京で頑張ってくれているのに、僕は何もなし遂げていない……。 | |
祝嘉南 | 確かに、雲東の白家は天下に名高い名家ですが、でもそれが何だというのです? |
景梓殿はこれほど白蓮様のために努力しているのですから、きっと大きな事をなし遂げられる筈。 | |
白家にも結婚を認めてもらえる筈です。 | |
景梓 | そうなれば良いのですが…それより軍師様、ニキ達に用事があったのでは? |
祝嘉南 | ……ニキ、ある友人が郊外の森であなたを待っています。 |
これはその人からの伝言ですが、「会うか会わないかは、自分で決めるように」と。 | |
ポポ | ある友人?……って誰だろう。その人はどうしてここに直接来ないの? |
祝嘉南 | その人はここに来ることができず、正体を明かすこともできないのです。 |
なぜなら……いえ、それは会えば分かるでしょう。 | |
日も暮れかけています。森に行くなら、カジュアルな雲上の服に着替えて目立たないようにするのを忘れないで。 | |
景梓 | 駐屯地を出るときは僕と軍師様が護衛します。郭将軍のことは何とかしますから、心配しないでください。 |
コーデバトル |
16-8「林の再会」
ポポ | 外は寒いね~……ニキ、明日になってからその人に会うんじゃダメなの? |
ニキ | 私、もう誰も失いたくないの。明日にして、もし手遅れになってしまったら、きっと後悔すると思う。 |
ポポ | ……そうだね。ニキの言う通りだね。 |
でもこの森けっこう広いよ?どうやってその人を見つけるの? | |
モモ | ニキ、ニキ!ここに誰かが残した目印がある! |
ニキ | ほんとだ!モモ、ポポ、こっち! |
(目印の先には小屋があった。中は真っ暗で、明かりもついていない。) | |
(小屋の扉が突然開く。) | |
(中から出てきたのはサクラだった。顔面蒼白で、スカートには血が滲んでいる。) | |
ポポ | サクラさん!どうしてここに!? |
ニキ | サクラさん!……怪我してるんですか!?大丈夫ですか!? |
サクラ | ……やっぱり来てくれたのね。 |
私は大丈夫。でも、オーランドさんが私をかばって怪我をしたの。……とにかく入って。 | |
(サクラは追っ手を警戒しながら小屋にニキ達を招き入れると、用心深く扉に鍵をかける。) | |
(小屋の中には傷薬の匂いが充満している。オーランドが立ち上がり、肩を押さえながら挨拶する。) | |
(肩の傷口に巻かれた包帯には、赤い血が滲んでいる。) | |
オーランド | ニキ、よく来てくれた。正体を明かさずの伝言だったが、君はそれでも来てくれたんだな。 |
サクラ嬢を連れて雲上帝国まで君を探しに来て正解だったよ。 | |
ニキ | パテール連邦アパレルグループで問題が起きたと聞きました。オーランドさん、一体どういうことなんですか? |
オーランド | うむ。時間があまりないから、これから話すことをよく聞いてくれ。 |
パテール連邦はテュール連合軍と同盟を結び、雲上帝国に進軍することを決めた。 | |
この情報はじきに洛川城にも伝わるだろう。 | |
国会が開戦を決定する前の晩、サクラ嬢の御父上シラー総裁とジョブ・ルーニーが誘拐された。 | |
そして、グループの権力はチャールスの手に落ちた。 | |
何とかサクラ嬢だけは救出したんだ。君たちが守ってやってくれないか。 | |
(サクラはオーランドのそばに歩み寄り、窓の外を眺める。青白い月の光に照らされ、初めて弱気な少女の表情を見せる。) | |
サクラ | オーランドさん、……私はこれからどうすればいいのかしら……。 |
グループの正当な後継者であるサクラ嬢を逃がしたのは、彼らにとってこの上ない脅威。今頃、必死で探しているだろう。 | |
オーランド | ニキ達と一緒に雲上帝国でしばらく身を潜めていてもらいたい。くれぐれもパテールには戻らないように。 |
サクラ | それはだめよ、ニキ達を巻き添えにはできない……! |
それにお父様が奴らに捕まっているのよ。あいつらはグループの金庫を開けようとしているわ。お父様が危ないかも……。 | |
……でも、私がパテールに戻ったところで、どうすることもできない……何もかも失ってしまったから。 | |
ニキ | そんなこと……そんなことないです。サクラさんは何も失ってなんていません。私たちがいるもの! |
オーランドさんが助けてくれて、サクラさんはちゃんとこうして生きてるんだもの。最悪の状況なんかじゃないです! | |
一緒にお父様を助けにだって行けます!! | |
オーランド | そう、もしサクラ嬢まで彼らの手に落ちていたら、今の10倍は酷い状況になっていただろうな。 |
ニキ、サクラ嬢の為にコーデをしてやってくれないか。綺麗な服を着れば気分も切り換えられるさ。 | |
ニキ | はい、わかりました!ポポ、元気な美少女のコーデを手伝って。サクラさんを元気づけなきゃ! |
コーデバトル |
16-9「軍人の選択」
あらすじ | |
オーランドが去った後、 | |
ニキはサクラにコーデテーマの復習のサポートを頼んだ。 | |
もう二度と目の前の友人を救えない無力な自分でいたくなかったから…… |
サクラ | ……分かった、雲上に残るわ。 |
オーランドさんはどうしても戻るの?これから戦争が始まるというのに。 | |
オーランド | 戦争が始まるから、だ。軍人としての務めを果たさなければ。 |
私は大統領を信じている。あの方の決定ならば、これがパテールの人々の為なのだろう。 | |
サクラ | ……もし私を助けたのがあなただと知れたら、あなたは軍と政府に命を狙われるわ! |
ニキ | 軍と政府に……?それはどういう意味? |
……もしかしてサクラさんを誘拐しようとした人は、パテール連邦政府と何か繋がりがあるの? | |
……ふぅ。 | |
オーランド | シラー総裁は戦争に反対する議員をずっと支持し、資金援助をしてきたのでね。 |
有事の際にこうなるのは必然といえば必然かもしれない。 | |
ポポ | ひどい……政府は国民を守るべきでしょ。なのに、自分たちの目的のために危害を加えようとするなんて……そんなのおかしいよ! |
オーランド | 君の意見には全面的に同意するよ。 |
時には目標達成の為に犠牲を払わなければならないこともある…だが、その選択が必ずしも正しいとは限らない。 | |
このことはよく肝に銘じておくべきだろうな。 | |
ニキ | オーランドさんも本当は戦争を望んではいないように見えます。 |
だったら、帰ってはだめです。テュール連合軍と一緒に雲上帝国を攻めるなんて、そんなの、だめです……! | |
(オーランドはしばらく沈黙する。手を胸にあて、何かの誓いを立てているようだ。) | |
オーランド | ……誰にでもそれぞれ信じるものがある。君は友達を大事にするが、私は祖国を選んだんだ。 |
たとえ運命の導きで我々が敵対することになっても、きっとお互いを尊重できると思うよ。 | |
ニキ | でも、戻ったら危険なんでしょう!?サクラさんを助けたと知れたら、軍と政府から命を狙われるんでしょう? |
それに戦争になったら、戦場でもしものことがあるかもしれない……。 | |
サクラ | ……ニキ、行かせてあげましょう。これはオーランドさんが自ら選んだ道。私たちが干渉できることじゃないわ。 |
ニキ | そんな!命に関わることなのに! |
……オーランドさんが言った通り、私は友達を大切にします。そして、オーランドさんも大切な友達です。 | |
私とコーデバトルをしてください!もし私が勝ったら、ここに残って!どうですか? | |
サクラ | ニキ!オーランドさんは軍の中でもトップクラスの実力の持ち主なのよ。かないっこないわ! |
ニキ | (ゆっくりとオーランドの前に進み出て)分かってます……でも、少しでも可能性があれば、希望を捨てちゃいけないと思うんです……! |
(オーランドはニキを見やり、呆れながらも感心しているようだ。) | |
オーランド | やれやれ、レディのこれほど真剣な頼みを無下に断るわけにはいかないな……受けて立とう。 |
テーマは上流社会のパーティ衣装だ。幸運を祈るよ。 | |
コーデバトル | |
ポポ | これが軍人の本当の実力ってこと?ニキ、あたしたちじゃ敵わないよ……! |
オーランド | ニキ、君には確かにコーディネートの才能が眠っている。 |
だがそれを目覚めさせるためには、日頃から学び、経験を積まなくてはならない。 | |
色々なスタイルを試して自由自在に使いこなせるようになれば、きっと最高のコーデができるよ。 | |
ニキ | ありがとうございます……友だちを守る為に、まだまだ努力しなければいけないことがたくさんあるって分かりました。 |
オーランド | いいかい、真実はいつも冷静でクリアな思考とともにある。 |
軽々しく主観で判断しちゃいけない。目に見えるものが、必ずしも真実とは限らない。 | |
では、さらばだ友よ。君達に出会えて光栄だったよ。 | |
(オーランドは傘を手に取り、小屋の扉を開けると夜の森の中に消えていった。) | |
ニキ | オーランドさん……。 |
サクラ | ……。 |
(オーランドは少女たちの呼びかけには応えない。軍人の誇りと国家への忠誠を抱いた彼は、振り返ることなく立ち去った。) | |
(夜風が森を揺らし、ニキたちは小屋の前に立ち、去ってゆく軍人を黙って見送った。) | |
サクラ | ……オーランドさんを信じましょう。あなたが言った通り、希望を捨ててはいけない……落ち込んでいるのは、あなたらしくないわ。 |
ニキ | そうですね……サクラさん、さっきの上流パーティの衣装コーデの練習に付き合ってもらってもいいですか? |
友達が去っていくのを目の前にして何もできないなんて、こんな思い、二度としたくないんです……! | |
サクラ | ええ、お相手するわ。 |
コーデバトル |
16-番外1「憤怒の郭啓州」
あらすじ | 景梓がニキ達を洛川城から離脱させた後、凌雲城陥落の報せがもたらされた。郭啓州は激怒し、その怒りはニキ達を送り出した梓景に向けられた。 |
(洛川駐屯地) | |
郭啓州 | くそっ、この役立たずめ!何故あの小娘たちと外に出してしまったんだ!城下が余計に混乱するではないか! |
景梓 | 将軍、北方の避難民が続々と洛川に逃げ込んで来ていて、凌雲城陥落の情報は既に広まっています。 |
こうなった以上、彼女たちを閉じ込めても意味のないことです。 | |
郭啓州 | 見張り役も満足にできない上に、口答えまでするというのか? |
景梓 | 私への処分はうどぞお好きなようにしてください。ですが郭将軍、恐れながらこれだけは申し上げます! |
リンレイが亡くなり、凌雲城が占領されても、あなたには後ろめたい気持ちはないのですか? | |
郭啓州 | 貴様、誰が将校に抜擢してやったか忘れたのか! |
景梓 | 将校として、私の心に何一つやましいことはありません。あなたにへりくだる必要もない。 |
でもあなたは洛川城の守備を任された将軍として、既に三つの大きな過ちを犯しています! | |
郭啓州 | ハハハ、そうやって私を脅そうというのか? |
勘違いするなよ、私が一言命じれば、お前などすぐに貧乏書生に戻るんだぞ! | |
景梓 | ひとつ、あなたは臆病にも戦いを避け人々を苦しめたうえ、雲上帝国の名声を損なった! |
ふたつ、危機に直面した凌雲城が何度も助けを求めてきたのに、あなたは取り合わず、その結果凌雲城は陥落してしまった! | |
みっつ、あなたは司令官でありながら適時に戦況を報告せず救援の時機を逸して、テュール連合軍の侵入を許した! | |
法令に照らしても、この三つはそれぞれ厳罰に処せられる罪です。 | |
あなたはその三つの罪を犯したのですから、政府が公正な審判を下すでしょう。これは脅しではありません。 | |
郭啓州 | 誰か!こいつを牢にぶち込め! |
兵士 | ……はっ、将軍!で、ですが、何の罪で牢に……? |
兵士 | 黙れ!この私に歯向かった奴にはどんな末路が待っているのか、思い知らせてやる! |
郭啓州 | はとりあえ半月程ぶちこんでおけ。それでもまだ減らず口が叩けるかどうか見てやろうじゃないか!はっはっは! |
16-番外2「暫定将軍・景梓」
16-番外3「パテールの救援」
16-SP1「森の娘クローカ」
16-SP2「女王の崇拝者」
16-SP3「軍服に挑戦」
コメント (第16章 ストーリー)
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