【ミラクルニキ】イベント「風林火山」ストーリー
ミラクルニキのイベント「風林火山」ストーリー
番外1 雲上の戦い
あらすじ
大晦日の雲上皇帝は雲錦城で儀式を行う筈だったが、敵襲に遭っしまう。越千霜が奮戦するが追い詰められしまったその時、謎の軍が現れ……。
(大晦日、雲錦城外に雪が積もる) | ||
(流れ出す血が鎧兜に付き、手にした刀が重くなる。越千霜は眼の奥に疲労を隠すと引綱を止め、四方を見た) | ||
(火の手が微かに城郭を照らし、退くに退けず、雲錦城外は血色に沈む) | ||
祝嘉南 | うかつだった、祝羽弦が雲上の中心に精鋭兵を潜伏させているとは思わなかった。 | |
---|---|---|
越千霜 | 敵は準備を怠っていなかった。霜風陣営は遠く凌雲城にいて救援を望めない。多勢に無勢、余裕もない。 | |
(厳しい情勢の中、越千霜は小さく眉間に皺を刻んで、決意した) | ||
越千霜 | 嘉南はすぐに軍を率いて撤退、閉めに行け! | |
祝嘉南 | それは出来ません!気力と忍耐を削られようと、まだ城を破られるには至っていません。私が城門を閉めたら、あなたはどうするの。 | |
越千霜 | でも、様子がおかしい。彼らは私たちを足止めして、次の手の準備しているのだろう。 | |
もしそうなら、誰も逃げられない。ここで戦死してでも、陛下を守り、祭祀を予定通りに行わなければいけない。 | ||
(彼女の表情には既に不退転の決意がにじみ、祝嘉南の気も引き締まる) | ||
祝嘉南 | ……命を張らなくてもよい。雲京にはもう消息が届いた頃。西の囲いを突けばきっと問題ない! | |
(主力部隊は雲錦城内に戻り、越千霜と彼女の親兵だけが死に物狂いで敵を城の堀に食い止めている) | ||
(その時、焼け付くような火の壁が一面に立ち上がる) | ||
親兵 | まずい!彼らは火矢を放つ気です! | |
(越千霜が振り返ると、彼女の親兵は既に勢いを失い、目には絶望が浮かんでいる) | ||
(長い馬のいななきが夜空を震わせ越千霜は馬首を返し、火の壁に向かって行く) | ||
(彼女は手にした長刀を、まさに号令をかけようとしていた射手に投げつけ、火陣は総崩れの様相を呈す) | ||
(突然、彼女の身体が浮き上がる) | ||
(落馬に気付かぬうちに、鎖が越千霜を絡め、彼女の背はきつく締められた弓のように引かれた) | ||
(火が闇を裂き、無数の矢が空に向け放たれては落ち、大地に、兵士の胸に越千霜の鎧兜に突き刺さってゆく) | ||
親兵 | 将軍!! | |
(引き裂かれるような痛みと束縛に喘ぎ、越千霜は動けずにいたが、兵たちを道連れにはできない) | ||
越千霜 | 越家軍!聞け、西を攻めろ! | |
(悲鳴と咆哮が戦場でこだまする。号令を受けた親兵が将軍の声を聞き、列を成し、血路を開こうと誓う) | ||
(遠くに、どこのものともつかぬ軍の声がした。鉄蹄の音とは違う、大型重機が動く轟音が、地面を砕くようだ) | ||
越千霜 | こんな時に……誰だ……。 | |
(鮮血で両目が曇り考ぇる時間もく、意識は暗い世界へと沈んでいく) | ||
兵士ー | しまった!冥冢の装甲兵だ! | |
兵士二 | 奴らは敵の援護でしょうか?もし謀反人共が結託していたとて、我々に挽回の余地がないわけではないのでは? | |
(冥水苑が指揮する魚鱗甲の蛇が越千霜へと這う。途中、動こうとした勢力は蛇の尾に打たれ、反撃もできない) | ||
(近くまで来た大蛇が止まり、越千霜の背と肩に乗る) | ||
(鎖が瞬く間に壊され、気を失った越千霜は大蛇の懐に落ちた) | ||
冥水苑 | 千霜……。 | |
(甲冑を着た少女は依然目を覚まさず、冥水苑は振り返る。装甲兵はすぐに敵に矛を向け、魚鱗甲の蛇も冷ややかに反乱軍に舌を見せる) | ||
(越家軍は事態を悟り、装甲兵と協力体制を取る。形勢は完全に逆転した) | ||
兵士ー | 冥閣主……いえ、冥将軍、に苦衷あったのでは? | |
兵士二 | もし本当に南境を占領して門戸を立てたなら……そんなことはどうでもいい、早く将軍の様子を見てこい! | |
(暫くして、耳に聞こえてきたのは再びの行軍の音だけ。兵たちの規則正しい歩みが心を震わせ、恐ろしい硝煙を立てる) | ||
(冥水苑の遠ざかる影が薄くなる。立ち込めた塵が彼女の着物に落ち、音もたてずに地に埋もれる) |
番外2 晋林の変
あらずじ
大晦日の雲上。戦乱の雲錦城晋林宮にて紫苑は自分の幼い皇帝に分け与え、真の儀式を完了させる。誰が本物で誰が偽か、まったく分からない……。
(大晦日、雲錦城内晋林宮) | ||
(刀剣が競り合う音、悲鳴、怒号) | ||
(幼い皇帝は布団の中で眠れず、その小さな手は冷たい汗を握りしめる) | ||
侍女 | 陛下、御心配なさらず。越将軍が自らで出陣なさいましたから、きっと大丈夫です! | |
---|---|---|
^ | それに、こちらの様子は既に伝わっております。義王殿下がすぐに来てくださいますよ。 | |
(幼い皇帝が布団から小さな顔を覗かせ、その目は涙に濡れている) | ||
雲上天子 | でも、今回の儀式は義王兄さまによくよく言われて……私は、義王兄さまを失望させたくないのじゃ。 | |
^ | 彼らはまだ打ち合っているのか? | |
侍女 | 外の様子を見てまいります。 | |
(侍女が去った後、小屋はまた静まり返った。義王が失望する様子を思い浮かべ、雲上天子の涙はとうとう耐え切れずポタポタと落ちた) | ||
(その時、窓が猛然と開かれ、冷たい夜風と共に漆黒の人影が滑り込んできた。蝋燭に照らされたその身は鮮血に染まっている) | ||
(雲上天子は驚いて布団にくるまる) | ||
??? | 陛下、私です。 | |
(聞き慣れた声に、幼い皇帝は布団の中で記憶を探り、 目に浮かんだ狼狽を喜びに変えた) | ||
雲上天子 | 仙人兄さま? | |
仙人兄さま!どうなさった、どうして血だらけなのじゃ? | ||
(紫苑の長い前髪が彼の目を隠す彼は静かに息をつき、何も言わない) | ||
(雲上天子は急いで紫苑の横に行き、軽く彼の手を引いた) | ||
雲上天子 | 仙人兄さま、怪我をなさったのか?痛いか?私がおまじないをしてあげる! | |
紫苑 | 陛下お気遣いなく、私の怪我は大したことありません。、聞いて頂きたいのはとても大事なことです。 | |
(紫苑は跪いて皇帝を直視し、鮮血に染まった指で彼女の幼い顔を撫でる) | ||
雲上天子 | うん……なんじゃ? | |
紫苑 | 陛下、外は反乱軍がある物を奪おうとして、大変混乱しています | |
雲上天子 | ど、どうすればよい? | |
紫苑 | 大殿に向かい、円台の中央で、義王に教えられた通りに唱えなさい。まだ覚えておられますか?恐怖で忘れてはおりますまいね? | |
雲上天子 | こ、怖がってなどおらぬ、一言一句覚えておるぞ! | |
紫苑 | よろしい、もし不思議なものを見ても慌ててはなりません。越家軍は必ず勝ち、雲上も元通りになりますからね。 | |
(数か月来、戦報が絶えず、雲上は戦火に包まれていた。白永義が皇帝に説明しなくとも、彼の眉間に刻まれた皺が事態を物語っていた) | ||
雲上天子 | それほど簡単に全て良くなるのか? | |
(紫苑は重々しく頷いた) | ||
雲上天子 | わかった! | |
(彼女は両手を握りしめると、扉を開けた。その背筋はピンと伸びていた) | ||
(幼い皇帝はその顔に、年に似合わぬ真面目さと重々しさを湛えていた) | ||
(彼女は誰の阻止も聞かず真っ直ぐ祭壇に向かい、高らかに祝詞を上げる) | ||
雲上天子 | 明々たる日月、昇日照澤。我が雲上を佑け、永らく干戈を収めん。 | |
(言い終える前に、彼女の頬の血の跡が重厚な金色の光を帯び、星の光が満ちたようだ。彼女は何かを見たように手を伸ばすも、空を掴む) | ||
(祭壇の模様から一条のまばゆい光がゆっくりと伸び、雲の上へ届く。まるで天地を揺り動かす力が集まったかのようだ) | ||
(新年の夜明けに雲上四方で燃え上がった戦火は、まるでその一瞬、ひと時の休息を得たようだった) |
番外3 遠霞の峰
あらすじ
大晦日の雲上。遠霞峰は雲京の全貌を見渡すことができる。国土の大半を伺い知れる軍事的に重要な場所である。ここに招かれざる客がやってきて……。
(大晦日、遠霞峰) | ||
(厳しい風がここの香りとは違う酒の匂いを運んでくる。酒気は寒風と共に散るどころか、ますます強くなる) | ||
兵士一 | なんか酒の匂いがしないか? | |
---|---|---|
兵士ニ | 何が酒の匂いだ、いんだろうが!おまえが酒を飲みたいんだろうが! | |
??? | 道を通してくれないか、たいんだ俺は山に登りたいんだ。 | |
(左手に剣を持ち、右手に酒壺を持った白髪の男がいつの間にか彼らの前に現れた) | ||
兵士一 | 何者だ? | |
兵士二 | ここは立ち入り禁止だ、関係者以外山には登れん! | |
蕭縦 | チッ、愚かなまねはしないでくれ。 | |
(話す間にも、蕭縦は手に下げた酒壺からひと口酒を飲み、もう片方の手を剣の柄に置く) | ||
(この危険な動きで周囲の緊張は一気に高まったが、蕭縦はまるで気にせず、そのまま向かってきた) | ||
兵士 | 殺せ! | |
(蕭縦は酒壺で向かってきた刃を軽く払うと、相手お剣の柄を奪い、そのままもう一人に向けて投げる) | ||
(兵士は一瞬の間に、仲間の剣が自分の胸を貫いたことが信じられないようだった。死ぬ間際、どうにか閃光弾を打ち上げ、救援を求める) | ||
兵士 | 敵……襲……。 | |
(閃光弾がまだ空に上がらないうちに一振りの剣がさっとそれを止める。山麓の衛兵は蕭縦によって既に半分が負傷していた) | ||
蕭縦 | そろそろ時間だ、私の邪魔をしてくれるなよ。 | |
(瀟縦は千鳥足に見えたが、衛兵は一人として彼には敵わない。彼は切り立った山に登っていった) | ||
(遠霞峰の頂に立ち、荒れ狂う風の中で酒を飲みつくす) | ||
(雲上の四方に燃える戦火が山河と城の形を映すと、まるで一匹の龍が身を裂かれて哀しみに鳴いているようだ) | ||
(雲錦城の戦況を一望すれば、宮中の争乱も彼の目には明らかだったが、雲上の空は変わらず美しく神々しい) | ||
(その時、一縷のまばゆい光が晋林宮から伸び、暗い雲海に差し込んで、巨大な渦を巻いた) | ||
(驚くべき光景を前にして、蕭縦は朗らかに笑いだす) | ||
蕭縦 | やはり私の期待は裏切られなかった! | |
(狂ったような笑いは唸る風の中に消えていき、黒雲が渦巻く夜空が吹き止まない風を飲み込む) | ||
(新年最初の夜が明けた。だが本当の黎明はまだ遥か先のようである) |
番外4 文英殿夜話
あらすじ
新年の雲上。雲京の宮中からは戦乱の音が響く。文英殿に姿を見せた祝羽弦は、断れない条件を出したようだ。、天子の血をめぐる交渉は夜明けまで続いき……。
(新年、雲京城内文英殿) | ||
(銅鑼が四つ鳴り響き、夜明け前ながら、宮殿内はゆるゆると動き出す) | ||
(白永義はいつものように文英殿ヘ向かい、見慣れた夜道で空を見上げた) | ||
(漆黒の空には数えるほどの星が煌き、遠くの黒雲が近づいてくる。無人の筈の文英殿には明かりが灯されており、白永義は扉の前で足を止めた) | ||
(人影が一つ、満足気に玉座に座り、その身に皇帝の衣装を引っ掛けている。灯りの中、至尊鳳凰紋の模様が浮かび上がる) | ||
(彼は笑うでもなく、まるで暇を持て余しているかのようだった) | ||
(宮殿の扉が音を立てて閉まり、燭台の火が少し揺れ、祝羽弦の影を壁にちらっかせた) | ||
白永義 | 来たか。 | |
---|---|---|
祝羽弦 | 驚かないんだな。 | |
(宮殿の外では、剣が打ち合い、耳を刺す鋭い音が新月の夜に響いている。黒雲が空を覆い、雲京は闇に沈んだ) | ||
白永義 | 私が手をこまねいているだけだと思ったか? | |
祝羽弦 | 探し物に来ただけで、礼を尽くし、兵を動かすつもりはなかったのだが。そちらの衛兵がお急ぎになるものでね。 | |
祝羽弦 | だが、今から問うても遅くはない……天子の血はどこにある? | |
(白永義は手に一巻の公文書を取り、さっと目を通して放り出す) | ||
白永義 | 陛下は雲錦城で新年の祭典の準備中だ。そちらにも人をやったのだろう? | |
祝羽弦 | 互いに彼女の身分は知っている、無駄な時間を使うのはやめよう | |
白永義 | 礼を先んじ兵を後にすると言いながら誠意のない人間と話す事こそ、時間を浪費していると思うが。 | |
祝羽弦 | はははは、私はそれなりの物を用意して来ているんだ。ただとても貴重でね、そちらには負担でないかと心配だ。 | |
白永義 | 血脈の呪詛が破られる日が遂にくるというのに、何を急ぐ? | |
祝羽弦 | おまえが何を気にかけているか知っている。私は、その問題を解決できる。 | |
(宮殿が束の間静まり返る。祝羽弦の兵士が宮中の衛士と戦い、喚く声が宮殿を取り巻く) | ||
白永義 | 断たれるべき天子の血は、たまたま縁の成せる技として残っている。そちらの物に見合うのか? | |
(一本の流れ矢が障子を破り、二人の間に落ちる。戦の声が夜風に交じり宮殿に入り、話し声が掻き消される) | ||
(銅鑼が五つ鳴り、示し合わせたかのように宮殿外の声が静まり、宮殿内もまた沈黙に沈んだ) | ||
祝羽弦 | そういうことなら、私は失礼しよう。 | |
白永義 | 待て。 | |
祝羽弦 | まだ何がもてなしてくれるのか? | |
白永義 | そちらの兵を連れて行け。 | |
祝羽弦 | 晋林宮の者?は、言われずとも撤退させる、私を信じろ。 | |
白永義 | 雲錦の消息を受け取ってからの話だ。 | |
(再び扉が開かれ、暁の陽光がさっと宮殿の扁額を照らすと「海清河晏」の四文字が朝陽に輝いた) |
開催期間:11月30日メンテ後-12月17日23:59