白黒のチェス盤 真紅の夜
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あらすじ | |
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あの紅月の夜に起こったことは誰にも言いたくない。思い出すたび、今でもクローカの心に痛みを呼び起こす……。 | |
(クローカは一度だけ「任務」を失敗したことがある) | |
隊長 | |
任務の手順は理解したか? | |
全員 | |
はい! | |
灰髪の兵士 | |
は、はい……。 | |
隊長 | |
灰色頭、特にお前に言ってるんだ。気を引き締めろよ。今日は紅月だ、クローカが主力となるため、我々の任務は彼女に合わせることになる。 | |
兵士A | |
(小声)紅月か……あの噂は本当なのか? | |
兵士B | |
(小声)あのお方が直々にそうおっしゃったんだぞ! | |
兵士C | |
(小声)そんなことが……あのお方は本当にすごい……。 | |
(噂話はクローカの耳までハッキリと届いた。彼女の小柄な体は隠密用の服に包まれ、その内からは燃え滾るような力が噴き出そうとしている) | |
隊長 | |
行動開始! | |
(その声が消えないうちに、クローカは矢のような速さで夜空に跳び上がった) (倉庫の入り口は、二人の兵士が厳つい面持ちで巡回していた。クローカが薬品を染み込ませたペーパーで彼らの顔を覆うと、瞬く間に昏倒する) | |
クローカ | |
異状なし。潜入を続けます。 | |
隊長 | |
あの二人を処理して、全員続け! | |
クローカ | |
2番倉庫三人、異常なし。潜入を続けます。 | |
隊長 | |
灰色頭、この二人は任せた。 | |
クローカ | |
コンテナ五人、異状なし。潜入を続けます。 3番倉庫五人、異常あり。ただちに向かいます。 | |
その他の兵士 | |
隊長、クローカの動きが早すぎます!みんな彼女について行くことができません。これではすぐに部隊が崩壊します……。 | |
隊長 | |
ついて行けなくても、行くんだよ! | |
その他の兵士 | |
これが、あのお方が生み出した最も鋭い剣か……。 | |
(頬を撫でる夜風が心地良い。この極寒のノーザンにある軍事基地の中を、海流に乗ったカジキのように彼女は泳ぎ回った) (「あのお方の最も鋭い剣」……この通り名が彼女に不思議な優越感を与えていた) | |
クローカ | |
目標の倉庫に敵が多すぎる。私が行きます。 | |
隊長 | |
待て、隊員が揃うまで…… | |
(イヤホンから響く交戦の騒音が、隊長の声を遮った) | |
隊長 | |
早く追いつくぞ! | |
(隊員たちが駆つけた時には、クローカはすでに三、四人の兵士を片付けていた。彼女は短剣を抜きもせず、格闘技のみで敵を倒したのだ) (小さな体にこれほどの力を秘めているとは、誰も想像していなかった) | |
隊長 | |
お前たち、一気に片付けるぞ。 | |
(周囲の巡回兵はすでにクローカが眠らせていたため、激しい戦闘が起きても援軍が来ることはない) (交戦時間はとても短く、圧倒的勝利が目前に迫っていた……その大きな音が鳴り響くまでは) (パンッ!!) | |
灰髪の兵士 | |
あっ……! | |
(銃声が全ての動きを停止させたが、灰髪の兵士の体だけは揺らめていた。同時に、銃を構えていたノーザン兵士が力尽きて倒れた) | |
隊長 | |
灰色頭!大丈夫か!? | |
灰髪の兵士 | |
……なんとか。腕を少し負傷しただけです。まさか、銃を使ってくるなんて……。 | |
隊長 | |
お前たち二人は灰色頭を援護しながら撤退しろ。他の者は引き続き交戦だ! | |
灰髪の兵士 | |
隊長、自分は大丈夫です!撤退する必要はありません! | |
隊長 | |
ぐだぐだ言うな、これは命令だ!そこのお前らも、ぼさっとするな! クローカ!?なぜお前もぼうっと突っ立っている?早く命令を実行しろ! | |
(クローカからの返事はない) | |
隊長 | |
クローカ! | |
(クローカの心はそこになかった。月を見上げるその瞳が真紅なのは、紅月のせいなのか、それとも目に映る鮮血のせいなのか) | |
クローカ | |
(血……?) | |
(抑えることのできない戦慄、得体の知れない渇望と衝動、真紅の芳香) | |
隊長 | |
……クローカ?聞こえているか!? | |
(クローカの体は傾き、ゆっくりと倒れていった) | |
クローカ | |
(もっと多くの……血……赤く染まる月……) | |
(混乱の中、ノーザン兵がどこからともなく飛び出し、剣を抜いてクローカに襲い掛かってきた) | |
灰髪の兵士 | |
クローカ!!! |
コメント (白黒のチェス盤 真紅の夜)
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